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法人破産の「支払不能」とは?判断基準や証明する方法を解説

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

法人破産における支払不能の判断基準や債務超過との違い、預金残高や資金繰り表による証明方法について弁護士へ相談している企業経営者のイメージ画像

この記事でわかること

  • 法人破産における「支払不能」の判断基準
  • 支払不能をどうやって証明・立証すればいいのか
  • 法人破産を検討するべきケース

法人破産の開始原因には、「支払不能」と「債務超過」があります。

支払不能とは、会社が支払能力を欠き、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に支払えない状態です。ただし、「預金残高が少ない」「借金が多い」といった事情だけで、直ちに支払不能と判断できるわけではありません。自社が支払不能に該当するかを正確に判断するには、資産・負債の状況や資金繰りなどを踏まえて、弁護士に確認してもらうことが重要です。

支払不能かどうか判断できないまま、特定の取引先だけに返済したり、会社の財産を処分したり、債権者への対応を自分だけで進めたりすると、後の破産手続で問題になる可能性があります。「まだ何とかなる」と考えて対応を先延ばしにすることも、債務や問題を拡大させる原因になりかねません。資金繰りに不安を感じているのであれば、支払不能になるまで待たず、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

この記事では、法人破産における支払不能の判断基準や証明・立証の方法、支払不能になった後に避けるべき行為について、弁護士が実務的な観点からわかりやすく解説します。

Contents

法人破産とは?

法人破産とは、会社の事業継続が難しくなった場合などに、会社の財産や債務を整理し、法人を清算するための法的手続きです。

ここでは、法人破産の基本的なしくみと、借金額がいくらなら法人破産は認められるのかを確認していきます。

法人破産=会社の債務を整理・清算するための法的手続き

法人破産とは、会社の財産や債務を整理し、最終的に法人を清算するための法的手続きです。法人の破産手続きでは、原則として破産管財人が会社の財産を調査・換価し、法律で定められたルールに従って債権者への配当などを行います。

法人の破産手続が終了すると、原則として法人自体が消滅します。個人の自己破産のように「借金を減らして事業を続ける」手続きではなく、会社そのものを清算することが法人破産の大きな特徴です。

もっとも、会社が支払不能になったからといって、自動的に破産手続きが始まるわけではありません。会社または債権者が裁判所に破産手続開始の申立てを行い、裁判所が破産手続開始原因を認めて開始決定をすることで、正式に手続きが始まります。

法人破産を検討している場合は、「もう支払いができないから破産する」と短絡的に判断するのではなく、支払不能や債務超過に該当するのか、事業を再建できる可能性はないのかなどを含めて検討することが重要です。

借金額がいくらなら法人破産は認められる?

法人破産には、「借金が○万円以上あれば認められる」という一律の基準はありません。借金の額そのものではなく、会社の支払能力や資産・負債の状況などを踏まえて、破産手続開始原因があるかどうかを判断します。

法人については、「支払不能」または「債務超過」が破産手続開始の原因となります(破産法15条1項、16条1項)。そのため、たとえば借金が数百万円程度でも、弁済期が到来した債務を一般的かつ継続的に支払えない状態であれば、支払不能として破産手続の対象となる可能性があります。

一方で、借金が多額であっても、十分な預貯金や売掛金などの資産があり、通常の方法で支払いを継続できるのであれば、借金の額だけを理由に支払不能とは判断されません。

実際の場面では、借入金の総額だけでなく、預貯金、売掛金、保有不動産などの資産、弁済期が到来している債務、今後の資金繰りなどを客観的な資料で確認します。「借金が多いから破産する」「まだ借金が少ないから破産できない」と自己判断せず、自社の財務状況をもとに早めに弁護士へ相談することが重要です。

法人破産を開始するための要件とは?支払不能時期はいつ?

破産法では、「債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する」と定めています(破産法15条1項)。また、法人については、支払不能に加えて「債務超過」も破産手続開始の原因となります(破産法16条1項)。

ここでは、支払不能と債務超過がそれぞれどのような状態を指すのか、どの時点で破産手続開始原因が認められるのかを確認します。

なお、存立中の合名会社・合資会社には債務超過を原因とする破産手続開始の規定は適用されません。無限責任社員が会社の債務について責任を負うためで、支払不能のみが破産手続開始原因となります(破産法16条2項)。

支払不能の判断基準

破産法では、支払不能を「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」(破産法2条11項)と定義しています。

支払不能に該当するかどうかは、原則として破産手続開始決定の時点を基準に判断されます。

「支払能力を欠くために」「弁済期にあるものにつき」「一般的かつ継続的に弁済できない状態」という3つの要素を確認することで、自社が支払不能に該当するかを具体的に判断できます。

支払能力を欠くために

「支払能力を欠く」とは、単に一時的に手元の現金が不足している状態ではなく、会社の財産や信用、資金調達の可能性などを考慮しても、債務を支払うための資力がない状態を指します。

支払能力を判断するときは、預貯金などの手元資金だけでなく、換価できる財産の有無、売掛金を回収できる可能性、金融機関から追加融資を受けられる可能性などを総合的に確認します。たとえば、手元資金が不足していても、近いうちに回収できる売掛金があり、それによって通常どおり支払いを続けられるのであれば、直ちに支払能力を欠くとはいえません。

一方で、不動産などの資産を保有していても、売却に時間がかかる、担保が設定されているなど、実際の支払いに充てることが難しい場合があります。そのため、決算書上の資産額だけを見て「まだ財産があるから支払不能ではない」と判断するのも適切ではありません。

実務では、会社が保有する財産をどの程度の期間で資金化できるのか、通常の取引や金融機関からの借入れによって資金を調達できるのかなどを確認し、今後も債務の支払いを継続できるだけの支払能力が残っているかを個別具体的に判断することになります。

債務のうち弁済期にあるものにつき

「弁済期にあるもの」とは、すでに支払期限が到来しており、現時点で支払う義務がある債務を指します。弁済期が到来していない債務は、支払不能の判断において直接の対象にはなりません。

たとえば、返済期日を迎えた金融機関からの借入金、支払期限が到来した買掛金や未払金、支払期日を迎えた給与などについて、実際に支払いができているかを確認します。税金や社会保険料についても、納期限を過ぎて滞納している状況があれば、会社の支払状況を判断する材料になります。

もっとも、現在の支払いだけを確認すればよいわけではありません。支払不能は、後述するように「一般的かつ継続的に弁済できない状態」を意味するため、今後数カ月の支払予定や資金繰りも重要です。たとえば、現在は支払いができていても、近い将来に多額の借入金返済や買掛金の支払いが集中し、売上や融資によって必要な資金を確保できない見込みであれば、今後の支払能力について慎重に検討する必要があります。

そのため、自社が支払不能に該当するか確認するときは、「今払えるか」だけでなく、「今後の支払いを継続できるか」という視点から資金繰りを確認することが重要です。

一般的かつ継続的に弁済できない状態

「一般的かつ継続的に弁済できない状態」とは、会社が一時的に支払いに困っているのではなく、通常の資金調達や財産の換価などをしても、複数の債務について継続的に支払いを続けることが難しい状態をいいます。

たとえば、1回だけ買掛金の支払いが遅れた場合や、入金予定のずれによって一時的に資金が不足した場合には、それだけで直ちに支払不能とはいえません。近いうちに売掛金を回収でき、その資金で通常どおり支払いを再開できるのであれば、一時的な資金不足と評価される可能性があります。

一方、金融機関からの借入金、買掛金、未払金など、複数の債務について支払いが滞り、今後も通常の方法では支払いを続けられないのであれば、支払不能に該当する可能性が高くなります。特定の1社への支払いだけが遅れている場合と、会社全体の資金繰りが行き詰まっている場合は分けて考える必要があります。

また、一時的に資産を売却したり、新たな借入れをしたりして支払いを行えるとしても、それだけで支払不能ではないとは限りません。その方法で一時的に支払いをしのげても、すぐに資金が尽き、継続的な弁済が困難になるのであれば、支払不能に該当するケースもあります。

債務超過の判断基準

債務超過とは、「債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態」のことをいいます(破産法16条1項)。支払不能が「現在の支払能力」に着目するのに対し、債務超過は「会社の資産と債務のバランス」に着目して判断する点が大きな違いです。

法人の場合、債務超過も破産手続開始原因となるため、現時点で支払いができていても、債務超過に該当すれば破産手続の対象となる可能性があります。

その債務につき財産をもって完済できない状態

債務超過とは、会社が保有する財産をすべて処分しても、債務を完済できない状態をいいます。支払不能の立証が難しい場合でも、債務超過であることを資料によって示せれば破産手続開始原因を満たす可能性があります。

【清算価値基準と継続事業価値基準】
債務超過かどうかを判断する際は、まず会社がどのような財産を保有しているのかを確認します。預貯金や不動産、売掛金などの財産を評価し、その価値の合計額と会社が負っている債務の総額を比較します。財産の価値を合計しても債務を完済できなければ、債務超過に該当します。

もっとも、会社の決算書に記載された金額がそのまま会社の財産として評価されるわけではありません。たとえば、帳簿上1,000万円の価値がある不動産でも、実際に売却した場合の価値が800万円であれば、原則として実際の価値(800万円)を基準に評価します(清算価値基準)。一方、回収できる見込みのない売掛金などは、財産として十分な価値を持たない場合があります。

ただし、事業を継続することで得られる価値が清算価値を上回る場合には、企業継続を前提とした価値を基準として判断することがあります(継続事業価値基準)。

【弁済期が到来していない債務も含まれる】
債務については、すでに弁済期が到来しているものだけでなく、まだ弁済期が到来していないものも含めて考えます。これは、債務超過が「現在支払えるか」ではなく、「会社の財産をもって債務全体を完済できるか」という観点から判断されるためです。

【会社の信用や将来の労力・技能などは含まれない】
ただし、ここでいう「財産」には、会社の信用や将来の労力・技能などは含まれません。たとえば、代表者の経営能力や、今後の事業活動によって得られる収益への期待があったとしても、それだけで現在の会社の財産として評価することはできません。債務超過の判断では、客観的に価値を算定できる財産を基礎として考えるのが基本です。

このように、債務超過は決算書の「資産-負債」の数字だけで機械的に判断できるものではありません。債務超過の判断基準時は原則として破産手続開始決定の時点であるため、自社が該当するか確認する際は、財産の実際の価値や債務の内容まで含めて確認する必要があります。

支払不能の判断では会社の信用や資金調達の可能性も考慮されるのに対し、債務超過の判断では、あくまで客観的に価値を算定できる財産のみを基礎とする点が異なります。

支払不能であることをどうやって証明・立証すればいい?

自社が支払不能に該当するかを判断するには、会社の資産や負債、資金繰り、実際の支払状況などを客観的な資料によって確認する必要があります。単に「お金が足りない」と説明するだけでは、支払不能であることを十分に示せません。

なお、破産手続開始の原因を疎明することが法律上求められるのは、債権者が破産手続開始を申し立てる場合です(破産法18条2項)。会社自身が申し立てる場合にこうした規定はありませんが、実務上は申立書と添付資料によって、支払不能に至った経緯や資金繰りの状況を裁判所に説明することになります。

ここでは、支払不能であることを証明するための方法や、支払不能が推定されるケースについて解説します。

預金残高や借入金、買掛金などから支払能力がないことを示す

支払不能を立証するには、「財産がいくらあるか」だけでなく、「いつ、いくら支払う必要があり、そのための資金を確保できるのか」を細かく確認する必要があります。

たとえば、次のような資料が支払能力を判断する材料になります。

  • 預金通帳・金融機関の取引履歴:預金残高や入出金の状況
  • 現預金残高:現時点で支払いに充てられる資金
  • 借入金の残高・返済予定表:借入金の総額や今後の返済予定
  • 買掛金・未払金の一覧:取引先などへの支払予定
  • 売掛金の一覧・回収予定:今後回収できる資金と回収時期
  • 給与・賞与の支払状況:従業員への支払い状況や未払いの有無
  • 税金・社会保険料の滞納状況:公租公課の支払状況
  • 資金繰り表:今後の資金の流入・流出と資金不足の見込み
  • 試算表・決算書:会社の財務状況や資産・負債の状況
  • 督促状・支払猶予に関する資料:債権者からの請求状況や支払いが困難になった経緯
  • 手形・小切手の不渡りに関する資料:支払いができなかった事実

支払不能の立証では、単一の資料だけで判断するのではなく、複数の資料を組み合わせて会社の資金繰りを時系列で確認することが重要です。弁護士に相談する際も、これらの資料をできる限り整理しておくと、自社が支払不能に該当するかを具体的に検討しやすくなります。

「支払停止」があれば「支払不能」が推定される

支払不能は会社内部の資金繰りに関する状態であり、外部からその事実を直接確認することは容易ではありません。そこで、破産法は、「債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する」と定めています(破産法15条2項)。

支払停止とは、「債務者が支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないと考えて、その旨を明示的又は黙示的に外部に表示する行為」をいいます(最判昭和60年2月14日)。

1社への支払いが遅れただけで直ちに「支払停止」となるわけではなく、会社全体として、一般的かつ継続的に債務を支払えない状態にあることを、外部に示したと評価できるかどうかがポイントになります。

支払不能であることを外部に示す表明は、明示的なものだけでなく、黙示的なものも含まれます。

明示的な表明の例

  • 6カ月以内に2回以上の手形不渡りがあり、銀行の取引停止処分を受けた場合
  • 事業所などに支払いができなくなった旨の貼り紙をした場合
  • 債権者に対して、支払いができなくなった旨を通知した場合
  • 代理人弁護士から債権者に対して、支払いを停止する旨の通知を送付した場合(最判平成24年10月19日)

黙示的な表明の例

  • 店舗や事業所を閉鎖した場合
  • 廃業した場合

支払停止が認められると、破産手続では支払不能そのものを一から立証する必要がなくなり、支払不能の立証負担を軽減できます。

もっとも、会社が支払停止に該当するかどうかは、個々の行為だけで機械的に決まるものではありません。たとえば、事業所を一時的に閉鎖しただけでなく、その背景や会社全体の支払状況なども含めて判断されます。

支払いを停止する前後の対応によって法的な評価が変わる可能性もあるため、支払不能が疑われる段階で、債権者への通知や支払いについて自己判断で対応することは避け、弁護士に相談することが重要です。

【注意】支払不能後にやってはいけないこととは?

支払不能の時期は、破産手続において重要な意味を持ちます。支払不能になったあとに行った弁済や財産処分などは、後に破産管財人から否認され、返還を求められる可能性があるためです。

たとえば、支払不能になったあとに「長年付き合いのある取引先だから」と、その取引先だけに買掛金を全額支払った場合、ほかの債権者との公平を害する「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と評価される可能性があります。破産者が支払不能になったあとにした弁済などは、受益者がその当時、支払不能であったことまたは支払の停止があったことを知っていた場合、偏頗行為として否認される可能性があります(破産法162条1項1号)。

一方、「支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認すること」には期間制限があり、破産手続開始の申立ての日から1年以上前にした行為については、原則として否認できません(破産法166条)。

このため、破産管財人は会社の取引履歴や財産の移動などを調査し、「会社がいつ支払不能になったのか」や、その前後にどのような行為をしたのかを確認します。支払不能の時期は、その後の弁済や財産処分が否認の対象となるかどうかを判断するうえで重要となるため、会社が支払不能に陥った時期を自己判断するのは危険です。

特に、支払不能が少しでも疑われる段階では、次のような行為を自己判断で行わないよう注意が必要です。

  • 代表者や親族、付き合いの長い取引先など、特定の債権者だけを優先して返済する偏頗弁済(破産法162条)
  • 会社の財産を著しく安い価格で売却したり、無償で譲渡したりする行為(破産法160条、161条)
  • 会社の財産を隠したり、帳簿に記載しないなどして存在を分からなくしたりする行為(破産法265条)

新たな借入れによって別の債務を返済するなど、資金繰りの行き詰まりを先送りする行為も問題となる可能性があります。ただし、新たな借入れによって既存の債務を返済すること自体が、直ちに違法となるわけではありません。返済する資力や意思がないにもかかわらず、その事実を隠して借入れを行った場合には、詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があるため、注意が必要です。

なお、偏頗弁済などの行為は、否認の対象となるだけでなく、一定の場合には刑事責任を問われることもあります。もっとも、否認されることと刑事責任を問われることは別です。破産法266条の罪が成立するのは、他の債権者を害する目的で、担保の供与や債務の消滅に関する行為のうち本来はする義務のないもの(弁済期が到来していない債務の返済や、契約になかった担保の提供など)を行い、かつ破産手続開始の決定が確定した場合です。この場合、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に処せられ、両方が科されることもあります。

このように、支払不能後の行為は、破産手続開始後に問題となる可能性があります。「取引先に迷惑をかけたくない」「会社の財産を少しでも残したい」といった善意から行った対応であっても、破産手続上問題になることがあるため、注意が必要です。

法人破産を検討するべきケースとは?

法人破産を検討するかどうかは、支払不能や債務超過に該当するかだけでなく、今後の資金繰りや事業の収益性、資金調達の可能性などを踏まえて判断します。すでに支払いが行き詰まっている場合はもちろん、近い将来に資金不足が避けられない場合も、早めに弁護士へ相談することが重要です。

たとえば、次のような状況にある場合は、法人破産を具体的に検討する必要があります。

  • 弁済期が到来した借入金や買掛金などを、継続的に支払えない状態が続いている
  • 支払いのための借入れを繰り返しており、資金繰りの改善が見込めない
  • 会社の財産をもってしても債務を完済できず、債務超過の状態にある
  • 売上減少や事業環境の変化などにより、今後も赤字が続く見込みである
  • 金融機関から追加融資を受けることが難しく、事業継続に必要な資金を確保できない

もっとも、これらに該当したからといって、直ちに法人破産を選択すべきとは限りません。たとえば、事業自体には収益性があり、債権者との交渉や事業再生によって経営を立て直せる可能性があれば、私的整理や民事再生など、破産以外の方法を検討できる場合があります。

反対に、支払不能になるまで対応を先送りすると、債務がさらに増えたり、資産が減少したりして、選択できる再建方法が限られる可能性があります。

「まだ破産するほどではない」「もう少し様子を見よう」と自己判断するのではなく、支払不能や債務超過に該当するか迷っている段階で弁護士に相談することが大切です。会社の財務状況や事業の見通しを確認したうえで、法人破産を含めてどの方法が適切か、どの時期に動くべきかを具体的に検討できます。

法人破産を検討している段階で弁護士に相談するメリットは?

自社が支払不能や債務超過に該当するかを、決算書や預金残高だけで正確に判断することには限界があります。弁護士に相談すれば、会社の財務状況や資金繰り、債務の内容などを総合的に確認し、法人破産を含めて今後の対応を検討できます。

また、支払不能になった後の返済や財産処分によって、破産手続上の問題が生じることもあります。早い段階で相談しておけば、こうしたリスクを避けながら、破産以外の選択肢も含めて適切な方針を検討できます。

破産以外の債務整理・事業再生の方法も検討できる

支払不能の状態にあるからといって、必ずしも法人破産を選択しなければならないわけではありません。事業そのものに収益性があり、債務を整理することで再建できる見込みがあれば、私的整理や民事再生など、破産以外の方法を検討できる場合があります。

弁護士に相談すれば、たとえば次のような事情を確認したうえで、会社に適した手続きを検討できます。

  • 現在の事業に収益性があり、事業を継続することで経営を立て直せる見込みがあるか
  • 債務総額や債権者の構成がどのようになっているか
  • 金融機関との交渉によって返済条件の変更や追加融資を受けられる可能性があるか
  • 事業譲渡やスポンサーの支援によって事業を存続できる可能性があるか
  • 会社を清算した場合と、事業を継続した場合のどちらが債権者にとっても適切か

たとえば、会社の資金繰りが厳しくても、事業自体には十分な収益性があり、金融機関との返済条件の変更によって資金繰りを改善できるのであれば、直ちに破産を選択する必要はない場合があります。

一方で、事業を継続しても赤字が解消せず、今後も債務が増え続ける見込みであれば、無理に事業を続けることで状況が悪化する可能性があります。その場合には、法人破産によって会社を清算することが適切なケースもあります。

このように、重要なのは「支払不能だから破産する」と機械的に判断するのではなく、自社の事業や財務状況を踏まえて、破産を含めた選択肢を比較することです。弁護士に早めに相談すれば、破産を選択する場合でも、債権者への対応や財産の管理などを含め、適切な申立て時期を検討できます。

代表者個人への影響を踏まえて手続きを進められる

法人の借入れについて代表者が連帯保証している場合、法人が破産しても代表者個人の保証債務は消滅しません。そのため、法人破産を進めることで、代表者自身の預貯金や自宅などの個人資産まで失うことにならないか、事前に確認しておく必要があります。

たとえば、代表者が会社の借入れを個人保証している場合、法人破産後は金融機関から代表者に保証債務の履行を求められることがあります。保証債務を返済できなければ、代表者であるあなた個人の預貯金を差し押さえられたり、自宅などの不動産について担保権を実行されたりするなど、個人資産に大きな影響が及ぶ可能性があります。特に自宅など生活の基盤となる財産を所有している場合は、法人破産を申し立てる前に個人への影響を把握しておくことが重要です。

このように、法人破産は会社だけの問題ではありません。「会社を破産させればすべて解決する」と考えていると、状況によっては破産後に代表者個人の生活基盤まで失うおそれがあります。

弁護士に相談すれば、会社の借入れに対する連帯保証の有無や保証額、代表者個人が所有する自宅・預貯金などの財産を確認したうえで、法人破産によって個人財産にどのような影響が及ぶのかを具体的に把握できます。そのうえで、代表者個人の自己破産や個人再生なども含め、自宅を残せる可能性や個人財産への影響を踏まえて、法人と代表者個人の手続きをどのように進めるかを検討できます。

破産後の生活や事業再開まで見据えて準備できる

法人破産をすると「すべてを失い、二度と立ち直れない」と考えてしまうかもしれません。しかし、法人が破産しても、代表者個人の生活や将来の事業再開の機会まで失われるわけではありません。破産手続きを適切に進めたうえで、その後の生活を立て直し、新たな事業に再挑戦することも可能です。

弁護士に相談すれば、破産後の生活に必要な資金や住居、仕事などについて、代表者個人の状況を踏まえて今後の生活再建を見据えた準備を進められます。また、法人破産後に新たな事業を始める場合も、破産手続きとの関係や事業開始にあたっての注意点などを確認できます。

破産手続きでは、従業員への対応や取引先への連絡、店舗・オフィスの賃貸借契約、リース契約など、事業を停止するための処理も必要です。こうした手続きを適切に進めながら、「会社をどう終わらせるか」だけでなく、「破産後に代表者がどう生活を立て直し、どう再出発するか」まで考えることが重要です。

「法人破産をしたら人生も終わる」と考えて一人で抱え込むのではなく、早い段階で弁護士に相談し、破産後の生活再建や事業再開まで含めた具体的なプランを立てることが大切です。

支払不能の基準に関してよくある質問(Q&A)

一時的に支払いができないだけでも「支払不能」になりますか?

一時的に資金が不足して支払いができないだけでは、直ちに「支払不能」とはなりません。支払不能に該当するかは、会社が弁済期の到来した債務を一般的かつ継続的に支払えない状態にあるかどうかで判断します。

たとえば、現在は預金が不足していても、数日後にまとまった売掛金を回収でき、その資金によって支払いを続けられるのであれば、支払不能とはいえない可能性があります。

一方で、「一時的な資金不足」と考えていても、実際には売上の減少や借入れの増加などによって資金繰りが悪化し、今後も支払いを続けられない状態に陥っているケースがあります。

そのため、現在の預金残高だけで判断せず、今後の入出金や借入れ、売掛金の回収見込みなどを踏まえて判断することが重要です。支払不能に該当するか迷う場合は、早い段階で弁護士に相談し、自社の資金繰りや財務状況を客観的に確認してもらうとよいでしょう。

支払不能になったらすぐに法人破産を申し立てる必要がありますか?

支払不能になったからといって、その時点ですぐに法人破産を申し立てなければならないわけではありません。事業を継続して立て直せる可能性がある場合には、破産以外の方法を検討することもできます。

ただし、支払不能の状態で対応を先延ばしにすると、支払いのための借入れを重ねて債務が増えたり、特定の債権者への返済や財産処分によって破産手続上の問題が生じたりするおそれがあります。

そのため、支払不能になった場合は、自己判断で事業を続けたり返済を進めたりするのではなく、早めに弁護士へ相談することが重要です。会社の資金繰りや事業の将来性を確認したうえで、法人破産を申し立てるべきか、別の方法で再建を目指すべきかを検討できます。

支払不能になる前でも法人破産を申し立てることはできますか?

支払不能になる前でも、法人破産を申し立てられる場合があります。法人については「支払不能」だけでなく「債務超過」も破産手続開始原因となるためです。

たとえば、現時点では借入金の返済などを続けられていても、会社の財産をすべて処分しても債務を完済できない状態であれば、債務超過に該当する可能性があります。

ただし、決算書上の数字だけで債務超過と判断できるとは限りません。会社が保有する不動産や売掛金などの実際の価値と、会社が負っている債務の内容を確認する必要があります。

そのため、「支払不能になるまで待ってから破産を考える」のではなく、債務超過の段階でも早めに弁護士へ相談することが重要です。早期に財務状況を確認することで、法人破産だけでなく、事業再生や私的整理などを含めた選択肢を検討できます。

まとめ 支払不能の状態になる前に早めに弁護士に相談を

法人破産の「支払不能」とは、単に一時的に資金が不足している状態ではなく、支払能力を欠き、弁済期が到来した債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態をいいます。また、法人の場合は「債務超過」も破産手続開始原因となるため、支払不能になるまで破産を待つ必要はありません。

支払不能に該当するかは、預金残高だけでなく、借入れの可能性、売掛金の回収見込み、今後の資金繰りなどを踏まえて判断する必要があります。さらに、支払不能後に特定の債権者だけに返済するなど、自己判断で対応すると、破産手続上の問題につながる可能性があります。

「まだ破産するほどではない」と考えていても、資金繰りに不安がある段階で弁護士に相談すれば、法人破産だけでなく、事業再生や私的整理なども含めて今後の対応を検討できます。会社の財務状況や代表者個人への影響も踏まえ、今後の選択肢を早めに整理しておくことが重要です。

相談先に迷ったら、法人破産の実務に精通している「VSG弁護士法人」までぜひお気軽にご相談ください。あなたの状況に深く寄り添い、最適な解決策をご提示させていただきます。

破産のお悩みは深刻で不安なものです。
弊社では、相談者様の目線に立って、
丁寧に問題解決に向けた対応をさせていただきます。
楽な気持ちで何でも相談してください。

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