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『むちうち』とは、ひとつの症状のことではなく、様々な症状を総称する言葉です。
むちうちには、以下のような症状があります。
むちうちの症状
むちうちは、首が動かない、首を動かすと痛いなど、首に関する症状が一般的です。
ただし、脳髄液減少症などのように頭痛やイライラ、頭の重さ等の症状があらわれたり、バレー・ルー症候群のように自律神経の乱れから様々な症状を引き起こしたりする場合もあります。
何科にかかればいいのか、どんな治療を行っていくのか、それにはどれぐらいお金がかかるのか、身体の不調に加えて不安は尽きないことでしょう。
むちうちというと整骨院を思い浮かべる方も多いと思いますが、まずは病院(整形外科)にかかりましょう。
実はむちうちの痛みは、事故直後や事故当日に自覚することは稀でもあります。
特に事故直後はある種の興奮状態であることに加え、あとの処理も忙しいため、痛みに気づかないことがあります。
そして、やっと事故から少し一息つけたとき、「あれ?首が痛いかもしれない」とあとから自覚する方がとても多いのです。
そのため、事故当日に痛みのあるなしにかかわらず、まずは整形外科を受診するのはその後の予後を左右する重要なことですので、ぜひ覚えておいて下さい。
むちうちの治療法は主に以下の3つです。
むちうちの治療法
むちうちの治療は、痛みや症状などによって異なります。
まずは整形外科医の診察を受け、適切な治療を続けましょう。
むち打ち症は検査では異常が見つけられない場合が多いです。
症状を言葉で伝えなければ、医師は治療継続や症状固定の判断を適切にすることができません。
もし症状をうまく伝えられなければ、医師が症状を軽度と判断してしまう場合があります。
検査による客観的な異常を見つけることが困難なのですから、症状の伝え方が重要になるのです。
むち打ち症は骨折などと違って、検査では異常が見つからない場合が多いのです。
そして、現れる痛みや症状は患者である自分の言葉で伝えなければ、医師は適切に診断することができません。
症状の伝え方が不十分であれば、医師が症状を軽度と判断して、適切な治療ができなくなったり、「症状固定」と判断して治療の継続を打ち切る可能性があります。
まずは症状をしっかりと伝えることがとても重要です。
加害者側保険会社は「症状固定」を主張して、治療費打ち切りの通告をしてくる場合があります。
しかし先ほど紹介したように「症状固定」や「治療継続」の判断は基本的には医師が行うものです。
症状を医師に伝えて、治療継続の必要性を医師に判断してもらいましょう。
医師の判断を「診断書」などで証明することによって、加害者側保険会社に治療費の支払い継続を要求することができます。
医師が「症状固定していないので治療継続が必要」と判断できるように、しっかりと症状を伝えることが重要です。
むち打ち症は患者自身が言葉で症状を伝えなければ、適切な治療が受けることができません。
検査や医師の触診や目視では適切な治療方針を決めることが困難だからです。
例えば「首が痛い」とだけ伝えているのと、「交通事故にあってから首が痛い」と伝えるのでは医師の判断も異なるでしょう。
実際、医師がむち打ち症の治療方針を決めるにあたって、患者の言葉を頼りにしています。
また、症状が強く残っていて治療を継続して欲しい場合には、患者の方からしっかりと意思表示することが必要です。
むちうちの症状は、強い痛みがあっても検査結果や医師の目視では確認できません。
そのため、痛いと訴えるだけでなく、痛みのある場所や強さ、日常生活にどの程度影響があるのかを具体的に伝えるようにしましょう。
医師に症状を誇張して伝えてしまうと、治療しても効果がないと思われたり、面倒な患者だと思われてしまう可能性もあります。
医師との信頼関係を築くためにも、いまの症状を正しく伝えましょう。
医師と話す時は、緊張してうまく話せなかったり、言いたいことをすべて伝えられなかったり、ということもあるでしょう。
事前に伝えたい内容や症状などをメモにまとめて、診察の際に見せたり、メモを読みながら説明するという方法もあります。
医師に正確に情報を伝えることが何よりも大切なので、しっかり伝わるように、伝え方を工夫してみましょう。
むちうちには様々な症状があり、人によって治療が長引くことも多くあります。
その際に一番頭を悩ませることといえば、治療費についてでしょう。
しかし、交通事故でむちうちになった場合、あなたは加害者である相手方に請求できるお金があります。
交通事故でむちうちになった場合、相手方に以下のような項目についてお金の請求が可能です。
相手方に請求できるお金の種類
直接的な治療費はもちろんのこと、病院に通う通院費についても請求できます。
また、必要があればタクシー代も認められることがありますが、事前に保険会社の担当者に確認を取った方が良いでしょう。
自家用車で通院した場合には、ガソリン代の実費が支払われます。
また、むちうちの治療のために仕事を休んだことで収入が減った場合の保証として、休業損害という項目があり、本来であれば収入がないはずの専業主婦であっても休業請求は出来ることがありますので、専業主婦の方は注意が必要です。
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また、それ以外にも、交通事故で精神的・肉体的苦痛を負った事による慰謝料の請求ができますが、後遺障害慰謝料については、実際に後遺障害としての認定された場合のみ請求することができます。
また、後遺障害として認定されることで、後遺障害逸失利益についても保証を請求することが可能です。
これは、むちうちの症状が残ってしまったことによって労働能力が減少し、将来的な収入が減ると考えられるときに、本来得られるはずだった収入の補償を請求することです。
詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
むちうちの治療をしている際に、途中で治療費が打ち切られることがあります。
それは、保険会社から治療費の打ち切りを告げられるケースが多いでしょう。
むちうちは3ヶ月程度の治療期間で一般的には快方に向かうため、保険会社の担当者から「3ヶ月経った」と形式的な理由で打ち切りを打診されることもあります。
しかし、症状固定時期の判断は、保険会社の担当者ではなく実際にあなたの身体を診察している医師がすべきものです。
よって、保険会社の担当者から打ち切りの打診をされた場合には、しっかりと治療継続の必要性を主張し、同時に医師にも相談するようにしましょう。
また、もう一つのケースとして主治医から治療の終了を打診される場合があります。
普段からあなたを診察する医師といえども、あなた本人の痛みを全て理解しているわけではありません。
それゆえに、まだあなたに痛みがあるとしても、医師が画像や各種検査から治療の継続は必要ないと判断することがあります。
感じている痛みの程度、治療の効果については常日頃からしっかりと主治医に伝えるように、コミュニケーションを円滑にすることを心がけましょう。
また、通院頻度が少なかったり、治療内容があまりにも簡易な場合、または物損の程度が著しく軽微なケースについては、早いタイミングで治療の打ち切りを打診されるケースが多くあります。
しかし、その治療があなたにとって必要なものである場合には、通院継続の必要性を訴え、早期打ち切りをされないためにも定期的な通院と主治医への症状の説明は欠かさないようにしましょう。
治療費が打ち切られてしまった場合はどうしたらいいでしょうか。
まずは、主治医に相談しましょう。
主治医から治療の見通しを聞き、治療の継続が必要だと言われればその通りに保険会社の担当者に伝えましょう。
また、治療費は打ち切られたとしても自費であれば通院することはもちろん可能です。
手順を踏めば健康保険を使うことができますので、それについても病院に相談してみましょう。
しかし、自費での通院治療は、大きな負担となることは確かです。
その負担を避ける可能性を少しでもあげるためにも、保険会社の担当者から打ち切りを打診されたときにはまず弁護士に相談してみる、というのも有効な手段の一つです。
むちうちは交通事故においてよく耳にする言葉でありながら、内容についてよくわからず病院に行くべきか悩んでいる方も多いでしょう。
むちうちは、痛みの原因によって症状は多岐にわたり、治療期間も人によって様々です。
そのため、痛みについて理解されずに苦しむこともあるかと思いますが、ここまでご説明した知識を活用し、辛抱強く治療してあなたのQOLを取り戻して下さい。
また、もしも完治が難しい場合、交通事故によって症状が残ったとして後遺障害等級認定を受けることができる場合があります。
認定を受けることが出来れば、後遺障害等級に応じた慰謝料を請求することが可能になり、逸失利益の請求も可能になります。
しかし、痛みのある生活の中でそれらの請求手続きをするのは簡単なことではありません。
もしそのような場合には、弁護士に相談するなどの選択肢を視野に入れるのも良いでしょう。
詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
平成5年 大阪大学医学部附属病院整形外科 勤務
現在 大阪市住吉区長居の北脇クリニックにて院長を務める
日本整形外科学会・専門医/脊椎脊髄病院/麻酔科標榜医
日本ペインクリニック学会所属
骨折・むちうち・捻挫・脱臼などの症状から背中や首の痛み・手足のしびれ・肩こり・腰痛・関節痛などの慢性的な症状まで、整形外科に関するあらゆる症状に精通する。
地域のかかりつけ医として常に患者の立場に立った診察には定評があり、治療内容や医薬の分かりやすい説明をモットーとしている。