

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

東京地方裁判所での法人破産申立には、申立書のほか、債権者一覧表・財産目録・直近の決算書・登記事項証明書などの書類が必要です。
費用は、申立手数料1,000円と予納郵券、官報公告費を含む予納金に加え、弁護士費用もかかります。
本記事では、必要書類と費用の内訳、手続きの流れ、法人破産のメリットと注意点を解説します。
準備には一定の時間がかかるため、資金繰りに行き詰まった段階で、早めに弁護士への相談をご検討ください。
Contents
東京地裁へ法人破産を申し立てる際には、破産手続開始申立書などの作成書類と、会社の状況を裏付ける確認資料の両方が必要です。
主な書類は以下のとおりです。
| 代表的な書類 | |
|---|---|
| 作成書類 | 申立書、債権者一覧表、財産目録、委任状 |
| 登記・意思決定 | 履歴事項全部証明書、取締役会議事録 |
| 決算・財務 | 決算書、税務申告書の控え |
| 財産 | 不動産登記事項証明書、車検証、保険証券 |
| 債権者・契約・従業員 | リース契約書、賃貸借契約書、賃金台帳 |
会社の状況によっては、追加資料を求められる場合があるため、弁護士と相談しながら進めましょう。
破産を申し立てるには、裁判所に提出する破産手続開始の申立書を用意しなければなりません。
申立書には、会社の資産や負債の状況、破産手続開始の原因となる事実が発生した事情等を記載します。
あわせて債権者の名称や住所、債権の内容をまとめた債権者一覧表と、会社の財産を一覧にした財産目録を作成し添付します。
実務上は、法人の事業内容や破産に至った経緯、負債状況を具体的に説明する報告書も作成し、申立書の内容を補います。
記載内容に不備があると手続きが進まなくなるため、弁護士と内容を確認しながら作成しましょう。
取締役会や理事会が設置されている法人では、取締役会や理事会において自己破産を承認する決議を経て手続きを開始します。
取締役会や理事会が設置されていない法人の場合は、事前に取締役や理事の同意を得ます。
ただし、会社の類型や機関設計によって必要な社内手続きは異なるため、どのような決議・同意が必要かは申立代理人に確認してください。
あわせて、法人の商号、本店所在地、役員構成や代表権の確認をする資料として、履歴事項全部証明書を取得します。
破産の承認決議がなされた議事録または取締役や理事の同意書とともに、破産手続開始の申立書に添付します。
会社の財務状況の裏付け資料として、申立日の直近に作成された貸借対照表、損益計算書を含む決算書と、法人税等の確定申告書の控えを準備します。
決算書は直近1年分に限らず、過去分の提出が必要になるケースもあります。
また、以下の資料も必要です。
資料は、負債の状況や破産に至った経緯を説明する裏付けとなります。
手元にない場合は顧問税理士へ早めに依頼しておくと準備が円滑に進みます。
会社の財産に関する資料は、財産の種類ごとに準備します。
財産ごとに必要な主な資料は以下のとおりです。
東京地裁では、法人の破産申立ての際に疎明資料として通帳の写しを裁判所へ提出する必要はありません。
破産手続開始決定後に破産管財人へ引き継ぐ運用とされています。
通帳は原本を保管し、紛失しないよう管理しておきましょう。
債権者関係は、金融機関からの借入れに限りません。
買掛先への未払金、リース会社への残債務、滞納している税金などの公租公課、社会保険料も漏れなく確認します。
必要資料は金銭消費貸借契約書や請求書、納付書などです。
継続中の契約については、事務所や店舗の賃貸借契約書、リース契約書、取引基本契約書など、申立て時点で効力が続いている契約の資料を整理します。
従業員関係では、未払給与や退職金の有無を確認するため、従業員名簿や賃金台帳、就業規則・退職金規程を準備します。
訴訟が係属している場合は、訴訟関係書類もあわせて用意しましょう。
東京地裁へ法人破産を申し立てるには、裁判所に納める費用と弁護士へ支払う費用が必要です。
主な内訳は以下のとおりです。
| 費用 | 金額の目安 |
|---|---|
| 申立手数料 | 1,000円 |
| 予納郵券 | 4,950円 |
| 官報公告費 | 16,264円 |
| 引継予納金 | 最低20万円 |
| 弁護士費用 | 事務所や事案により異なる |
| 代表者個人の自己破産費用 | 必要時のみ別途 |
引継予納金は事案により増額される場合があります。
代表者が会社の債務を連帯保証している場合などは、個人の破産費用が加わります。
申立手数料は、申立書に貼付する収入印紙で納め、法人の自己破産申立てで1,000円です。
予納郵券は4,950円で、500円×4枚、180円×1枚、110円×22枚、50円×4枚、10円×15枚の組み合わせで納めます。
官報公告費用は、申し立てる法人管財事件で1件につき16,264円(中目黒庁舎での現金納付は17,000円)です。
上記は、東京地裁の資料(令和8年1月1日現在)で示されている金額です。
金額は改定される場合があるため、申立て前に裁判所の最新資料を確認しましょう。
破産手続開始が決定され、破産管財人が正式に就任すると、破産者財産の管理を目的として破産管財人名義の口座が開設されます。
口座が開設されたら、申立人は速やかに予納金と法人に残っている現金を振り込まなければなりません。
東京地方裁判所が扱う少額管財の場合、予納金は最低20万円とされ、最大4回の分割払いも可能とされています。
予納金は代理人弁護士が破産者から預かっておき、破産管財人に引き継ぐ方法が一般的であるため、引継予納金と呼ばれます。
ただし、予納金は事案によって増額される場合があります。
代理人を選任しない本人申立てでは、法人の場合、負債総額に応じて70万円以上が必要です。
法人破産を申し立てる場合、申立手数料や予納金などの裁判所費用とは別に、申立てを依頼する弁護士への費用が必要です。
弁護士費用の額は、会社の規模や債権者の数、従業員の有無と人数、不動産や在庫など処分を要する資産の内容によって変わり、事案により幅があります。
債権者や従業員が多い会社ほど、申立て前の調査や書類作成の負担が増える傾向にあります。
具体的な金額は、相談時に会社の状況を伝えたうえで見積もりを確認しましょう。
代表者が会社の借入れを連帯保証している場合、会社の破産後は代表者個人が保証債務の請求を受ける可能性があり、個人の資産や収入で返済できなければ代表者も自己破産を検討する必要があります。
東京地裁では、個人の申立手数料は1,500円、予納金は同時廃止で13,046円、個人管財で最低20万円及び個人1件につき20,397円です。
ただし、代表者が必ず自己破産するわけではないため、保証債務や個人資産、収入状況を確認し、法人と個人をあわせて弁護士に相談しましょう。

東京地裁での法人破産の手続きは、主に①弁護士への相談・申立ての準備、②申立て・即日面接、③破産手続開始決定・破産管財人への引継ぎ、④管財業務・債権者集会・配当・法人の消滅の4つの段階を経て進みます。
破産手続の開始を申し立てる前には、法人の資産や負債、契約などを全て調査し、精算するための準備を行わなければなりません。
調査の対象には、不動産や預貯金、機材、資材、車両、備品などのほか、商品、原材料などの売買契約、事務所などの賃貸借契約、従業員の雇用契約も含まれます。
次に、従業員の解雇や退職処理、給与の精算への対応を検討し、事業を停止する時期を定めたうえで、申立てに必要な社内決議を経ます。
債権者への受任通知は、事業停止に伴う混乱の回避や取立てへの対応の観点から送付するケースもあり、要否や時期は事案に応じて申立代理人が判断するでしょう。
従業員の解雇や売掛金の回収、賃貸物件の明渡しなども、経営者が自己判断で進めず、申立て全体のスケジュールと合わせて検討します。
申立ては、申立書を管轄の裁判所に提出する方法によって行います。
管轄する裁判所は基本的に、法人の本店がある住所を管轄する地方裁判所です。
東京地方裁判所本庁の場合は、中目黒庁舎にある民事第20部が提出先です。
弁護士が代理人となって申し立てる場合、申立ての当日または翌日から3営業日以内に、裁判官と代理人弁護士による即日面接が行われます。
現在は原則として電話で実施され、代理人が対面を要すると判断した場合に限り対面で行われます。
代表者や従業員が面接に加わる必要はありません。
面接で、少額管財とするかを含めた手続きの進め方が決められます。
申立が認められると、破産手続開始の決定が行われます。
決定が行われる日時は、東京地方裁判所の本庁が扱う場合、緊急性が高い場合を除いて、原則として即日面接日の翌週水曜日午後5時付けです。
破産手続の開始が決定されると、破産管財人の候補者は正式に破産管財人として就任し、会社の財産管理・処分権は破産管財人に専属します。
破産手続きの一環として開催する債権者集会の日時などについても、この時点で決定します。
破産手続の開始が決定されると、破産管財人は資産や負債の調査や換価処分などを進め、会社宛ての郵便物は破産管財人に転送されます。
取締役や理事には調査に協力する義務があるため、説明や資料の提出に誠実に応じましょう。
債権者に対しては、破産手続の進捗状況などを報告する債権者集会が開催され、破産管財人から報告が行われます。
1回目の債権者集会は、破産手続開始決定からおよそ2カ月半〜3カ月後の開催が一般的です。
第1回債権者集会までに管財業務が完了し、配当する財産がなければ異時廃止により破産手続は終了します。
配当する財産があれば配当手続きに進み、管財人が法律上の優先順位に従って債権者に配当し、手続きは終結となります。
管財業務が続く場合は、2回目以降の債権者集会が開かれます。
手続きが終わると、裁判所書記官の嘱託により終結または異時廃止の登記がされ、法人の登記記録が閉鎖されて法人は消滅します。
東京地裁には、比較的少額の予納金で進められる少額管財と、申立て後早期に裁判官と面接する即日面接の運用があります。
活用すれば費用負担を抑えたり、手続きを早く進められたりする場合があるでしょう。
管財事件では、破産管財人に支払う報酬を、手続きを始める前に予納金として裁判所に納めなければなりません。
予納金は高額になりやすく、資金の厳しい会社には大きな負担です。
そこで運用されているのが少額管財で、予納金を通常の管財事件より低額に抑える方法です。
東京地裁では、代理人弁護士が申し立てる法人の管財事件について、予納金を最低20万円とする運用があります。
事案により増額される場合はありますが、少額管財を利用できれば初期費用を抑えられるでしょう。
東京地裁の本庁では、少額管財が他の裁判所に先立って運用されているとともに、他の裁判所にはない「即日面接」も導入されています。
申立書の受付日当日または翌日から3営業日以内に、裁判官と代理人弁護士が面接を行います。
法人の少額管財も対象となるため、申立て後の手続きを比較的早期に進められる場合があります。
代理人を選任しない本人申立てでは利用できないため、まずは弁護士への相談を検討しましょう。
東京地裁で法人破産を申し立てる際は、少額管財・即日面接の利用条件、申立費用の確保、申立ての時期の3点に特に注意が必要です。
ここではそれぞれの注意点と、具体的な対応の仕方を順に確認しましょう。
即日面接や少額管財は、東京地裁本庁の民事第20部を中心とする運用です。
同じ東京地裁でも立川支部では扱いが異なり、即日面接ではなく書面審理を基本とする運用とされています。
なお、本庁で即日面接を利用できるのは、弁護士が申立代理人となっている場合に限られます。
支部の運用は変更される場合もあるため、会社の本店所在地がどちらの管轄に属するかを含め、申立ての準備段階で代理人弁護士へ確認しておくとよいでしょう。
法人破産を申し立てるには、予納金などの費用をあらかじめ確保しておく必要があります。
予納金は官報公告費や破産管財人の報酬などに充てられ、費用の予納がなければ申立ては棄却される場合があります。
資金繰りが苦しくなると、取引先への支払いや借入金の返済を優先したくなるでしょう。
しかし、どの支払いを優先するかを自己判断すると後の手続きに影響する恐れもあるため、資金が尽きる前に弁護士へ相談するという方法もあります。
破産手続開始の申立てを行い、手続き開始が決定されると引き返せません。
決定後に破産手続きを止めたいと思っても、法人の清算と消滅に向けて手続きが進められていきます。
破産手続きでは、債権者をはじめとして、取引先や顧客、従業員などにも多大な影響や迷惑をもたらすため、申立時期を熟慮しなければなりません。
東京地裁へ法人破産を申し立てるには、申立書などの作成書類と会社の状況を裏付ける資料をそろえる必要があります。
申立手数料や予納金、弁護士費用を確保したうえで、即日面接から破産手続開始決定、債権者集会へと手続きを進めます。
どの段階でも、事業停止や申立ての時期をどう判断するかが重要です。
弁護士に依頼すれば、書類の準備や費用・スケジュールの整理、裁判所への申立て、破産管財人への対応まで一貫して任せられる場合があります。
資金が尽きてからでは予納金の確保が難しくなるため、事業停止や申立時期を検討し始めた段階で、まずは弁護士への相談をご検討ください。