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交通事故の過失割合は保険等級に影響する?等級のしくみや納得がいかないときの対処法まで

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/fukunishi/

この記事でわかること

  • 交通事故の過失割合について理解できる
  • 自動車保険(任意保険)の等級制度について理解できる
  • 保険等級への影響(過失割合9対1のケース)
  • 過失割合に納得がいかないときの対処法がわかる

車を運転する人には馴染み深い「保険等級」ですが、事故を起こしてしまうと翌年の保険料が気になるものです。

「どのくらい高くなるのだろう?」
「保険料が上がるくらいなら、自費で解決した方がいいのかな?」

などと疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。

交通事故は、ほとんどのケースで双方に過失があるものです。

ぶつけられた方からしてみれば、納得いかないと感じるのは当然の感情です。

本当にその過失割合で納得していますか?

ご自身にとって、納得のいく示談交渉ができるように事前に正しい知識を備えておくことは必要不可欠です。

少しでもご参考になれば幸いです。

交通事故の過失割合とは

すでにご存知の方も多いかと思いますが、まずは基本的な知識からおさらいしていきましょう。

交通事故の過失割合は、いったい「誰が・いつ・どのようにして」決めているのでしょうか?

  • ・双方の保険会社が
  • ・示談交渉の際に
  • ・過去の裁判例を元に、当該事故に類似した裁判例を当てはめて算出している

過失≒不注意(結果予見義務違反+注意回避義務違反に関して)
→交通事故が発生するような動きを(相手の動きも)予想することができた場合、事故を回避すべき義務を怠ったことにより事故が発生してしまった。

過失割合≒起きてしまった交通事故の結果(損害)に対する過失(責任)の割合
どちらにどの程度の過失があり、どの程度の責任を負うのか。

過失割合が10対0でない以上、1割でも過失があれば、過失割合に応じて公平に責任を分担することになります。

通常は、過失割合が大きければ加害者、小さければ被害者となります。

当然のことながら加害者は、被害者に対して損害賠償金を支払う義務があります。

つまり、被害者であっても自らに過失があれば相手方に賠償する責任を負います

損害賠償額が減額される?!過失相殺について

前述のとおり被害者にも過失が認められる場合、被害者の過失分(1割)だけ損害賠償額から差し引かれた額が支払われます。(1割分減額される)

このことを「過失相殺」といいます。

よく挙げられる例として「右折車と直進車の衝突事故」が該当します。

このように、被害者にも過失があると認められるケースでは加害者だけに過失責任を負わせることはできないのです。

過失割合は警察ではなく保険会社が決めている?!

前述のとおり、通常は保険会社が過失割合を決めています

原則として「警察は民事不介入」とされているため警察が決めることはありえません。

警察が決めていると勘違いされている方が多いのですが、間違いです。

警察が作成する「実況見分調書」や「供述調書」などを元に、当該事故に類似した過去の裁判例を当てはめて算出しています。

等級制度とは

保険の等級制度について「知っているよ!」といえる方はあまり多くはないのではないでしょうか。

保険制度は、独特で細かいためよくわからないと思われるのも無理もありません。

ここで、概要を掴んでおきましょう。

※ノンフリート………
契約者が所有する車の契約台数(他社契約分も含めて)が9台以下の場合を指す。
10台以上の契約をフリート契約という。

※ノンフリート等級………
ノンフリート契約が適用される無事故割引(割増)の等級のことを指す。
1等級〜20等級まであり等級が上がれば割引率が高くなる。
翌年の「ノンフリート等級」は契約期間中の事故の有無や事故の形態によって決まる。


※保険料は数字が小さければ高くなり数字が大きくなれば安くなる。

事故の有無で等級が上がったり下がったりする?!

多くの保険会社では、自動車保険を初めて契約するときは6等級が適用されます。

契約してから1年間保険を使わなければ(つまり無事故)、翌年の契約等級が「1等級アップ」して保険料の割引率もアップします。

つまり、当たり前のことですが「安全運転」であることが、保険契約者にとってはメリットが大きいといえるでしょう。

一方で、交通事故を起こしてしまい自動車保険を使えば等級はダウンします。

この場合は、原則として翌年の契約等級が1回の事故につき3等級ダウンします。

また、事故の内容(パターン)により等級が変わりますので確認していきましょう。

※詳細は、各保険会社により異なりますのでご自身の契約を確認されることをおすすめします。

交通事故の内容事故有係数適用期間等級の変化(翌年の)
ノーカウント事故 本人、家族の怪我
・人身傷害保険
・搭乗者傷害保険
・その他の特約 など
影響なし
1等級ダウン事故落書きや盗難などによる損害
・車両保険 など
1年1件の事故毎に
1等級ダウン
3等級ダウン事故ノーカウント事故、1等級ダウン事故以外の事故を起こした
・車両保険(本人が車を壊す)
対物賠償保険(他人の物や車を壊す)
対人賠償保険(他人を死傷させてしまう)
など
3年1件の事故毎に
3等級ダウン

事故有係数とは?!

自動車保険を使うと、翌年の等級がダウンしてしまい保険料はアップすることがおわかりいただけたかと思います。

  • ・事故を起こさなければ「無事故係数」が適用される
  • ・事故を起こせば「事故有係数」が適用される

仮に「同じ等級」の被保険者が事故を起こしてしまった場合「事故有係数」が適用されている場合の保険料の方が高くなってしまいます。

いったいどのくらいの差が生じるのでしょうか?
適用される係数の違いにより割引率が異なりますので確認しておきましょう。

前年等級13等級9等級
翌年等級事故を起こして10等級にダウン無事故で10等級にアップ
割引率23%45%

等級は引き継げる

  • ・自動車保険の契約者による不正行為を事前に防止する目的
  • ・自動車保険の契約者が保険会社を乗り換える際の利便性 など

これらをスムーズに運用していくために「契約者情報(適用等級など)」をやり取りしています。

各保険会社間が「日本損害保険協会」を通じて行うものです。

  • ・車の買い替え
  • ・保険会社の乗り換え など

自分自身だけではなく、同居の親族にも引き継ぐことができます。

必要経費は少しでも安く抑えておきたいものなので、安全運転を心がけて有効に利用したいものです。

【例】過失割合が9対1のときの保険等級への影響


「過失相殺」の仕組みを理解していることが求められます。

(※前述)
一度で理解することはなかなか難しいので重ねてお伝えしていきます。

前述のとおり自分にも過失がある場合、最終的に受け取る損害賠償金は自らの過失分(1割)だけ減額されます。

自らの過失分なので、当然のことながら責任(1割)を負います。

(相手方へ損害賠償金を支払う)
実際に相手方へ1割分の損害賠償金を支払うわけではなく「過失相殺」という方法で解決します。

また、損害賠償金の支払いには「対人賠償保険・対物賠償保険」を使うことになります。

この保険を使うと「翌年の保険等級」に何か影響があるのでしょうか?

(結論)デメリットとなる

  • ・保険を使うと保険等級はダウンしてしまう
  • ・保険を使うと翌年の保険料がアップしてしまう

このようなデメリットが考えられますので、相手方へ支払う損害賠償金が1割である場合などそれほど高額でなければ、保険を使わずに自費で解決するという選択肢もあります。

被害者自身が、まったく過失が無いと思うような交通事故のケースでも、「被害者が無過失」という事故はレアケースであることが多いです。

無過失の証明は困難なので9対1となるケースが珍しくありません。

過失割合に納得がいかないときの対処法

どうしても過失割合に納得がいかなければ、粘り強く交渉することをおすすめします。

「過失割合」は、示談金(=損害賠償金)が左右されてしまう重要な事柄です。

事故後の生活や治療の一助となるため、簡単に諦めるわけにはいきません。

とはいえ、相手は交渉に関して百戦錬磨である保険会社です。

専門的な用語や知識などを駆使して、強気に畳みかけられてしまうことも少なくありません。

示談交渉の際に「過失割合」で揉めることはとても多いパターンです。

自力での解決が難しい場合は、いったいどのようにして解決していけばよいのでしょうか?

法律のプロである弁護士に相談されることも検討されてみてはいかがでしょうか。

そのイメージから「敷居が高い・弁護士費用が高額」な点がネックと考えられ避けられてしまいがちですが、一概にそうともいい切れません。

過失割合の交渉はもちろんのこと、慰謝料の金額にまで大きなメリットが期待できます。

慰謝料の算出には、「弁護士基準」と呼ばれる最も高額な算出基準を用いて慰謝料を計算します。

その額は、通常保険会社が算出する「任意保険基準」と比べると場合によっては2〜3倍程アップすることもあります。

まとめ

自力での解決が難しい場合は、弁護士に相談することも検討されてみてはと提案させていただきましたが、費用面などを気にされている方がとても多いです。

ですが、費用面で諦めてしまう前に一度ご自身の加入されている保険に「弁護士特約」が付帯されているかどうかを確認してみてください。

もし、付帯されていれば余程の大きな事故ではない限り弁護士特約の範囲内で解決することができます。

また、最近では弁護士事務所が交通事故専門のホームページを持っているところもあります。

コールセンターが併設されていたり、気軽にLINEなどでも一次的な相談ができたりするところも増えてきました。

少しでもご不安を抱えているのでしたら、これらのサービスを積極的に利用してみてはいかがでしょうか。

事務所の対応(レスポンスの速さや人柄)なども感じることができますし「ここの事務所なら任せられる!」と安心できる事務所(弁護士)に出会うことができるのではないでしょうか。

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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