最終更新日:2026/1/19
起業したい人が入るべき会社とは?独立して個人で起業しやすい業種も解説!

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること
- 起業を目指す人が経験を積むべき会社の特徴
- 個人で起業しやすい業種のポイント
- 起業までに必要な準備の流れ
「いつか自分で事業を始めたい」と考える人は多くいます。しかし、起業には知識や経験、資金などの準備が欠かせません。
もちろん学生時代に起業してそのまま成功する起業家も多くいますが、まずは起業へ向けて経験を積もうと就職する道を選ぶという選択肢もあります。
では、どのような会社で経験を積めば独立の基礎が築けるのでしょうか。また、どのような業種なら個人でも始めやすいのでしょうか。
この記事では、税理士の視点から、起業を目指す人が入るべき会社の特徴や、独立しやすい業種、起業に向けたステップを解説します。


目次
起業したい人が入るべき会社
最終的に起業を目指すという場合、どのような会社で働くかが将来を大きく左右します。会社のしくみや経営の流れを理解しつつ実務経験を積むことが、独立には有効です。
ここでは、起業したい人におすすめの会社のタイプを紹介します。
独立開業を目指す場合に選びたい会社
起業前に入る会社は、経営に活かせる学びを得る場ともいえます。たとえば、 大手企業、スタートアップ企業、IT・テクノロジー関連企業は、その手の学びを得やすい環境です。
大手企業
大手企業は、大人数の組織運営や組織のしくみ作りの完成形を実際に内部から学べる環境です。
大手企業は、すでに組織として1つの完成形であり、会計・法務の管理体制や人材育成制度などが整っているため、模範的な会社の構造を知ることができます。
また、部署間調整やマネジメント業務を通じて、リーダーシップや客観的な判断力を養うこともできるでしょう。
さらに、大手企業は取り扱っているビジネスの幅が広く、異業種や大企業との取引を経験できるため、人脈形成にも有利です。こうした経験は、将来の独立後に会社組織を作るうえで大きな武器となります。
スタートアップ企業
スタートアップ企業は、スピード感と挑戦、そして新しいチャレンジを経験できる環境です。
少人数体制の企業も多く、1人が担う業務範囲が広く、営業や企画、会計、マーケティングなど多様な実務を経験できます。
また、スタートアップ企業は、経営者との距離が近く、意思決定の現場を間近で見られることも魅力です。自分の提案が採用されることも多く、リーダーとしての成功体験や起業家精神も磨かれます。
加えて、会社を立ち上げたばかりのトラブルや苦労も体感できるため、独立後に直面する課題への対応力も鍛えられます。
IT・テクノロジー
現代のビジネスにおいて、ITスキルはどの分野にも必要不可欠でしょう。IT・テクノロジーは、あらゆる分野に応用がきく領域だといえます。
IT企業やテクノロジー関連の職場では、システム設計、データ分析、Webマーケティングなど、汎用性の高い知識を習得できます。これらのスキルは、ネットショップ運営やクラウド会計の導入など、起業後にも役立ちます。
特にDXやAIの分野は今後も成長が見込まれており、これらを理解しておくと大きな強みになります。
個人で起業しやすい業種
個人で起業する場合は、初期費用の少なさや自分のスキルを活かせるかどうかが重要です。
リスクを抑えながら経験を積める業種を選ぶことで、長期的な安定を目指せます。
ここでは、個人でも起業しやすい業種を解説します。
ネットショップ(物販)
ネットショップは、店舗を持たずに始められる代表的な業種です。
独自に仕入れた商品やハンドメイド製品の販売など、扱うジャンルの自由度が高く、在宅でも運営しやすいのが特徴です。
SNSを活用した宣伝やECサイト構築サービスの利用により、ネットショップは個人でも十分に展開できます。一方、在庫管理や発送、顧客対応を自分で行う必要があるため、効率的で安全なしくみ作りが欠かせません。
フリーライター・イラストレーター
文章力やデザインスキルを活かせる業種です。
インターネットを通じて全国のクライアントとつながり、在宅でも好きな時間に働けます。
クラウドソーシングを活用すれば実績を積み上げやすい一方、経験がない初期段階では収入の変動が大きいため注意が必要です。得意分野を深め、専門性を磨くことで、継続的な依頼を得やすくなります。
外食産業
飲食業は安定した需要が見込めますが、提供するものや場所によっては競争が激しい分野です。
最近では、キッチンカーやテイクアウト専門店など、小規模で始められる形態も増えています。 しかし、調理器具は高額になりやすく、初期段階でまとまった金額が必要です。
また、味だけでなく、接客・雰囲気・ブランドイメージを含めた「体験価値」の提供も重要です。SNSなどでファンを増やすといった工夫をすると、軌道に乗せやすくなります。
士業
弁護士、税理士、行政書士などの士業は、資格があれば個人で開業しやすい業種です。
高い専門性が求められる一方で、資格という基盤があるため安定した収入を維持できる可能性があります。丁寧な仕事をすることで、顧問契約による定期収入や紹介による新規顧客獲得が期待できる点も魅力です。
学習塾
学習塾は特に資格がなくても開業できる分野です。
住宅地などでは一定の需要があるものの、少子化で競争は激しくなっています。
特に大切なのは大手塾との差別化です。独自性を出すためには、個別指導や、専門分野に特化した戦略が有効です。オンライン指導の導入などで柔軟な対応力を示すのも有効でしょう。
各種コンサルタント
コンサルタントは、ブランディング、売上改善、経営戦略など、多様な経験を活かして具体的なアドバイスを行うビジネスです。
特にWebマーケティングや補助金支援などの分野はニーズが高く、専門知識がある人には大きなチャンスがあります。
顧客からの信頼を得るためには、自身の実績や知見を発信し、情報発信力を高めることが重要です。
美容関係
美容室、ネイル、エステなど、美容関連はリピート率が高く安定性があります。
ただし場所によっては競争が激しいため、大手の広告に頼らず口コミやSNSを活用したリピーター作りが欠かせません。
また、広告のためのクーポンサイトは集客力はあるものの利益率が低いため、いかに広告サイトに頼らずに集客するかがポイントになります。
施術の技術だけでなく、接客スキルとブランディング力を兼ね備えることで差別化するとよいです。
需要の拡大が見込める業種
事業を成功させるためには、社会の変化に伴い、今後成長が期待される業種を選ぶことも大切です。
長期的な視点で成長が見込める分野を選ぶことで、継続的な事業基盤を築けます。
介護
日本は「超高齢社会」であり、介護サービスの需要は今後も増え続けることが予想されます。
地域密着型の訪問介護やデイサービスは、需要もあり、社会的意義も大きい分野です。介護福祉士やホームヘルパーなどの有資格者を配置する必要がありますが、専門性があるため安定した収入を得られます。
国や自治体からの補助金制度も充実しており、起業初心者でも始めやすい環境が整いつつあります。地域との信頼関係を築きながら、利用者に寄り添う姿勢が長く続けるポイントです。
高齢者向けの在宅サービス
超高齢社会では、在宅サービスも需要が高い分野です。
1人ではカバーしきれない日常生活の困り事をサポートする在宅サービスは、今、注目されています。たとえば、買い物や掃除・洗濯、庭の手入れ、通院の付き添いなどの代行サービスはこれに該当します。
高齢者本人だけでなく、その家族からのニーズも高いため、安定的な需要が見込めます。地域密着型のサービスを展開したり行政と連携したりすることで、安定的に事業を展開しやすくもなります。
地域コミュニティーと協力し、顔の見えるサービスを展開することがポイントとなる分野です。
なお、介護保険サービスとして行う場合、原則として指定等の行政手続きが必要になります。
健康に関するビジネス
お金をかけて健康のために投資するという人も増えています。フィットネス、ヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどの分野は、今、注目の業種です。
スペースがあればスタートできるため、初期費用を抑えて始めることも可能です。また、健康食品やサプリメント、オーガニック商品などの販売も需要が高く、ネットショップとの相性が良い分野でもあります。
さらに、ストレス社会においては「メンタルヘルス」も重要なテーマになっています。カウンセリングやコーチング、マインドフルネス講座、リラックスするためのセラピーなども新しい健康ビジネスとして拡大中です。
SNSのビジネス
SNSを誰もが使える現代では、個人でも強い発信力を持つことができます。
企業のSNS運用代行、広告戦略の設計、コンテンツ制作、インフルエンサーマーケティングなど、SNSの活用方法は多岐にわたります。
特に中小企業や個人事業主にとっては、SNSでの発信力が売上に直結するため、需要が高まっています。
また、自分自身がSNSを通じてフォロワーを増やし、商品の販売や講座の宣伝を行うというケースもあります。
フォロワーを増やしてSNS分析ツールを使い、データに基づく提案ができるようになると、より高単価の案件も受けやすくなります。継続的な情報発信力とマーケティングの知識を兼ね備えることで、長く収益を生み出せる分野です。
AI関係
AIを活用した事業は、今後最も成長が期待される分野の1つです。
特に中小企業では、AIを使った自動化・効率化のニーズが急速に高まっています。人手不足を補い、効率化を図るうえでAIは欠かせないものとなっています。
AIチャットボットの導入、データ分析ツールの提供、画像認識技術を利用した業務効率化などは特に注目です。また、プログラミングやAIの知見を活かし、教育・研修サービスを提供するビジネスも増えています。
AI領域では技術変化のスピードが速いため、最新情報を常にインプットする姿勢が不可欠です。 専門知識だけでなく「AIをどうビジネスに応用するか」という実践的な発想力も求められます。
フランチャイズで起業しやすい業種
フランチャイズとは、本部のブランドやノウハウを利用して店舗を運営するしくみです。
経験が浅い人でも比較的始めやすく、本部からのサポート体制が整っているのが特徴です。
飲食店
飲食店のフランチャイズは人気が高く、起業の際に選ばれることが多い分野の1つです。
フランチャイズ契約をすることで、すでに知名度のあるブランドを利用できます。メニューや仕入れルートが整っているため集客しやすいというのがフランチャイズの魅力です。また、自分でメニューを考案したり仕入先を確保する必要はありません。
ただし、初期費用やロイヤリティーの負担には注意が必要です。契約条件を確認し、採算がとれるかを慎重に検討しましょう。
コンビニエンスストア
コンビニは安定した需要とブランド力を持つフランチャイズ業種です。
運営ノウハウが確立しているため経営経験がなくても始めやすく、大手の看板のノウハウを利用してビジネスができます。ただし、長時間労働や人手確保といった課題もあります。
一次産業について
実は、農業・漁業・林業といった一次産業も、国や自治体の支援制度を活用すれば個人での起業が可能です。
補助金がある
一次産業には、新規就農や地域活性化を目的とした補助金・助成金制度があります。高額な設備投資が必要でも、こうした支援を受けることで初期負担を減らせます。
また、組合を通すことで融資が受けやすくなるという側面もあります。
人手不足
一次産業は慢性的な人手不足が課題となっており、未経験者でもやる気があれば歓迎されやすい分野です。
ただし、コミュニティーが確立しているケースもあるため、地域や周囲の人との信頼関係を築くことが事業継続の鍵になります。
農地法について
農業をスタートする場合には、農地法のルールを知っておく必要があります。
土地の取得には農地法上の条件が付されることがあるため、あらかじめ確認して制度を理解したうえで手続きを進めることが大切です。
起業するまでにするべきことは?
起業を思い立ったら、勢いに任せていきなり始めるのではなく、計画的かつ段階的に準備を進めましょう。ここでは、独立に向けた4つの基本ステップを紹介します。
事業計画の作成
起業してビジネスを成功させるには、まず現実的な事業計画を立てることが欠かせません。
「どんな事業を」「どんな人に」「どのように提供するのか」を整理し、自分のビジネスの全体像を描きます。そのうえで競合分析やリスク分析を行い、客観的な数字に落とし込んだ事業計画書を作成します。
事業計画書は希望的観測を文章にしたものではなく、経営者自身の現実的な目標です。たとえば、飲食店を開業するのであれば、客単価・席数・回転率をもとに月商や利益率をシミュレーションします。
また、この書類は金融機関の融資審査や投資家からの支援を受ける際にも必須の資料となるため、現実的で整合性のある計画を立てることが大切です。数字だけでなく「なぜこの事業をやるのか」という理念を明確にしておくと、より説得力が高まります。
必要な資格の取得
事業内容によっては、開業前に取得しておくべき資格や許認可があります。飲食業なら営業許可や食品衛生責任者、防火管理者など、建設業(軽微な工事を除く)なら建設業許可などがその一例です。
許認可の条件は業種ごとに異なります。どの行政機関に申請すべきか、いつまでに取得が必要かを早めに確認することが重要です。
また、士業などの専門職の場合は、登録先の団体(税理士会・行政書士会など)や所属のルールも確認しておきましょう。
資格が不要な業種でも、専門講座やオンライン講義で知識を補っておくと信頼性が高まります。
資金調達
起業の際には、開業資金と運転資金の2つが必要です。
開業資金は店舗の初期費用や設備投資、運転資金は開業後の家賃や人件費など、事業を回すための資金を指します。
自己資金だけで足りないなら、日本政策金融公庫や信用保証協会(保証料あり)の融資を検討しましょう。特に創業融資制度は、実績がない人でも条件次第で利用しやすい制度です。
また、自治体の補助金・助成金を併用することで、返済の負担を減らすことも可能です。ただし、補助金は必ずもらえるものではなく、また原則「後払い」なので開業時の資金調達としては適していません。あくまで長期的な資金調達方法の1つです。
さらに、クラウドファンディングを活用すれば、資金調達と同時に事業のPRにもつながります。
資金調達を考える際は「いくら必要か」だけでなく「いつ、どの段階で必要か」を明確することがポイントです。資金の流れを可視化することで、キャッシュフローの不安を防げます。
会社設立
事業の規模や目的に応じて「個人事業主」として始めるか「法人(株式会社や合同会社など)」を設立するかを選びます。
個人事業主は「開業届」を提出すればすぐに事業を始められる点がメリットです。 一方、法人にする場合は、定款の作成や登記申請などの法的手続きが必要になります。
登記にかかる登録免許税は資本金×0.7%(株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円)です。一定の要件を満たすと半額(それぞれ7万5,000円、3万円)に軽減される制度もあります。
個人事業主の場合は開業届
個人事業主として開業する場合、法人登記は不要で、開業届を提出することになります。
開業届は税務上の届出です。事業開始等の日から1か月以内に提出します。業種によっては別途、許認可・届出が必要です。
ただし、ビジネスの種類や売上によっては法人化したほうがメリットが大きいケースもあります。
起業を目指すなら自分の将来を見据えた会社に入って経験を積みましょう
起業を成功させるには「どの会社で何を学ぶか」「どんな経験をしたいか」がとても重要です。起業家に必要なスキルは幅広く、机の上だけで身につくことだけでは足りません。
実際のビジネスの現場で、経営のしくみや人の動かし方、お金の流れやマーケティングの手法などを体験することが大きな学びになります。
たとえば、大手企業でしくみ作りやマネジメントを学ぶのも1つの方法です。スピード感のあるスタートアップ企業に身を置き、会社が若い段階から事業に関わることも貴重な経験となります。
特にIT・テクノロジー分野での実務経験は、今後どの業界でも役に立つでしょう。大切なのは「自分が将来どんな事業をしたいのか」を意識して会社を選ぶことです。
ただ入社するのではなく「将来の独立につながる学びがあるか」という観点で入るべき会社を選ぶことで、日々の仕事が起業準備の時間に変わります。
自分の将来を見据えて会社を選び、少しずつ自分のビジネスの土台を築くことが大切です。


















