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受任通知は無視NG!対応方法と借金を支払えないときの対処法を解説

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

この記事でわかること

  • 受任通知とはどのような書類で何のために送られてくるのかわかる
  • 受任通知兼代金請求書を無視するとどうなるのかがわかる
  • 受任通知兼代金請求書を受け取った場合に何をすべきかがわかる

日々の生活の中で、毎月決まった支払いが発生し、その支払いをしなければなりません。

しかし、時には資金が不足してしまい、支払いを先延ばしにせざるを得ないこともあるかもしれません。

そのような場合に、受任通知兼代金請求書という書類が送られてくることがあります。

受任通知兼代金請求書とは、どのような書類なのでしょうか。

この書類を受け取った場合、どのような対応が必要とされるのか解説します。

受任通知兼代金請求書とは

受任通知兼代金請求書とは、その名のとおり、代金の支払いを求める請求書です。

通常の請求書と異なるのは、代金を回収できていない債権者が、代金回収を弁護士に依頼した結果、作成された請求書であるということです。

受任通知兼代金請求書は、債権者から依頼を受けた弁護士名で送付されるため、最初は戸惑うかもしれません。

しかし、書面には債権者名などが記載されており、過去に発生した債権の回収であることがわかるようになっています。

もし、受任通知兼代金請求書が送られてきたら、その請求内容を確認しましょう。

一方で注意が必要なのは、架空請求の可能性があることです。

弁護士事務所の名前が入った請求書が送られてくると、不安に駆られて振り込みをしてしまう人が一定数います。

この心理を利用して、実際にある弁護士事務所の名前を使用し架空の受任通知兼代金請求書を送りつけてくるケースもあります。

架空請求の受任通知兼代金請求書については、すぐに警察に相談しましょう。

受任通知兼代金請求書を無視するのはダメ

受任通知兼代金請求書が送られてきた場合、その請求書が架空請求だと決めつけて無視してはいけません。

仮にその受任通知兼代金請求書が本物であった場合、送られてきた請求書を無視すると取り返しのつかないことになる可能性があります。

なぜ受任通知兼代金請求書を無視していけないのか、その理由を解説します。

利用しているサービスが利用できなくなる

架空請求ではない受任通知兼代金請求書が送られてきた場合、何らかのサービス利用料金が未払いになっているということです。

とくに多いのが、携帯電話の月額利用料金や、インターネットのプロバイダ料金です。

また、最近では通販サイトの代金未納のケースなど、さまざまな理由が考えられます。

送られてきた受任通知兼代金請求書を無視するということは、その支払いを拒否するのと同じです。

未払いの料金を滞納し続けると、それまで利用していたサービスが強制的に解約される結果となります。

支払督促の裁判を起こされる

受任通知兼代金請求書を送付するのは、未払いとなっている代金の支払いをスムーズに受けるためです。

この書類で代金の回収ができれば、それ以上債権者として行動することはありません。

しかし、受任通知兼代金請求書が届いても無視する人がいると、それに対してさらに強硬な手段が必要となります。

そこでとられる手段が裁判です。

債権回収を弁護士に依頼して代金請求書を送付してもなお、代金が支払われない場合、最終通告書が送付されます。

この最終通告書も無視していると、次に債権者から支払督促の裁判を起こされます。

裁判というと大変なイメージがありますが、支払督促の裁判は訴訟費用が安く、手続きも簡単です。

異議申立てがない限り、申立人の主張がそのまま認められるため、手軽に利用できる制度となっています。

また、裁判になると債権者の主張が全面的に認められる可能性が高くなるので注意が必要です。

財産が差押えられる

支払督促の裁判によって債権者に対する代金の支払いが認められると、その代金を債権者に支払わなければなりません。

いつまでも支払いを行わずにいると、強制執行によって、財産が差押えられます。

預金口座や給料の4分の1の金額がその対象となります。

自宅や自動車などが差押えの対象になる可能性もありますが、数万円の代金に対して自宅が差し押さえられることはありません。

ただし、預金口座や給料に関しては確実に差押えの対象になるため、逃げ得が許されない状況となっています。

ブラックリストに載る

月額利用料の支払いを滞納したために解約された場合、その事実は事故情報として信用情報機関に登録されます

信用情報機関に登録された情報は、その後5〜10年にわたって残ります。

その間はクレジットカードの発行や住宅ローンも組めなくなります。

それだけでなく、今持っているクレジットカードも使えなくなります。

また、携帯電話の分割支払いの契約もできなくなるなど、その影響は長く続くこととなります。

受任通知兼代金請求書が届いたときにすべきこと

受任通知兼代金請求書は、債権回収の手続き上大きな役割を持つ書類であり、無視できないことがわかりました。

それでは、実際に受任通知兼代金請求書を受け取った場合、架空請求である可能性も踏まえた上で、どのような行動をとるべきか、解説します。

書類に記載された内容をよく確認する

まずは、その受任通知兼代金請求書が本物か、それとも架空請求なのかを判断しなければなりません。

送られてきた受任通知兼代金請求書の債権者名を確認し、身に覚えのあるものかを調べます。

もし携帯電話やインターネットの利用料金など支払っていない費用がある場合は、正式に発行された請求書となります。

受任通知兼代金請求書が届く前に督促状が届いていると考えられるため、それらの内容とも照らし合わせて確認しましょう。

一方、身に覚えのない請求書の場合、架空請求の可能性があるため、安易に連絡を取ってはいけません。

記載されている弁護士名や法律事務所名が正しい情報であるか、ホームページから調べてみましょう。

もし疑わしい内容の請求書である場合は、ホームページにある電話番号に連絡して、請求書の内容説明を求めます。

架空請求でなければ支払う必要がある

受け取った受任通知兼代金請求書が架空請求でなければ、その内容に従って支払いをしなければなりません

受任通知兼代金請求書には支払期限が明記されているため、その日までに支払いましょう。

できるだけ早めに支払うことで、解約や裁判手続きに入る可能性が少なくなります。

受任通知兼代金請求書の支払いが難しいときの対処法

受任通知兼代金請求書を受け取った場合、できるだけ早く支払うのが望ましいことがわかりました。

しかし、これまで支払えなかった料金を、急に支払えるようになるとは限りません。

もし受任通知兼代金請求書を受け取ってもすぐに支払いができない場合は、どのような対処が必要となるでしょうか。

分割払いにできないか交渉する

受任通知兼代金請求書をそのまま放置していると、裁判になる可能性があります。

裁判になって債権者の請求が確定しても、支払いができなければ財産の差押えを受ける可能性があります。

そこで、債権回収を依頼されている弁護士に連絡し、請求金額の支払方法変更の交渉を行います。

たとえば、本来は一度に支払う必要のある請求金額を、何回かの分割払いにしてもらえないか交渉します。

請求金額の減額はできませんが、分割払いには応じてもらえる可能性があります。

ただし、これまでの支払状況などを考慮すると、簡単には応じてもらえないうえ、分割払いになったとしても、条件は債権者側で決められることとなります。

できるだけ早期に回収できるように、1回あたりの支払金額は大きく、支払期間は短くなるのが一般的です。

債務整理に詳しい弁護士に相談する

受任通知兼代金請求書を受け取った人は、債権者から見れば、回収不能の債権をいかに処理するかという状態になっています。

すぐに支払えれば問題はありませんが、債権者側の弁護士と交渉してもうまくいかないことがあります。

その場合、債務整理に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

まずはその弁護士から、支払方法について交渉してもらいましょう。

債権者からすれば、弁護士に相談したうえでどうしたら支払いができるかを考えているのだと判断できます。

そのため、自身で交渉するよりも弁護士を通して交渉する方が、分割払いが認められる可能性があります

次に、債務整理に詳しい弁護士に今の状況を説明しましょう。

なぜ受任通知兼代金請求書を受け取るほど支払いが遅れてしまったのか、なぜ今でも支払えないのかを正直に話します。

その話の中から、弁護士がこの先何をすべきか、アドバイスをしてくれるはずです。

債務整理を行う

弁護士に相談し債務整理を行うべきという結論に至ったのであれば、正式にその弁護士に債務整理を依頼しましょう

債務整理を依頼された弁護士は、債権者に対して受任通知を送付することとなります。

弁護士の受任後は、債権者から直接債務者に対しての請求はできなくなり、すべて弁護士が窓口となります。

債権者から取り立てを受けることはなくなるので、それだけでも精神的には落ち着きを取り戻せるはずです。

なお、債務整理の方法には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。

どの方法にするかは、抱えている債務の金額や種類などによって異なるため、まずは弁護士に相談して決めましょう。

任意整理

任意整理は、弁護士が債務者に代わって債権者と交渉を行い、その支払い条件を変更してもらうことです。

たとえば、毎月10万円の支払いを5年間しなければならない状況にあった人がいたとします。

この人が無理なく返済できる金額が毎月5万円だったとした場合、毎月の支払いを5万円に減額してもらいます。

トータルの返済期間は5年から10年に変更することで、返済金額自体は減らさないようにする方法です。

この方法では、債務自体は大きく減少しません。

あくまで債権者と債務者の交渉により認められるものであり、法律上の根拠も制限もありません。

一方で、ブラックリストには登録されるため、その後の生活には支障が生じる恐れがあります。

個人再生

個人再生は、債務の減額を債権者に要請し、減額後の債務を分割払いで月々返済することをいいます。

任意整理とは違って裁判所での手続きとなるため、決定内容には強制力があります。

また、債務の金額は5分の1程度に減額されますが、ゼロになることはありません。

そのため、個人再生を行った後も毎月債務の返済をしなければならないという方法です。

また、ブラックリストに登録される点では、任意整理や自己破産と違いはありません。

自己破産

自己破産は、保有するほぼすべての財産を手放すことで、それを上回る債務の返済を免除してもらうことです。

自己破産を行えばすべての債務の返済が免除されるため、非常に大きな効果があります。

一方で、多くの財産を手放す必要があるので、生活再建には時間がかかることも考えられます。

99万円以下の現金や家具、家財道具などの生活必需品は残せますが、裁判所によって基準が異なります。

事前にどのような財産を手放さずに済むのか、確認しておく必要があります。

まとめ

受任通知兼代金請求書が送られてきた場合、実際に支払っていない代金があるか、架空請求のいずれかと考えられます。

そのため、まずはその請求内容が正しいものであるかを確認しましょう

そして、請求内容が正しいとわかった場合は、できるだけ速やかに支払いを行います。

もし支払いが難しい場合は、債権者側の弁護士と交渉して、支払条件を見直してもらいましょう。

最終的には債務整理を検討しなければならない場合もあるため、弁護士に相談するのがおすすめです。

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