東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。
過去にした借金の返済ができないと、返済せずに踏み倒してしまえばいいと考える方がいるかもしれません。
しかし、借金を踏み倒すことにはリスクやデメリットしかないため、絶対に避けなければなりません。
借金の踏み倒しにはどのようなデメリットがあるのか、確認しておきましょう。
また、借金の返済ができない場合には、どのような対処法があるのかもご紹介します。
Contents
借金の返済が難しいからといって、その借金の返済を無視し、その上踏み倒した場合、その後にどのようなことが起こるのでしょうか。
結果的に、借金の踏み倒しをしても、その人にメリットになることは何もないため、注意が必要です。
借金の踏み倒しを行うことで、時効が成立し、借金の返済をしなくてもよくなると思っている方がいます。
借金をして返済ができなくなり、そのまま5~10年の間、債権者からも債務者からもアクションがなければ、時効が成立します。
時効が成立すれば、それ以上借金を返済する必要はありません。
しかし、友人同士での貸し借りであればともかく、金融機関や貸金業者からの借金について時効が成立することはまずありません。
現実的に何もないまま、何年もの時間が経過することはありません。
債権者は、時効が成立しないように、様々な対処法を実行するためです。
たとえば、裁判所に訴訟を起こし確定判決を得ると、そこで時効は更新されます。
また、強制執行や担保権の実行などの手続きが完了すれば、そこで時効は更新されます。
さらに、債務者が債務の返済をしなくても債務の存在を認めると、やはり時効は更新されます。
債権者が数年おきにこのような対処法を実行するため、時効はいつまで経っても成立しないものとなっています。
借金を決められた期日に返済できない場合、その翌日から遅延損害金が発生します。
遅延損害金の金額は、利息の金額を計算するように、滞納した日数が増えるほど大きくなります。
また利率は、利息制限法で最大20%と定められており、多くの金融機関や貸金業者は20%と定めています。
そのため、以下のような計算で遅延損害金の計算が行われます。
返済を滞納した借金の金額が100万円の人が1か月(30日)滞納した場合、遅延損害金は約16,400円となります。
また、滞納した期間が1年になると、遅延損害金の額は20万円にまで増えてしまいます。
借金の踏み倒しを行っても、借金の額は消滅しないどころか、逆に増加してしまうことになります。
借金の返済が期日通りに行われない場合、その情報は信用情報に登録されます。
登録された情報は、すべての金融機関やカード会社で共有されることとなります。
信用情報に登録されることは、一般的に「ブラックリストに載る」と言われる状態です。
信用情報に傷がつくと、これまでできていた様々なことができなくなります。
たとえば、ブラックリストに載っている人は、クレジットカードを使うことができなくなります。
この場合、新たにクレジットカードを作成することもできません。
また、新規にローンや借り入れを利用することもできなくなります。
ローンが利用できなくなることで、スマートフォンを分割購入することもできません。
ブラックリストに一度載ると、最低でも5年間はその情報が消えません。
借金の返済を滞納し続けると、その都度信用情報は更新されるため、ブラックリストの掲載期間は伸びてしまうこととなります。
借金の返済が行われない場合、債権者は何らかの方法でその代金を回収しようとします。
債権者は、法律の手続きに基づいて、返済を行わない債務者の財産を差し押さえることが認められています。
差押えの対象になる財産には、自宅も含む不動産や車、預貯金、そして給料などがあります。
このうち、給料については、差押えの対象となるのは手取り金額の4分の1までとされています。
給料は多くの人に関係するため、債権者は真っ先に差押えの対象とする傾向があります。
なお、自宅や車などは生活必需品であるため、借金を滞納しても差し押さえられないと考える方もいます。
しかし実際には、自宅や車の差押えも一般的に行われているため、勘違いしないようにしましょう。
借金の返済ができない場合、踏み倒しをするのではなく、法律に則った対処を行うことができます。
どのような方法があるのか、その内容とともにご紹介していきます。
任意整理は、債権者と債務者が直接交渉を行い、将来的に発生する利息の額や遅延損害金を減額してもらうものです。
また返済期限の延長を行い、月々の返済額を減らしてもらうことで、確実に返済できるようにします。
任意整理を行うと、返済総額や月々の支払いが減額する他、債権者からの取り立てがなくなります。
また、差押えが実行される可能性もなくなり、借金を完済できる道筋が作られます。
一方で、任意整理した事実は信用情報に登録されるため、クレジットカードやローンの利用はできなくなります。
任意整理を行うには、債権者との交渉を行う必要がありますが、裁判所での手続きは必要ありません。
交渉する債権者を選ぶことができるため、住宅ローンはそのままにしておき、自宅を手放さないようにすることもできます。
個人再生は、民事再生法に基づいて、裁判所に返済不能の申立てを行い、債務の大幅な減額をしてもらうものです。
借金の額を5分の1~10分の1まで減額してもらい、その後最長5年間、通常は3年間で完済します。
個人再生を行っても、住宅ローンはそのまま残せるため、自宅を手放す必要はありません。
減額する際に、借金をした理由を問われることはないため、誰でも利用することができます。
また、個人再生を行っても、職業の制限を受けることはありません。
一方、個人再生を行っても、借金の返済がなくなることはありません。
また信用情報に登録されるため、その後にクレジットカードやローンの利用はできなくなります。
裁判所での手続きが必要となるため、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的で、その費用を負担しなければなりません。
自己破産は、破産法に基づいた裁判所での手続きにより、返済できない借金の返済を免除してもらうものです。
借金をゼロにしてもらうことで、文字通りゼロからの再出発をすることができます。
自己破産をすると、借金がゼロになる一方で、ほとんどの財産を手放す必要があります。
また、連帯保証人となっている人がいると、その人が借金の返済をしなければならなくなります。
職業によっては、自己破産の手続き中に制限を受けるものもあります。
生活に必要な最低限の財産は残すことができるため、自己破産した後の生活も変わらず続けることができます。
ただ、自宅が持ち家の場合、その家に住み続けることはできません。
また、自己破産した事実が信用情報に登録されることは、任意整理や個人再生と変わりありません。
債務整理を行う際、多くの人は弁護士に依頼します。
弁護士に任意整理を依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
弁護士に任意整理について相談し、正式に依頼すると、弁護士は債権者に受任通知を送付します。
受任通知を受け取った債権者は、その日以降、借金の返済を滞納している債務者に対して督促や取り立てを行うことはできません。
一日も早く落ち着いた生活を取り戻すには、まず弁護士に相談するのがいいでしょう。
弁護士に相談した上で債務整理の方法を選択すると、適切な方法を選択することができます。
自己破産しなければ債務の返済の目途が立たない場合もあれば、任意整理で対応できる場合もあります。
また、マイホームを残したいかどうかにより、その対処法も大きく変わってきます。
どの方法が最適な方法なのか、弁護士に相談しながら決めるようにしましょう。
借金を踏み倒して借金の返済を免れるのは、非常に困難なことです。
踏み倒しをしても借金は減らず、デメリットしかないため、踏み倒しをしないようにしなければなりません。
債務整理を行うことで法律に則った債務の減額ができ、借金を完済できる見通しを立てることができます。
まずは弁護士に相談し、どのような方法で債務整理を行うのがいいのか、その方法を考えていきましょう。