「交通法規」とは、道路交通に関する法律や規則全般を指し、運転者や歩行者が守るべきルールを定めています。
一方、道路交通法は交通法規の中でも特に道路での安全と秩序を保つために作られた法律です。
違反時には、反則金や罰金、違反点数の加算、運転免許の停止や取り消しなどのペナルティが科される場合があります。
この記事では、交通法規と道路交通法の違いや違反時の処罰について詳しく解説します。
「交通法規」とは、「こうつうほうき」と読み、道路交通に関するすべての法律や規則を指す一般的な用語です。
その中には「道路交通法」も含まれますが、これらは少し異なる意味を持っています。
「道路交通法」は、道路での危険を防ぎ、交通の安全とスムーズな流れの確保を目的として制定された法律です。
この法律では、道路上で守るべき基本的なルールや、違反した場合の罰則、違反行為の処理手続きが定められています。
昭和35年(1960年)に施行され、「道交法」と略される場合もあります。
道路交通法は、交通法規の一部として位置づけられています。
また、交通法規には他にも、自動車事故を起こした際の処罰を定めた「自動車運転致死傷行為処罰法」や、道路交通法に基づいて道路標識の様式や意味、設置場所を定めた「標識標示令」などが含まれています。
交通法規の対象は、車を運転する人だけでなく、バイクや自転車の運転者、そして歩行者も含まれます。
車やバイク、自転車は、運転によって他人にけがを負わせ、最悪の場合、死亡させるリスクがあるため、それを避けるためのルールが定められています。
また、歩行者に関しても、自身の安全を守るための規定が設けられており、交通法規はすべての道路利用者に適用されます。
道交法では、交通に関する様々なルールが以下の通り網羅的に規定されています。
ここでは、道交法の主な交通ルールや罰則、反則金についてわかりやすく解説していきます。
道路交通法の第2章では、歩行者が道路を通行する方法についての規則が定められています。
交通事故の多くは車両が関係しているため、車両に対しては多くの規制が設けられています。
以下に、主な規制内容を紹介します。
車両の運転者には、交通安全を守るために以下の義務が課せられています。
高速道路や自動車専用道路での自動車の走行には、次のようなルールが適用されます。
高速自動車国道や自動車専用道路を走行する際、運転者には次のような義務が課されています。
「特定自動運行」とは、過疎地域や高速道路などの特定の条件下で、システムによって完全に自動運転が行われる状況を指します。
つまり、運転者の操作が一切不要な「レベル4」の自動運転です。
特定自動運行を実施するには、運行予定の場所を管轄する公安委員会から許可を得る必要があります(道路交通法第75条の12第1項)。
また、実施者は道路交通法に基づいた規則を守らなければなりません。
自動車や原動機付自転車を運転するためには、公安委員会から運転免許を取得する必要があります(法第84条第1項)。
道路交通法では、2つの運転免許の種類があります。
一般的な運転に必要な「第一種免許」と、タクシーやバスなど旅客を運ぶ目的で運転する際に必要な「第二種免許」です。
道路交通法に違反すると、懲役刑、禁錮刑、罰金刑などの刑事罰が科される可能性があります。
比較的軽い違反(違反点数6点未満)については、一定期間内に反則金を支払えば、刑事罰を受けずに済む仕組みがあります。
この反則金は行政罰と呼ばれ、罰金とは異なります。
この仕組みを「交通反則通告制度」といいます。
また、行政処分には反則金だけでなく、運転免許の取り消しや停止処分もあります。
これらの処分は、違反点数の累積に応じて決定されます。
道路交通法に違反した場合でも、特定の違反については、警察からの通告を受けた日から10日以内に反則金を支払えば、刑事罰を避けられます(法第128条第2項)。
反則金の対象となる違反内容や金額については、警視庁のウェブサイトで確認できます。
交通違反に対するペナルティには、以下の種類があります。
違反点数は行政処分の一部です。
3点以内の違反であれば、その後3カ月間無事故・無違反で過ごすと、点数はリセットされます。
重大な交通違反に対して科される刑事処分です。
例として、以下のような罰金があります。
交通反則通告制度に基づく行政処分で、比較的軽い違反に対して科されます。
反則金の額は違反内容や車両の種類によって異なり、たとえば安全運転義務違反の場合、以下のように金額が設定されています。
反則金を支払うと、刑事責任を問われずに済みます。
反則金を支払わなかった場合、手続きが行政から刑事へ移行し、成人は検察庁に書類送検され、少年は家庭裁判所に送致されます。
ここでは、交通法規違反になりやすい行為を10個ご紹介します。
免許不携帯とは、運転中に運転免許証を持っていない状態を指します。
この違反では違反点数は加算されませんが、3,000円の反則金が科せられます。
免許証の所持自体は運転に必要な要件なので、常時の携帯が求められています。
車両に定められた乗車定員を超えて運転する場合、定員オーバーの違反となり、反則金は6,000円です。
刑事罰としては、10万円以下の罰金または6カ月以下の懲役が科される場合もあります。
安全な走行のため、定員を守らなければなりません
一時停止違反は、指定された場所で車を一時停止しない場合に科される違反です。
通常は反則金が発生しませんが、特に自転車による一時停止違反で事故を起こした場合、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される場合があります。
安全確認のため、一時停止は重要です。
信号無視とは、赤信号や黄色信号を無視して進行する行為です。
信号無視は反則金と違反点数の対象となり、特に赤信号無視では反則金が最大1万2,000円、違反点数は2点です。
信号を守らないと重大な事故につながる可能性があるため、厳しい規制が設けられています。
通行禁止の標識や表示がある場所に車両が進入すると、通行禁止違反となります。
大型車の場合、反則金は9,000円で、違反点数は2点です。
また、重い場合には3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される場合があります。
左車線からの追越しや、2台以上を一度に追い抜く行為は追越し違反です。
違反点数は2点、反則金は大型車で1万2,000円、刑事罰としては3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。
追越しは安全に行いましょう。
運転中にスマートフォンや携帯電話を手に持って使用することは法律で禁止されています。
違反すると大型車で2万5,000円の反則金、違反点数3点が加算されます。
また、携帯電話の使用により交通の危険が生じた場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
スピード違反とは、決められた速度を超えて走行する行為です。
一般道路では時速30km以上、高速道路では時速40km以上の超過で、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される場合があります。
反則金は最大4万円、違反点数は最高12点です。
速度違反は重大な事故の原因にもなりやすいため、厳しい罰則が設けられています。
飲酒運転は、アルコールの影響で正常な運転ができない状態で車を運転する行為です。
酒気帯び運転は、呼気中のアルコール濃度が0.15mg以上の状態で運転する状態を指し、濃度0.25mg以上の場合は違反点数がさらに加算されます。
飲酒運転の違反点数は35点、罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
あおり運転は、他の車両に危険を生じさせる運転行為で、違反点数は25点(危険が生じた場合は35点)と高く、免許取消処分の対象となります。
罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、危険が生じた場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
運転者だけでなく、歩行者も交通ルールを守る必要があります。
今一度、自分が守らなくてはならないルールを確認し、安全な道路利用を心がけましょう。
もし不安な点があれば、交通法規を再確認して、違反を防ぐための行動を取ってください。