

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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企業の資金繰りが悪化し、従業員への給料未払いを抱えたまま倒産すれば、経営者の心理的・法的負担は計り知れません。
労働債務の不履行は、従業員の生活を脅かすだけでなく、経営者自身の法的責任が問われます。
しかし、国の未払賃金立替払制度を正しく活用すれば、未払い給与の最大8割を国が肩代わりし、従業員への支払いを確保できます。
制度の利用には、裁判所への破産申し立てなど、法的な倒産手続きが開始されている点が条件です。
手続きを弁護士に任せれば、複雑な債権者対応や書類作成から解放されます。
本記事では、会社倒産時の未払いのリスクや未払賃金立替払制度について詳しく解説します。

会社が破産した場合でも、従業員の未払い給料は銀行借入や一般の買掛金よりも法的に優先して保護されています。
破産法上、労働債権は財団債権または優先的破産債権として位置づけられており、他の債権者よりも先に弁済を受けられるしくみです。

会社の破産手続きが始まると、残った財産は優先順位に従って債権者へ分配されます。
未払い給与や退職金は労働者の生活を守るため、銀行借入などの一般債務より優先度の高い財団債権や優先的破産債権として保護されます。
特に破産手続開始前3カ月間の給与は最優先の財団債権です。
解雇予告手当も同様に請求可能です。
ただし経営者が自身の判断で、手元の現金から特定の従業員へ給料を支払う行為は厳禁です。
特定の債権者だけに優先して弁済する偏頗弁済とみなされ、破産管財人による否認権行使の対象となる恐れがあります。
公平に清算を行うため、支払いは管財人の管理下で進めましょう。
資金繰りに行き詰まり、財産が底を突いた状況では、身動きが取れなくなる経営者も少なくありません。
しかし、弁済原資がないからといって、救済を諦める必要はありません。
国が未払い給料の一部を肩代わりする未払賃金立替払制度を活用すれば、資金難の状況でも従業員に給与が支払えます。
経営者が破産等の手続きを開始して初めて、国が立替払いを実行する法的要件を満たします。
自身の力だけで解決しようとせず、迅速に法的整理を行えば、従業員の生活を守り、経営者としての責任を果たせるでしょう。
ここでは会社に代わり国が給与の8割を支払う未払賃金立替払制度の全体像や制度の利用条件など、資金難でも従業員を救済できる方法を解説します。

未払い賃金立替払制度とは、会社に給料の支払い能力がない場合に国が一部を立替払いしてくれる制度です。
この制度は、全国の労働基準監督署と独立行政法人である労働者健康安全機構が実施しています。
立替払いの対象となるのは「退職日の6カ月前の日から立替払い請求の前日まで」に支払期日が到来した給料や退職金です。
定期給与は、基本月給だけでなく、家族手当、通勤手当、時間外手当なども含みます。
ただし、社宅家賃などの他、会社からの貸付金や返済金は未払い給料から差し引かれます。
立替払制度を利用するには、事業主と従業員の双方が要件を満たす必要があります。
事業主側には1年以上の事業継続と倒産の事実の2点が必要です。
倒産には、破産などの法律上の倒産と、労働基準監督署が認定する事実上の倒産があります。
事実上の倒産は認定基準が厳しく、決定までに時間を要する傾向にあります。
経営者の判断としては、裁判所を通した倒産手続きを選択する方が、従業員が迅速かつ確実に受給条件を満たせるためメリットが大きいです。
従業員側は、倒産申立の半年前から2年の間で未払い給与を残して倒産に伴う退職をした場合に、倒産認定の翌日から2年以内に請求すると対象となります。
アルバイトなどの非正規労働者も含まれますが、役員は原則対象外です。

立替払制度には、請求期間と支給額に制限があるため注意が必要です。
支給額は未払給与総額の80%が基本ですが、退職時の年齢により、最大88万円〜296万円の範囲で上限額が定められています。
| 退職時の年齢 | 未払給与総額の限度額 | 支払われる上限額 |
|---|---|---|
| 45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
| 30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
また、退職後6カ月以内に裁判所への申し立て等の手続きが行われない場合、支給対象外となります。
立替払請求書の提出期限は、破産手続開始等の決定日の翌日から2年以内です。
この期間を過ぎると受給資格を失うため、経営者は従業員の不利益を避けるべく、迅速に法的倒産手続きを開始しましょう。

申請手続きでは、経営者が行う破産申し立てが、従業員の請求権を発生させる起点になります。
未払賃金立替払制度を適用するには、裁判所への破産申し立て等の法的な倒産手続きが必須要件です。
手続きの開始が、従業員による立替払い請求の前提条件となります。
法的整理には専門的な法知識や煩雑な書類作成が伴うため、弁護士が申立代理人として受任するケースがほとんどです。
経営者が自らすべての手続きを遂行する負担は極めて大きく、現実的ではありません。
弁護士を介して速やかに破産を申し立てれば、結果的に従業員への支給を早められます。
手続きを適切にそして迅速に進め、従業員の生活への影響を最小限に抑えましょう。
立替払いの申請には、未払い給与額を客観的に証明する資料の提出が必要です。
具体的には、賃金台帳、源泉徴収票、出勤簿やタイムカード、就業規則などの書類を整備し、破産管財人や労働基準監督署へ提出します。
資料の保全は、破産手続き開始後速やかに行う必要があります。
経理書類が散逸したり、破棄されたりすると、正確な未払額の証明が困難となり、従業員の受給が遅れる要因となるためです。
経営者は弁護士と協力し、関連書類を確実に保管や整理をしてください。
立替払いの請求権は従業員本人にあるため、会社側が代理で請求できません。
各従業員が未払賃金の立替払請求書を自ら作成し、労働者健康安全機構へ直接提出する必要があります。
手続きは、破産管財人から未払額の証明を受けた後、従業員が個別に行います。
請求期限は、破産手続開始決定日の翌日から2年以内です。
この期間を過ぎると受給できなくなるため注意が必要です。
経営者は、従業員が迷わず手続きを終えられるよう、説明会の実施や資料配布を通じて情報の周知に努めてください。
会社は必要な証明書を速やかに発行できる環境を整え、従業員の迅速な受給を手助けしましょう。
従業員が労働者健康安全機構へ請求書を提出した後、機構による審査が開始されます。
審査を経て要件が確認されると、立替金が従業員の指定口座へ直接振り込まれます。
入金のタイミングは、請求書の提出から概ね1〜2カ月程度が目安です。
ただし、提出書類に不備がある場合や、未払額の確認に時間を要する場合は、さらに期間が延びる可能性があります。
経営者は、従業員に対して請求後すぐに入金されるわけではないという点と、具体的な入金時期の目安を事前に伝えてください。
事務手続きの遅滞は入金を遅らせる原因となるため、正確な資料提出が重要です。
給与未払いを放置すると、経営者個人が刑事罰や損害賠償責任を問われるリスクがあります。
単なる法人債務ではなく、労働基準法違反や善管注意義務違反として厳しく追及されます。
誤った対応をしないよう、法的リスクを理解しておきましょう。
給与の未払いは、労働基準法第24条[注1]が定める賃金全額払いの原則に違反します。
規定に違反した場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
しかし、未払いが発生しただけで直ちに刑事処罰を受けるわけではありません。
特に倒産など不可抗力によって支払いが困難となった場合、裁判所を通じた破産手続きを進めていれば、経営者が刑事責任を問われるケースは稀です。
過度にパニックに陥り、夜逃げや放置などの不適切な対応を取れば、かえって法的リスクを高めます。
法的リスクを理解し、落ち着いた対応をこころがけましょう。
未払い給料を放置すると、従業員それぞれが個別に請求を行い、労働審判や民事訴訟に発展するリスクがあります。
労働審判は申立てから原則3回以内の期日で審理されるため、経営者は短期間に複数の対応を迫られます。
審判や判決が確定すると給与や預金口座、不動産などへの差し押さえが可能となり、生活再建の基盤そのものが失われかねません。
正式な破産手続きを経れば債務は一元管理され、個別請求はストップしますが、放置し続けると請求が個別化・長期化します。
経営者の精神的・経済的負担が増える前に、早期に専門家へ相談し、適切な手続きを選択しましょう。
未払賃金立替払制度には厳格な期間制限があります。
対象となる従業員は、破産申立日の6カ月前から2年の間に退職した人です。
申立てを先延ばしにするほど、それ以前に退職した従業員が制度の対象外となっていきます。
「いつか払える」と根拠のない希望的観測で粘り続けた結果、本来であれば守られるはずだった従業員の生活が、期限切れによって救われなくなります。
破産の決断時期を逃せば、経営者自身の問題にとどまらず、共に働いてきた従業員に多大な不利益を与える結果となります。
早期決断こそが、従業員への最後の責任の果たし方といえます。

給料未払いが発生しても、経営者の判断で従業員を救済できます。
従業員を守るため、上記のステップで進めましょう。
破産申立ての時期判断を誤ると、従業員が立替払制度を利用できなくなるなど、取り返しのつかない不利益が生じます。
弁護士に依頼すれば、申立ての最適なタイミングの判断、必要書類の整理、債権者への対応など、複雑な手続きをすべて任せられます。
判断の遅れによるリスクの防止も可能です。
VSG弁護士法人は、法人破産・債務整理において豊富な実績を持ち、経営者の立場に寄り添いながら、従業員への影響を最小限に抑える最善の解決策を提案します。
一人で抱え込まず、まずはVSG弁護士法人へご相談ください。
早期の一歩が、あなたと従業員の未来を守ります。
破産手続きを円滑に進めるためには、会社を閉める前に必要な資料の確保が重要です。
具体的には、まず従業員の給与台帳・勤怠記録・雇用契約書などの労働関係書類です。
加えて会計帳簿や取引履歴などの財務データをPCから抽出・保存しておく必要があります。
これらの資料は、破産管財人による調査や未払賃金立替払制度の申請手続きにおいて不可欠です。
会社を閉めた後では資料へのアクセスが困難になるケースも多いです。
データの紛失や散逸は手続きの遅延だけでなく、従業員が立替払制度を利用できなくなるリスクにもつながります。
資料の保全は、経営者としての最後の責任を果たすための重要な行動です。
給料の未払い状態が続くと、従業員の不安と不信感は日に日に高まっていきます。
情報が何も伝わらない状況では、従業員が個別に労働基準監督署へ申告したり、労働審判を申し立てるリスクが高まり、経営者の負担はさらに増大します。
トラブルを防ぐためにも、破産手続きに入る前に従業員への現状と今後の流れの誠実な説明が、リスク管理として非常に重要です。
未払賃金立替払制度の存在や申請方法を従業員に伝えれば、不必要な混乱を避けながら手続きを進められます。
透明性のある説明こそが、経営者としての最後の誠意であり、無用なトラブルを防ぐ最善の手段となります。
未払賃金立替払制度は、破産申立てが正式に行われて初めて利用できる制度です。
申立てがなければ制度そのものが機能せず、従業員は未払い給料を回収する手段を失います。
制度を利用するために、従業員自身が独立行政法人労働者健康安全機構に対して立替払の請求を行う必要もあります。
そのため、経営者側から制度の存在と申請方法の正確な案内が不可欠です。
破産申立てを適切なタイミングで行い、従業員が漏れなく制度を活用できるよう情報の提供は、経営者としての最後の責任といえます。
共に働いてきた従業員の生活を守るために、早期の申立てと丁寧な案内が求められます。
破産手続き前後に特定の従業員へだけ現金を渡す行為は、破産法上の偏頗弁済にあたるため厳禁です。
発覚した場合、破産管財人によって支払いが取り消されます。
受け取った従業員も返還を求められる可能性があり、善意のつもりが、関係者を法的トラブルに巻き込む結果となるでしょう。
すべての従業員は平等に保護される権利を持っており、個人的な感情や人間関係による扱いの差は許されません。
公平な手続きを通じてこそ、全員が立替払制度を利用できます。
給料の未払い問題は、正式な倒産手続きの正攻法によって解決できる可能性があります。
未払賃金立替払制度は、従業員の生活を守りながら、経営者が法的な責任を果たすための重要なセーフティネットです。
しかし、申立ての先延ばしは選択肢を一つひとつ消していきます。
早期に正しい判断と手続きを取れば、従業員を守る道は残されます。
一人で抱え込まず、まずは専門家への相談が最初の一歩です。
VSG弁護士法人は、法人破産の豊富な実績をもとに、経営者と従業員の双方にとって最善の道筋を誠実に提案します。
[注1]労働基準法/e-Gov
労働基準法第24条(賃金の支払)