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会社が倒産しても給料・退職金は受け取れる!未払い時の対処法も紹介

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 会社が倒産してしまった場合の未払い給与や退職金の扱い
  • 未払い給与を回収するための対処法
  • 未払い給料の対処法を弁護士に依頼するメリット

勤めていた会社が倒産してしまったら、まだ振り込まれていない給料や退職金は諦めなければならないのでしょうか。

会社が倒産し、破産手続きが始まると、商品や不動産などの財産は換金されて取引先などの債権者へ弁済されます。

このとき、未払いになっている給料や退職金は、他の債権者より優先的に従業員へ支払われます

ただし、倒産する会社には財産がほとんど残っていないケースも多く、この場合は破産手続きによる弁済は受け取れません。

会社に弁済できる財産が残っていない場合、国が未払い給料の一部を立て替えてくれる「未払い賃金立替払制度」を利用できます。

ここでは、会社が倒産した場合の未払い給料の扱いや対処法を詳しく解説します。

【原則】会社が倒産しても給料・退職金は受け取れる

まず、会社が破産したときの給料や退職金の扱いについて説明します。

未払い給料や退職金は優先して弁済される

会社の破産手続きが始まると、会社に残っている財産や弁済すべき債権者などが調査されます。

破産手続きで弁済される債権は、優先度が高い順に次の4つに分類されます。

  • 財団債権
  • 優先的破産債権
  • 一般的破産債権
  • 劣後的破産債権

後述のように、未払い給料や退職金のうち一定の部分は、最も優先順位の高い「財団債権」です。

なお、給料とは月給の他、各種手当、残業代、賞与など労働の対価であるものはすべて含みます。

また、会社は従業員を解雇するときは少なくとも30日以上前に予告をしなければなりません。

予告がなかった場合、解雇予告手当を支払う必要があり、この解雇予告手当も請求に含められます。

給料の発生時期で優先度が変わる

注意点として、すべての給料が「財団債権」に属するわけではなく、給料の発生時期によって別の分類になるとことが挙げられます

区分の目安としては、以下のようになっています。

  • 破産手続開始から直近3カ月前までの未払い給料:財団債権となり、最優先で弁済が受けられる。
  • 破産手続開始から3カ月以上前の未払い給料:優先的破産債権として、一般的な債権より優先して弁済が受けられる。

直近3カ月前までを区切りに、債権の優先度は変わります。

自分の給料は、どの債権に該当するかを理解しておくとよいでしょう。

会社の財産が少ないときは弁済を受けられない可能性がある

前述の通り、未払い給料や退職金の弁済は他の債権より優先されますが、これはあくまで優先順位の問題です。

破産する会社は資金繰りに行き詰まっているケースも多く、弁済の原資となる財産がないときには優先順位が高くても弁済を受けられません

この場合には、未払い賃金立替払制度を利用して国から未払い給料の立替払いを受けられます。

次に、未払い賃金立替払制度について確認していきましょう。

会社倒産時に給料未払いの場合の対処法

未払い給料は優先して弁済を受けられますが、そもそも会社に財産が残っていない場合、支払いを受けることはできません。

この場合には、未払い賃金立替払制度の利用を検討しましょう。

未払い賃金立替払制度の概要

未払い賃金立替払制度とは、会社に給料の支払い能力がない場合に国が一部を立替払いしてくれる制度です。

この制度は、全国の労働基準監督署と独立行政法人である労働者健康安全機構が実施しています。

立替払いの対象となる賃金

立替払いの対象となるのは「退職日の6カ月前の日から立替払い請求の前日まで」に支払期日が到来した給料や退職金です。

定期給与は、基本月給だけでなく、家族手当、通勤手当、時間外手当なども含みます。

ただし、社宅家賃など毎月の給料から差し引かれているものの他、会社からの貸付金や返済金は未払い給料から差し引かれます。

立替払いを受給するための要件

立替払いを受給するには、事業主側と従業員側で次の要件を満たさなければなりません。

事業主側の要件

事業主側の要件は、次の通りです。

  1. ①1年以上事業を継続していたこと
  2. ②倒産したこと

このうち、②の会社の倒産は、法律上の倒産と、事実上の倒産にわけられます。

法律上の倒産とは、会社が次のケースに該当した場合です。

  • 破産手続開始の決定を受けた場合
  • 特別清算開始の命令を受けた場合
  • 再生手続開始の決定があった場合
  • 更⽣⼿続開始の決定があった場合

事実上の倒産とは、会社が事業活動を停止し、再開の見込みがなく、かつ給料の支払いができなくなった場合をいいます。

事実上の倒産は、労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。

従業員側の要件

従業員側の要件は、次の通りです。

①勤めていた会社の倒産により給料が支払われないまま退職した場合

対象となる雇用形態は正社員に限られず、アルバイトなどの非正規労働者や、日本国籍以外の方も幅広く対象となります。

ただし、会社役員の方は労働基準法に規定する労働者ではないため、原則として対象外です。

以下の日から2年を超えない期間に退職した場合

(法律上の倒産の場合)裁判所への破産手続開始などの申立日から6カ月前の日

(事実上の倒産の場合)労働基準監督署長への認定申請日から6カ月前の日

たとえば、破産手続開始の申立日が2024年8月1日の場合、6カ月前の2024年2月1日から2年目の2026年1月31日までの退職が対象です。

③未払賃金額などについて、破産管財人などの証明または労働基準監督署長の確認を受けた場合

未払い給与や退職金の額を証明するため、破産管財人や労働基準監督署長に申請をする必要があります。

未払い賃金立替払制度を利用するときの注意点

未払い賃金立替制度を利用する際の注意点は、次の通りです。

立替払いの対象とはならないものがある

次の支払いは未払い賃金立替払制度の対象外です。

  • 臨時的に支払われるもの(賞与など)
  • 退職日より6カ月以前の未払賃金
  • 解雇予告手当
  • 未払給料の延滞利息
  • 年末調整の税金の還付金
  • 慰労金や福利厚生上の給付
  • 出張費用や備品を従業員が立替払いしたときの清算金

立替払いには限度額がある

立替払いされる額は、未払給料の80%の額までです。

また、下表の通り退職日の年齢により支払われる上限額が決まっています。

退職時の年齢未払給与総額の限度額支払われる上限額
45歳以上370万円296万円
30歳以上45歳未満220万円176万円
30歳未満110万円88万円

(引用:労働者健康安全機構HP「I未払賃金の立替払制度の概要」)

給料が未払いである証拠が必要となる

給料が未払いであることを証明する資料として、次の資料等を準備する必要があります。

  • タイムカードや出勤簿
  • 給与明細
  • 就業規則
  • 労働条件通知書

現実的には、これらの資料を会社が倒産した後に準備するのは難しいため、早い段階から集めておくことが望ましいでしょう。

事実上の倒産は中小企業のみが対象となる

事実上の倒産による場合、中小企業のみが対象となります。

具体的には、次の要件を満たさなければ中小企業とは判定されません。

区分資本金の額従業員数(常時雇用)
一般産業3億円以下300 人以下
卸売業1億円以下100 人以下
サービス業5千万円以下100 人以下
小売業5千万円以下50 人以下

(引用:労働者健康安全機構HP「I未払賃金の立替払制度の概要」)

請求できる期間が制限されている

退職後6カ月以内に裁判所への申立て(法律上の倒産の場合)や労働基準監督署長への申請(事実上の倒産の場合)がなかった場合、立替払いの対象になりません。

また、未払賃金の立替払請求書は、次の期間内に労働者健康安全機構へ提出する必要があります。

  • 法律上の倒産の場合

裁判所の破産手続の開始等の決定日又は命令日の翌日から起算して2年以内

  • 事実上の倒産の場合

労働基準監督署長が倒産の認定をした日の翌日から起算して2年以内

期間を過ぎた場合、立替払いの受給ができなくなります。

中小企業退職金共済制度を利用する

その他に利用できる別の制度として、中小企業退職金共済制度があります。

中小企業退職金共済制度とは、事業主が毎月掛け金を支払って従業員の退職金を積み立てる退職金制度です。

会社が破産すると従業員は解雇されますが、通常、退職金を払う資金余力はないのがほとんどです。

中小企業退職金共済制度を利用している場合、勤労者退職金共済機構から退職金が支払われるため、会社が倒産しても影響がありません。

会社が倒産したときは、中小企業退職金共済制度を利用しているか確認しましょう。

会社倒産時に給料について専門家に相談するメリット

会社が倒産した場合、生活のためにできるだけ支出を抑えたいと考える方は多いのではないでしょうか。

未払い給料の請求を弁護士に相談したいものの、費用面をネックに感じる方もいるでしょう。

しかし、弁護士などの専門家に相談すると、自分で対応するよりも回収の可能性が高く、ほとんどの場合費用を上回る効果があります。

資料の開示を請求できる

給料が未払いであると証明するにはタイムカード、シフト表、日報などの資料が必要ですが、通常は会社側が秘密文書として保管しています。

従業員側から開示を求めても、拒否されてしまうケースがほとんどです。

弁護士に依頼した場合、証拠保全や文書提出命令など、法的な効力のある手段を使って未払い給料の証拠を入手できます

代理人として手続きを依頼できる

会社が倒産した場合、転職活動などをして早く生活を立て直すために手一杯となる人がほとんどでしょう。

正しい未払い給料額の計算など、忙しい中で諸々の手続きを自分で行うのは想像以上の労力が必要です。

たとえば、給料が未払いになっている期間は遅延損害金もあわせて請求できますが、そうした利息などを正確に計算するのは手間がかかります。

また、適切な手続きをとらなければせっかく申請をしても認められないという結果になりかねません。

弁護士は手続きのプロですので、時間的なコストや労力を考慮すると、対応を依頼するのが望ましいといえます。

弁護士費用は事務所によって異なる

弁護士に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

まず、多くの弁護士事務所では初回無料相談を実施しており、手続きの流れやおおよその回収見込みなどを確認できます。

ある程度見込みがある場合、弁護士に依頼すると着手金がかかります。

訴訟や労働裁判を起こす場合には、通常の手続きの着手金に加算された着手金がかかる場合もあります。

また、未払い給料の回収ができた場合、回収できた額の一定割合の報酬金がかかります。

対応は弁護士事務所によって異なるため、依頼前に確認しておきましょう。

まとめ

現在勤めている会社が給料未払いのまま倒産する恐れがある場合、まずは早急に弁護士へ相談しましょう。

原則として、未払い給料や退職金は他の債権より優先して弁済を受けられます。

すでに会社が倒産してしまった場合でも、未払い給料を回収できる可能性は十分にあります。

早い段階から必要な証拠を集め、実際に倒産した場合に備えておくと安心です。

弁護士から適切なアドバイスを受け、早期の対応を心掛けましょう。

破産のお悩みは深刻で不安なものです。
弊社では、相談者様の目線に立って、
丁寧に問題解決に向けた対応をさせていただきます。
楽な気持ちで何でも相談してください。

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