

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

目次
不注意でガードレールに擦ってしまった場合は、修理費用の負担や支払先を正しく理解したうえで対応することが大切です。
ここでは、修理費用を負担する人や支払先、道路管理者への連絡方法について解説します。
ガードレールに擦って損傷させた場合は、原則として事故を起こした人が修理費用を負担します。「ガードレールは税金で設置されているから、修理費用を請求されることはない」と考える方もいますが、そのようなことはありません。
ガードレールは、国や都道府県、市町村などの道路管理者が設置・管理する公共の工作物です。そのため、事故によって破損させた場合は、道路管理者に生じた損害を賠償する必要があります。
ガードレールの修理費用は、事故現場の道路を管理する道路管理者へ支払います。道路管理者は道路の種類によって異なり、国道であれば国、都道府県道であれば都道府県、市町村道であれば市町村が管理しています。
事故を起こした場合は、まず警察へ届け出たうえで、道路管理者へ破損の状況を連絡しましょう。市道であれば、市役所の道路維持課や道路管理課などが窓口となることが一般的です。
なお、任意保険の対物賠償保険を利用する場合は、保険会社が道路管理者との連絡や修理費用の支払い手続きを進めることが多いため、自分で対応する場面は限られます。
一方、保険を利用しない場合は、自分で道路管理者と直接やり取りを行い、修理費用を支払う必要があります。
ガードレールに擦った場合は、落ち着いて対応することが大切です。事故後の対応を誤ると、保険金を受け取れなくなったり、道路交通法違反に問われたりするおそれがあります。
ここでは、事故直後に行うべき対応を順番に解説します。
ガードレールに擦ったら、まずは安全な場所に車を停め、運転者や同乗者にけががないか確認しましょう。その後、車やガードレールの破損状況を確認します。
事故現場で被害状況を確認するときは、二次事故を防ぐことが最優先です。ハザードランプを点灯させるほか、必要に応じて発炎筒や三角表示板を設置し、後続車へ事故の発生を知らせましょう。
警察や保険会社への連絡をスムーズに進めるため、車を移動させる前に「車両の破損部分」と「ガードレールの傷・周囲の状況」をスマートフォンなどで複数方向から撮影しておくのがおすすめです。後日、道路管理者(自治体や国など)から損害賠償請求が行われる際、客観的な資料となります。
ガードレールに擦った場合は、損傷が軽微であっても必ず警察へ届け出ましょう。
交通事故を起こした運転者は、警察へ事故を報告する義務があります(道路交通法72条1項)。これは、人身事故だけでなく、ガードレールを擦った単独事故や物損事故にも適用されます。
「少し擦っただけだから」「相手がいない事故だから」と自己判断して警察へ通報しないと、道路交通法違反となる可能性があります。
また、交通事故証明書が発行されず、保険会社へ保険金を請求できなくなるおそれもあります。
事故後は速やかに110番通報し、警察の指示に従って対応しましょう。
警察への届出が終わったら、加入している保険会社に連絡しましょう。
保険会社へ連絡することで、対物賠償保険や車両保険を利用できるかどうかを確認できます。ガードレールの修理費は「対物賠償保険」、自分の車の修理費は「車両保険」の補償対象となることが一般的です。
また、対物賠償保険を利用する場合は、保険会社が道路管理者との連絡や修理費用の支払い手続きを進めてくれます。そのため、事故後は自己判断で修理費を支払ったり示談したりせず、まずは保険会社の指示に従って対応しましょう。
ガードレールの弁償代は、損傷の程度や交換範囲によって異なりますが、数万円から20万円程度になるケースが一般的です。
ガードレール本体の価格は、種類や強度によって異なるものの、1mあたり2万円~5万円程度が目安です。
また、ガードレールは3~4m程度を1セットとして設置されていることが多く、一部だけが損傷したように見えても、連結部分を含めて交換が必要になる場合があります。たとえば、3m分を交換する場合、本体だけでも6万円~15万円程度かかります。
これに加えて、撤去・設置などの工事費として5万円~10万円程度かかることが一般的です。
さらに、衝撃が大きく支柱や基礎部分、地盤まで損傷している場合は、それらの復旧工事も必要になります。このようなケースでは、弁償代が20万円を大きく超えることもあります。
実際の弁償代は、ガードレールの種類や損傷状況、工事内容、交通規制の有無などによって変動します。最終的な費用は道路管理者が算定するため、事故後に提示される復旧費用を確認し、不明な点があれば保険会社へ相談しましょう。
ガードレールに擦った場合は、加入している自動車保険を利用できる可能性があります。ただし、利用できる保険の種類や補償内容は契約によって異なるため、事故後は保険会社へ確認することが大切です。
ここでは、ガードレールを擦った場合に利用できる保険の種類や、保険を利用する際の注意点について解説します。
ガードレールの修理費は、対物賠償保険で補償されることが一般的です。
対物賠償保険とは、他人の財産に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償を受けられる保険です。ガードレールは国や地方公共団体などの道路管理者が所有・管理する工作物であるため、損傷させた場合の復旧費用は対物賠償保険の補償対象となります。
ガードレールに擦って損傷した自分の車は、車両保険に加入していれば修理費が補償される可能性があります。
車両保険とは、自分の車に生じた損害を補償する保険です。ガードレールとの接触事故のような単独事故でも、補償対象となる契約内容であれば修理費の補償を受けられます。
ただし、自身が加入している保険が自損事故を補償対象外とする「エコノミー型」である場合、ガードレールへの単独衝突は保険金が出ないケースがあるため事前の確認が必要です。
修理費が比較的少額であれば、保険を使わずに自費で支払った方が、結果的に経済的な負担を抑えられるケースもあります。
たしかに、保険を利用すれば、ガードレールや自分の車の修理費をその場での大きな自己負担なしで補償してもらうことができます。
しかし、対物賠償保険や車両保険を利用すると、原則として翌年度の等級が3等級下がります。さらに、その後3年間は「事故有係数」が適用され、保険料が割高になるため、数年間の保険料負担が増える可能性があります。
たとえば、ガードレールの修理費が数万円程度で、自分の車の損傷も軽微な場合は、保険を使わない方が結果的に負担を抑えられることがあります。保険を利用すると、等級ダウンや事故有係数による保険料の増加により、将来的な保険料負担が修理費を上回る可能性があるためです。
保険を使うべきか迷った場合は、保険会社へ「保険を利用した場合の翌年以降の保険料への影響」を確認し、修理費と比較したうえで、自費で支払うか保険を利用するか判断しましょう。
ガードレールに擦った場合は、損傷が軽微であっても警察へ通報しなければなりません。「少し擦っただけだから」「相手がいない単独事故だから」と自己判断して通報しないと、状況によっては刑事罰を受けるおそれもあります。
ここでは、警察へ通報しなかった場合に生じる主なリスクについて解説します。
警察へ事故を届け出ないと、保険会社へ車の修理費用を請求できなくなる可能性があります。
自動車保険を利用する際は、事故が発生したことを証明する交通事故証明書の提出を求められることがあります。交通事故証明書は、警察へ事故を届け出なければ発行されません。
そのため、警察へ通報せずに事故を処理すると、保険会社から保険金の支払いを受けられないおそれがあります。
ガードレールを少し擦っただけの事故であっても、後から車の損傷に気づき、修理が必要になることは少なくありません。保険を利用する可能性がある場合はもちろん、利用する予定がない場合でも、事故後は必ず警察へ届け出ましょう。
ガードレールに擦ったにもかかわらず、そのまま立ち去ると、違反点数が加算される可能性があります。
ガードレールを損傷させた後に必要な措置を取らず現場を離れた場合は、いわゆる「当て逃げ」として扱われることがあります。この場合、安全運転義務違反(2点)に加え、危険防止措置義務違反(5点)の違反点数が加算されます。
違反点数が一定以上になると、免許停止などの行政処分を受ける可能性があります。たとえば、過去3年間に行政処分歴がない場合でも、累積点数が6点以上になると30日間の免許停止処分の対象となります。
また、もともと違反点数がある場合や、過去3年間に行政処分歴がある場合は、より重い行政処分を受ける可能性があります。免許取消処分の対象となることもあるため、「少し擦っただけだから」とそのまま立ち去ることは避けましょう。
ガードレールに擦った後、そのまま現場を離れると、行政処分だけでなく刑事罰を受けるおそれもあります。
交通事故を起こした運転者には、警察へ事故を報告する義務や、道路上の危険を防止するために必要な措置を講じる義務があります。これらの義務に違反した場合は、次のような刑事罰が科される可能性があります。
| 違反内容 | 法定刑 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 報告義務違反 | 3カ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金 | 道路交通法72条1項後段・119条1項17号 |
| 危険防止措置義務違反 | 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 | 道路交通法72条1項前段・117条の5第1項1号 |
当て逃げでは、これらの違反が同時に成立することがありますが、最終的には法律のルールに従い、より重い法定刑によって処罰されます。
ガードレールを擦ったことに気付いた場合は、損傷の程度にかかわらず車を安全な場所に停め、速やかに警察へ通報して適切な対応を取りましょう。
ガードレールに擦っただけの事故でも、状況によっては弁護士へ相談した方がよいケースがあります。
特に、高額な修理費を請求されている場合や、人身事故に発展した可能性がある場合、刑事処分に不安がある場合は、自己判断で対応すると不利益を受けるおそれがあります。
弁護士に相談すれば、請求内容の妥当性や今後の対応について法的なアドバイスを受けられるだけでなく、必要に応じて相手方や保険会社との交渉を任せることも可能です。
ここでは、ガードレールに擦った事故で弁護士への相談を検討した方がよいケースを解説します。
道路管理者から高額な修理費を請求された場合は、示談書や同意書に署名・捺印する前に請求の根拠を精査することが重要です。
ガードレールや標識などの道路附属物の修理費は、不法行為に基づく損害賠償請求として性質上、「現に生じた損害の範囲内」でなければ請求が認められません。実務上は、次のような点が問題になることがあります。
弁護士であれば、道路管理者から提出された詳細な見積書、写真資料、工事明細書を取り寄せ、各法律に照らして適正額を厳しく精査します。
過大な請求が見受けられる場合は、法的根拠を示した意見書を提出して減額交渉を行うため、請求額を抑えられる可能性があります。
物損事故から派生して、人身事故や他者の財産への被害が及んでいる場合、民事上の賠償責任と刑事・行政上の責任が複雑に絡み合うため、極めて慎重な対応が求められます。
弁護士に依頼すれば、事故状況や請求内容を確認したうえで、修理費や治療費、慰謝料などの損害項目が適切に算定されているかを確認できます。
また、相手方や保険会社との交渉を任せられるため、損害額の根拠を確認しながら、過大な請求が含まれていないか、適切な賠償内容になっているかを検討できます。必要に応じて、事故状況を踏まえた主張や資料の提出を行い、当事者間での話し合いを円滑に進めることも可能です。
ガードレールを擦っただけの単独事故では、通常、刑事処分が問題になるケースは多くありません。しかし、事故によって人にけがを負わせていた場合や、事故後に必要な対応をせず現場を離れてしまった場合は、道路交通法違反や過失運転致傷罪などの刑事責任が問題になる可能性があります。
警察の捜査段階では、事故後の対応や供述内容が、その後の処分に影響することがあります。弁護士に相談することで、以下のような対応を依頼できます。
刑事事件において「時間が経ってからの相談」は手遅れになるリスクを高めます。警察から事情聴取の要請があった段階、あるいは不安を覚えた直後に、刑事事件の経験豊富な弁護士へ速やかにご相談ください。
ガードレールに擦ってしまった場合、仮に逃げてもあとから発覚する可能性があります。
ガードレールへの接触がバレる主な経路は、以下の通りです。
街頭の防犯カメラだけでなく、店舗や住宅のセキュリティカメラ、周囲を走行する一般車のドライブレコーダーに至るまで、あらゆる角度から道路状況が記録されています。たとえ深夜の人けのない場所であっても、映像や目撃証言から車のナンバーや車種が特定されるケースは多々あります。
事故現場に残されたわずかな塗料の付着痕、バンパーやランプの破片、樹脂片などから、車種や車両の特徴が判明する場合があります。
また、警察による現場確認や鑑識によって、残された証拠から事故を起こした車両が特定されるケースもあります。
「自分の車のキズだけ直せばいい」と考えて修理工場に持ち込んだり、保険を使おうとしたりした際、交通事故証明書がないと保険金が下りなかったり、整備工場から不審がられて発覚したりします。
また、目立つ凹みやキズを残したまま自走していると、パトロール中の警察官や周囲の住民に発見され、職務質問や通報につながるケースも少なくありません。
事故後にそのまま立ち去ってしまうと、単なる物損事故ではなく、事故報告義務違反などの法的責任が問題になる可能性があります。ガードレールを傷つけてしまった場合は、自己判断でその場を離れず、速やかに警察へ通報し、適切な対応を取りましょう。
カーシェアやレンタカーでガードレールに擦った場合も、基本的な対応は自分の車で事故を起こした場合と同じです。まずは安全確保を行い、警察へ事故を届け出たうえで、利用しているカーシェア会社やレンタカー会社へ連絡しましょう。
事故を隠したり、会社への報告を怠ったりすると、保険や補償制度が利用できなくなる可能性があります。また、利用規約違反として追加の費用請求や利用停止などの措置を受けることもあります。
なお、事故によって車両の修理が必要になった場合は、営業できない期間の補償としてノン・オペレーション・チャージ(NOC)が発生するケースがあります。NOCや免責補償制度を利用するためにも、警察への届出とカーシェア・レンタカー会社への事故報告が必要です。
自分の判断で修理したり、傷を隠したりせず、事故後は速やかに正しい手続きを行うことが大切です。
ガードレールに擦ったことに気付かず、後日連絡を受けた場合でも、慌てて対応するのではなく、まずは事実関係を確認することが大切です。
連絡内容や事故現場、車の傷の状況などを確認し、実際に自分がガードレールを損傷させた可能性があるかを判断しましょう。
事故の心当たりがある場合は、速やかに警察へ連絡し、加入している保険会社にも相談してください。後からでも事故の届出を行うことで、必要な手続きや保険利用について案内を受けられます。
また、道路管理者などから修理費の請求を受けた場合は、請求内容や修理費の内訳を確認しましょう。金額や内容に疑問がある場合は、すぐに支払うのではなく、保険会社や弁護士へ相談することも検討してください。
ガードレールを少し擦っただけでも、損傷が確認できる場合は修理費を請求される可能性があります。
「傷が小さいから修理は不要」と思うかもしれませんが、ガードレールは道路の安全を守る設備であり、見た目の損傷だけでなく、安全性への影響も考慮して補修や交換が必要になることがあります。
具体的な修理費は損傷の程度や交換する範囲、必要となる作業内容によって異なります。一部の補修で済む場合もあれば、連結部分を含めて交換が必要となり、費用が高額になるケースもあります。
そのため、軽微な接触であっても自己判断で放置せず、警察や道路管理者へ連絡し、適切な対応を取ることが大切です。
ガードレールに擦った場合、修理費は原則として事故を起こした人が負担します。修理費は損傷の程度や交換範囲によって異なりますが、数万円から20万円を超えるケースもあります。
「少し擦っただけだから問題ない」と考えてそのまま立ち去ると、事故報告義務違反などに問われる可能性があります。また、後から発覚した場合は、保険を利用できなくなったり、道路管理者とのやり取りが複雑になったりするおそれがあります。
ガードレールを擦ったことに気付いたら、まずは安全を確保したうえで警察へ連絡し、加入している保険会社にも相談しましょう。修理費の請求内容に疑問がある場合や、当て逃げとして刑事処分が不安な場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
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