東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
タイムズ(Times)はコインパーキングが全国展開されており、近年ではカーシェアリングの利用数も増加しています。
会員になるといつでも車をシェアできるため、週末だけ乗りたい方や、車の維持費を抑えたい方などに向いているサービスでしょう。
タイムズカーシェアは自動車保険も付帯していますが、交通事故を起こした場合、マイカーとは対処法が異なる部分もあります。
利用方法が規約違反であったり、自己判断で交通事故を処理したりすると、十分な補償を受けられないかもしれません。
今回は、タイムズカーシェアで交通事故を起こした場合について、対処法や補償内容、費用などをわかりやすく解説します。
目次
タイムズカーシェアで交通事故を起こしたときは、以下の手順で対処してください。
基本的にはマイカーの交通事故と変わりませんが、タイムズカーシェアのコールセンターに事後連絡しなければならないため、詳しい状況把握が必要です。
では、具体的な初期対応の流れをみていきましょう。
タイムズカーシェアの利用中に交通事故が発生した場合、まず負傷者の救護を優先します。
救護を怠ると「ひき逃げ」として扱われてしまい、以下の刑罰に処される可能性があります。
負傷者に意識がない場合など、自分で対処できないときは速やかに119番へ連絡し、救急車を手配してください。
事故車両や積荷の散乱は二次被害につながりやすいため、安全を確保しつつ、路肩やガードレールの外側に移動させておきましょう。
交通事故は警察への通報が義務付けられており、怠ったときは3カ月以下の懲役、または5万円以下の罰金になる恐れがあります。
負傷者がいるときは救護を優先し、次に110番通報しておきましょう。
警察に交通事故を通報すると、交通安全センターで「交通事故証明書」を発行してもらえるため、事故発生の事実を保険会社に証明できます。
110番通報する際には、「○○交差点の北側」など、できるだけ正確な位置情報を伝えてください。
交通事故の発生を警察へ通報した後は、タイムズカーシェアのコールセンターに電話しておきましょう。
コールセンターには以下の事故受付番号があり、24時間対応です。
コールセンターに電話すると、事故の詳細情報が保険会社に転送されます。
タイムズカーシェアの会員に過失があった場合、保険会社が相手方と直接やりとりするため、自分で事故処理しないように注意してください。
事故の影響で車を動かせなくなった場合も、コールセンターがレッカー車を手配してくれます。
タイムズカーシェアのコールセンターに事後報告した後は、スマートフォンなどを使って事故現場を撮影してください。
以下の状況を撮影すると、交通事故の発生原因などを特定しやすくなります。
なお、タイムズカーシェアの車両はドライブレコーダーを標準装備していますが、利用者による記録メディアの抜き取りはできません。
警察から情報開示請求があった場合のみ、ドライブレコーダーの映像が資料として提供されます。
タイムズカーシェアの事故を110番通報すると、警察による実況見分が行われます。
実況見分は任意捜査ですが、警察に協力すると「実況見分調書」が作成されるため、事故の発生状況を詳しく伝えておくとよいでしょう。
実況見分調書の内容には客観性があり、相手がいる事故の場合は、過失割合を決定する有力な資料となります。
現場の調査や聴き取り捜査が終わると、実況見分の内容確認が行われるため、間違いがなければ供述調書に署名してください。
タイムズカーシェアで交通事故を起こした場合、利用者の対応によってはペナルティ料金が発生します。
自動車保険の保険料は利用料金に含まれていますが、対象外の補償もあるため注意が必要です。
具体的な補償内容や、費用が発生する状況は以下を参考にしてください。
タイムズカーシェアを利用する場合、以下の補償が料金に含まれています。
対人補償は無制限になっており、自賠責保険の限度額(死亡事故は3,000万円)を超えた部分を任意保険で補償します。
対物補償は免責額が0円に設定されているため、車両の破損部分を修理する場合、利用者の自己負担はありません。
タイムズカーシェアに搭乗者傷害保険は付帯していませんが、搭乗者の死傷や後遺障害については、運転者の過失割合に関係なく損害額が補償されます。
NOC(ノンオペレーションチャージ)とは、交通事故によって車が使えなくなった場合、カーシェア会社に支払う営業補償です。
タイムズカーシェアの安心補償サービスに加入していても、以下の規約違反があるとNOCが発生します。
車両の破損状況によっては、以下のように「NOC+実費」も請求されます。
車を無断で乗り捨てた場合は、移動費や延長料金も加算されるでしょう。
タイムズカーシェアを利用する際は、以下の「交通事故でよくある質問」も参考にしてください。
カーシェアサービスは運営会社ごとの規約があり、違反したときは会員資格の取消しや、修理代金の全額負担も発生します。
タイムズカーシェアにも貸渡約款があるため、ルールを守って利用しましょう。
タイムズカーシェアで事故を2回起こした場合、会員資格の取消しとともに、車両修理費の実費を請求されます。
具体的には、2年以内に車両が大破する事故や、全損事故を起こしたケースが該当します。
軽微な事故であっても、2年以内に複数回繰り返した場合は、会員資格の取消しまたは停止となり、車の修理費も全額自己負担しなければなりません。
ミニバンやSUVなどのプレミアクラスを利用していると、車両修理費も高額になるため要注意です。
タイムズカーシェアで車を擦った場合、修理が完了するまで車を使えないため、NOC(ノンオペレーションチャージ)が発生します。
安心補償サービスに加入していると、事故発生時のNOCは免除されますが、以下の利用状況だったときは補償を受けられません。
破損した車を無申告で返却しても、タイムズ側のチェックで判明するため、「擦ったら確実にバレる」と理解しておきましょう。
タイムズカーシェアは月額基本料金が低くなっており、ガソリン代も含まれているため、わずかな負担で利用できます。
交通事故が発生したときの補償についても、一般的な自動車保険とほぼ同等です。
なお、利用者が規約に違反していると、損害賠償が自己負担になってしまう恐れがあります。
自動車保険が適用されない場合、相手との示談交渉にも自分で対応しなくてはなりません。
カーシェアサービスで交通事故が発生し、どのように対処してよいかわからないときは、弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所の無料相談もご活用ください。