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交通事故に精通しているVSG弁護士法人 > 交通事故弁護士コラム > 過失割合 > 過失割合9対1の交通事故 示談金相場や納得できないときの対処法

過失割合9対1の交通事故 示談金相場や納得できないときの対処法

弁護士 福西信文

この記事の執筆者 弁護士 福西信文

東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/fukunishi/

この記事でわかること

  • 過失割合9対1の事故における示談金の相場がわかる
  • 過失割合9対1の事故で賠償金の計算方法がわかる
  • 過失割合9対1に納得できないときの対処法がわかる

過失割合とは、事故の責任がどちらにどの程度あるのかを数値で示したもので、「9対1」とは一方に9割、もう一方に1割の責任があると判断されたことを意味します。数字上は単純に見えますが、示談金額を大きく左右するため、実際に当事者になると納得しづらいケースが少なくありません。

特に「9対1」という割合は、被害者にとって「ほとんど相手が悪いのに、なぜ自分も責任を負うのか」と感じやすく、保険会社から提示される示談金額にも違和感を覚える人が多い状況です。しかも、場合によっては被害者なのに加害者へ支払いを行わなければならないこともあり、想像以上に複雑な問題となります。

この記事では、過失割合9対1の事故における示談金の相場、賠償金の計算方法、示談に応じる際の注意点、そして納得できないときの具体的な対処法について解説します。

目次

過失割合9対1の事故で示談金の相場はいくら?

示談金の相場は一概には言えません。事故の内容やけがの程度、後遺障害があるかどうかによって金額は大きく変わります。たとえば軽いけがで済んだ場合は数十万円程度ですが、後遺障害が認定されると金額は大幅に増える可能性があります。

過失割合が9対1の場合、交通事故の賠償金全体から被害者の過失分である1割が差し引かれます。つまり、受け取れる金額は本来の損害額の9割にあたります。

例として、むちうちで後遺障害等級14級が認められた場合を考えてみましょう。弁護士基準での後遺障害慰謝料の相場は110万円となります。これが過失割合9対1の事故であれば、1割が減額されて実際の受取額は約100万円程度になる計算です。

ただし、実際の計算では入通院慰謝料や逸失利益、休業損害など複数の項目が関係するため、単純に割合をかけるだけでは済まず、より複雑な算定になる点に注意が必要です。

過失割合9対1の事故で賠償金の計算方法

過失割合9対1の事故では、示談金や賠償金を計算する際にいくつかのステップがあります。単純に「損害額の9割を受け取る」というだけでなく、実際には損害項目を積み上げたり、既に支払われた金額を整理したりする必要があります。ここでは基本的な流れを解説します。

賠償金の総額を算出する

まずは被害者の損害をすべて金額に置き換え、賠償金の総額を算出します。ここでいう「損害」とは、治療費や通院にかかる交通費、仕事を休んだことによる休業損害、精神的苦痛に対する慰謝料、後遺障害が残った場合の後遺障害慰謝料や逸失利益などを含みます。

この段階では、まだ過失割合を考慮しません。あくまで「被害者が本来受け取れる損害賠償の総額」を算出する作業であり、この金額をもとに次の過失相殺や精算手続きが行われていきます。

過失相殺を行う

賠償金の総額を出したあとは、過失割合を反映させます。過失割合9対1の場合、被害者側の責任は1割とされるため、その分が差し引かれます。

具体的な計算方法について、次の例で確認してみましょう。

加害者被害者
過失割合
損害総額50万円100万円
過失相殺後の金額50万円 × 0.1 = 5万円100万円 × 0.9 = 90万円

交通事故では、過失割合が大きい場合でも、自分の損害を相手に請求できます。このケースであれば、加害者が被害者に対して請求できる金額は5万円、被害者が加害者に対して請求できる金額は90万円となります。

既払金を差し引く

すでに相手や保険会社から支払われている金額があれば、それを差し引いて最終的な示談金額を計算します。たとえば、加害者側の保険会社から治療費としてすでに20万円が支払われている場合には、その分を過失相殺後の金額から差し引きます。

加害者被害者
過失割合
損害総額50万円100万円
過失相殺後の金額50万円 × 0.1 = 5万円100万円 × 0.9 = 90万円
既払金相殺後の金額5万円90万円 - 20万円 = 70万円

「相殺払い」と「クロス払い」

交通事故では、被害者と加害者の双方に損害が発生している場合、それぞれが相手に請求できる金額を計算したうえで、どのように精算するかを決める必要があります。その方法として「相殺払い」と「クロス払い」があります。

相殺払い

双方の請求額を比較し、差額だけを支払う方法です。たとえば加害者が被害者に70万円、被害者が加害者に5万円を請求できる場合、差額の65万円のみを加害者が被害者に支払います。

クロス払い

双方がそれぞれの請求額を相手に直接支払う方法です。上記の例であれば、加害者が被害者に70万円を支払い、被害者は加害者に5万円を支払うことになります。

どちらの方法をとるかは当事者同士の合意によりますが、やり取りをシンプルにするため、多くの場合は相殺払いが選ばれます。

過失割合9対1で示談する場合の注意点

過失割合9対1は一見すると被害者に有利なように思えますが、実際に示談する際には注意すべき点があります。特に「加害者にも損害があるケース」や「保険の使い方」によって、被害者の負担が想定以上に大きくなることがあります。ここでは代表的な注意点を解説します。

加害者の損害額によっては支払額が大きくなることがある

過失割合9対1は一見すると被害者に有利に思えますが、実際には被害者の支払額が想定以上に膨らむケースがあります。事故では加害者側にも修理費や治療費、休業損害といった損害が発生し、その1割を被害者が負担しなければならないからです。

具体的には、次のような場合に支払額が大きくなる可能性があります。

加害者の車が高級車だった場合
修理費が数百万円にのぼり、1割でも数十万円を負担することになる。
加害者が重傷を負った場合
治療費や後遺障害慰謝料が高額となり、被害者もその1割を支払う必要が生じる。
加害者が高所得者だった場合
逸失利益(事故で将来得られるはずだった収入の補償)が高額に算定され、被害者の負担額も増える。

このように、加害者の損害が大きいと、被害者であっても「受け取る金額より支払う金額のほうが多い」という状況になることもあります。

保険を使わないほうがいいケースもある

事故相手に対して示談金を支払う場合、一般的には自分が加入している対人・対物賠償保険を利用します。しかし、保険を使うと多くの場合は翌年から等級が下がり、結果として保険料が高くなるケースもある点に注意が必要です。

支払額が数万円〜十数万円程度の小さな金額であれば、保険を使うより自己負担したほうがトータルで安く済むケースもあります。逆に支払額が大きければ、保険を利用したほうが安心です。

「どのくらいなら自己負担が得か」という損益分岐点は状況によって異なりますが、保険会社に相談すれば目安を教えてくれることもあります。示談に臨む際は、支払額と保険料の値上がりを比較しながら判断することが大切です。

過失割合9対1に納得できないときの対処法

過失割合9対1は被害者にとって「なぜ自分にも過失があるのか」と疑問を持ちやすい割合です。保険会社が提示する基準が必ずしも妥当とは限らず、不満を抱いたまま示談に応じてしまうと後悔につながることもあります。納得できない場合には、以下のような対応を検討することが大切です。

過失割合の根拠を確認し、修正要素がないか調べる

過失割合が9対1とされた場合でも、その数字が絶対に正しいとは限りません。まず確認すべきなのは「なぜ9対1になったのか」という根拠です。保険会社は過去の裁判例や判例タイムズ(過去の事故パターンをまとめた基準書)などを参考にして過失割合を決めていますが、事故の具体的な状況によっては修正できる余地があります。

修正要素として考えられるのは、たとえば次のような事情です。

  • 相手が信号無視をしていた
  • 相手が著しいスピード違反をしていた
  • 夜間や悪天候で視認が難しかった
  • 歩行者や自転車の飛び出しがあった

こうした事情があれば、過失割合を10対0に近づけられる場合もあります。保険会社の提示をそのまま受け入れず、事故状況を細かく振り返って修正要素がないか調べることが重要です。

慰謝料自体の増額を重視する

過失割合を少しでも有利にしたいと考える人は多いですが、実際には割合を争うよりも、示談金の金額そのものを増額するほうが効果的なことがあります。

たとえば示談金が300万円の場合、過失割合9対1では1割が差し引かれるため、最終的に受け取れるのは単純計算で270万円です。これに対して、示談金が400万円まで増額されれば、同じく1割を差し引いても360万円を受け取ることができます。

つまり、同じ9対1の割合であっても、示談金の総額が増えれば手元に残る金額も大きくなるのです。加害者に対して支払いが必要な場合でも、受け取る額が上回れば実質的な利益は確保できます。過失割合の修正に固執するより、慰謝料や休業損害を増額する交渉を重視した方が、結果として有利になるケースは少なくありません。

過失割合9対0で話をまとめる

過失割合9対1で交渉がまとまらない場合、妥協案として「9対0」で合意する場合があります(片側賠償)。加害者にとっては10対0で全責任を負うより負担が軽く、被害者にとっても9対1より手元に残る示談金が増えます。

加害者に支払いをしなくて済むことで、自分の対人・対物賠償保険を使う必要がなくなり、翌年以降の保険料が上がらないというメリットもあります。交渉が難航している場合でも、9対0で折り合いをつけることで早期解決できる可能性があり、また10対0では使えない任意保険の示談代行サービスが利用できる点も安心材料となります。

一方で、9対0では賠償金はあくまで損害額の9割しか受け取れません。本来10対0が認められる事故であれば、その分損をする形になります。特に後遺障害が残るなど損害額が大きい場合は、1割の差が数百万円、数千万円の違いにつながることもあるため、安易に受け入れるのは危険です。

9対0で合意するかどうかは状況次第であり、判断に迷うときは弁護士に相談し、妥当性を見極めてもらうことが大切です。

過失割合の交渉を弁護士に任せるメリット

過失割合の交渉は、被害者にとって最も納得しにくいポイントの一つです。保険会社は自社に不利にならないよう基準を提示するため、被害者が単独で交渉しても希望どおりの割合にならないことが少なくありません。そうしたとき、弁護士に交渉を任せることで次のようなメリットが得られます。

専門的な知識に基づいて主張できる
弁護士は過去の裁判例を踏まえ、事故の状況に応じた適切な過失割合を示すことができます。素人では気づかない修正要素を拾い上げ、被害者に有利な根拠をもとに交渉できるのが大きな強みです。
保険会社との交渉を任せられる
保険会社は交渉のプロであり、個人が直接対応すると不利な条件を押しつけられてしまうこともあります。弁護士が窓口に立てば、被害者は保険会社とやり取りする負担から解放され、精神的にも安心できます。
慰謝料や損害賠償金が増える可能性が高い
弁護士に依頼すると、慰謝料を含む賠償金を「弁護士基準」で算定することができます。これにより、受け取れる示談金額が数十万円から数百万円増えるケースも珍しくありません。過失割合の修正に加えて、最終的な受取額の増額が期待できます。
裁判も視野に入れた解決が可能
交渉でまとまらない場合でも、弁護士であれば裁判提起を視野に入れた対応ができます。裁判例に基づいた説得力のある主張を展開できるため、保険会社も軽視できず、結果的に有利な示談に至ることがあります。

過失割合が9対1になる交通事故の例

交通事故には、車同士の事故や車とバイクの事故など、さまざまなケースがあります。ここでは、過失割合が9対1になる主なケースをご紹介します。

自動車同士

以下のケースでは、乙(加害者)と甲(被害者)の過失割合が9対1になります。

ケース1

一時停止の規制がある交差点において、一時停止の規制を受けない道路を直進していた甲と、一時停止の規制を受ける道路を直進していた乙が衝突した交通事故で、甲は減速しながら直進していたものの、乙が減速せずに交差点に進入したケース。

ケース2

一方が優先道路となっている交差点において、優先道路を直進していた甲と、優先道路ではない道路を直進していた乙が衝突した交通事故(乙が右折車または左折車のケース、T字型の交差点(一方が優先道路)の場合も同じです)。

自動車とバイク

以下のケースでは、自動車とバイクの過失割合が9対1になります。

ケース1

信号機がある交差点で、交差点に黄色信号で入ったバイクと、交差点に赤信号で入った自動車(交差する道路を進行)が衝突した交通事故。

ケース2

道路の一方の幅が広い交差点で、幅が広い道路を走るバイクと、幅が狭い道路を走る自動車が衝突した交通事故において、減速しないまま交差点に入った自動車にくらべ、バイクが減速していたケース。

自動車と自転車

以下のケースでは、自動車と自転車の過失割合が9対1になります。

ケース1

信号機がある交差点で、交差点に赤信号で入り直進する自動車と、交差点に右折の青矢印で入り対向方向から右折しようとした自転車が衝突した交通事故(自転車は、自動車やバイクとは違い、右折の青矢印で右折することはできません)。

ケース2

信号機がない交差点で、直進する自転車と、対向方向から右折しようとした自動車が衝突した交通事故。

自動車と歩行者

以下のケースでは、自動車と歩行者の過失割合が9対1になります。

ケース1

道路の一方の幅が広い(道路の一方が幹線道路である場合を含む)交差点または交差点の付近で、幅が狭い道路(幹線道路でない道路を含む)から右左折しようとした自動車と、幅が広い道路(幹線道路を含む)を横断しようとする歩行者が衝突した交通事故。なお、ここでいう「幹線道路」とは、車道と歩道の区別があり、車道の幅が広く通行量の多い道路のことをいいます。

ケース2

道路の一方の幅が広い(道路の一方が幹線道路である場合を含む)交差点または交差点の付近で、幅が狭い道路(幹線道路でない道路を含む)から走ってきた自動車と、幅が狭い道路(幹線道路でない道路を含む)を横断しようとする歩行者が衝突した交通事故(幹線道路を含む、幅が広い道路から自動車が右左折しようとした場合も同じです。)。

自転車と歩行者

以下のケースでは、自転車と歩行者の過失割合が9対1になります。

ケース1

信号機がある交差点で、青信号で歩行者が道路を渡ろうとし、右左折しようとした自転車が交差点に青信号で入り、横断歩道を通過した後に歩行者と衝突した交通事故。

ケース2

信号機がある交差点で、青信号で歩行者が道路を渡ろうとし、交差する道路を走ってきた自転車が交差点に赤信号で入ろうとした際に、横断歩道の手前で歩行者と自転車が衝突した交通事故。

過失割合9対1に関してよくある質問(Q&A)

過失割合9対1だと修理代はいくら払ってもらえますか?

修理代は、相手の過失分である9割が補償されるのが原則です。たとえば修理費が100万円かかった場合、単純計算で被害者は90万円を受け取れることになります。ただし、相手にも損害があれば被害者が1割を負担しなければならないため、結果として「もらえる金額より支払う金額のほうが多い」というケースもあります。

過失割合に不満があっても、とりあえず示談に応じたほうがよいですか?

不満があるまま示談に応じてしまうと、その後に割合を変更することは原則としてできません。過失割合は示談内容に大きな影響を与えるため、納得できないときは応じるべきではありません。まずは事故状況を見直し、修正要素があるか確認し、必要であれば弁護士に相談してから判断することが大切です。

過失割合9対1だと保険の等級は下がりますか?

自分の加入している任意保険を利用すれば、多くの場合は等級が下がり、翌年以降の保険料が上がります。少額の支払いであれば、あえて保険を使わず自己負担にした方が得なケースもあります。損得の分岐点は契約内容や金額によって変わるため、迷うときは保険会社に相談して目安を確認するとよいでしょう。

物損と人身で過失割合が異なることはありますか?

物損事故では「車の動き方」や「交通ルール違反の有無」が重視されるのに対し、人身事故では「被害者の保護」が優先されやすいため、過失割合が変わることがあります。たとえば物損では8対2とされた事故でも、人身では9対1や10対0に修正されることがあるのです。

相手が無保険だった場合、過失割合はどうなりますか?

相手が無保険であっても、過失割合そのものは変わりません。過失割合はあくまで事故の責任割合を表すもので、保険加入の有無とは関係がないためです。ただし、相手が無保険だと実際に賠償金を受け取れないおそれがあります。その場合は、自分の加入する無保険車傷害保険や人身傷害補償特約などを利用して補償を受けることになります。

まとめ 過失割合に納得できないなら早めに弁護士に相談を

過失割合9対1は一見被害者に有利に見えても、相手への支払いや保険料の値上がりで損をすることがあります。納得できないまま示談すると後からやり直すことは難しいため、早めに弁護士へ相談し、適切な過失割合と妥当な示談金を確保することが大切です。

相談先に迷ったら、交通事故で豊富な実績を持つ「VSG弁護士法人」までぜひお気軽にご相談ください。

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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