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債務整理後に車は残せる?引き上げられるタイミングやローンについて

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

債務整理後に車は残せる?引き上げられるタイミングやローンについて

この記事でわかること

  • 債務整理後に車は残せるのか
  • 債務整理で何が失われるのか

債務整理は、自力返済が困難になった借金を法的な手段で解決する方法です。
借金の減額や免除がされる一方、債権者へ弁済するため家や車など換金価値のある財産は処分しなければならないケースがあります。
債務整理をしたいが、車を仕事で使用しているため処分できない、残せないと生活に支障がある方もいるかもしれません。
ここでは、債務整理後に車を残せるケースと残せないケースや、債務整理で何が失われるかなどを解説します。

Contents

所有権留保が付いている車は債務整理で没収される

車は購入時に分割払いを利用するケースが多く、通常、ローン会社が代金を担保するために所有権留保が設定されます。
所有権留保とは、分割払いを完済するまでローン会社が所有権を保持する権利です。
購入者が支払いを滞納すると、ローン会社は担保としていた車を没収できます。

車の所有権留保がある場合、車検証の「所有者の氏名と住所」欄がローン会社やディーラーの名義になっています。
この場合、債務整理をすると車を没収されてしまうため注意しましょう。

債務整理の種類によって車を残せる可能性が変わる

債務整理の種類によって、車を残せる可能性が変わります。
ここからは、債務整理の種類と車の差し押さえの関係をみていきましょう。

自動車ローンの任意整理では車が引き揚げられる

任意整理とは、3年~5年で元金を返済できるように利息と遅延損害金をカット、または返済期間を延長する手続きです。
返済プランは、金融機関などの債権者との交渉次第です。
任意整理は、借入先が複数ある場合、ご自身で任意整理する業者としない業者を選択できます。
任意整理する対象が自動車ローンの場合、車は債権者に引き揚げられます。
車を担保にした借り入れである自動車ローンは、ローン完済までは債権者に所有権(所有権留保)があるためです。
なお、任意整理をした場合に車を残す方法は後半で詳しく解説します。

個人再生では車を失う可能性が高い

裁判所を通じた手続きである個人再生は、借金総額を最大1/10まで(最小返済額100万円)減額できる制度です。
借金の額によって変わりますが、個人再生の減額される割合は一般的には1/5程度、原則として3年間で完済できるような比率です。
個人再生は借金の総額を引き下げる措置であり「この借金だけ減額したい」といった選択はできません。
自動車ローンが含まれている借金が返済不能になったために個人再生する場合は、所有者である金融業者等によって車は引き揚げられます
ただし、車に所有権留保の設定がなければ引き揚げにはならないため、ローンの種類によっては車を残せます。

自己破産では車を手放す

裁判所を通じて進める自己破産は、免責許可が下りると残りの借金は帳消しになる制度です。
ただし、全額免除が認められる理由は、自己破産する場合はすべての財産を処分して換金して可能な限り返済に回すためです。
自己破産では必要最低限の財産以外を処分(換金)するため、車も手放します
自動車ローンを返済中の場合、所有権留保が金融業者側にあれば引き揚げとなり、ローンを完済している車であれば売却して返済に充てます。
しかし、ローンの契約内容や車の価値によっては、手元に残せるケースも珍しくありません。

車のローン返済中に個人再生をするとどうなる?

自動車ローンの返済が残っている状況で債務整理する場合、基本的に車は引き揚げや差し押さえの対象になるため、手元に残りません。
しかし地方に住んでいる方は生活に不可欠な交通手段であり、個人タクシーといった仕事に使用しているケースもあるでしょう。
「車だけは手放せない」との理由から、自動車ローンだけ完済しようと考えがちですが、個人再生では禁止されています

自動車ローンだけを完済すると個人再生が認められなくなる

個人再生中に自動車ローンだけを完済した場合は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」となり、個人再生が認められない可能性が高くなります
偏頗弁済とは、特定の借金だけ優先的に返済する行為です。
個人再生には「債権者平等の原則」があり、すべての債権者は平等に扱われます。
偏頗弁済が行われると、特定の債権者のみが弁済されないなどの不利益を受ける可能性があるため禁止されています。
偏頗弁済をした場合、個人再生が認められない、または偏頗弁済の額が借金に上乗せされるなど、罰則が科される可能性もあるため注意しましょう。

ローン完済の車が強制処分される場合もある

すでにローンが終わった車でも、個人再生の場合は引き揚げといった強制処分を受ける可能性があります。
個人再生には、債務者の作成する再生計画と呼ばれる借金の返済プランを立てた書類が必要です。
再生計画では、自己破産した場合に処分する財産額よりも高い返済額を設定しなければなりません。
上記のルールを「清算価値保障の原則」といい、価値の高い車を残すほど返済額は高くなります。
たとえば、借金1,000万円を1/5の200万円に圧縮できたとしても、300万円で売れる車を手元に残すのであれば、最低でも300万円の返済が残ります。

債務整理と自動車ローンに関する判例

自動車ローンに関する債務整理には、判例で判断が分かれる場合があります。判断基準を確認し、トラブルがないようにしましょう。

ローン会社による車の引き揚げを認めた判例

ローン会社による車の引き揚げが認められるかどうかについて、裁判所の判断がわかれたケースがあります。
最高裁平成29年12月7日判決では、ローン会社による車の引き揚げが認められました。

このケースは、車に所有権留保がついているが、車検証の名義がローン会社ではなく販売店だった場合です。
車の購入者と販売会社の間で「売買代金債権」を担保するために車の所有権を留保していました。

ローン会社は、車の購入者の売買代金を立替払いしています。
そのため、立替払いによる求償を根拠として留保された所有権を代位取得しており、車の引き揚げを認められました。

販売店による車の引き揚げを認めた判例

最高裁平成22年6月4日判決ではローン会社の車の引き揚げが認められず、販売店側が車を引き揚げました。
このケースでは、所有権留保で担保される債権が売買代金債権だけでなく手数料債権も含む内容になっていました。

また、債権者平等の観点から、ローン会社が車を引き揚げるにはローン会社を所有者とする登録が必要です。
所有者とする登録が、第三者への対抗要件となるためです。
このケースでは、ローン会社は所有者としての登録を備えていませんでした。
かつ、担保債権は販売店側の手数料も含むとして代位取得も認められなかったため、車の引き揚げが認められませんでした。

債務整理後も車を残す方法

債務整理すると車を失う確率は高くなりますが、以下のように借金の契約内容や車の価値によっては手放さずに済む可能性があります。

  • 自動車ローン以外の借金を任意整理する
  • 銀行系のローンは車を残せる確率が高い
  • 自動車ローンを完済してから個人再生する
  • 別除権協定により車を残せる場合もある
  • 車の時価が20万円以下であれば処分されない

それぞれの方法について詳しく解説していきます。

自動車ローン以外の借金を任意整理する

複数の借金がある場合は、自動車ローン以外の借り入れに対して任意整理を検討しましょう。
任意整理であれば複数の借入先から整理する業者としない業者を選択可能です。
自動車ローンだけになれば返済負担も軽くなり、担保を引き揚げされないため今までどおり車を利用できます

銀行系のローンは車を残せる確率が高い

自動車ローンには、信販系と銀行系の2種類があります。
信販会社が取り扱うほとんどの自動車ローンには、所有権留保が設定されています。
一方で、原則として銀行系のマイカーローンには所有権留保が付いていないため、債務整理しても金融機関に車を引き揚げられません。

自動車ローンを完済してから個人再生する

自動車ローン完済後に個人再生すれば、偏波弁済になりません。
早めに個人再生ができるよう、自己資金があれば自動車ローンの返済に充てるとよいでしょう。
親族等に援助してもらう場合は、あくまでも親族による返済であり、自らの返済にならないよう注意してください。

別除権協定により車を残せる場合もある

個人タクシーや個人の配送業などに限られますが、所有権留保が設定されている車でも別除権協定によって残せる場合があります。
別除権協定とは、自動車ローンの支払いだけを継続して車の強制処分を免れる制度です。
しかし、別除権協定は偏頗弁済にあたるため、裁判所や債権者に認めてもらう手続きをする必要があります。

車の時価が20万円以下であれば処分されない

自己破産する際には、借金の支払いに充てるために財産を換価処分します。
しかし、すべての財産を失うわけではなく、一定額以下の財産は手元に残せます。
管轄裁判所によって多少異なりますが、一定額の判断基準は20万円です。
したがって車の価値(時価)が20万円以下であれば、強制処分の対象にならずに手元に残しておけます。

債務整理後に車を購入する方法

債務整理後に車を購入する方法

債務整理を行うと信用情報機関に事故情報として登録されるため、5年~10年はローン契約ができなくなります。
しかし、ここから解説する方法によっては購入できるため、参考にしてください。

現金一括で車を購入する

現金一括であれば信用情報も関係ないため、問題なく車を購入できます
当面の交通手段と割り切れば、格安の中古車も見つかるでしょう。

家族名義でローン契約する

家族名義で契約できる自動車ローンもあるため、債務整理した人以外の契約として車を購入できます。
ただし、ローンの実質的な返済が本人(債務整理した人)である場合、家族が滞納分の支払い督促を受けます
家族の信用が傷付かないよう、最後までしっかり返済しましょう。

自社ローンを組める業者から購入する

車の販売会社は、自社ローンを提供している場合があります。
自社ローンの審査基準は独自に設定されているため、支払い能力が認められるとローン契約を結べます
事故情報が登録されていてもローンを組める可能性があり「車・自社ローン」のキーワードでネット検索してみるとよいでしょう。

債務整理した金融業者以外でローンを組む

債務整理の後、一定期間を経過すると事故情報は抹消されるため、ローン審査への影響はなくなります。
しかし各金融業者も独自の顧客情報を保存しているため、過去に問題があった顧客は「社内ブラック」とされ、新たなローンは審査が通らない可能性があります。
債務整理の後は、過去に利用のない金融業者とローンを契約すると自動車を購入しやすいでしょう。

債務整理後に車を使う方法

債務整理で車を手放した後に、使う方法は以下の通りです。

  • カーシェアリングやリース、レンタカーを利用する
  • 友人の車を借りる

それぞれの方法を解説します。

カーシェアリングやリース、レンタカーを利用する

車の使用頻度があまり高くない場合は、必要になる都度レンタカーやカーシェアリングを利用してもよいでしょう。
レンタカーやカーシェアリングには個人の信用情報は関係ないため、問題なく契約できます。
また、日常的に車を使う場合は長期のカーリースも検討するのもひとつの方法です。
カーリース契約の際はローン会社や保証会社が信用情報を調査しますが、中には独自基準で審査している業者もいます。
何社か当たれば、信用情報に関係なくリースしてくれる業者が見つかるかもしれません。

友人の車を借りる

もし車を貸してくれる友人がいる場合、友人から車を借りるのも一つの方法です。

ただし、頻繁に車を貸してくれる友人がいるとは限りません。
借りている途中に傷つけてしまったり、事故を起こしてしまった場合、友人とのトラブルにつながる可能性もあります

無保険のまま事故を起こしてしまった場合、多額の賠償金が発生する可能性もあるため、自動車保険にも加入しておきましょう。

債務整理と車に関するよくある質問

債務整理と車に関するよくある質問について見ていきましょう。

債務整理をすると何が失われますか?

債務整理をしても、たとえば選挙権・被選挙権や、公的年金の受給権などは失われないため、安心してください。

債権者への弁済のため、一定の財産を失う可能性があります。
また、前述の通り信用情報機関に事故情報が登録されます。
そのため債務整理後はローンやクレジットカードの作成などが制限されるというデメリットはあります。

任意整理するとよくないケースとは?

任意整理の効果は、原則として利息・遅延損害金のカットや、返済期間の猶予に限られます。
たとえば利息カット後も月々の返済額が月収を大きく超えているなど、現実的に返済が難しいケースでは任意整理は適していません

目安として、月々の返済額が月収の3分の1以下であり、収入が安定している場合に選択するとよい方法といえるでしょう。

債務整理したときのよくある誤解とは?

債務整理をしても、戸籍にはその事実は記載されません。

債務整理が会社にバレてしまい、解雇されると考える方もいますが、原則として債務整理を理由とした解雇はできないとされています。

家族に負担がかかると心配される方もいますが、家族に返済の義務はありません。
ただし、家族が保証人となっている場合、本人が債務を免除されても保証人には返済義務が残るため注意しましょう。

まとめ

債務整理は、自力返済が困難になった債務者が生活を再建するために認められた制度です。
ただし、人によっては車などの財産は生活に必要不可欠になっており、どうしても手放せない場合もあるでしょう。
借金問題はその人の事情によってさまざまであり、最適な解決方法もケースバイケースとなります。
最適な解決方法を見つけるには、債務整理に精通した弁護士への相談がおすすめです。
できるだけ早く弁護士に相談し、借金問題の解決に向けて進めていきましょう。

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