東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
この記事をご覧の方の中には、交通事故の被害に遭われ、弁護士に弁護活動を依頼しようとお考えの方もいるでしょう。
しかし、弁護士、法律事務所というと、「相談するのに敷居が高い」、「ハイカラで頭がよさそうなので相手にしてもらえないのでは」などというイメージを抱き、相談、依頼(契約)に向けてなかなか一歩踏み出せない、という方も多いと思います。
そこで、この記事では、そうした方々に一歩でも相談、依頼に向けて前向きになっていただくために、
・弁護士に弁護活動を依頼するメリット
・弁護士に弁護活動を依頼するデメリットと弁護士費用
・法律事務所、弁護士を選ぶ際の注意点
についてご紹介します。
交通事故発生から損害賠償金を受け取るまでの流れは以下の図のとおりです。
このうち、弁護士に相談、弁護活動を依頼するベストタイミングは①交通事故直後です。
なぜなら、あとでもご説明しますが、治療の受け方などによって受け取る損害賠償金額が左右されるからです。
もっとも、その後であっても相談、依頼することが全く無意味か、といえばそうではありませんが、やはり早いことに越したことはありません。
交通事故の被害に遭われた際、弁護士に弁護活動を依頼するメリットとしては、以下の5つを挙げることができます。
損害賠償金を受け取るには様々な手続きを踏むことが必要です。
また、交通事故に遭うと、損害賠償額を巡って相手方と交渉しなければなりません。
相手方が任意保険に加入している場合、交渉するのは保険会社の担当者ですが、担当者は契約者に少しでも有利に交渉を進めます。
しかも、担当者は交渉のプロですから、担当者の言うままに交渉を進められるおそれもあります。
特に注意しなければならないのは、保険会社からの治療費支払いの打ち切りの打診があった際です。
保険会社は少しでも保険金の支払いを抑えようと、まだ怪我が完治していないにも関わらず治療費の支払いの打ち切りを打診してきます。
しかし、ここで保険会社の言うことを鵜呑みにしてしまうと、自腹で治療費を支払わなければならないという事態にも陥りかねません。
さらに、そもそも相手方が自賠責保険にも加入していない場合などは、直接、加害者と交渉しなければなりません。
しかし、交通事故を起こした相手方と交渉するのは心理的に抵抗があるでしょう。
正直、交通事故に遭われた場合、治療に専念することに精一杯で、手続きや交渉に手が回らないという方も多いと思いでしょう。
そんなとき、弁護士に弁護活動を依頼すれば、弁護士が面倒な手続きや交渉を一手に引き受けてくれます。
また、保険会社からの治療費打ち切りの打診に対しても適切に対処してくれます。
次に、弁護士に弁護活動を依頼するメリットは、損害賠償額の増額を期待できる点です。
日常的に起こる交通事故による損害賠償事件を迅速かつ公平に処理するため、損害賠償額の算定基準が作成されています。
算定基準は「自賠責基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準」の3種類があります。
自賠責基準よりも任意保険基準、任意保険基準よりも弁護士基準の方が損害賠償額は高くなります。
加害者の任意保険会社は、各社で定めた「任意保険基準」をベースに損害賠償額を提示してきます。
これに対して、弁護士は「弁護士基準」をベースに損害賠償額について保険会社の担当者と交渉します。
ですから、弁護士に弁護活動を依頼すれば損害賠償額の増額を期待できるのです。
交通事故に遭った場合、どれくらい期間入通院をし、どのような治療を受けたかによって後で受け取る慰謝料額(損害賠償額の一部)が異なってきます。
怪我の慰謝料には「入通院慰謝料」と後遺症が行ったことによる「後遺障害慰謝料」があります。
弁護士に弁護活動を依頼すれば、適切な慰謝料額を獲得するため、どんな症状に対し、どの治療期間に、どの程度の期間、日数、通院、治療する必要があるのか、具体的にアドバイスを受けることが可能です。
なお、過去の通院や治療の事実を変えることはできません。
そこで、いざ保険会社に損害賠償金を請求しようと思っても、手遅れという場合もあります。
弁護士には交通事故に遭った直後から相談することが大切です。
先ほど出てきた「後遺障害」は、医学上一般的に承認された治療方法で治療しても症状が改善されないと判断される状態をいいます。
この状態を保険用語で「症状固定」ともいいます。
症状固定となってもまだ症状が残っている場合は、後遺障害等級の認定を受けることができる可能性があります。
後遺障害等級の認定を受けることができると、その等級(1級から14級まであり、1級が最も重い等級です)に応じて慰謝料額(損害賠償額の一部)増額が期待できます。
しかし、後遺障害等級の認定申請に慣れていない方にとっては、そもそも後遺障害等級を受けることができるのか、できるとして自分の症状が一体何等級に当たるのか、などについて適切に判断することは困難です。
また、等級を受けるには損害保険料率算定機構に申請をしなければなりません。
相手方が任意保険に加入している場合は、通常、保険会社が手続きを代行してくれますが、きちんとした証拠をそろえて適切な等級を受けてくれるかは不透明です。
これに対し、弁護士であれば、その知識や経験から、どうすればより適切な等級を受けることができるのか判断することが可能です。
また、認定のための面倒な手続き(認定に対する異議申し立ても含めて)も代行してくれます。
過失割合とは、交通事故における責任の程度(割合)を数値化したものをいいます。
過失割合の数値が大きければ大きいほど交通事故に対する責任は重いことを意味します。
そして、過失割合は、損害賠償額を認定する際のベースとされます。
話を単純化すると、当初、加害者の過失割合が「6」、被害者の過失割合が「4」で、被害者に生じた損害額が1,000万円だったとします。
この場合、本来、被害者は1,000万円の損害賠償額を受けることができますが、過失割合が「4」のため、1,000万円の4割、つまり400万円減額された600万円しか受け取ることができません。
弁護士に弁護活動を依頼すれば、この「4」の数値を「3」にも「2」にも、あるいはそれ以下にもすることが可能なので、損害賠償額の増額を期待できるというわけです。
適切な過失認定をできるのは過失に関する法的知識を持ち、かつ交通事故に慣れた弁護士のみです。
弁護士に弁護活動を依頼するデメリットは弁護士費用を負担しなければならないことです。
弁護士費用には、相談料のほか、着手金、成功報酬金、日当費(裁判出廷など)、実費(郵送費、交通費など)などが含まれます。
詳細は法律事務所ごとに異なりますが、料金体系は「成功報酬制」と「旧報酬規程」に区分されます。
「成功報酬制」は、弁護活動によって損害賠償金を獲得できた、あるいは保管会社から提示された金額を上回る損害賠償金を獲得できた場合にのみ、獲得した金額から弁護士費用を支払うもので、弁護士費用のためのお金を準備する必要はありません。
これに対して、「旧報酬規程」は、成果にかかわらず弁護士費用が発生するもので、成功報酬制よりも損をするリスクが高いといえます。
したがって、「成功報酬制」を採用している法律事務所を選びましょう。
「成功報酬制」を採用している場合、着手金は「無料」としていることが多くあります。
相談料は法律事務所ごとに異なります。
成功報酬金については、「獲得できた額の何パーセント+20万円から30万円(税別)」、あるいは「増加した額の何パーセント+20万円から30万円(税別)」とされていることが多いようです。
なお、裁判等に移行した場合は、着手金が「有料」になったり、日当費、実費を負担する必要があったりします。
見積書や契約内容をよく確認しましょう。
また、「成功報酬制」で獲得できた損害賠償額よりも弁護士費用の方が高い、いわゆる「費用倒れ」となって損をすることがあります。
特に、物損事故や怪我の程度が軽い軽微な交通事故の場合は、獲得できる損害賠償額が低いために「費用倒れ」になる可能性が高いことから注意が必要です。
もっとも、法律事務所に法律相談で訪ねた際、弁護士から料金体系について説明を受けることができますし、不明な点は質問することができます。
また、弁護士としては「費用倒れ」となる可能性がある交通事故についてはさほど利益になりませんし、のちのちのトラブルを避けるためにも、なるべく受任しない傾向にあります。
ですから、被害者が「費用倒れ」となるおそれのある交通事故の弁護活動を弁護士に依頼する、というリスクは一定程度避けることができるでしょう。
さらに、ご加入の自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合は、保険会社が弁護士費用を負担してくれます(限度額あり)。ぜひ、活用しましょう。
弁護士に相談、依頼する前に、まずは弁護士が所属する法律事務所を探すことから始めます。
以下の点に注意して、検索サイトなどを使って法律事務所を探すことから始めましょう。
法律事務所にも、どの分野でも総合的に取り扱う法律事務所、あるいは交通事故、民事事件(離婚、相続など)、刑事事件、少年事件、労働トラブル、ネットトラブルなど特定の分野のみを取り扱う法律事務所などの特色があり、中には交通事故の取り扱いのない法律事務所もあります。
まずはこうした法律事務所の特色、あるいは「売り」を抑えて法律事務所を選択することが必要です。
そして、その際、注意すべき点は交通事故の実績が豊富か否かという点です。
交通事故の実績が豊富か否かを判断する目安として、ホームページなどで掲載されている相談件数、解決件数を参考にするとよいでしょう。
また、その他、ホームページの見やすさ、更新状況(情報が古い情報のままでないかなど)、弁護士のテレビ・ラジオへの出演実績、専門誌への執筆実績、講演会での公演実績なども交通事故に注力しているかどうかの目安となります(ただし、あくまで目安であり、これらの実績などがただちに事故解決を保証するものではありません)。
何らかの法的トラブルに巻き込まれると不安はつきものです。
そんなときこそ法律事務所は被害者の味方になれるはずです。
しかし、あなたが相談したい、尋ねたいという場合に、相談できない、尋ねることができないのでは不安やストレスは増す一方です。
そこで、困ったときにいつでも、なんでも相談できる環境が整えられているのかも法律事務所を選択する際のポイントとなります。
相談は何度でも無料か、法律事務所の就業時間外でも電話対応してくれるかなど、法律事務所を探す際に確認するようにしましょう。
では、法律事務所を絞り込んだとして、次は実際に依頼する弁護士を探さなくてはなりません。
弁護士を探すには、当該弁護士が所属する法律事務所に無料法律相談を申し込みましょう。
ここでは、実際に依頼すべき弁護士かどうか見極めるポイントをご紹介します。
法律相談の予約を入れる段階から注意が必要です。
すなわち、あなたの都合ではなく弁護士の都合で相談の予約を取られた場合は、依頼後もあなたの都合はお構いなしに弁護士の都合で弁護活動をされるおそれがあります。
また、弁護士が法律相談の開始時間をきちんと守ったのかもきちんと確認しましょう。
いくら弁護士が所属する法律事務所が交通事故に関して豊富な実績を有していたとしても、実際に対応する弁護士が交通事故に関して豊富な実績を有しているとは限りません。
そこで、相談に応じた弁護士に、弁護士の経歴、交通事故の実績などを尋ねましょう。
そこで、ある程度、弁護士の力量を計ることができます。
弁護士の人柄を含めて、話しやすい人か、質問しやすい人か、話を中断せず最後まで聴いてくれる人か、質問したことに対して誠実に回答してくれるのか確認しましょう。
こうした弁護士であれば、依頼後も安心して交通事故案件を任せることができます。
また、依頼者と弁護士とのコミュニケーションがより密になって交通事故案件を解決する可能性を高めます。
弁護士の話が分かりやすい、今後の見通しを立ててくれるということは、その裏返しとして交通事故の知識、経験が豊富で、交通事故に精通している証拠でもあります。
以上をまとめると、
が成功のための秘訣といえます。
弁護士はいつでも解任することが可能です。
しかし、契約から時期が経てば経つほど弁護活動は進んでいますし、そうなると実際問題としてなかなか解任できるものではありません。
後悔しないためにも、弁護士選びは慎重に行いましょう。