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シートベルト着用義務違反の罰金・点数を紹介!免除されるケースとは?

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

この記事でわかること

  • シートベルトは全席着用が義務づけられている
  • 後部座席のシートベルト着用は義務化された時期
  • シートベルト着用義務違反の罰金・点数
  • シートベルト着用が免除されるケース

シートベルトは、運転者や同乗者の安全を守る重要な装置であり、現在すべての座席で着用が義務づけられています。

また、運転者に対しても、同乗者にシートベルトを着用させる義務が課せられています。

警察庁が毎年JAFと合同で行っている調査によると、運転席・助手席についてはシートベルト着用義務がほぼ守られているといえます。

一方、後部座席では高速道路で78.7%、一般道路で43.7%(2023年)にとどまっており、着用率が高いとは言えない状況です。

今回は、シートベルト着用義務違反の罰金・点数や、シートベルト着用が免除されるケースを紹介します。

シートベルトは全席着用が義務づけられている

現在、自動車の走行中は、すべての座席でシートベルト着用が義務づけられています。

道路交通法上、運転席と助手席のシートベルト着用が義務化されたのは1985年でした。
この時点では、高速道路と自動車専用道路の走行時に限られていましたが、1992年の法改正により一般道路でも義務化されました。
一方、後部座席のシートベルト着用については、努力義務にとどまっていました。

その後、2008年6月に施行された改正法により、「自動車の乗車時」のシートベルト着用義務が定められました。
これにより、後部座席を含めたすべての座席で、シートベルトの着用が義務づけられたことになります。

後部座席のシートベルト着用は2008年から義務に

前述のように、2008年6月から、後部座席でもシートベルト着用が義務づけられています。
ここでは、後部座席のシートベルト着用義務の内容について解説します。

運転者が「着用させる義務」を負う

助手席及び後部座席のシートベルト着用義務について、法律上は以下のように定められています(道路交通法第71条の3第2項)。

「自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて運転させてはならない」

つまり、後部座席のシートベルト着用義務は、厳密には「運転者が、後部座席の同乗者にシートベルトを着用させる義務」を意味すると解されます。
これは、後部座席でシートベルト非着用だった場合に、運転者に対して罰則が適用されるためと考えられるためです。

しかし、「着用させる」といっても、運転者が同乗者のシートベルトを締めることまで要求されているわけではありません。
運転者が「シートベルト着用義務を守った」といえるのは、後部座席同乗者にシートベルトを締めるよう口頭で促し、同乗者自身がシートベルトを着用した場合です。

言い換えれば「運転者がシートベルトを締めるように言ったのに、後部座席の同乗者がシートベルトを締めなかった場合」も、運転者の義務違反になります。

このような場合も、道路交通法が禁止している「シートベルトを装着しない者を座席に乗せて運転した」といえるためです。

なお、乳幼児をチャイルドシートに乗せる場合で、運転者とその乳幼児以外に同乗者がいない場合には、運転者自身がチャイルドシートのシートベルトを適切に着用させることまで義務づけられているといえるでしょう。

すべての道路でシートベルト着用義務がある

後部座席のシートベルト着用義務について、「高速道路(及び自動車専用道路)に限られ、一般道路は含まれない」と誤解している方が少なくありません。

道路交通法第71条の3第2項では、全座席のシートベルト着用義務について「自動車の乗車時」としています。
これは、自動車が通行できるすべての道路の通行に対して、すべての座席でシートベルト着用が義務づけられていることを意味します。

後述するように、後部座席で高速道路と一般道路での扱いに違いがあるのは、シートベルト着用義務違反に対する罰則です。

後部座席のシートベルト着用義務違反の罰金・点数

シートベルト着用義務に違反した場合、道路交通法上の「座席ベルト装着義務違反」となります。

後部座席の座席ベルト装着義務違反に対する罰金(反則金)と違反点数は以下の表の通りです。

違反点数反則金
一般道路高速道路
なし1点なし

つまり、高速道路でシートベルトを着用しなかった場合のみ、運転者に違反点数1点が科せられることになります。

一般道路でシートベルトを着用していなかった場合、反則金・違反点数はなく、口頭注意が行われます。
反則金や違反点数が科せられないとしても、一般道路でのシートベルト着用義務がないわけではありません。

シートベルトの着用が免除されるケース

ここまで、すべての座席でシートベルト着用義務があることを説明してきました。

これに対して、以下のような疑問を持たれるかもしれません。
「小学生の子どもは後部座席に4人まで乗れるはずなのに、シートベルトは3つしかない」
「出産が近い妊婦さんがシートベルトをするとお腹が圧迫されて危険なのでは?」

法令上、やむを得ない事情がある場合には、運転席及び助手席・後部座席でのシートベルト着用義務が免除されています。

ここでは、例外的にシートベルト着用が免除されるケースについてご説明します。

なお、「シートベルト着用が免除される」とは、「免除事由に該当すれば、運転者に違反点数が科されない」ことを意味します。
シートベルトを着用していないことにより、事故に遭った場合のリスクが大きくなることには変わりがありません。

運転者の着用義務が免除されるケース

まず、運転者については、以下に該当する場合に、シートベルト着用義務が免除されます(道路交通法施行令第26条の3の2第1項)。

  • 負傷、障害、または妊娠により、シートベルトを装着することが療養上、または健康保持上適当でないとき
  • 著しく座高が高い・低い、著しい肥満その他の体の状態により適切にシートベルトを装着できないとき
  • 自動車を後退させるとき
  • 消防用車両、警衛・警護車、選挙運動用自動車などを運転するとき
  • 郵便物の集配業務など、短い区間で頻繁な乗降を必要とする運転業務に従事しているとき

助手席・後部座席の着用義務が免除されるケース

助手席と後部座席の同乗者については、以下に該当する場合にシートベルト着用義務が免除されます(同法同条第2項)。

  • 同条1項の運転者の免責事由と同様の理由がある場合
  • 座席の数を超える数の者を乗車させるために、シートベルトを装着できない者がある場合

このうち、2番目の事由が適用されるのは、主に12歳未満の子ども(以下「子ども」と表記)を後部座席に乗せる場合です。

自動車の乗車定員の数え方は、大人(12歳以上)1人に対して子ども1.5人と定められています(道路運送車両保安基準第53条2項)。

たとえば、5人乗りの自動車の場合、後部座席に乗車できる大人は3人までですが、子どもだけであれば4.5人(実際は4人)まで可能です。

しかし、5人乗りの車で、後部座席にシートベルトが装備されているのは3人分なので、子どもが4人乗った場合、シートベルトが1人分不足します。

また、後部座席に大人が1人乗った場合、子どもは3人まで乗れますが、シートベルトが1人分足りなくなります

これらのケースでシートベルトを着けられない「1人」が、上記の「座席の数を超える数の者を乗車させるために、シートベルトを装着できない者」です。

法令上は、これらのケースで後部座席に乗った4人のうち、3人がシートベルトを着けていれば、残りの1人はシートベルトを着けなくてよいことになります。

まとめ

自動車乗車中に交通事故に遭った場合、シートベルトの着用の有無によって致死率に14倍もの差があるとされます。

また、交通事故の被害者がシートベルト非着用だった場合、被害者側に過失があると判断され、十分な賠償金を受けられない恐れがあります。

現在、シートベルト非着用による危険増大と、過失相殺による不利益が特に問題になっているのは後部座席です。

違反点数があるかないかにかかわらず、後部座席に乗る人は、やむを得ない場合を除いて必ずシートベルトを着用しましょう。

シートベルト非着用で交通事故に遭った場合、加害者側から一定の過失割合を主張されることは避けられません。
しかし、法令上の免責事由に該当する場合や、加害者の運転行為などに照らして、その主張が不当である可能性もあります。

シートベルト非着用の過失割合を含め、加害者側の主張に納得がいかない場合は、交通事故を専門とする弁護士にご相談ください。

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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