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清算申告とは?会社解散時の申告期限や手続費用、必要書類などの手続きガイド

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

清算申告とは?会社解散時の申告期限や手続費用、必要書類などの手続きガイド

この記事でわかること

  • 清算申告とは
  • 清算申告の期限

会社の清算申告とは、解散・清算中・清算結了の各段階で行う確定申告の総称です。
申告期限は主に3つにわかれます。

  1. 1.解散日の翌日から2カ月以内(解散事業年度)
  2. 2.清算中の各事業年度が終了した翌日から2カ月以内(清算事業年度)
  3. 3.残余財産が確定した日の翌日から1カ月以内(残余財産確定年度)

これらの税務申告と並行して、解散・清算人の登記(解散から2週間以内)や、官報の債権者公告(解散から2カ月以上)などの手続きも行います。
本記事では、複雑な清算申告の期限や必要書類、手続き全体の流れについてわかりやすく解説します。

清算申告とは

清算申告とは、会社が解散してから清算が結了するまでに行う、一連の確定申告の総称です。
事業年度の性質に応じて、以下3種類に分けられます。

解散事業年度の確定申告

事業年度の開始日から解散日までの期間が対象。
申告期限は、解散日の翌日から2カ月以内です。

清算事業年度の確定申告

解散日の翌日から1年ごとに区切られる事業年度で、清算中の所得を申告します。
期限は、各事業年度が終了した日の翌日から2カ月以内です。

残余財産確定事業年度の確定申告

株主へ分配する財産額が最終的に確定した期間の申告です。
残余財産が確定した日の翌日から1カ月以内に最終申告を行います。

清算申告の期限

清算申告の期限は、事業年度の区分に応じて以下の通りとなります。

解散事業年度の確定申告

解散日の翌日から2カ月以内です。

清算事業年度の確定申告

各事業年度が終了した日の翌日から2カ月以内です。
清算が1年以上かかる場合に行います。

残余財産確定事業年度の確定申告

残余財産が確定した日の翌日から1カ月以内です。
なお、残余財産確定から1カ月以内に財産の分配や引渡しが行われる場合は、最後の分配が行われる日の前日が期限です。

会社を清算する手続きの流れ

会社を清算する手続きの流れ
会社解散と清算手続きの全体的な流れを、簡単に説明します。

株主総会での解散決議

会社を通常清算によって解散させるときは、株主総会で解散決議を行う必要があります。
解散決議には、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成となる特別決議が必要です。
なお、議決権を行使できる株主全員が同意の意思表示をしたときは、株主総会の開催を省略できます。

会社解散・清算人選任の登記

会社の解散の日から2週間以内に、解散登記及び清算人選任登記を行う必要があります。
また、解散登記と清算人選任登記には、株主総会の議事録も必要となるため用意しておきましょう。

解散の届出

法務局への登記が済んだら、税務署・市町村役場・社会保険事務所などへ「異動届出書」を提出し会社解散の届出を行います
届出には登記事項証明書も必要となるため、法務局の窓口で交付を受けましょう。

清算人の財産目録と貸借対照表の作成

清算人は、解散日時点の会社の財産目録と貸借対照表を作成し、株主総会で承認を受けなければなりません
承認後は、清算人の財産目録と貸借対照表を会社に保管します。

会社債権者保護手続き

会社が把握している債権者へ、会社が解散する旨を連絡します。
清算人は、解散後遅滞なく、2か月以上の期間を定めて官報に公告し、知っている債権者には各別催告を行います(会社法499条1項)
この期間中は原則として弁済禁止の制限がありますが、裁判所の許可により少額債権・担保付債権等の弁済は可能です(500条)。

解散申告

会社の解散日から2カ月以内に、通常の事業年度開始日から解散の日までを一事業年度として、税務署へ確定申告を行います
確定申告の期間は会社の期首から解散日までであり、1年未満となるケースが少なくありません。
解散確定申告を行う際には、税理士と相談しながら申告書を作成しましょう。

残余財産の分配

選任された清算人は、会社の財産目録を作成後、会社の債権と債務も確定させます。
未回収の売掛金などがあれば回収し、会社の買掛金や借入金などの債務を支払うのも担当業務の一つです。
債務をすべて支払って財産が残った場合は、株主へ分配します。

清算確定申告

残余財産が確定したら、清算事業年度の確定申告を行います。
残余財産が確定した事業年度は、期末翌日から1カ月以内(最終分配が1カ月以内なら前日まで)に清算確定申告を行います。
延長特例の対象外のため、日程管理に注意が必要です。

決算報告の承認

残余財産の分配が完了した後、清算人は決算報告書を作成し、株主総会で承認を受けます
この承認をもって、清算結了となります。

清算結了登記

清算結了登記とは、会社の清算手続きがすべて完了した旨を公に示すために行う登記手続きです。
会社法第929条により、株主総会で決算報告が承認された日から2週間以内に法務局へ申請する必要があります。
手続きが完了すると会社の法人格は消滅します。

清算結了の届出

最後に、税務署・市区町村役場・都道府県税事務所へ清算結了の届出を行います。
この届出では、異動届出書に加え、登記事項証明書(閉鎖事項全部証明書)が必要です。

会社を清算するときに提出する書類

解散手続きのときに提出する書類は、以下の通りです。
主に解散手続きを行う清算人が届出を行います。

必要書類提出期限提出先備考
解散届解散後遅滞なく税務署
都道府県税事務所
市町村役場
会社が解散した事実を届け出る
解散確定申告書解散日の翌日から2カ月以内税務署事業年度の開始日から解散日までの所得を申告
清算中の確定申告書各清算事業年度終了の翌日から2カ月以内税務署清算が1年を超える場合に行う
清算確定申告書残余財産確定日の翌日から1カ月以内税務署最終的な清算所得を申告
清算結了届清算結了登記後、遅滞なく税務署
都道府県税事務所
市町村役場
清算結了登記の登記事項証明書などを添付

会社を清算するときの費用

会社を清算するときの費用は、以下の通りです。

費用の内訳概要金額
登録免許税解散登記、清算人選任登記、清算結了登記にかかる費用41,000円
(解散・清算人登記39,000円、清算結了登記2,000円)
官報公告の費用解散公告をする費用1枠40,882円~
(枠数によって増減)
行公告なら1段1行3,947円~
司法書士への報酬登記手続きを依頼する費用7~12万円程度
事務所ごとに異なるため見積もりで要確認
税理士への報酬解散申告を依頼する費用8~数十万円程度
事務所ごとに異なるため見積もりで要確認

官報公告の費用は、2025年4月1日より改定され1枠40,882円~となりました。
ページの指定や掲載する枠数により増大します。
行公告は1行22文字で、行数に応じて費用は変動します。
専門家の報酬は事務所によって異なるため、詳しい費用は個別の見積もりで確認してください。

会社の清算申告に関するよくある質問

会社の清算申告に関するよくある質問は、以下の通りです。

  • 会社解散をするための理由とは?
  • 清算登記をしないとどうなる?

それぞれの質問に回答します。

会社解散をするための理由とは?

会社を解散する理由は、業績不振・経営状態悪化などが多いでしょう。
会社法では、会社解散理由として以下のように定められています。

会社解散をするための理由

定款の存続期間が満了したため
定款の解散事由が発生したため
株主総会で解散決議がされたため
合併によって会社が消滅するため
破産手続きの開始決定があったため
裁判所から解散命令が下されたため
休眠会社のみなし解散によるため

会社法上、上記の理由以外は認められていません。

清算登記をしないとどうなる?

株主総会で決算報告が承認された日から、2週間以内に清算結了登記が必要です。
登記をしない限り、会社の法人格は残存します。
そのため清算登記をしなければ、法人住民税などの申告・納税義務が継続し、経済的負担を負う可能性があるでしょう。
不動産や預貯金の名義変更にも支障が出るため、資産の移転が円滑に進まず関係者が損害を被る恐れがあります。
手続きが完了したら、速やかに登記を申請しましょう。

まとめ

会社の清算申告とは、解散から清算結了に至るまでに行う一連の確定申告の総称です。
解散事業年度、清算事業年度、残余財産確定事業年度の3つに分けて申告を行います。
それぞれ1カ月~2カ月以内に申告期限が設けられているため、速やかに手続きを行いましょう。
税務申告と並行して、各種届出など法務手続きも行う必要があります。
清算手続きは複雑なため、早期に専門家へ相談しましょう。
手続きにお困りの際は、VSG弁護士法人へご相談ください。

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