東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
法人が解散するときは、「本日解散します」と簡単に会社を畳めるわけではありません。
スケジュールを組み、必要な解散手続きをこなしてはじめて会社解散が実現するのです。
会社解散をスムーズに行うためには、解散に着手する前にスケジュールを立てたり、手続き・登記などの基礎知識を養ったりしておくことが重要になります。
この記事では法人の解散登記や解散の流れについて解説します。
解散登記の費用や期限も説明するため、法人解散を検討する際の基礎知識として役立ててください。
Contents
解散登記とは、法人を解散するために行う手続きです。
会社の解散が議決されたら、法人解散・清算人選任の登記をしなければなりません。
解散登記を行うことで、自社が解散の手続きに入っていることを取引先などの他社に広く知らせることができます。
解散の手続きは、清算人が中心になって進められます。
法人の取締役や代表取締役などが清算人になり、自社の解散を進めるケースも少なくありません。
法人の解散では、手続きや登記をいくつも行わなければなりません。
手続きや登記によって窓口や書類が異なるので、間違えないように注意しましょう。
手続きや登記は前段階の手続きを省いて次の段階の手続きや登記をすることや、前の段階の手続きと後の手続きを同時に行うことなどが難しくなっています。
たとえば、法人の解散では2回確定申告を行うのですが、1回目の確定申告である解散確定申告を飛ばして2回目の確定申告である清算確定申告を行うことはできません。
株主総会の特別決議などの流れを飛ばし、いきなり清算結了登記をすることも基本的にできないのです。
法人解散に必要な手続きを、流れを踏んで順当に進めることになります。
法人の解散手続きでは、「解散・清算人選任登記」と「清算結了登記」の2回の登記を法務局で行う必要があります。
解散・清算人選任登記と清算結了登記の申請時は、それぞれの登記に必要な書類を添付しなければなりません。
解散・清算人選任登記と清算結了登記には、それぞれどのような書類が必要になるのでしょうか。
法人の解散登記には以下のような書類が必要になります。
書類の種類 | 概要 |
---|---|
登記申請書 | 登記申請書は、法務局により定型が定められている書類で、登記を行う際には記入して提出することとされています。 ホームページからダウンロードするか、法務局の窓口で入手することができます。 |
株主総会議事録 | 会社を株主総会の決議により解散する場合は、株主総会の特別決議が必要とされます。 総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の3分の2以上の賛成が必要です。 |
株主リスト | 株主総会決議により会社を解散する場合には、必ず提出しなければなりません。 議決権数上位10名または議決権割合が3分の2に達するまでの株主のいずれか少ない方の株主について、氏名や住所、株式数などを記載してリストにします。 |
清算人の就任承諾書 | 法人が解散すると、引き続き会社の資産・負債を整理する清算を行います。 この清算を行うのが清算人であり、株主総会で選任されるか、定款によって定められます。 清算人になった人が、清算人に就任することについて承諾したことを示す書類となります。 |
法人の定款 | 法人の基本的な事項を定めた、「会社の憲法」とも呼ばれることのある書類です。 法人が解散した時に、清算人に関する定めが設けられているため、その内容を確認するために定款を提出することとされています。 |
委任状 | 会社が自身で登記を行う場合には必要ありません。 登記を司法書士に依頼する場合には、会社から正式に依頼を受けたことを証明する書類として、委任状を提出しなければなりません。 |
以下の記事ではさらに詳しく解散登記に必要な書類を説明しています。
興味がある方はぜひ併せてご覧ください。
解散登記の際は「登録免許税」という登記の手数料のような費用が必要になります。
登録免許税は解散・清算人選任の登記で3万9千円、清算結了登記で2千円ほどです。
その他にも、会社の解散には以下のような費用が発生します。
解散登記にかかる費用
会社の解散を進める際には、登記や税務申告など、様々な手続きを行う必要があります。
これらの手続きを専門家に依頼すると、専門家に対して報酬を支払わなければなりません。
会社の解散登記を司法書士に依頼した場合の費用は、7万円~12万円程度が目安となります。
また、会社の解散における法人の決算と税務申告を税理士に依頼した場合、10万円~数十万円の費用が発生します。
なお、これらの費用は専門家によって金額が大きく異なるため、あらかじめ見積もりを取っておくようにしましょう。
また、これ以外の手続きに要する費用には、以下のようなものがあります。
会社法によって、会社の登記内容に変更があった場合は、2週間以内に登記申請が必要と決まっています。
2週間を超えた場合でも、登記申請は可能ですが、100万円以下の罰金が発生するかもしれません。
解散手続きの場合は、解散+清算人の選任から2週間以内に登記手続き、清算結了から2週間以内に登記手続きが必要になります。
登記の手続きが遅れて罰金が発生しないように、忘れず登記手続きを行いましょう。
解散手続きは、ひとりで進めてはいけません。
早い段階で専門家に相談して、適切な進め方をしましょう。
会社で顧問税理士を雇っているなら、顧問税理士に相談してください。
会社の状況をよく分かっているのは、顧問税理士なので、適切なアドバイスをもらえるでしょう。
ただし、税理士は借入をしている金融機関との交渉などができないため、不安なら弁護士への依頼もおすすめです。
税理士・司法書士などの専門家はできることが限られているため、それぞれに相談して適切なアドバイスをもらうことが大切です。
なるべく手続き費用を抑えたいなら、司法書士への依頼がおすすめです。
司法書士は書類の作成がメインで、それ以外の部分は自分で手続きする場合もありますが、その分費用は抑えられます。
ただし、ある程度自分で解散手続きを進められることが前提になります。
「なるべく解散手続きを任せたい」と思うなら、弁護士がおすすめでしょう。
解散登記は税理士・司法書士・弁護士に相談できますが、不安なら弁護士への相談が一番おすすめです。
なぜなら弁護士に依頼すれば、手続きの進め方・金融機関との交渉・裁判所とのやりとりなどを全て行ってくれるからです。
弁護士が介入すれば、金融機関は弁護士宛に連絡しなければなりません。
借金の取り立ても一旦ストップするため、自分は会社のことに集中できます。
また会社解散だけでなく、破産手続きに切り替わった場合もそのまま弁護士に任せられます。
破産に切り替わると手続きがより複雑になったり、裁判所とのやりとりが増えたりします。
会社破産と同時に経営者が個人破産するケースもあるため、破産をするなら弁護士に任せた方がいいでしょう。
会社などの法人が解散するときは、流れに沿った手続きが必要です。
登記が登場するのは法人解散手続きの流れの中で2回となり、法人解散を決めて行う段階と、法人解散全体の手続きが終了した段階です。
最初の登記は法人解散のスタート地点であり、後の登記が法人解散のひとつの終着点であるといえるのではないでしょうか。
法人解散の2回の登記には、必要書類を添付しなければいけません。
解散登記の手続きをスムーズに完結させるためにも、書類の準備をはじめとして各種準備はしっかり行いましょう。
わからないことがあれば弁護士や司法書士などの専門家に相談して、手続きのミスをなくすことも重要です。