東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
交通事故は、突然起こります。
近年では煽り運転も大きな社会問題になっており、一般道や高速道路でも不意に巻き込まれる可能性があります。
この記事では、交通事故時や煽り運転をされた際に、警察へ通報する流れを解説しています。
通報から解決までの流れも簡単に解説していきますので、参考にしてみてください。
目次
交通事故発生時にした際の流れは、以下のとおりです。
なお、交通事故を警察に通報しなかった場合には罰則があります。
では、順に解説していきます。
通報の際に、事故の場所や負傷者の状況などを伝えます。
その際、負傷者の救護や道路の安全を確保する措置について、警察から指示されることがあり得ます。
指示に従って警察の到着を待ちましょう。
また、警察が現場の情報を詳しく知る必要がある場合、100番映像通報システムの利用を提案されることがあります。
100番映像通報システムとは、通報の際に画像や動画を警察に送るシステムです。
のちほど詳しく解説します。
警察への通報が完了すると、警察官が現場に駆けつけ実況見分に入ります。
実況見分とは、警察官と当事者が立ち合いのもと、事故の状況を確認していく作業です。
このときの証言に矛盾があると、後で不利になってしまうことがあります。
相手を陥れようなどと考えず、正確な証言を心掛けましょう。
実況見分にかかる時間は、数十分から長くても2時間程度のことが多いです。
当事者が救急搬送された場合や、物損から人身事故に切り替える場合などは、後日行われることもあります。
警察による調書が作成されると、後日事故証明書を発行できるようになります。
事故証明書は、各都道府県の自動車安全運転センターで申請することで入手できます。
任意保険会社は、事故証明書をもとにどんな事故かを判断します。
事故証明書が『物損事故』のままだと、治療費等の請求が難航する場合があります。
事故後に怪我や痛みがある場合は、現場で警察官へ伝えておきましょう。
人身事故への切り替えは後日でも可能ですが、医師による診断書が必要になります。
交通事故の際、運転手(乗務員)には以下の義務が定められています。
これらの義務を怠った場合は犯罪になり、以下の罰則を科される可能性があります。
交通事故は必ず警察に通報し、指示に従って必要な措置をとるようにしましょう。
先述したとおり、警察に交通事故を通報すると、警察官が現場に駆けつけて事故の処理を行います。
通報後の詳細な流れや、現場で行うべき行動は以下のとおりです。
通報前にも車を安全な位置に移動する等の措置が必要ですが、通報後も安全確保に努めましょう。
二次被害が起こらないよう、三角警告灯や発煙筒、ハザードランプなどで後続車に事故を知らせます。
後日の示談交渉のため、加害者と連絡先を交換します。
氏名、住所、連絡先をお互いに交換しておきましょう。
このとき、運転免許証の写真を撮らせてもらうと、間違いがなく手続きがスムーズです。
基本的には警察の到着後か、保険会社に連絡した後であれば素直に応じてくれるでしょう。
自分の契約する任意保険会社へ連絡しておきましょう。
今後の流れやその場で確認すべきことを教えてくれます。
また、加害者側の保険会社と話をする場合がありますが、絶対にその場で示談してはいけません。
過失割合等を認めてしまうと、後から覆すのが大変になり、交渉が難航してしまう恐れがあります。
連絡後は、できるだけ証拠を確保しておきましょう。
ただし、必ず安全を確認しながら行ってください。
残しておく証拠には、次のようなものがあります。
現場に散った破片等は、警察が来るまでは動かさず、写真を撮っておくのがよいでしょう。
身につけていた服やヘルメット・靴のキズや汚れが証拠になる場合があります。
洗濯や捨てるなどせずに、解決するまでは保管しておくことが大切です。
また、目撃者で証言してくれる方や、ドライブレコーダーの映像を提供してくれる方がいれば、連絡先を聞いておきましょう。
ただし、あくまでドライブレコーダーは他者の私物です。
提出や目撃証言は、原則として強制できないことに注意が必要です。
事故後は、怪我がないと思っても必ず病院で診察を受けましょう。
ポイントは、当日中(遅くとも2~3日以内)に医師のいる病院へ行くことです。
整骨院や接骨院等は診断書を発行できないため、治療費や保険の適用が難しくなることがあります。
事故直後には痛みがなくても、検査によって怪我が見つかることがあります。
また、内出血やむち打ちの特徴として、後から痛みがくる場合もあり得ます。
治療が遅れれば、それだけ後遺症が残る可能性も高くなります。
医師による診断書をもらって人身事故扱いにしておかないと、相手方に治療費を請求できないことがあるので、事故後には必ず受診し、医師に診断書をもらっておくことをおすすめします。
治療が完了したら、示談交渉を行います。
示談とは、損害賠償や慰謝料を確定させて事故を解決する最終の話し合いのことです。
基本的に、加害者の任意保険会社はできるだけ示談金を安く済ませようとします。
不本意な結果にしないためには、一度弁護士に相談するとよいでしょう。
法的に適正な基準(過去の裁判例による基準=弁護士基準)によって請求すると、賠償金は増額できる場合がほとんどです。
示談が成立すると、およそ2週間後に賠償金が精算されて、事故の話は終わりになります。
煽り運転を通報するには、その場で通報する方法と後から被害届を提出する方法があります。
それぞれのパターンについて、詳しく解説していきます。
その場で通報すると、現場に警察が駆け付けます。
現行犯が確認できれば、相手はその場で逮捕になります。
加害者は警察に連行され、逮捕後の一般的な刑事事件の流れに移行します。
なお、運転中に緊急通報する場合は、電話を使っても違反になりません。
後から煽り運転について警察へ被害届を出す際には、加害者のナンバープレートの番号を提出します。
証拠として、ドライブレコーダーの映像や写真等を提供しましょう。
警察による捜査が開始されると、その後は警察が加害者の自宅に行き、任意同行といった流れになります。
前述した110番映像通報システムとは「映像110番」とも呼ばれ、スマートフォン等を用いて110番通報の際に映像や画像を送信することができるシステムです。
2022年9月から試験運用が開始され、2023年4月には全国で本格運用が開始されました。
詳細な利用方法は政府広報オンラインや警視庁のホームページ等で公開されており、動画でも確認することができます。
煽り運転やひき逃げの際は、撮影した写真や動画を送信することで車の特徴やナンバーが明確になります。
また、その映像が現場の警察官の間で共有されるため、より正確でスピーディーな検挙が可能となります。
110番通報の際に、担当の警察官によって映像が必要と判断されると、通報した際の電話番号あてにシステム利用のURLがショートメールで送信されます。
後は警察の指示に従い、受信したURLをタップし、注意事項に同意すると映像110番の利用を開始できます。
注意点は以下のとおりです。
運転中のスマートフォンの操作や、事故後に道路の真ん中で利用を開始するのは危険です。
周囲の安全を確認しで利用を開始しましょう。
本システムを利用中に撮影した動画・写真はスマートフォンに保存されません。
そのため、民事事件として後日損害賠償請求をする際には、警察に提出した映像は利用できないと考えた方がよいでしょう。
弁護士等に提出する必要がある場合には、別で撮影しておいたデータを警察に提出するなどの対応が必要です。
今回は、交通事故やあおり運転を警察に通報した際の流れを解説しました。
いざ交通事故やあおり運転に巻き込まれると、パニックになってしまうものです。
まずは身の安全を確保して警察の指示を仰ぐなど、冷静に対処するのが望ましいでしょう。
その後は状況に応じて、病院での治療や被害届の提出、示談、裁判など様々な手続きが必要となります。
弁護士に交通事故の解決を依頼すると、加害者への対応も含めてほとんどの手続きを代行できます。
どんな小さなことでも、弁護士へ一度ご相談ください。