東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
車の運転中に前方でフラッシュが焚かれたときは、スピード違反でオービスに撮影されている可能性が高いでしょう。
「オービスの場所を知っているから大丈夫」と思われているケースもありますが、設置場所を変更できる可搬式のオービスもあるので注意が必要です。
一般的なスピード違反の取り締まりはその場で違反切符(反則金仮納付書)を切られるので、7日以内に銀行や郵便局で納付することになります。
ただし、オービスで撮影された場合は刑事処分の対象になるため、免許停止処分とともに高額な罰金も支払わなければなりません。
今回は、オービスで撮影されたときの罰金や支払方法、反則点数などをわかりやすく解説します。
目次
オービスで撮影されると6点や12点の違反点数が加算されるので、ほぼ確実に免許停止処分(一発免停)になります。
過去3年以内の累積点数が6点になると30日間の免許停止になり、超過速度が時速50キロ以上になると12点になるため、最低90日間の免停になるでしょう。
また、超過速度に応じた罰金などは以下のようになっています。
超過速度 | 反則点数 | 罰金 |
---|---|---|
時速30~50キロ未満 | 6点 | 6~10万円程度 |
時速50キロ以上 | 12点 |
超過速度 | 反則点数 | 罰金 |
---|---|---|
時速40~50キロ未満 | 6点 | 裁判による決定 |
時速50キロ以上 | 12点 |
罰金を支払う手順も複雑になっているので、以下を参考にしてください。
オービスでスピード違反を撮影された場合、一般的には略式裁判が行われるため、判決が出た後に罰金を支払うことになります。
罰金支払いまでの流れは以下のようになっているので、警察署や裁判所には必ず出頭してください。
では、具体的な内容をみていきましょう。
オービスで撮影された場合、早ければ3~4日後には出頭通知書が自宅あてに送付されます。
出頭通知書には出頭場所(警察署)や出頭日時などが記載されているので、必ず指示に従って出頭してください。
なお、旧型オービスはデータ回収に時間がかかるため、撮影から1ヶ月後に出頭通知書が送付される場合もあります。
警察署に出頭すると、まず事情聴取が行われます。
オービスで撮影した顔写真やナンバープレートを提示され、違反者本人と車の所有者などを確認して調書が作成されるので、必ず正直に答えましょう。
現在のオービスは車検ステッカーの文字でも判別できる精度になっているため、「写っているのは自分ではない」などの嘘は通用しません。
また、反則点数6点以上は刑事処分の対象になるので、単なる違反ではなく、犯罪の疑いを持たれていることを理解しておきましょう。
警察に出頭した後、数日後には簡易裁判所から出廷通知が送付されます。
出廷通知書には出廷日時と場所、罰金として10万円程度を用意する旨の内容が記載されています。
刑事処分を決める重要な裁判になるので、必ず出廷するようにスケジュール調整してください。
なお、オービスの罰金は10万円が上限になっています。
スピード違反の場合、書面のみで審理される略式裁判になるケースが一般的です。
警察が作成した調書をもとに事実確認を行い、署名・捺印した後は待合室で待機します。
略式裁判は10~20分程度で判決が出るため、その場で罰金を支払って裁判は終了となります。
もし罰金を持参していなかったときは、数日後に振込用紙が送付されるので、必ず期限内に支払いましょう。
支払いが遅れると判決に従わなかったものとみなされ、刑務所行きになる可能性もあるので注意しておきましょう。
裁判所で判決が下された後は、行政処分として公安委員会から運転免許停止処分書が送付されます。
地域によっては送付元が警察になっており、呼出通知書が同封されているので、指示どおりに警察署へ出頭して免許停止の手続きを行いましょう。
また、免許停止中は免許センターで任意の停止処分者講習を受講できるようになっています。
有料講習ですが、受講すると免許停止期間が短縮されるので、職業ドライバーや車通勤している方は受講した方がよいでしょう。
なお、講習料金は以下のようになっています。
免許停止期間が終了した後は、指定場所で免許証を受け取ってください。
オービスの罰金が支払えないときは、家族や友人に借りるなど、何らかの方法でお金を工面した方がよいでしょう。
期限内に罰金を支払わなかった場合、労役場に連行されて強制労働になる可能性があります。
労役場の日当は5,000円程度になっているので、罰金10万円が支払えなかったときは、20日間の強制労働になってしまいます。
強制労働が終わるまでは労役場から出られないため、職場を解雇されることや、学校から退学処分を下される可能性が高いでしょう。
オービスで撮影されたときに同乗者がいた場合や、友人が運転していた場合など、オービスに関するよくある質問をまとめましたので、以下を参考にしてください。
オービスの罰則は運転者を対象としているので、同乗者への罰則はありません。
ただし、スピード違反の危険運転だとわかっていながら見過ごしたときは、同乗者も連帯責任を負わなければならない可能性があります。
スピード違反の罰金は運転者が対象です。
自分の車を友人が運転してスピード違反になったときは、その友人が反則金や罰金を支払わなければなりません。
ただし、運転者の飲酒や無免許を知りつつ同乗していたときは、同乗者も道路交通法違反の罪に問われるケースがあります。
オービスでスピード違反を撮影されると、免許停止処分がほぼ確実となり、高額な罰金も支払わなければなりません。
また、警察や裁判所に出頭する必要があり、場合によっては停止処分者講習も受講することになるので、事故対応のために3日程度の時間を割く必要があります。
車で通勤している方や、トラック・タクシーなどの職業ドライバーには手痛いペナルティになるため、スピード違反には十分注意しましょう。
オービスの撮影は言い逃れもできないので、警察官や裁判官の質問にも正直に答えることをおすすめします。