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交通法規とは?読み方や道路交通法との違いと違反時のペナルティも紹介

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

この記事でわかること

  • 交通法規と道路交通法の違い
  • 道交法違反か否かの判断
  • 違反した場合の処遇

「交通法規」とは、道路交通に関する法律や規則全般を指し、運転者や歩行者が守るべきルールを定めています。
一方、道路交通法は交通法規の中でも特に道路での安全と秩序を保つために作られた法律です。
違反時には、反則金や罰金、違反点数の加算、運転免許の停止や取り消しなどのペナルティが科される場合があります。

この記事では、交通法規と道路交通法の違いや違反時の処罰について詳しく解説します。

交通法規とは

「交通法規」とは、「こうつうほうき」と読み、道路交通に関するすべての法律や規則を指す一般的な用語です。
その中には「道路交通法」も含まれますが、これらは少し異なる意味を持っています。
「道路交通法」は、道路での危険を防ぎ、交通の安全とスムーズな流れの確保を目的として制定された法律です。
この法律では、道路上で守るべき基本的なルールや、違反した場合の罰則、違反行為の処理手続きが定められています。
昭和35年(1960年)に施行され、「道交法」と略される場合もあります。
道路交通法は、交通法規の一部として位置づけられています。

また、交通法規には他にも、自動車事故を起こした際の処罰を定めた「自動車運転致死傷行為処罰法」や、道路交通法に基づいて道路標識の様式や意味、設置場所を定めた「標識標示令」などが含まれています。

交通法規の対象となる人

交通法規の対象は、車を運転する人だけでなく、バイクや自転車の運転者、そして歩行者も含まれます。
車やバイク、自転車は、運転によって他人にけがを負わせ、最悪の場合、死亡させるリスクがあるため、それを避けるためのルールが定められています。

また、歩行者に関しても、自身の安全を守るための規定が設けられており、交通法規はすべての道路利用者に適用されます。

交通法規の主な内容

道交法では、交通に関する様々なルールが以下の通り網羅的に規定されています。

  • 1.歩行者等の通行方法
  • 2.車両および路面電車の交通方法
  • 3.車両等の運転者および使用者の義務
  • (1)2、3の特例として、高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例
  • 4.特定自動運行の許可等
  • 5.自動車および一般原動機付自転車の運転免許
  • 6.罰則
  • ※6の特例として、反則行為に関する処理手続の特例

ここでは、道交法の主な交通ルールや罰則、反則金についてわかりやすく解説していきます。

1.歩行者等の通行方法

道路交通法の第2章では、歩行者が道路を通行する方法についての規則が定められています。

  • ①歩道がない場合
  • 歩道や路側帯がない道路では、歩行者は道路の右側を歩かなければなりません(法第10条第1項)。
  • ②歩道がある場合
  • 歩道がある場合、歩行者はその歩道を通行することが義務付けられています(法第10条第2項)。また、歩道に自転車専用の通行帯がある場合は、できる限りそれを避けて歩道の他の部分を歩く必要があります(法第10条第3項)。
  • ③道路を横断する場合
  • 横断歩道が近くにある場合は、必ずその横断歩道を渡らなければなりません(法第12条第1項)。
  • ④警察の指示と罰則
  • もしこれらの規則に従わない場合、警察官は交通法規に基づいて正しい通行を指示します(法第15条)。
  • この指示に従わなかった場合は、罰金や過料の対象となります(法第121条第1項第4号)。
  • ⑤歩行者専用道路の例外
  • ただし、歩行者専用道路においては、これらの規則は適用されません(法第13条の2)。

2.車両および路面電車の交通方法

交通事故の多くは車両が関係しているため、車両に対しては多くの規制が設けられています。
以下に、主な規制内容を紹介します。

  • ①通行区分
  • 歩道や路側帯がある道路では、基本的に車道の通行が義務付けられています(法第17条第1項)。
  • ②速度制限
  • 道路ごとに定められた最高速度を超えた走行は禁止されています(法第22条第1項)。
  • また、最低速度が指定されている道路では、その速度以上で走行しなければなりません(法第23条)。
  • ③横断や転回のルール
  • 道路から出る際や、横断・転回・後退するときには、特定の方法や規制に従う必要があります(法第25条、第25条の2)。
  • ④追い越しや車間距離
  • 適切な車間距離の保持(法第26条)、不必要な進路変更の禁止(法第26条の2)、および追い越しに関する規制があります(法第27条~30条)。
  • ⑤踏切の通過
  • 踏切を渡るときは、一度停止して安全を確認する必要があります(信号がある場合を除く)(法第33条第1項)。
  • 遮断機が閉じている間は踏切への侵入は禁止されています(法第33条第2項)。
  • ⑥交差点での通行方法
  • 交差点での左折・右折の方法など、通行時に守るべきルールが定められています(法第34条~37条)。
  • ⑦歩行者の保護
  • 歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときは、一時停止して通行を妨げないようにしなければなりません(法第38条第1項)。
  • ⑧緊急自動車への対応
  • 交差点やその近くで緊急自動車や消防車が近づいてきたときは、一時停止して道を譲らなければなりません(法第40条第1項、第41条の2第1項)。
  • ⑨徐行・一時停止
  • 標識や信号に従って徐行や一時停止を行う義務があります(法第42条、第43条)。
  • ⑩停車と駐車
  • 交差点、横断歩道、トンネルなどの特定の場所では、停車や駐車が禁止されています(法第44条、第45条)。
  • ⑪照明や合図の義務
  • 夜間の車両の灯火義務(法第52条)や、左折・右折、停止、進路変更時に必要な合図が定められています(法第53条)。
  • ⑫乗車・積載・牽引のルール
  • 運転者と同乗者の乗車方法や、荷物の積載に関する規則が設けられています(法第55条~61条)。
  • ⑬整備不良車両の禁止
  • 整備が不十分な車両の運転は禁止されています(法第62条)。
  • ⑭自転車の特別なルール
  • 自転車には、通行区分や通行方法に関して特別なルールがあります(法第63条の3~第63条の11)。

3.車両等の運転者および使用者の義務

車両の運転者には、交通安全を守るために以下の義務が課せられています。

  • ①無免許運転の禁止
  • 自動車や原動機付自転車を運転する際には、必ず対応する運転免許を取得していなければなりません(法第64条第1項)。
  • ②16歳未満の特定小型原動機付自転車運転禁止
  • 16歳未満の人は、特定小型原動機付自転車(電動キックボードなど)を運転してはいけません(法第64条の2第1項)。
  • ③飲酒運転の禁止
  • 酒を飲んで車両を運転することは厳しく禁止されています(法第65条第1項)。
  • ④過労や体調不良時の運転禁止
  • 疲労や病気、薬物の影響などで正常に運転できない可能性がある場合、車両を運転してはいけません(法第66条)。
  • ⑤安全運転の義務
  • ハンドルやブレーキなどの操作を確実に行い、周囲の状況に応じて安全な速度と方法で運転し、他人に危害を加えないようにしなければなりません(法第70条)。
  • ⑥交通事故時の対応
  • 交通事故が発生した際は、すぐに車を止めて負傷者の救護や道路の安全確保などの必要な対応を行い、警察に事故の報告をする義務があります(法第72条第1項)。

高速自動車国道等における自動車の交通方法

高速道路や自動車専用道路での自動車の走行には、次のようなルールが適用されます。

  • ①最低速度の規制(法第75条の4)
  • 道路ごとに定められた最低速度を守らなければなりません。
  • ②横断や転回の禁止(法第75条の5)
  • 高速道路や自動車専用道路では、道路を横断したりUターンしたりするなどの行為は禁止されています。
  • ③本線に入る際の注意(法第75条の6)
  • 本線車道に合流する際には、他の車両との安全な距離を保つ必要があります。
  • ④本線から出入りする方法(法第75条の7)
  • 本線車道への進入や退出には、規定された方法を守る必要があります。
  • ⑤停車・駐車の禁止(法第75条の8)
  • 高速道路上では、停車や駐車が基本的に禁止されています。
  • ⑥牽引車の通行ルール(法第75条の8の2)
  • 大型の牽引車を引いている自動車は、特定の通行帯を走行しなければなりません。
  • ⑦緊急自動車の特別ルール(法第75条の9)
  • 緊急自動車には特別な優先権が認められており、他の車両は進路を譲る必要があります。

高速自動車国道等における運転者の義務

高速自動車国道や自動車専用道路を走行する際、運転者には次のような義務が課されています。

  • ①燃料やオイルの点検と対応(法第75条の10)
  • 運転者は出発前に燃料、冷却水、原動機のオイルの量を必ず点検しなければなりません。
  • ②貨物の積載確認と転落防止措置(法第75条の10)
  • 運転者は、車両に積載されている貨物の状態を点検し、しっかりと固定されているか、転落や飛散の危険がないかを確認する義務があります。
  • ③故障時の適切な表示と移動対応(法第75条の11)
  • 高速道路で車両が故障した場合、運転者はただちに他の車両に故障を知らせるための表示措置を講じる必要があります。

4.特定自動運行の許可等

「特定自動運行」とは、過疎地域や高速道路などの特定の条件下で、システムによって完全に自動運転が行われる状況を指します。
つまり、運転者の操作が一切不要な「レベル4」の自動運転です。
特定自動運行を実施するには、運行予定の場所を管轄する公安委員会から許可を得る必要があります(道路交通法第75条の12第1項)。

また、実施者は道路交通法に基づいた規則を守らなければなりません。

5.自動車および一般原動機付自転車の運転免許

自動車や原動機付自転車を運転するためには、公安委員会から運転免許を取得する必要があります(法第84条第1項)。
道路交通法では、2つの運転免許の種類があります。
一般的な運転に必要な「第一種免許」と、タクシーやバスなど旅客を運ぶ目的で運転する際に必要な「第二種免許」です。

6.道路交通法違反による罰則

道路交通法に違反すると、懲役刑、禁錮刑、罰金刑などの刑事罰が科される可能性があります。

比較的軽い違反(違反点数6点未満)については、一定期間内に反則金を支払えば、刑事罰を受けずに済む仕組みがあります。
この反則金は行政罰と呼ばれ、罰金とは異なります。
この仕組みを「交通反則通告制度」といいます。

また、行政処分には反則金だけでなく、運転免許の取り消しや停止処分もあります
これらの処分は、違反点数の累積に応じて決定されます。

反則行為に関する処理手続の特例

道路交通法に違反した場合でも、特定の違反については、警察からの通告を受けた日から10日以内に反則金を支払えば、刑事罰を避けられます(法第128条第2項)。

反則金の対象となる違反内容や金額については、警視庁のウェブサイトで確認できます。

.交通法規に違反したときのペナルティ


交通違反に対するペナルティには、以下の種類があります。

違反点数

違反点数は行政処分の一部です。
3点以内の違反であれば、その後3カ月間無事故・無違反で過ごすと、点数はリセットされます。

罰金

重大な交通違反に対して科される刑事処分です。
例として、以下のような罰金があります。

  • 速度違反:10万円以下
  • 酒気帯び運転:50万円以下
  • 無免許運転:50万円以下
  • 長時間駐車:20万円以下

反則金

交通反則通告制度に基づく行政処分で、比較的軽い違反に対して科されます
反則金の額は違反内容や車両の種類によって異なり、たとえば安全運転義務違反の場合、以下のように金額が設定されています。

  • 大型車:1万2,000円
  • 普通車:9,000円
  • 二輪車:7,000円
  • 原付車:6,000円

反則金を支払うと、刑事責任を問われずに済みます。
反則金を支払わなかった場合、手続きが行政から刑事へ移行し、成人は検察庁に書類送検され、少年は家庭裁判所に送致されます。

交通法規違反になりやすい行為の例

ここでは、交通法規違反になりやすい行為を10個ご紹介します。

免許不携帯

免許不携帯とは、運転中に運転免許証を持っていない状態を指します。
この違反では違反点数は加算されませんが、3,000円の反則金が科せられます。
免許証の所持自体は運転に必要な要件なので、常時の携帯が求められています

定員オーバー

車両に定められた乗車定員を超えて運転する場合、定員オーバーの違反となり、反則金は6,000円です。
刑事罰としては、10万円以下の罰金または6カ月以下の懲役が科される場合もあります。
安全な走行のため、定員を守らなければなりません

一時停止違反

一時停止違反は、指定された場所で車を一時停止しない場合に科される違反です。
通常は反則金が発生しませんが、特に自転車による一時停止違反で事故を起こした場合、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される場合があります。
安全確認のため、一時停止は重要です。

信号無視

信号無視とは、赤信号や黄色信号を無視して進行する行為です。
信号無視は反則金と違反点数の対象となり、特に赤信号無視では反則金が最大1万2,000円、違反点数は2点です。
信号を守らないと重大な事故につながる可能性があるため、厳しい規制が設けられています。

通行禁止違反

通行禁止の標識や表示がある場所に車両が進入すると、通行禁止違反となります。
大型車の場合、反則金は9,000円で、違反点数は2点です。
また、重い場合には3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される場合があります。

追越し違反

左車線からの追越しや、2台以上を一度に追い抜く行為は追越し違反です。
違反点数は2点、反則金は大型車で1万2,000円、刑事罰としては3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。
追越しは安全に行いましょう

携帯電話使用等違反

運転中にスマートフォンや携帯電話を手に持って使用することは法律で禁止されています。
違反すると大型車で2万5,000円の反則金、違反点数3点が加算されます。
また、携帯電話の使用により交通の危険が生じた場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

スピード違反

スピード違反とは、決められた速度を超えて走行する行為です。
一般道路では時速30km以上、高速道路では時速40km以上の超過で、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される場合があります。
反則金は最大4万円、違反点数は最高12点です。
速度違反は重大な事故の原因にもなりやすいため、厳しい罰則が設けられています。

飲酒運転(酒酔い運転)・酒気帯び運転

飲酒運転は、アルコールの影響で正常な運転ができない状態で車を運転する行為です。
酒気帯び運転は、呼気中のアルコール濃度が0.15mg以上の状態で運転する状態を指し、濃度0.25mg以上の場合は違反点数がさらに加算されます。
飲酒運転の違反点数は35点、罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

妨害運転罪(あおり運転)

あおり運転は、他の車両に危険を生じさせる運転行為で、違反点数は25点(危険が生じた場合は35点)と高く、免許取消処分の対象となります。
罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、危険が生じた場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

まとめ

運転者だけでなく、歩行者も交通ルールを守る必要があります。
今一度、自分が守らなくてはならないルールを確認し、安全な道路利用を心がけましょう
もし不安な点があれば、交通法規を再確認して、違反を防ぐための行動を取ってください。

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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