東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
物損事故では車の修理代や代車使用料などしか請求できませんが、人身事故への切り替えをおこなうことで治療費や慰謝料を請求できるようになります。
事故直後は一種のパニック状態になり、アドレナリンの影響などで痛みを感じにくくなりがちです。実際に事故から数日後に突然症状が現れるケースも多いです。
事故直後にけががない場合、手続きの簡便さから物損事故で処理するケースも多いですが、適切な補償を受けたいなら物損事故への切り替えを検討しましょう。
また、少しでも身体に違和感があったり衝撃の大きい事故であれば、初めから人身事故で処理することが重要です。
物損事故で処理したもののあとから痛みが出て通院した場合には、以下の手順で物損事故への切り替えをおこないましょう。
あとから痛みが出てきたら、速やかに病院に行って医師の診察を受けてください。人身事故への切り替えの際に診断書が必要になります。
事故直後に痛みやしびれなどの自覚症状がなくても、あとから症状が出てくるケースも多いです。治療が遅れると後遺症が残ってしまう可能性もあるので、なるべく早めに病院で受診しましょう。
期限はありませんが、警察に人身事故への切り替えを拒否される可能性を下げるためには、遅くとも事故発生から10日以内には診察を受けるのがベストです。
なお、接骨院や整骨院では診断書を作成してもらえないので、必ず病院の整形外科などで受診しましょう。
医師に診断書を作成してもらったら、警察に人身事故への切り替えを申請しましょう。診断書のほかに運転免許証や車検証も提出します。
事務手続きのあと事故現場の調査がおこなわれるので、事故状況を記憶に基づき正確に伝えてください。
物損事故から人身事故への切り替えが完了したら、加害者側の保険会社に人身事故として処理することになった旨を連絡しておきましょう。
通院する病院を伝えておけば、治療費を直接病院に支払ってくれる場合があります。また、早めに伝えておくことで慰謝料などを請求する手続きがスムーズに進むようになります。
なお、事故日から時間が経っていると保険会社が事故とけがの因果関係を疑い、治療費や慰謝料の支払いを拒否してくる場合があります。なるべく早めに連絡するよう心がけ、もし揉めたら早めに弁護士に相談しましょう。
事故から時間が経ち過ぎていると「事故が原因で起きている痛みやしびれ」であることを証明しづらくなります。別の原因で症状が出ていると警察が判断した場合、人身事故への切り替えは認めてもらえません。
もし人身事故への切り替えが認められなかった場合には、「人身事故証明書入手不能理由書」を加害者側の保険会社に提出しましょう。この書類を提出すれば、物損事故のままで治療費や慰謝料の支払いが認められやすくなります。
加害者側の保険会社に郵送してもらえるケースが多いですが、各保険会社のホームページからも入手できます。
注意点としては、人身事故証明書入手不能理由書を提出したからといって、必ずしも治療費や慰謝料の支払いが認められるとは限らない点が挙げられます。
警察に切り替えを認められていない以上、保険会社としても人身事故として処理する義務はないからです。
けが人の有無が物損事故と人身事故の主な違いになりますが、法律や補償面からみると以下のように4つの違いがあります。
人身事故への切り替えを検討するうえでも重要な違いとなるため、両者の違いを十分に理解しておきましょう。
交通事故を物損事故として処理した場合、損害賠償の対象は破損した物や車の修理費、修理完了までの代車費用などになります。そのため、けがの治療費やけがを負ったことによる慰謝料は請求できないのが原則です。
一方、人身事故であれば治療費や慰謝料を含むさまざまな賠償金を請求できます。
なお、以下のようなケースでは物損事故でも慰謝料が支払われる可能性があります。
例外的な扱いにはなりますが、精神的な拠りどころとなる墓石が壊されたり、住み慣れない生活拠点で精神的苦痛を強いられたときは、慰謝料を請求できる場合があります。
物損事故は行政処分上は無事故扱いとなるため、免許証の違反点数が加算されることはありません。
一方、人身事故では違反点数の加算対象となり、点数によっては免許停止や取り消しなどの行政処分が科されます。
物損事故の加害者は、原則として刑事責任を負いません。故意に物を壊した場合は別として、過失で物損事故を起こした場合に刑罰を科す規定がないからです。
一方、人身事故の場合、加害者は過失運転致死傷などの罪に問われることがあります。
犯した罪の重さによって懲役刑や禁錮刑、罰金刑などの刑罰が科されます。
物損事故では、実況分調書は作成されず簡易的に事故の情報を記載した物権事故報告書のみが作成されます。
一方、人身事故は刑事処分の対象となるため、警察によって刑事記録(供述調書や実況見分調書)が作成されます。
実況見分調書は過失割合の決定に大きく影響するため、適切な補償を受けるためにもあとから痛みが出てきたら人身事故への切り替えをおすすめします。
あとから痛みが出てきたにもかかわらず物損事故のままでいると、以下のようなデメリットがあります。
物損事故のままだと、基本的に治療費や慰謝料を支払ってもらえません。
交通事故の発生直後はけがや痛みに気づかないことが多く、手続きの煩わしさからつい物損事故として処理してしまうこともあるでしょう。
しかし、あとから痛みが生じたとしても、物損事故として処理している場合には保険会社がけがと事故の関係性を認めない場合が多いです。この場合、慰謝料を請求できないだけでなく、治療費の自己負担も生じるでしょう。
人身事故証明書入手不能理由書を提出しても必ず応じてくれるとは限らないため、物損事故のままにしておくリスクは大きいです。
けがを負った事故にも関わらず、物損事故のままにすると実況見分調書を作成してもらえません。
加害者に治療費や慰謝料を請求する場合、示談交渉で過失割合を決定します。実況見分調書があれば事故状況を客観的に証明できますが、ない場合には不利な過失割合になる可能性があります。
物損事故で作成される物件事故報告書は、過失割合の決定に影響しません。
治療費や慰謝料を不当に減らさないためにも、人身事故に切り替えて実況見分調書を作成してもらいましょう。
むちうちなどの後遺症が残った場合、申請して後遺障害等級に認定されると、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの請求が可能になります。
ただし、後遺障害等級の認定には証拠書類の提出が必要となるため、物損事故では等級認定されない可能性が高いでしょう。
は後遺障害の関する賠償金は高額になるケースが多いので、物損事故にすると被害者には大きな不利益が生じます。
交通事故でけがを負った場合、物損事故扱いにすると被害者には多くの不利益が生じます。
少しでも身体に違和感があるなら、初めから人身事故で処理しましょう。もしあとから痛みが出てきたら、できるだけ早めに人身事故に切り替えるべきです。
治療費や通院にかかる交通費、けがで仕事を休んだことによる損失など、被害者はさまざまな損失を被ります。適切な補償が受けられないと、自己負担では賄い切れなくなる可能性があります。
人身事故に切り替えても保険会社が十分な補償をするとは限らないため、有利に示談交渉を進めたいときは弁護士へ相談することをおすすめします。
相談先に迷ったら、交通事故の経験豊富な"ベンチャーサポート法律事務所"にぜひお気軽にご相談ください。