東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
目次
交通違反をすると警察官に反則金(反則切符を切られると違反点数が課せられ、違反点数が一定以上になると免許停止、取り消しなどの処分をうけることになります。
また、交通事故を起こした場合も、違反点数が課せられます。
点数は、違反や事故の内容などによって、それぞれ決められており、一覧表として作成されており、警視庁をはじめ、各都道府県の警察庁ホームページなどで確認することができます。
この交通違反や事故を起こすことによって加算された違反点数が一定の点数を超えると、免許の停止や取り消しなどになります。
そしてこの停止期間(30、60、90、120、150、180日の6パターン。講習を受けることにより停止期間を短縮できることができます。)や取消の欠格期間(1~10年)が過ぎないと免許を与えてもらうことはできません(厳密には、免許の更新はできますが停止期間中に運転はできないとされています)。
では、交通違反や交通事故を起こした場合、どのように加算されていくのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
※反則金を7日以内に指定の場所に納付すれば、刑事訴追(ドラマのように裁判所にかけられる)ことはなく、検察官と裁判所との間での書類のやり取りのみで、罰金などの刑が言い渡されます(「略式手続」といいます)。
交通違反や交通事故を起こした場合、どのように違反点数が加算されるかは、一覧表として作成されており、基礎点数と付加点数に分類されております。
参考:警視庁 「交通違反の点数一覧表」
違反や事故の内容に応じて1~35点が与えられます。
↓
参考:警視庁 「交通事故の付加点数」
事故の種別や内容によって、1.基礎点数に付加点数(2~20点)が加算されます。
↓
1.2に加え、違反や交通事故をした日を含め過去3年間以内の違反点数を合算します。
ただし、例外的に下記の場合は、過去3年間位内の違反点数は合算されません
↓
参考:警視庁 「行政処分基準点数」
1~3の結果算出された数字に加え、過去の行政処分の前歴に応じて、上記と照らし合わせます。
例えば、
※上記に述べてある「行政処分」とは、交通事故や交通違反などで罰金や免許停止・取り消しの処分を受けた人のことをいいます。
1.基礎点数で列挙されている以外の事由、つまり下記に掲げる特定の違反行為をした場合の基礎点数(35~62点)は非常に重く、単なる免許停止だけではなく最低でも8年以上の取消事由になるばかりではなく、刑事罰に科せられます。
運転殺人(故意に車で人をはね死亡させた場合) | 62点 |
---|---|
運転傷害等(故意に車で人をはね、治療期間3ヶ月以上あるいは障害が残った場合) | 55点 |
運転傷害等(故意に車で人をはね、治療期間30日以上3ヶ月未満の場合 | 51点 |
運転傷害等(故意に車で人をはね、治療期間15日以上30日未満の場合) | 48点 |
運転傷害等(故意に車で人をはね、治療期間15日未満または建造物破損の場合) | 45点 |
危険運転致死(あおり運転など※、事故を誘発するような運転を行い、交通事故を発生させ、死亡させた場合) | 62点 |
危険運転致死(上記運転による事故で、治療期間3ヶ月以上あるいは障害が残った場合) | 55点 |
危険運転致死(上記運転による事故で、治療期間30日以上3ヶ月未満の場合) | 51点 |
危険運転致死(上記運転による事故で、治療期間15日以上30日未満の場合) | 48点 |
危険運転致死(上記運転による事故で、治療期間15日未満の場合) | 45点 |
酒酔い運転、麻薬等(危険ドラッグ含む)、ひき逃げ | 35点 |
上記の内、運転殺人・運転傷害・危険運転致死の場合は、「2.付加点数」は加算されませんが、ひき逃げの場合は、35点が加算されます(つまり運転殺人でひき逃げの場合は62+35=97点)。
※アルコールや脱法ハーブを使用しながら、半ば酩酊(あるいは錯乱)状態で運転を起こした場合、危険運転とされより重い刑事罰あるいは行政罰が科せられるかについては争いがありました。
近年は悪質な交通事故が増加しており、適用される傾向にあります(2006年福岡海の中道大橋飲酒事故や、2012年京都の脱法ハーブや、2015年東京の危険ドラックなど)。
実際に交通事故や違反を起こさなくても、失明や高齢、運動機能の低下などで運転できなくなった場合も運転免許取り消しになり、交通事故を教唆(きょうさ。運転者に事故を指示した場合など)した場合も運転者と同様の処分を受けます。
また、酒酔い運転や覚醒剤を使用しての運転や、共同危険行為等は、交通事故発生の有無に関係せず、即取り消しに該当する場合もあります。
時速30キロ(高速40キロ)以上のスピードオーバーで、免許停止になり、さらに死亡事故をおこすと即取り消しになります。
日本における自家用車をはじめ、自動車の交通網の発展に伴い、交通事故や交通違反も自然と発生します。
漫画やSFで描かれているような完全自動運転の世界が来ない限り、交通事故や交通違反は無くならないでしょう。
そして、交通事故や交通違反の場合の罰則はシステマチックに制度化され、違反を行い、一定程度の違反点数に達しますと、30日の免許停止から10年間の免許取り消し処分を受けることとなります。
もちろん、まだ免許停止になるほどの違反点数に至っていないからといってずさんな運転をしてもいいはずがなく、常日頃から安全な運転を心がけましょう。