東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
目次
交通事故の解決を弁護士に依頼する場合、弁護士費用はいくつかの費目に分かれています。
まずは弁護士費用の費目について、その内訳をご紹介します。
相談料 | 30分あたり5,000円~ |
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依頼前に弁護士による法律相談を利用する場合、相談料が必要になります。
相談料は30分あたり5,000円(及び消費税)というように、時間あたりの料金が設定されている場合がほとんどです。
ただし、最近では初回相談は30分限り無料や交通事故の相談については何度でも無料という事務所もあります。
着手金 | 最低10万円~ |
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弁護士に依頼することになったら、その時点で「着手金」という初期費用を支払うのが一般的です。
着手金とは、弁護士が事案の処理に取りかかるための費用で、結果にかかわらず原則として返金されません。
金額は、依頼する事案の内容によってさまざまです。
交通事故で依頼する場合の相場は10~20万円程度ですが、事案によっては50万円や100万円、あるいはそれ以上が必要となる場合もあります。
金額については依頼する前に必ず説明を受け、納得したうえで支払いましょう。
最近では、交通事故案件の着手金を無料としている弁護士事務所が増えています。
ただし、着手金が無料の場合は次に説明する報酬金に上乗せして請求されるのが一般的です。
そのため、全体としてみれば着手金が有料でも無料でも費用の総額はほとんど変わらないことが多いです。
成功報酬 | 多くの場合、「回収した金額の〇〇%」という計算で定められる |
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依頼した案件の処理が終了すると「報酬金」、いわゆる「成功報酬」という費用がかかります。
成功報酬の金額は、成功した度合いによって決められます。
相手方に対して金銭の支払いを請求する案件の場合は、回収した金額の〇〇%という計算で定められる場合がほとんどです。
たとえば報酬率が15%の場合、加害者から500万円の損害賠償金を回収すると、成功報酬の金額は75万円(及び消費税)となります。
依頼した弁護士が事案を処理する際に要する諸費用、つまり実費については依頼者が負担するのが一般的です。
交通事故の場合、示談交渉の依頼であれば加害者との手紙のやりとりにかかる郵送費や、示談交渉に赴く際の交通費などがかかりますが、数千円程度で済むことが多いでしょう。
しかし、裁判をする場合は高額になるので注意が必要です。
実費に含まれる費用は次のとおりです。
実費 |
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これらの費用は、数万円から数十万円かかることもあります。
日当 | 1日あたり3万円~ |
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弁護士が事案の処理のために遠方への出張を要する場合は、交通費とは別に日当が発生することがあります。
金額は事務所によって異なりますが、相場としては1日あたり3~5万円程度です。
現在の弁護士費用には統一基準がないため、無料相談で費用の説明を受けても、比較材料がなければ相場どおりかどうかわかりません。
弁護士費用が高いか低いか判断できないときは、複数の法律事務所で見積もりを取ってみるとよいでしょう。
良心的な弁護士は見積りだけでも対応してくれます。
ベンチャーサポート法律事務所では交通事故の弁護士費用を公開しているので、大まかな弁護士費用相場を把握したい方は参考にしてください。
ベンチャーサポート法律事務所では、交通事故の相談料や着手金を以下のように設定しています。
最初の相談料 | 0円(直接面談・電話相談・メール相談・LINE相談) | 着手金 | 0円 |
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相談料の一般的な相場は30分で5,000円、1時間で1万円程度になっており、着手金は少なくとも10万店程度かかります。
交通事故は予期せぬタイミングで発生するため、手元にまとまった資金がないときもありますが、ベンチャーサポート法律事務所は費用を気にせずに相談できます。
交通事故は時間が経つほど証拠の入手が難しくなり、過失割合などを証明できなくなる可能性があるので、まず無料相談だけでも利用してみるとよいでしょう。
弁護士が損害賠償請求などの依頼に成功すると、成功報酬が発生します。
ベンチャーサポート法律事務所は成功報酬が完全後払いなので、加害者から獲得した賠償金で支払えます。
成功報酬よりも弁護士費用が高くなりそうなときは、相談の際に教えてもらえるので、金銭的なマイナスは発生しないでしょう。
なお、弁護士に交通事故を解決してもらうときは、何をもって成功報酬とするか、必ず擦り合わせを行ってください。
成功報酬の考え方は「回収した金額の○○%」ですが、賠償金の全額を回収額とするのか、弁護活動によって増額した部分を指すのか、状況によって変わります。
相談の際に確認しておけば、成功報酬の支払いトラブルがありません。
それでは、実際に交通事故で弁護士に依頼した場合、どれくらいの弁護士費用がかかるのでしょうか。
ここでは、弁護士費用の相場についてご説明します。
弁護士費用を算定する報酬基準は、弁護士事務所によって異なります。
ただ、その報酬基準は多くの事務所で概ね同じような内容となっています。
以前は全ての弁護士が加入している日弁連(日本弁護士連合会)で弁護士報酬規程が定められており、その基準が統一的に適用されていたからです。
日弁連の弁護士報酬規程は2004年に廃止され、弁護士費用は自由化されました。
しかし多くの弁護士は、日弁連の弁護士報酬規程をそのまま、あるいは細部を修正したものを自らの報酬基準として備えています。
日弁連の報酬規程では、着手金と報酬金は次の表のように定められています。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
300万円以下 | 8%(最低額は10万円) | 16% |
300万円超3,000万円以下 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3,000万円超3億円以下 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円超 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
多くの弁護士事務所では、現在でもこれとほぼ同様の報酬基準が備えられています。
事例
例えば、交通事故で500万円の損害賠償請求を弁護士に依頼し、満額回収した場合の着手金と成功報酬の金額は以下のようになります。
着手金 | 500万円×5%+9万円=34万円 |
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成功報酬 | 500万円×10%+18万円=68万円 |
合計で弁護士費用は102万円(相談料、実費、日当、及び消費税は別)となります。
損害賠償請求の裁判で勝訴すると、弁護士費用の賠償も認められます。
ただし、裁判で認められる「弁護士費用」は、被害者が実際に支払う弁護士費用ではないことに注意してください。
裁判では、損害賠償金の認定額の10%が弁護士費用として認められるのが一般的です。
その程度の金額が、交通事故と相当因果関係にある弁護士費用に当たると考えられているからです。
最近は交通事故の案件については相談料と着手金を無料とし、報酬金で全ての費用を精算する、いわゆる「完全成功報酬制」を採用する弁護士も増えてきました。
この場合、着手金の支払いが免除されるわけではなく、報酬金を支払う際に着手金に相当する金額も負担する場合が多いことに注意が必要です。
たとえば先ほどの日弁連の弁護士報酬規程において、「着手金8%、報酬金16%」のところを「着手金0%、報酬金24%」とするようなイメージです。
最終的に負担する金額は着手金有料の場合と変わらないものの、依頼する時点で着手金を用意できない人にとっては弁護士に依頼しやすいというメリットがあります。
交通事故の被害者なのに、弁護士費用を負担することに抵抗がある方も多いでしょう。
自分が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、弁護士費用を支払わずに交通事故の解決を依頼できます。
弁護士特約とは、自動車の任意保険に付加できる特約のことで、保険会社の費用負担で弁護士に依頼できるのが特徴です。
交通事故に遭い、加害者本人や加害者側の任意保険会社に対する損害賠償請求や過失割合の変更などを弁護士に依頼する場合、必要な弁護士費用を自身が加入している保険会社が支払ってくれます。
ただし、無制限に支払ってくれるわけではなく、上限があります。
上限額は保険会社によって異なりますが、多くの場合は相談料で10万円、着手金・報酬金・実費・日当などの弁護士費用で300万円が上限です。
300万円以下であれば、実質自己負担なしで弁護士に依頼できます。
交通事故に遭った被害者にとって、弁護士特約は非常にお得な制度です。
被害者自身が特約分の保険料を支払ってきたのですから、必要があれば遠慮なく弁護士特約を使いましょう。
もちろん、弁護士特約を使っても、保険の等級には影響ありません。
また弁護士特約が使えない交通事故のケースもありますので、詳しくは弁護士特約の使い方と注意点をご確認ください。
費用倒れとは、収入を得るために必要な費用の方が、収入金額より大きくなったため、結果的に赤字になることです。
交通事故の被害にあって損害賠償金を加害者から受け取る際に、加害者側から損害賠償金の金額が提示されます。
この金額に不満がなければ、そのまま特別な手続きをすることなく、損害賠償金を受け取りましょう。
しかし、加害者側から提示された金額は、必ずしも満足できる金額とは限りません。
この場合、弁護士に示談交渉を依頼し、損害賠償金の金額を増加してもらうことができます。
しかし、損害賠償金が増額しても、そのためにかかった弁護士費用を差し引くと、結果的に当初加害者から提示された金額を下回ってしまうことがあります。
これが弁護士に依頼したときに起こる費用倒れです。
費用倒れが起こる原因は、弁護士費用が損害賠償金の金額の増減に関係なく計算されることがあるからです。
弁護士費用の計算方法には、「着手金・報酬金方式」と「時間報酬方式」の2つの方法があります。
このうち交通事故の損害賠償金の交渉において、多くの弁護士は「着手金・報酬金方式」によって報酬金額を算定しています。
この方式で弁護士費用の計算に用いるのは「相談料」「着手金」「成功報酬」「日当」「実費」の5つの項目です。
このうち「着手金」や「成功報酬」は、弁護士に依頼したことで増額した部分の金額(経済的利益)に、金額ごとに定められた割合を乗じて計算します。
一方、これ以外の項目の金額は、経済的利益に関係なく一定の金額です。
そのため、経済的利益の額が少ないと、一定の費用を下回ってしまい、費用倒れとなってしまうことがあります。
交通事故の損害賠償請求で費用倒れが起こりやすいのは、以下のような事故です。
弁護士費用特約に加入していない場合、高確率で費用倒れになります。
たとえば、弁護士の介入で示談金80万円に20万円が上乗せされると、依頼者は最終的に100万円を受け取れます。
しかし、弁護士費用が30万円かかった場合、100万円から差し引くと手元には70万円しか残りません。
当初の示談金に納得すると80万円を受け取れたので、10万円の費用倒れになります。
よくある費用倒れの例ですが、弁護士費用特約は300万円まで補償されるため、自分で弁護士費用を支払う必要がなく、100万円を手元に残せたでしょう。
交通事故の解決を弁護士に依頼するときは、弁護士費用特約に加入しているかどうか、必ず確認してください。
交通事故の加害者が無保険や任意保険に未加入の場合、弁護士に依頼すると費用倒れになる可能性があります。
加害者が自動車保険に加入していなければ、加害者本人に損害賠償請求しなければならないため、高額な賠償金は支払ってもらえない確率が高いでしょう。
加害者が任意保険に加入していない場合、自賠責保険の補償しか受けられませんが、補償額には以下の上限があるので要注意です。
人身事故 | 120万円 |
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後遺障害がある人身事故 | 75万円~4,000万円 |
死亡事故 | 3,000万円 |
加害者に支払い能力がなければ、財産を差し押さえてもわずかな賠償金しか回収できないため、弁護士に依頼すると費用倒れになるでしょう。
物損事故は賠償金が低くなりやすいので、弁護士に対応を依頼すると費用倒れになる場合があります。
交通事故が「物損」の扱いになると、以下のような費用しか請求できません。
物損事故は人的な被害がなく、治療費や慰謝料、逸失利益を請求できないため、弁護士の介入で全額補償されたとしても、あまり大きな増額は期待できないでしょう。
なお、後でケガが判明したときは、人身事故に切り替えられる可能性もあります。
軽傷の交通事故は以下の賠償金を請求できないので、弁護士費用を支払うと費用倒れになる場合があります。
後遺障害慰謝料 | 後遺障害に伴う精神的苦痛への補償 |
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後遺障害逸失利益 | 労働能力の低下で失った将来的な収入 |
休業損害 | 休業によって減少した収入の補償 |
軽傷の場合は通院だけで治療するケースが多いため、基本的には治療費と入通院慰謝料しか請求できません。
通院期間が1ヶ月だった場合、入通院慰謝料は以下のような相場になります。
自賠責保険基準 | 12万9,000円程度 |
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任意保険基準 | 13万円程度 |
弁護士基準 | 19万円程度 |
弁護士基準の慰謝料が支払われても、費用倒れになる確率が高いでしょう。
被害者の過失割合が大きくなると、弁護士が介入しても十分な賠償金を獲得できないため、費用倒れになる場合があります。
自分に過失がなければ加害者と被害者の過失割合は「10:0」になるので、損害賠償の責任は加害者側にしか発生しません。
ただし、自分にも何らかの過失があると、過失割合に応じた賠償責任が発生するため、過失相殺によって賠償金を減額されます。
たとえば、加害者と被害者の過失割合が「6:4」だった場合、4割分の賠償金が減額されるので、過失割合が大きくなるほど費用倒れの確率も高くなります。
加害者側から自分の過失を立証された場合、弁護士が対応しても過失割合の見直しは難しくなるでしょう。
交通事故に弁護士が対応しても、被害状況を証明できる根拠や証拠が不足すると、費用倒れになる可能性があります。
たとえば、警察に通報しなかったときは実況見分調書や交通事故証明書が作成されないため、事故状況の客観的な証明が難しくなるでしょう。
通院記録や診断書がなければ治療費や慰謝料を請求できないので、自宅療養したときも十分な賠償金は獲得できません。
事故状況がドライブレコーダーや防犯カメラなどに録画されている場合でも、時間が経つとデータが上書きされるため、重要な証拠を失ってしまう場合があります。
交通事故の被害に遭ったときは少しでも早く弁護士に相談し、証拠保全に協力してもらいましょう。
弁護士費用の中でも特に大きな金額になる「着手金」と「成功報酬」の計算方法により、費用倒れの目安となる金額は変わります。
ここでは、着手金と成功報酬の計算方法ごとに、費用倒れとなる金額を計算してみましょう。
①着手金11万円、成功報酬が経済的利益の22%の場合
経済的利益の金額が約14万円以下の場合、費用倒れとなります。
②着手金0円、成功報酬が経済的利益の11%+22万円の場合
経済的利益の金額が約25万円以下の場合、費用倒れとなります。
③着手金0円、成功報酬が経済的利益の22%+11万円の場合
経済的利益の金額が約14万円以下の場合、費用倒れとなります。
④着手金0円、成功報酬が経済的利益の8.8%+16.5万円の場合
経済的利益の金額が約18万円以下の場合、費用倒れとなります。
弁護士から費用倒れになるといわれたときは、以下の対処法で解決できる可能性があります。
費用倒れになるといわれたときの対処法
賠償金の増額が見込めなくても、出費を抑えれば費用倒れのリスクを回避できるので、具体的な内容は以下を参考にしてください。
弁護士費用特約の多くは家族の弁護士費用も補償されるので、一定範囲の家族が加入していれば、ほぼ無料で交通事故の解決を弁護士に依頼できます。
一般的には、以下の家族が弁護士費用特約の対象になるでしょう。
弁護士費用特約の対象
弁護士費用特約は毎月の保険料がわずかなので、加入していることを忘れているケースがあります。
弁護士から費用倒れになるといわれたときは、家族が自動車保険や火災保険、クレジットカードなどに弁護士費用特約を付帯しているかどうか確認しましょう。
弁護士によっては、個別事情に応じて報酬体系を変更してくれるので、交通事故の解決を依頼しても費用倒れにならない場合があります。
たとえば、「回収額の○○%+18万円」の報酬体系を「回収額の○○%」に変更してもらうと、固定部分の18万円を支払う必要がなくなります。
固定部分の費用がなくなれば、料率(%)が上がっても費用倒れにならない可能性があるので、交渉してみる価値はあるでしょう。
また、委任契約に特約を追加して、成功報酬に上限を設けてもらえるケースもあります。
あくまでも弁護士次第ですが、事情によっては報酬体系を調整してもらえる場合があるので、予算が不足するときは正直に伝えてください。
弁護士から費用倒れになるといわれたときは、司法書士や行政書士に事故解決の手続きを依頼してみましょう。
司法書士や行政書士は弁護士に比べて費用が低いので、予算内で交通事故を解決できる場合があります。
ただし、司法書士と行政書士には代理権がないため、保険会社との示談交渉は依頼できません。
交通事故の対応を司法書士や行政書士に依頼するときは、以下のような業務に限定されるでしょう。
なお、認定司法書士は示談交渉や裁判の代理人になれますが、加害者側と争う金額が140万円以下に限られるので注意してください。
損害賠償請求を行う際に弁護士に依頼すれば、弁護士費用の負担を免れることはできません。
そこで、少しでも弁護士費用の負担を軽減し、費用倒れになるのを防ぐのが、損をしないためのポイントです。
ただし、簡単に弁護士費用を抑えることはできないので、どのようなコツがあるのかご紹介していきます。
交通事故の損害賠償請求の際に発生する弁護士費用は、通常加害者が自身で負担しなければなりません。
しかし、被害者側が裁判を起こし損害賠償金を請求する場合に、弁護士費用を一緒に請求することができます。
そして、被害者側の訴えが認められれば、弁護士費用を加害者に負担してもらうことができます。
ただし、加害者に弁護士費用を払わせることができるのは、裁判所に被害者側の訴えが認められた場合です。
裁判で、自身の訴えが全面的に認められるとは限りません。
仮に訴えが認められたとしても、満額認められるとは限らない点にも注意が必要です。
弁護士にいきなり依頼して弁護士費用を支払ったとしても、それに見合う損害賠償金を得られるとは限りません。
そこで、弁護士に無料法律相談などを利用して損害賠償請求にかかる費用の見積もりを依頼し、費用倒れになる可能性があるかどうかを事前に判断できるようにしましょう。
ある程度の金額の損害賠償金を得られる見込みがあれば、事前に見積もりしてもらう必要はありません。
しかし、費用倒れになりやすいケースに該当するかもしれない場合は、事前に弁護士に費用倒れにならないかの確認をしてください。
弁護士報酬の計算方法は、各弁護士事務所によって異なります。
もし弁護士費用を抑えたければ、完全成功報酬型の弁護士に依頼することを検討してみましょう。
弁護士費用の計算で大きな金額になりやすい着手金と成功報酬のうち、着手金は固定金額となるため、経済的利益の金額が少なくても発生します。
そのため、経済的利益の金額が少額になってしまうと、支出ばかり増えてしまい、費用倒れの原因となりやすいです。
そうならないよう、完全成功報酬型の弁護士事務所に依頼するのも1つの選択肢となります。
交通事故の損害賠償請求の裁判を起こした場合、いくつかのメリットがあります。
まずメリットとなるのは、弁護士基準により計算した損害賠償金を受けられることです。
自賠責基準や任意保険基準など、その他の基準で計算された場合より大きな金額の損害賠償金を得られるようになります。
また、確定判決を得ることで、損害賠償金を強制執行することもできるようになり、保険会社や加害者側から確実に回収することも可能です。
弁護士費用も加害者側に負担してもらえるため、弁護士費用を負担しなくてもよくなります。
加害者側との話し合いが成立していない場合でも、裁判所の判決が出れば、その内容にしたがって損害賠償金を得られることもメリットです。
交通事故の裁判を起こすことには、デメリットもあります。
まずデメリットとなるのは、裁判の手続きを終えるには非常に時間がかかることです。
裁判を提訴してから第一審の判決が出るまでにかかる期間は、平均で12ヶ月以上という統計データもあります。
さらに、裁判は第二審以降に継続する可能性もあり、確定判決が出るまで何年もかかることがあります。
また、裁判を行う際には様々な費用がかかることも、大きなデメリットです。
弁護士費用だけでなく、証人に対する日当や交通費、事故の鑑定を依頼した場合の鑑定費用など、まとまった費用がかかります。
さらに、裁判の手続きは必ず勝訴するわけではないので、敗訴になる可能性も視野に入れなければなりません。
敗訴となれば、訴えの内容が全く認められないこともあり、大きなデメリットとなります。
最後に、交通事故の解決を弁護士に依頼する場合のメリットとデメリットをご紹介します。
弁護士に依頼するメリット・デメリット
依頼する前に、それぞれ確認しておきましょう。
交通事故の解決を弁護士に依頼する最大のメリットは、加害者側から多くの損害賠償金の回収を期待できることです。
慰謝料については自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの計算基準があり、このうち弁護士基準を適用するだけで慰謝料額が大幅に増額されます。
また、示談交渉においても裁判においても、専門家である弁護士が的確に対応することで正しい金額を回収できます。
しかも弁護士に依頼すれば、全ての手続きを自分に代わって代行してくれるので、手間がかかりません。
交通事故で後遺症が残ってしまい後遺障害等級認定の手続きをしたい場合や、過失割合に納得がいかず過失割合の変更をしたい場合などは、弁護士に依頼することで適切に対処してもらえます。
弁護士に依頼するメリットについては、以下の記事で詳しく説明していますので、そちらもご覧ください。
弁護士特約が使える場合は関係ありませんが、自分で弁護士費用を支払う場合、請求額によっては費用倒れになる恐れもあります。
例えば、請求額が10万円の場合、日弁連の弁護士報酬規程では着手金10万円、報酬金1万6,000円(及び消費税など)がかかるため、費用倒れが起こります。
請求額10万円で弁護士に依頼するケースがあるのかと思われるかもしれませんが、軽微な物損事故ではよくあることです。
人身事故で後遺症が残ってしまい、ある程度の期間治療を受けた場合は費用倒れとなる可能性が低いですが、弁護士費用を支払えば手取りがあまり残らないケースは少なくありません。
弁護士費用は法律事務所のホームページに掲載されていますが、交通事故などのトラブルに遭遇しない限り、閲覧することはないでしょう。
費用倒れになりやすい事故や節約方法などもあまり知られていないので、弁護士費用に関する「よくある質問」をまとめてみました。
弁護士費用について疑問がある方は、以下を参考にしてください。
交通事故裁判に勝訴すると、弁護士費用を加害者側に請求できる場合があります。
訴状に弁護士費用の支払いが損害となる旨や、賠償金を記載しておけば、裁判所が認めた場合に限り弁護士費用を請求できます。
請求が認められる額は、損害額の10%程度になるでしょう。
また、交通事故の損害を「不法行為にもとづく損害賠償請求」として扱い、裁判で勝訴すると、損害額の10%程度を原告(加害者)に請求できます。
ただし、裁判を起こさず、弁護士に示談交渉を依頼したときは、自分に過失がない事故でも弁護士費用は請求できません。
基本的には高くなりません。
慰謝料請求以外で弁護士に関与してもらう場合、後遺障害認定のサポートなども依頼できますが、料金の上乗せはないので安心してください。
ただし、すでに加害者側の保険会社から示談金が提示されており、増額を目的として弁護士に依頼したときは、着手金などの料率が高くなる場合があります。
示談金の増額を目指す場合、相手方の主張を分析し、必要に応じて新たな証拠を探す必要もあるので、弁護士の業務が増えてしまうでしょう。
弁護士費用を低く抑えたいときは、示談交渉のスタート前に相談してください。
弁護士費用特約に加入していない場合、以下の方法で弁護士費用を節約できます。
弁護士費用を節約したいときは、まず複数の法律事務所で相見積もりを取ってみましょう。
ただし、極端に費用が低い弁護士の場合、証拠収集や書類作成が依頼者対応になっており、十分なサポートを受けられない場合があるので要注意です。
また、弁護士の無料相談を早めに利用すると、証拠保全に協力してもらえるので、加害者側が不当な過失割合を主張しても十分に対抗できます。
有力な交渉材料があると示談金の増額を期待できるため、費用倒れも回避できるでしょう。
費用倒れになりやすい交通事故には以下のような種類があります。
ケガの程度が軽いときや物損事故の場合、弁護士が対応しても高額な賠償金は請求できません。
被害者の過失割合が大きいときは、過失に応じた賠償責任を負うので、賠償金は減額されます。
加害者が無保険の場合、加害者本人に損害賠償請求しますが、支払能力がなければ賠償金を獲得できないでしょう。
実況見分調書などの客観的な資料がないときも、賠償金を減額されるケースがあるので、弁護士に依頼すると費用倒れになる確立が高くなります。
交通事故の案件が解決し、加害者から賠償金を受け取ったときに弁護士費用を支払います。
ただし、成功報酬型の弁護士ではない場合、着手金は委任契約の際に支払うので、まとまった現金が必要です。
日当や実費も交通事故の解決後に請求されますが、その都度請求する弁護士もいるので、細かな費用の支払いタイミングもよく確認しておきましょう。
なお、着手金や日当などの支払いが滞った場合、交通事故が未解決のままでも弁護士に辞任される可能性があります。
弁護士が途中で辞任しても、着手金は返金されないので注意してください。
交通事故の解決を弁護士に依頼するための費用は、安いものではありません。
多額の損害賠償金を回収できた場合、最終的にはさほど負担を感じないとしても、着手金を準備するのが厳しいこともあると思います。
そんなときは、着手金無料の弁護士事務所を利用したり弁護士特約を使ったりなどして、無理なく弁護士に依頼するとよいでしょう。