東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
交通事故の被害者となった場合、慰謝料や治療費は加害者側の保険会社に請求できますが、事故の発生や内容を公的に証明した書類が必要になります。
この書類を「交通事故証明書」といい、基本的には加害者側の保険会社が自動車安全運転センター(交通安全運転センター)から取得してくれます。
ただし、以下のような状況であれば、自分で交通事故証明書を取得することもあり得ます。
とはいえ、どうやって取得するか、何が書かれているのかといった疑問もあるでしょう。
そこで今回は、交通事故証明書の取得方法や取得時の必要書類、覚えておきたい注意点などをわかりやすく解説します。
交通事故の被害者となった方はぜひ参考にしてください。
目次
交通事故証明書とは、交通事故の発生を証明する公的文書です。
自動車安全運転センターで取得できますが、以下のようなケースで必要となります。
なお、警察への届け出がない交通事故では発行されないので注意してください。
交通事故証明書は加害者側の保険会社(任意保険)が取得するので、自分で取得する必要はありません。
ただし、加害者が任意保険未加入であれば自分で申請して取得することになります。
取得方法は以下の3つになりますが、早く取得したいときは自動車安全運転センターの窓口で申請した方がよいでしょう。
交通事故証明書の取得方法
具体的には以下の手順になるので、必要書類も参考にしてください。
各都道府県にある自動車安全運転センターの窓口では、交通事故証明書の発行申請を受け付けています。
「交通事故証明書申込用紙」に必要事項を記入して交付手数料を支払えば、基本的には即日交付されるので、急ぎの方は窓口申請した方がよいでしょう。
申請窓口は全国どこの自動車安全運転センターでも構いませんが、以下のような状況であれば交通事故証明書は郵送扱いになります。
なお、申請できる人は交通事故の被害者や加害者、損害賠償請求権のある親族や保険金の受取人となります。
各センターの所在地は以下のリンクを参照してください。
交通事故証明書はインターネット申請もできるので、まず自動車安全運転センターの公式サイトでメールアドレスを登録し、案内メールに従えば交付申請できます。
手数料は1通につき800円および払込手数料132円がかかり、以下のコンビニエンスストアまたはペイジー、あるいはネットバンキングによる支払いが確認された後に郵送されます。
手数料は申請から7日以内に支払いますが、7日を過ぎると自動キャンセルされます。
申請は交通事故の当事者本人に限られており、交通事故証明書に記載された住所以外には郵送されないので注意してください。
申請後は概ね10日程度で郵送されます。
参考:各種証明書のインターネット申請(自動車安全運転センター)
郵便局やゆうちょ銀行窓口で交通事故証明書を交付申請するときは、以下のように手続きを進めてください。
交通事故証明書申込用紙は近くの警察署や交番で取得してください。
必要事項を記入した後は郵便局またはゆうちょ銀行窓口へ提出し、交付手数料800円と払込手数料を支払います。
交通事故証明書は申請から10日程度で自宅に郵送されますが、自宅以外へ郵送を希望するときは交通事故証明書申込用紙の通信欄に記入してください。
交通事故証明書には、事故の基本情報として以下の内容が記載されています。
交通事故証明書の記載内容
交通事故証明書は事故の発生のみ証明する書類なので、事故の原因や目撃証言、過失割合やどちらが加害者・被害者かといった情報は記載されていません。
交通事故証明書は取得できる人や取得期限が定められているので、以下の点に注意してください。
交通事故証明書は物損事故、または人身事故によって以下のように取得期限(交付期限)が定められています。
原則として、取得期限を経過すると交付申請は受け付けてもらえないので注意してください。
交通事故証明書には個人情報が記載されるため、以下のように取得できる人が限定されています。
申請時には本人確認書類が必要となり、当事者以外が申請する場合は委任状も必要です。
ただし、委任状については以下の扱いになるので注意してください。
委任状を用意できないときはケースバイケースの対応になるため、詳しくは自動車安全運転センターに問い合わせてください。
交通事故証明書は事故発生の事実のみ証明できますが、保険会社から補償を受ける際に必要となり、過失割合に影響する実況見分調書の取得も可能となります。
当事者同士で物損事故扱いにしたときでも、必ず警察へ連絡して交通事故証明書が作成されるようにしてください。
交通事故証明書の取得方法は特に難しくありませんが、日中に時間を避けない方はインターネット申請も利用してみましょう。
なお、交通事故証明書や実況見分調書が作成されても、示談交渉が有利な展開になるとは限りません。
保険会社は基本的に慰謝料や治療費を低く見積もってくるので、安易に承諾すると高額な治療費でも自己負担する羽目になってしまいます。
十分な補償を受けたいときや、示談交渉がまとまらずに困ったときは、交通事故に強い弁護士へ早めに相談しておきましょう。