東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
オービスとは、一般道路や高速道路に設置されている自動速度違反取締装置です。
一定速度を超えるとフラッシュが焚かれ、カメラで運転者とナンバープレートが撮影されます。
オービスが作動する違反速度は法定化されておらず、具体的な数値が公表されていません。
しかし、取締の基準になる違反速度の目安はあると言われています。
今回は、オービスが作動する違反速度、違反したときの罰金・点数、免許停止や取消になるケースについてわかりやすく解説します。
オービスは、すべてのスピード違反を撮影するわけではありません。
一発で免許停止になるような制限速度を大幅に超えた場合に作動するというのが定説です。
一般道路では制限速度の約30キロオーバー、高速道路では制限速度の約40キロオーバーからオービスは撮影すると言われています。
ただし、オービスには可搬式や移動式などの種類があり、設定場所によっても取締の対象となる違反速度が異なると言われており、注意が必要です。
「オービスは悪天候による臨時的な速度規制にも応じて作動するのか?」
「時速200キロオーバーの猛スピードでも測定できるのか?」
オービスにまつわる疑問点について解説します。
高速道路では気象状況により規制速度が変わります。
たとえば、霧により規制速度が50キロに制限される場合、オービスも規制速度に応じて作動するのか疑問に思うでしょう。
高速道路での速度規制は、天候により区間ごとに制限速度を緻密に設定しながら実施されます。
それぞれの区間の規制速度に応じて、オービスの設定が変更されるわけではないようです。
したがって、オービスは状況に応じて設定された制限速度ではなく、通常の制限速度を基準としたまま作動するようです。だからといってスピードを出してもよい、というわけではありません。
どのような状況でも速度規制は守りましょう。
最高速度200キロ以上になればオービスは反応しない、という根拠のない噂がありましたが、あくまでも噂でした。
2018年3月、時速235キロで中央高速を走行した会社員をオービスが撮影して逮捕に至った事例があります。
制限速度を135キロも超えて走行した例は他に見当たらず、取締を受けた違反速度の最高記録と言われています。
道路交通法施行令では、道路の種類に応じた法定速度を定めています。
ここでは、オービスで撮影された場合など、速度違反による罰金や違反点数について解説します。
オービスで約30キロオーバーを撮影された場合の罰金は、以下のとおりです。
超過速度 | 罰金額(目安) | |
---|---|---|
一般道路 | 高速道路 | |
30km~34km | 6万円~7万円 | ― |
35km~39km | 7万円~8万円 | ― |
40km~49km | 8万円~9万円 | |
50km以上 | 10万円 |
※一般道路での30キロ未満の違反及び高速道路での40キロ未満の違反の場合、反則金を納付する必要があります。
オービスが作動すると言われている一般道路30キロオーバー、高速道路40キロオーバーで違反すると、重度の違反に対して交付される「赤切符」が送られてきます。
赤切符が交付されると刑事処分の対象となり、場合によっては警察署や検察で取り調べを受けることもあり、その後、検察官が起訴・不起訴を決定します。
起訴されれば、簡易裁判所へ出廷しなければなりません。
起訴されると、多くのケースは書面のみの審理を行う略式裁判となります。
略式裁判は短時間で判決が出されるので、その場で罰金を払うことで裁判は終了します。
罰金は刑事処分となるので、たとえ罰金を支払っても前科が付くことになります。
超過速度が著しい場合には略式裁判とはならずに、検察官が公判請求をして通常の裁判となり、懲役刑の判決が下されることがあります。
スピード違反の刑罰は、6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金です。
時速80キロ以上のスピード違反では、執行猶予付きの懲役刑が科されることが多くなります。
納付期限内に罰金を支払えない場合には、労役場で留置され場労働をすることになるでしょう。
一般的に労役場での日当は5000円で、支払えない金額分の労働を終えなければ労役場を出ることができません。10万円の罰金が支払えない場合は、20日間の労働をすることになります。
スピード違反の処分には、上記の刑事処分である罰金の他にも、点数制度による行政処分が科されます。
表:一般道路のスピード違反加点表
超過速度 | 加点点数 |
---|---|
20km未満 | 1 |
20km~24km | 2 |
25km~29km | 3 |
30km~49km | 6 |
50km以上 | 12 |
参考:警視庁|交通違反の点数一覧表
表:高速道路のスピード違反加点表.
超過速度 | 加点点数 |
---|---|
20km未満 | 1 |
20km~24km | 2 |
25km~29km | 3 |
30km~49km | 6 |
50km以上 | 12 |
参考: 警視庁|交通違反の点数一覧表
オービスでスピード違反の取締を受けると違反点数により免許停止、免許取消の処分を受けることになります。
以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ここでは、免許停止と免許取消について解説します。
免許停止とは、一時的に運転免許の効力が停止される行政処分です。
停止期間は、30日間、60日間、90日間、120日間、150日間、180日間の期間があり、違反点数と前歴回数によって決まります。
免許停止の期間が経過すれば、自動的に免許の効力が回復します。
免許取消とは、運転免許が取り上げられてしまう行政処分です。
再び運転をするためには、一定期間(欠格期間)を過ぎた後に自動車試験場で運転免許の取り直しをしなければなりません。
点数制度は免許取得時の0点を基点にして、交通違反ごとに加点方式で加算されます。
免許停止となるのか、取消となるのかは、前歴の回数とそれまでに累積された違反点数により処分が異なります。
過去3年以内に違反がなく点数が6点であれば30日間、12点で90日間の免許停止となります。
一般道路で30キロオーバーすれば、一発で免許停止となるので十分に注意してください。
以下はオービスでスピード違反の取締を受けた場合等、免許停止・免許取消の処分一覧です。
カッコ内の数字は、免許取消歴等保有者が一定期間内に再び免許の拒否・取消し又は、6月を超える運転禁止処分を受けた場合の年数を表します。赤字は特定違反行為(運転殺人傷害等、危険運転致死傷等、酒酔い運転・麻薬等運転、妨害運転(著しい交通の危険)又は救護義務違反)の欠格期間を表します。
点数/前歴 | 0回 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回以上 |
---|---|---|---|---|---|
1 | |||||
2 | 停止90日 | 停止120日 | 停止150日 | ||
3 | 停止120日 | 停止150日 | 停止180日 | ||
4 | 停止60日 | 停止150日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | |
5 | 取消1年(3年) | ||||
6 | 停止30日 | 停止90日 | |||
7 | |||||
8 | 停止120日 | ||||
9 | 停止60日 | ||||
10-11 | 取消1年(3年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) | ||
12-14 | 停止90日 | ||||
15-19 | 取消1年(3年) | 取消2年(4年) | |||
20-24 | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) | ||
25-29 | 取消2年(4年) | 取消3年(5年) | 取消4年(5年) | 取消4年(5年) | |
30-34 | 取消3年(5年) | 取消4年(5年) | 取消5年 | 取消5年 | |
35-39 | 取消3年(5年) | 取消4年(6年) | 取消5年(7年) | 取消6年(8年) | 取消6年(8年) |
40-44 | 取消3年(5年) | 取消4年(6年) | 取消5年(7年) | 取消6年(8年) | 取消6年(8年) |
45以上 | 取消5年 | 取消5年 | 取消5年 | 取消5年 | 取消5年 |
45-49 | 取消5年(7年) | 取消6年(8年) | 取消7年(9年) | 取消8年(10年) | 取消8年(10年) |
50-54 | 取消6年(8年) | 取消7年(9年) | 取消8年(10年) | 取消9年(10年) | 取消9年(10年) |
55-59 | 取消7年(9年) | 取消8年(10年) | 取消9年(10年) | 取消10年 | 取消10年 |
60-64 | 取消8年(10年) | 取消9年(10年) | 取消10年 | ||
65-69 | 取消9年(10年) | 取消10年 | |||
70以上 | 取消10年 |
参考: 行政処分基準点数
オービスでスピード違反の取締を受けて免許取消となっても、欠格期間を過ぎれば免許を再度取得できます。
免許を再取得する際は、取消処分者講習を受講しなければなりません。
取消処分者講習の受講後に、自動車教習所で講習を受けるか、運転免許試験場で一発試験を受けて免許を取得できます。
自動車教習所での講習は費用がかかる分、免許の再取得はしやすくなります。
運転免許試験場での受験は費用が掛からない分、一発試験であるため免許の再取得は難しくなります。
オービスは一般道路では約30キロオーバー、高速道路では約40キロオーバーで測定されるというのが定説です。
一度撮影されると、高額な罰金を支払わなければなりません。
警察の取調べや裁判の出廷など時間を要することも多く、車を必要とする職種の方は最悪の場合、職を失うことになるかもしれません。
制限速度を守り安全運転を心がけることが何よりも重要です。