東京弁護士会所属。新潟県出身。
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会社解散の理由は会社法で定められていて、それ以外の理由で会社を解散することはできません。
多くの場合、業績の悪化などを原因として株主総会で決議され、会社の解散が決まりますが、株主総会で解散を決めただけでは、会社は消滅しません。
会社の清算を行う必要があり、解散登記と清算人選任登記を行い、清算結了の登記をして、はじめて会社が消滅します。
この解散登記にあたってどんな書類が必要となるか、これから解説をしていきます。
Contents
解散登記は、会社の解散が決まった際に、はじめに行う手続きです。
会社の解散を決めたら、それを外部に広く公示する必要があります。
そのために、法務局で解散登記と清算人選任登記の手続を行います。
会社を消滅させるための登記は、「解散登記・清算人選任登記」「清算結了の登記」の2段階になっています。
まず、解散登記を行い、清算手続きに入ります。
そして清算手続きを経て清算が結了したときには、清算結了の登記が必要になります。
清算結了についても、外部に広く公示する必要があるためです。
登記申請は、いずれも清算人が行います。
清算結了の登記を経て、会社は消滅します。
解散登記を行う際の流れは以下の通りです。
株式会社は株主総会の決議によって解散を決めます。
解散と同時に会社は清算手続きに入るため、解散を決める際には、同時に清算人を選任します。
解散が決まって清算人が選任されたら、解散登記と清算人選任登記を同時に行います。
いずれも会社の本店所在地を管轄する法務局において、解散が決まって清算人が選任された日から、2週間以内に申請しなければなりません。
清算人が行うべき手続きとして「官報公告」と「個別の催告」があります。
債権者に対して会社の解散を知らせるとともに、2か月以上の期間を定めて、期間内に債権を申し出るように伝える「官報公告」を行います。
官報公告だけでなく、既に会社が認識している債権者に対しては「個別の催告」を行う必要があります。
「個別の催告」も、2か月以上の期間を定めて行います。
清算人は、債権者らからの届出をもとに清算事務を行います。
清算事務を終えることを「結了する」といいます。
清算が結了した日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に、清算結了の登記を申請します。
清算結了の登記により、会社が消滅します。
解散登記及び清算人選任登記を申請するためには、以下の書類が必要となります。
登記申請には期限がありますので、事前に確認して準備をしておきましょう。
登記申請書は法務局にひな型があり、ホームページからダウンロードすることも可能です。
ひな型に沿って内容を記載し、提出します。
株式会社や社団法人などにおいて、根幹となる規則を記載した書面を定款といいます。
解散登記では、清算人に関する定めを確認するために必要とされています。
具体的には
などを確認することになります。
定款は、本来会社で保管している書類ですが、会社設立時に公証役場で認証手続きをしますので、公証役場にも保管されています。
しかし、会社設立が古い場合は、公証役場に保存されていないこともありえます。
定款を紛失するなどして用意できない場合は、早めに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
株主総会における議事の経過や議決の内容を記録した書面を、株主総会議事録といいます。
株主総会議事録は、法律で作成が義務付けられているものです。
株式総会の決議により会社を解散した場合は、解散登記の申請の際に株主総会議事録を添付しなければなりません。
清算人を株主総会の決議によって選任した場合も同様です。
株主総会議事録の記載事項は、以下のように会社法施行規則に定められています。
株主総会の決議で会社を解散する場合は、株主総会の特別決議が必要となります。
特別決議は原則として、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席することと、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成があることが、必要とされています。
株主総会議事録への署名や押印は、特別な定めはありません。
実務では、議事録作成者が会社実印を押印する、定款の定める者(議長・出席取締役など)が押印する場合が多くみられます。
清算人が就任について承諾する旨の書面です。
必要になるのは以下のような場合です。
なお、以下のような場合には必要ありません。
株主総会の決議によって会社を解散する場合に必要になります。
議決件数上位10名の株主又は議決権割合が3分の2に達するまでの株主の、いずれか少ない方の株主が対象となるリストです。
対象となる株主の氏名又は名称・住所・株式数・議決件数・議決権割合を記載します。
書式や記載例は法務局及び法務局のホームページで確認することができます。
会社が解散するため、会社の代表者が代表取締役から清算人に変わります。
これを受けて、印鑑提出者を清算人として、新たに印鑑届出書を提出することになります。
代表取締役が届け出ていた(これまで使っていた)印鑑を、清算人の資格で再度登録することも可能です。
印鑑届出書を提出する際に、添付書類として必要になります。
清算人は、会社解散を代表する資格です。
新たな印鑑届出書は清算人が代表者の資格で提出します。
清算人個人の印鑑証明書は、取得してから3か月以内のものが必要ですので、注意してください。
専門家に相談するときや、事例によって必要になる場合がある書類として、以下のようなものがあります。
法務局に登記されている会社の内容を証明する書類です。
公示されているものですので、誰でも法務局で取得することができます。
法務局で内容を確認できるものですから、解散登記を申請する際に提出するわけではありませんが、専門家に依頼するケースでは、専門家が会社の内容を把握するために必要となります。
特に、定款を紛失してしまっている場合は、必ず依頼時に専門家に確認してもらうものといえます。
解散する会社の代表者の方、清算人の方の、本人確認ができる書類です。
運転免許証のコピー(両面)、住民票の写し(個人番号の記載のないもの)、住基カード(住所が記載されているもの)、などがあります。
会社の代表者の印鑑証明書や、会社実印の印鑑証明書が必要になる場合があります。
解散登記にかかる費用は、法務局に納める登録免許税、官報公告にかかる費用、専門家に依頼した場合に支払う手数料などがあります。
他に、実費として必要書類を取得するための費用がかかります。
登録免許税は、登記を申請する際に法務局に納める印紙代のことです。
解散の登記から清算結了の登記まで、合計41,000円の登録免許税がかかります。
解散の登記と清算人選任の登記は、同時に申請します。
解散の登記に30,000円、清算人選任の登記に9,000円で、あわせて39,000円の登録免許税がかかります。
清算事務が結了すると清算結了の登記を申請します。
清算結了の登記にかかる登録免許制は2,000円です。
会社が解散したことを官報公告するための費用は、約30,000円となります。
解散登記を司法書士に依頼したときや、税理士や弁護士などに相談したときには、別途10万円から20万円程度の手数料がかかります。
手続きの過程で、郵送費や印鑑証明書などを取得するためにかかる費用として、数千円程度の実費がかかります。
会社を解散するときは、まず解散登記をして、清算事務がはじまります。
清算事務では、債権者を保護するために行う官報公告や債権者への個別の催告に、2か月以上の期間がかかります。
清算事務が結了すると、清算結了の登記をして、会社が消滅します。
長い期間にわたって、複雑な事務を行うことになること、さまざまな書類が必要となることがおわかりいただけたと思います。
定款の確認や株主総会の決議の段階から、専門家に依頼する、あるいは助言を受けるのもよい方法といえるでしょう。