

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

法人破産を決めたあと、手続きがいつ終わるのか、先行きが不透明で不安になる方もいるでしょう。
法人破産の手続きには時間がかかります。
法人の規模や財務の状況により異なりますが、一般的に数カ月程度、複雑な事案では数年かかる場合もあります。
手続きの流れを把握しておけば、おおよその見通しが立ち、少しでも安心できるでしょう。
今回は、法人破産の全体像と、申立てから終結まで手続きごとにかかる時間の目安を解説します。
Contents

法人破産の手続きは原則、管財事件として処理されます。
管財事件となれば、申立てから終結までおおむね数カ月~1年程度かかります。
申立てから開始決定までは1カ月~数カ月程度、破産手続開始から終結までは3カ月~半年程度が目安です。
資産の種類や債権者の数、裁判所の運用など、事案によって難易度は異なります。
複雑な事案ほど必要書類が多く、調査や確認に時間がかかるため、全体でかかる時間も長くなります。
一方で同時廃止は、破産手続開始決定と同時に手続きを廃止(終了)する方法です。
おおむね1~2カ月程度で終結します。
ここからは、法人破産の手続きの流れごとにかかる時間を見ていきましょう。
法人破産を申し立てるにはまず、弁護士に手続きを依頼し、申立てに必要な資料を準備します。
準備物は以下のとおりです。
会社の資産に関する資料を準備しましょう。
なお、資産を隠したり、自己判断で特定の債権者を優先して返済してはいけません。
資料の準備に時間が必要なため、弁護士に依頼してから申立書を提出するまでは、おおむね1~2カ月かかるでしょう。
同時に裁判所へ納める予納金を準備します。
予納金は事案によって幅広く、20万円~数百万円が必要です。
申立書を提出後、裁判所から破産手続開始の決定が下されるまでの期間は、およそ1~2週間程度です。
なお、都市部の裁判所では扱う事件数が多く、申立てが集中すると待ち期間が長くなる傾向にあります。
手続き開始と同時に管財人が選任されます。
破産手続開始決定には、差押えや強制執行の効力を失効させ、会社の財産を保全する効力があります。
同時に第一回の債権者集会の日程が指定されるのが一般的です。
手続き開始からおよそ3カ月後に設定される場合が多いでしょう。
破産手続開始決定が下された後、破産管財人によって会社の財産や債権者の調査が行われます。
売掛金の回収や不動産や車両の換価方針の選定を行い、破産会社にどれほどの資産があるか、すべて洗い出して調べます。
また、債権者に債権者届出書の提出を求め、会社が提出した債権者リストと照らし合わせながら債権の詳細を確認します。
会計帳簿や電子データ、倉庫の現物なども調査対象です。
なぜ破産に至ったのか、不正行為がないかなど、慎重に調べられます。
管財人には、調査の結果と今後の見通しを債権者へ報告する義務があるため、債権者集会を開催し報告します。
調査が終わり、資産と債権者が特定できたらすべての財産を現金化し、債権者へ平等に分配します。
この段階で法人の財産はすべて失われます。
配当から破産手続きの終結までの目安は、3カ月~数カ月程度です。
なお、債権者集会は一般的に、数カ月おきに1回~数回開催されます。
不動産や事業資産の換価がある場合は、手続きに時間がかかるケースもあり、期間が延びやすい点に留意しましょう。
また、裁判所が混雑しているときや、管財人の業務内容次第で時間がかかる場合もあります。
急いで破産手続きを終わらせて、ストレスから解放されたい方もいるでしょう。ここからは手続きにかかる時間を短縮する方法を解説します。
財産を隠しても管財人の目はごまかせません。
かえって調査が長引き、破産手続きにかかる時間が長くなります。
手続きの時間を短縮したい場合は、最初から包み隠さず財産を開示しましょう。
主な提出物は以下のとおりです。
小出しにせず、一括でそろえるほど手続きはスムーズに進みます。
破産手続きでは、裁判所に提出する資料や書類の適切で、そして迅速な準備が大切です。
提出が遅れると手続きを進められず、破産手続き全体が長引く原因になります。
その点、弁護士は裁判所に提出する書類を把握しているため、必要書類を不備なく準備できます。
また、一般的に弁護士への相談で、差押えや強制執行を回避するための手段の検討も可能です。
雇用契約や賃貸借契約など、既存契約の整理順序なども相談できるため、安心して手続きを進められるでしょう。
破産管財人は、債権者への公平な配当のために、会社の財産を徹底的に調べます。
口座の入出金明細や総勘定元帳から、不自然な資金移動や隠し財産がないか調査します。
おおむね1~2年分の明細を提出すれば足りるでしょう。
総勘定元帳が正確に転記されているかの確認には、試算表も必要です。
売掛・買掛台帳をもとにリストの債権者と相違がないか比較し、債権者を確定させます。
また、不動産や車両などは必要に応じて現物確認を行い、換価価値の評価も行います。
固定資産台帳や在庫・棚卸に関する資料、資産に関する契約書などを準備しておくといいでしょう。
法人破産に関するよくある質問は、以下の通りです。
それぞれの質問に回答します。
法人破産は原則、管財事件として処理されるため、手続き終結まで数カ月~1年程度の時間がかかります。
準備期間も長く、申立て後は裁判所の手続きを経て終結します。
一方で自己破産は、管財事件となれば法人破産と同じ要領で手続きを行います。
財産がほとんどない場合は、手続きが簡易な同時破産となる可能性があります。
同時破産は、破産手続開始決定と同時に廃止となり、申立てから1~2カ月程度で終了する手続きです。
企業が法人破産したかどうかを確認するには、信用情報会社のデータをチェックしましょう。
帝国データバンクや東京商工リサーチなどの会社は、日々、倒産企業についての情報を発信しています。
また、毎月情報誌も発行しており定期購読できる他、ホームページでもその情報を公開しています。
なお、官報の公告や裁判所公表の情報が出る場合もありますが、掲載の有無・時期は事案により異なります。
代表者は自己破産手続き中、以下の行いをしないよう注意しましょう。
財産隠匿や偏波弁済は、破産法で禁止されている行為で、免責不許可や損害賠償請求などペナルティを課されるリスクがあります。
事案によっては新規借り入れや帳簿の廃棄も、財産隠匿や詐害行為とみなされる可能性があるためしてはいけません。
法人破産の手続きには時間がかかり、管財事件では数カ月~1年、同時廃止事件でも1~2カ月ほどの時間を要します。
スムーズに手続きを進めるためには、誠実かつ迅速な対応がカギです。
一般的に、必要な資料をすべてまとめて一括提出すると時短になります。
手続きの対応次第では、終結までの期間が長引く恐れがあるため、法人破産を行う場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
VSG弁護士法人では、法人破産に関する豊富な実績をもとに、適切で迅速な手続きが可能です。
破産手続きを検討される場合は、初回の無料相談もご活用ください。