東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
路上での駐車がすべて違反になるわけではありませんが、場所や条件によっては違反とみなされる場合があります。
道路交通法では「駐車」と「停車」を区別し、それぞれに適切なルールが定められています。
この記事では、「路上駐車は違反になるのか?」という疑問にお答えします。
どのような状況で路上駐車が違反になるのか、違反を避けるためのポイントや罰則について詳しく解説します。
目次
路上駐車とは、道路上で車両などが継続的に停止すること、または運転者が車両を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいいます。
車を止める行為には「駐車」と「停車」の2つの用語がありますが、これらは同じ意味ではありません。
道路交通法により、それぞれが明確に定義されています。
道路交通法では、駐車とは以下のように定義されています。
たとえば、家族を迎えに行き、車を止めて5分以内に待機している場合であっても、これは駐車となります。
また、運転者が短時間でも車両を離れた場合、時間に関わらず駐車に該当します。
「5分以内なら駐車ではない」という認識は、荷物の積み降ろしに限定されるため、運転者がその場を離れると駐車とみなされる点に注意が必要です。
停車は「車両等が駐車に該当しない一時的な停止」と定義されています。
たとえば、乗客の乗降のために車を一時的に止めた場合は停車に該当します。
また、カーナビの操作などで短時間の停止を行う場合も、停車とみなされます。
路上駐車をする際には、駐車が許可されている場所に車を止めるのが大前提です。
次に、適切な駐車方法を守らないと、駐車違反の対象となってしまうため、以下の指示に従いましょう。
駐車方法は「路側帯がある道路」と「路側帯がない道路」で異なります。
路側帯がない道路では、以下の2つのルールを守る必要があります。
この両方を守らなければ、たとえ道路に十分なスペースがあっても違反となります。
道路の中心への駐車はもちろん違反ですし、左端に駐車しても他の車両の通行を妨害するような位置では違反となります。
路側帯がある道路での駐車には「75㎝」という基準が重要です。
以下のルールに従って駐車しましょう。
路上駐車できる時間は、時間制限駐車区間の標識の記載によって異なります。
たとえば、9時から19時までの間、60分なら停車が可能、などと定められています。
さらに、補助標識によって「日曜・休日を除く」といった条件が追加されるケースもあります。
この場合、日曜や祝日はパーキングメーターが利用できず、駐車できなくなります。
また、時間制限駐車区間の標識と駐車禁止標識が一緒に設置されている場合、パーキングメーターが利用できない時間帯は駐車が禁止されるため、注意が必要です。
なお、荷物の積み下ろしを行う場合には、時間制限駐車区間でなくても5分以内であれば路上への停車が認められる場合があります。
ただし、この場合でも運転者が車両を離れず、すぐに移動できる状態でなければなりません。
路上駐車ができる場所は、以下の通りです。
時間制限駐車区間とは、一定の時間内でのみ駐車が許可されているエリアをいい、道路上には白線で区切られた駐車スペースが設けられています。
この区間には、専用の標識があり、パーキングメーターやパーキングチケットを利用すれば、指定された時間内で路上駐車が可能です。
警視庁が時間制限駐車区間の地図を公開しているので、参考にしてみてください。
警視庁 時間制限駐車区間案内地図
駐停車禁止エリアであっても、道路標示や標識によって特定の条件下で停車や駐車が認められるケースがあります。
たとえば、青い背景に白い文字で「停」や「P」と書かれた標識がある場所では、その表示に従って駐車や停車が可能です。
ただし、許可される場所は道路全体ではなく、限定された区間に限られるため、駐車する際は場所に十分注意しましょう。
停車可の標識の例
駐車可の標識の例
日本の道路標識一覧
駐停車禁止の場所は、以下の通りです。
駐車禁止(停車は可能)の場所は、以下の通りです。
車両の右側に3.5m以上の余地がない場所では、駐車できません。
ただし、以下の場合は例外です。
公安委員会が、交通量が少ないと認めた区域では右側に3.5mの余地をあけるルールは適用されません。
放置駐車違反をした場合、車両の種類に応じて以下の違反点数や反則金が科せられます。
違反内容 | 違反点数 | 大型車等 | 普通車 | 二輪車 | 原付 |
---|---|---|---|---|---|
駐停車禁止場所等 | 3点 | 2万5,000円 | 1万8,000円 | 1万円 | 1万円 |
駐車禁止場所等 | 2点 | 2万1,000円 | 1万5,000円 | 9,000円 | 9,000円 |
※「高齢者等専用駐車区間」に不法駐車した場合、上記の金額に2,000円が追加されます。
道路交通法第51条第3項に基づき、車両の運転者や管理責任者が不在で移動指示ができない場合、車両はレッカーで移動される恐れがあります。
その際、車両の移動・保管にかかる費用は運転者や所有者の負担となります(同法第51条第15項)。
たとえば、自宅の車庫から車を出したいのに、路上駐車の車が邪魔で出られないといったトラブルが発生した場合、警察に通報して対応をお願いできます。
駐車違反を通報する際には、以下の方法があります。
歩いて行ける距離ならば交番に直接出向くか、電話で通報することが可能です。
しかし交番の警察官がパトロール中で不在の場合もあるため、事前にこうした場合の対応方法を確認するとよいでしょう。
通報時に伝えるべき内容は以下の通りです。
路上駐車をする際は、まず駐車が許可されている場所か確認することが重要です。
道路には時間制限や駐停車禁止区域があり、標識や路面の表示に従う必要があります。
特に、「駐車」と「停車」には法律上の違いがあるため、短時間の停車でも場合によっては違反とみなされることがあります。
駐停車に関する様々なルールを守ることで、路上駐車違反を防ぎ、安心して駐車できます。