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経済的全損とは?加害者に請求できる費用や泣き寝入りしやすいケースも

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

この記事でわかること

  • 経済的全損となる条件の有無
  • 自動車の修理費用全額を賠償として請求できるかの判断方法
  • 経済的全損の賠償金を請求する方法

「経済的全損」は、交通事故で修理費が車の再取得費用を超える場合に適用される基準です。
この基準を使うと、損害賠償金は再取得費用が上限となり、修理費の全額を請求できないことが多いです。

経済的全損の場合、修理が可能でも修理費が高額な場合、買い替えが推奨されます。
加害者への請求は、事故当時の車両の時価と買い替え諸費用が基本となりますが、保険会社と交渉することで、愛車を修理して手元に残す選択も可能です。

この記事では、経済的全損の概要から賠償の基準、請求できる費用の詳細、さらに車両を保持する方法までをわかりやすく解説します。

経済的全損とは

交通事故での「経済的全損」は、修理費用が自動車の再取得費用を上回る場合に適用されます。
これにより、損害賠償金はその再取得費用を上限とします。

加害者は被害者の損害を賠償する義務がありますが、車が経済的全損とみなされる場合は、同等の車両への買い替えが適切とされています。

経済的全損となった車は、修理すれば再び使用可能です。
しかし、経済的全損の基準に基づくと、修理費用全額を賠償として受け取ることはできません。

車種や年式により、修理費が高額になる場合もあります。
しかし、その全額を上限なく加害者に負担させるのは公平性に欠けるため、「経済的全損」という考え方が生まれました。
高額な修理費が不当に被害者側の利益になることを防ぐため、裁判実務でもこの基準が採用されています。

実際には修理して使い続けることも可能ですが、修理費が再取得費を超える場合、物理的な全損と同じ扱いをして賠償額を抑える意図があります。

経済的全損と物理的全損の違い

経済的全損と物理的全損の違いは、車が修理できるかどうかと修理費用にあります。

物理的全損は、修理が不可能なほどの損傷を受けた場合を指します。
大きな事故で車が元の状態に戻せない場合に該当し、多くの場合、廃車処分となります。

一方、経済的全損は、修理は可能だが修理費が高額になり、買い替えた方が安く済む状態です。
この場合も、多くの人が廃車を選ぶことが一般的です。

経済的全損になった車に乗り続けることはできるのか

交通事故で車が経済的全損と判断され、保険会社から保険金が支払われる場合、車の所有権は通常、保険会社に移ります
保険会社は、損傷した車をスクラップ処分にして費用を回収するため、たとえ修理可能でも、多くの場合は車を手放すことになります。

しかし、経済的全損は物理的全損と異なり、修理さえすれば再び運転することが可能です。
車に愛着がある場合や、同じ車種を見つけにくい場合もあります。
そのため、保険会社と交渉すれば、所有権を手放さずに乗り続けられる可能性があります
愛車を手放したくない場合は、その意思を保険会社にしっかりと伝えることが大切です。

経済的全損で加害者に請求できる費用

交通事故で車が「経済的全損」と判断されると、修理費用の全額を加害者に請求することはできません。
代わりに、事故当時の車両の時価額と、新たに車を購入する際に必要な諸費用を請求することが一般的です。

車両の時価額

経済的全損の際、請求できる損害額は事故当時の車両の「時価」に基づきます。

裁判例によれば、「事故時の車両価値は、同じ車種・年式・型式、そして同等の使用状態や走行距離の中古車を市場で取得する際の価格で算出すべき」とされています(東京地裁平成29年10月3日判決など)。

時価の算出には、一般的に「レッドブック」(オートガイド自動車価格月報)が参考として用いられます。
「レッドブック」とは、中古車の買取価格、卸売価格、小売価格などが車種や型式ごとに記載された資料です。
さらに、インターネットの中古車販売サイトやオークション情報、中古車専門誌の取引情報も、被害車両の価値を正確に導き出すための補助資料として活用されます。

これらの資料を基に、同じ車種や年式、使用状態、走行距離などの条件で検索し、取引価格の平均値を参考に評価が行われます。

買い替え諸費用

経済的全損となった場合、同種・同等の車両を再取得するための「買い替え諸費用」も損害として加害者に請求できます

買い替え諸費用には、以下が含まれます。

  • 車両登録や車庫証明の費用
  • 廃車手数料
  • 納車手数料
  • ディーラーへの報酬
  • 自動車取得税
  • 自動車重量税
  • ナンバープレート取得費用
  • 車両価格にかかる消費税

これらの費用を加害者に請求できるのは、単に時価相当額だけでは車両の再取得が難しいためです。
買い替え諸費用が補償されることで、被害者の損害が十分に回復されると考えられています。

このような買い替え諸費用の見積もりは、ディーラーから取得することで算出可能です。

経済的全損による損害額の計算方法

経済的全損による損害額は、車両の時価額と買い替え諸費用の合計として算出されます。
具体的な計算式は、次の通りです。

損害額=車両の時価額+買い替え諸費用

この方法により、被害者が事故前の状態に戻れるよう、実際の再取得に必要な費用が考慮されます。
しかし、実際の損害額の確定には、いくつかのポイントも重要です。

追加費用や調整

経済的全損の損害額算定では、事故によって追加的に発生する諸費用や調整が必要な場合もあります。
たとえば、新車購入時に必要なオプション装備や保険料などは、通常の計算に含まれないため、ケースに応じた対応が求められます。

時価額の変動要素

中古車市場の価格は需要や車種の人気により変動するため、時価額の査定は最新の市場状況に基づいて行う必要があります。
人気の高い車種やレアモデルの場合、時価額が高めに設定されることもあり、これが損害額の計算に影響を与えることがあります。

経済的全損と言われた後の対応

交通事故で「経済的全損」と判断された場合、被害者側には冷静な対応が求められます。

保険会社からの提示額や条件に納得がいかない場合は、適正な修理費や時価額、買い替え諸費用を確認し、必要に応じて交渉することが重要です。
ここでは、経済的全損とされた後に被害者が取る対応について詳しく解説します。

正確な修理費用の見積もりを出す

加害者から「経済的全損」を主張されないためには、修理費用が正確であることが欠かせません
余分な修理や高額すぎる修理が含まれていると、相手側から疑念を抱かれやすくなります。
そのため、修理費は実際に必要な範囲で具体的に見積もってもらいましょう。

適切な修理費を算出するためには、複数の修理工場から見積もりを取るのが効果的です。
さらに、加害者の保険会社が派遣するアジャスター(調査員)による確認では、修理工場の見積額よりも低く見積もられることが多いです。
修理内容と費用についての詳細な見積書を提出してもらい、しっかり確認することが大切です。

時価額を上げるよう交渉する

保険会社が提示する時価額が低い場合、被害者は適正な金額を主張することができます
車の時価額は、同じ車種や年式、走行距離など、条件が近い車両が中古市場で取引される価格をもとに決まります。
新車の価格や経過年数による単純な減価ではなく、実際の市場価格が基準です。

保険会社の提示額が市場価格よりも低いことはよくあります。
その場合、被害者自身で中古車サイトなどを調べ、より高い市場価格を提示して、適正な時価額を求めることが可能です。

特に流通量の多い車種の場合、年式や走行距離を指定して類似車の価格を確認し、平均価格などを参考にすることで、適正な時価額を主張しやすくなります。

買い替え諸費用を請求する

経済的全損の場合、修理費と比較する基準は「時価額に買い替え諸費用を加えた合計額」です。
しかし、保険会社が提示するのはほとんどのケースで、時価額のみです。
買い替え諸費用を追加するためには、被害者がその必要性を主張する必要があります。

買い替え諸費用として認められるのは、車の登録手数料や車庫証明、廃車手数料、ディーラーの報酬、自動車取得税などです。
一方、事故車の自賠責保険料や新たに購入する車の自動車税、自動車重量税などは通常含まれません。

適切な賠償額を求めるには、こうした買い替え諸費用を時価額に上乗せして請求することが重要です。
四輪車の場合は、さらにリサイクル費用なども追加できるケースがあります。

裁判で争う

交通事故で「経済的全損」かどうかを最終的に判断するのは保険会社ではなく裁判所です。
保険会社が経済的全損を主張するのは、増加した修理費用の支払いを避けたいためです。

当事者間で示談が成立しない場合、裁判で争うことになります。
裁判所は、経済的全損かどうかや、適正な損害額について証拠に基づき判断します。

こうした手続きは、交通事故の経験豊富な弁護士に依頼することでスムーズな解決が期待できます。

経済的全損で泣き寝入り・おかしいと感じやすいケース

事故で車やバイクが壊れた場合、通常は修理費を相手に請求できます。
しかし、先述の通り、「全損」と判断されると、修理費そのものは請求できなくなります。
全損の場合、請求できる損害額は、事故前の価値から事故後の価値を引いた差額です。

たとえば、事故前の車の時価が50万円だった場合、事故で0円になったとしても、差額は50万円です。
つまり、この50万円が請求できる上限であり、修理費がそれを超えていても補償されません。

修理が可能であっても、修理費全額を請求できないことに不満を持つ被害者も少なくありません。

ただし、全損と認定された場合でも、事故前の車の時価相当額は補償されます。
たとえば、修理費が70万円かかるケースでも、50万円の時価額は支払われる、という形です。

それでも、不満が残る場合が多いのは、保険会社が提示する時価額が市場価格より低いと感じられることが多いためです。

もらい事故の被害者になってしまった場合

被害者に過失がない「もらい事故」で全損となると、被害者が不満を感じることが多いです。

その理由は、修理費を請求できず、全損とされてしまうことで、支払われる時価額が低すぎて同等の車に買い替えることが難しいためです。

さらに、過失割合が10対0の事故では、相手の保険会社から時価額の賠償を受けた場合、車を引き上げられることもあります。
こうなると、時価額の賠償を受けた後に車を修理して乗り続けることもできなくなります。

また、相手の保険会社が時価額を支払わないからといって、加害者本人に修理費を直接請求することもできません。

このような状況に置かれると、被害者として「納得できない」と感じるのも無理はありません。

旧車が経済的全損となった場合

古い車や旧車が事故で全損扱いになると、正当な時価額が認められにくいことが多々あります。
こうした車は「レッドブック」に価格が掲載されていない上、市場でも同年式の車がほとんど出回っておらず、価格の参考データが十分に揃いません

たとえ同型車が見つかったとしても、希少性や車の状態によって価格が大きく異なるため、市場の相場として適切に評価されないこともあります。

こうした状況では、保険会社が新車価格の一部や減価償却後の低い時価額を提示することが一般的です。
そのため、提示額が実際の価値とは大きく異なり、古い車を所有する被害者が納得しづらいケースが少なくありません。

新車が経済的全損となった場合

新車が事故で全損扱いになるケースは少ないものの、大破するような大きな事故ではその可能性があります。
新車の場合、時価額が高いため通常は修理費がその価値を超えることは少ないですが、全損と判断されると話は変わってきます。

特に、新車であっても一度名義登録がされていると「登録落ち」とみなされ、購入時の価格よりも時価額が低く算定されることが一般的です。
また、購入から数カ月以上が経過している場合、減価償却が適用され、時価額は新車価格よりもさらに下がる傾向があります。

そのため、新車を購入して間もないにもかかわらず、購入額より低い補償額しか受け取れず、同等の新車を買い替えることが難しくなることが多いです。
「新車を買ったばかりなのに…」と、期待していた補償額との差に不満を抱くケースも少なくありません。

経済的全損に関するよくある質問


経済的全損になると、車の修理や買い替えにどのような影響があるのか、疑問を抱く方も多いでしょう。
ここでは、経済的全損に関するよくある質問に対して、わかりやすく回答していきます。

全損になった車はどうなるか

全損と判断された車は、状態によって異なります。
物理的全損の場合、修理が不可能なため廃車になります。
経済的全損の場合は、修理費が高額すぎるため、通常は買い替えを選ぶことになります。

経済的全損となった車を修理することはできるか

前述したように、経済的全損とは修理費用が車の時価を超える状態で、修理自体は可能です。
この場合、保険金が支払われると車の所有権は保険会社に移り、通常は車が手放されます。

ただし、愛着のある車や代わりが見つけにくい車の場合、保険会社と交渉して所有権を自分に残し、修理して乗り続けることも選択肢の一つとなります。
この場合、保険金を受け取り、足りない分の修理費用を自己負担することで愛車を維持できます。

また、被害者が加入する「車両保険」や、加害者の「対物超過特約」を活用することで、修理費用の補償を受けられる可能性もあります。
保険の補償内容を確認し、修理費をカバーできるかどうか調べておくとよいでしょう。

まとめ

交通事故で「経済的全損」と判断された場合は、被害者にとって納得のいかない結果となりがちです。
しかし、冷静に状況を把握し、適切な行動を取ることで、より良い結果を引き出すことが可能です。
時価額や買い替え諸費用の妥当性をしっかり確認し、必要に応じて保険会社との交渉や専門家のサポートを受けましょう。

特に、愛車を修理して手元に残したい場合や、提示された賠償額に納得がいかない場合は、早めに弁護士や専門家に相談することをおすすめします。
迅速な対応が、今後の対応をスムーズに進めるカギとなります。

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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