

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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破産手続開始決定は、借金消滅の決定を意味するのではなく、破産手続きを正式に開始する宣言です。
2005年施行の現行破産法で、旧法の破産宣告から名称が変わりました。
申立て後、開始決定を経て通知・公告が行われ、同時廃止か管財事件かに分かれて確定・免責許可へと進みます。
決定後は財産管理や郵便物の制限など生活面への影響も生じるため、誤った自己判断による対応は避け、正確な申告と早めの弁護士相談が重要です。
本記事では破産手続開始決定までの流れや、手続きについて詳しく解説します。
Contents
破産手続開始決定は、破産法30条1項[注1]の要件を満たすと裁判所が判断したときに出される、破産手続きの開始を認める決定です。
申立てだけでは手続きは始まらず、決定をもって借金が消滅するわけでもありません。
破産手続開始決定は、裁判所が「破産の手続きを始める」と正式に認めた法的な判断です。
債務者自身が申し立てる自己破産だけでなく、債権者が申し立てる債権者破産でも手続き開始の基準となります。
要件は債務者が支払不能の状態にあると認められる点です。
破産法15条1項は支払不能を要件とし、同条2項では支払いを停止した場合に支払不能と推定すると定めています[注1]。
資産と負債のバランスから支払不能を客観的に立証するには専門知識が必要です。
弁護士が収支状況を精査し、意見書の作成により立証を支えます。
開始決定はあくまで破産手続きの開始であり、借金の責任が免除される免責許可決定とは別の判断です。
財産を清算する破産手続きと、責任を免除する免責手続きは別の制度であり、開始決定が出ただけで借金がゼロになるわけではありません。
破産法248条1項[注1]は免責許可の申立てと免責手続きを定めています。
同条4項では債務者自身が破産を申し立てた場合、免責許可の申立てがあったとみなすと規定しています。
財産を隠したり説明を怠ったりすると免責不許可事由に該当する恐れがあるため、審尋や管財人面接への対応を含め弁護士のフォローが重要です。
破産手続開始決定を受けるには3つの条件があります。
法律上の要件を満たしていても、予納金を準備できなければ破産法22条により予納義務を果たせず、同法30条1項に基づく開始決定が発出されないリスクがあります[注1]。
予納金は同時廃止か管財事件かで金額が大きく異なるため、いくら準備するか、いつまでに原資を確保するかを含め、弁護士が事前に見極めます。

自己破産は弁護士への相談から始まり、受任通知の送付、申立準備、申立てへと進みます。
破産手続開始決定が出されたあとは、破産法32条1項に基づく通知・官報公告を経て手続き終了まで進みます[注1]。
申立から開始決定までの目安は1〜2カ月です。
破産宣告は旧称であり、現在では破産手続き開始決定までの流れを指します。
申立て後、裁判所は破産法8条[注1]に基づき必要な調査を行い、書類や申立ての事情を確認します。
審査対象は収入や財産の状況、借金の内訳、支払不能の有無などです。
書類に不備があると追加資料を求められ、開始決定までの期間が延びる場合があります。
東京地方裁判所など一部では、弁護士が代理人であれば即日または迅速に開始決定が出る即日面接が運用として定着しています。
しかし、法律の明文規定ではなく裁判所ごとの運用であり、地域や弁護士代理の有無で差があるのが実態です。
家計簿の使途や財産移転の履歴を問われる場面もあるため、弁護士が想定問答を準備し審尋に同行します。
裁判所は、債務者が支払不能の状態にあるなど、破産原因が認められると開始決定の判断を下し、破産手続きが正式に始まります。
破産法30条2項[注1]は、開始決定は決定をした時から効力を生じると定めており、決定の日時は法律上、厳密に扱われます。
特に決定の日時によって財産の性格が切り替わり、破産財団に組み込まれるのか、新得財産として扱われるのか、判断がわかれます。
決定直後に債権者から不当な取り立てを受けた場合も、正確な決定日時をもとに弁護士が対抗措置を講じます。
なお、破産手続開始決定と借金を帳消しにする免責許可決定は別の判断です。
破産法32条[注1]は、開始決定の公告および通知を定めています。
通知書は破産者本人や、裁判所が認識している債権者に個別に送付されます。
一方、官報公告は特定の相手への個別通知ではなく、広く一般に知らせるために行います。
官報に掲載されるのは、氏名・住所などです。
一般の人が官報を日常的に確認する例は少ないですが、闇金業者などが官報を見て不当な融資の勧誘を送りつけるリスクがあるため注意が必要です。
また、債権者一覧への記載漏れがあると通知が届かず、免責の効果が及ばない非免責債権となる恐れもあるため、弁護士が債権者調査を徹底します。
開始決定は、官報公告後の不服申立期間を経て確定します。
破産法33条1項[注1]は開始決定に対して即時抗告ができると定めています。
また、破産法9条後段は、公告が効力を生じた日から起算して2週間以内に抗告しなければならないとしています(公告の効力発生日は破産法10条2項により掲載日の翌日)[注1]。
起算点は開始決定日ではなく官報公告日である点に注意が必要です。
実務上、個人の破産手続きで債権者が即時抗告を申し立てる例はほとんどありません。
ただし、制度上は不服申立ての機会が確保されており、この2週間を経て初めて開始決定が確定します。
万一、不当な即時抗告があった場合も、弁護士が答弁書を作成し維持に向けて対応します。
開始決定後、手続きは同時廃止と管財事件に分かれます。
同時廃止は管財人の調査が必要なく早期に終わる一方、管財事件では管財人による財産調査・換価と債権者集会が実施されます。
同時廃止とは、破産財団により破産手続きの費用を支弁できないと判断された場合に、破産法216条1項[注1]に基づき開始決定と同時に破産手続きが廃止される手続きです。
財産調査や換価、債権者集会は行われず、破産者の負担は軽くなります。
ただし、破産手続きが終わっても免責手続きは続いており、借金の責任はまだ免除されていません。
同時廃止では開始決定後に裁判所で免責審尋が行われ、裁判官の尋問に対応して初めて免責許可決定に至ります。
弁護士は想定される質問への回答を事前にシミュレーションし、当日も同行します。
管財事件は、換価できる財産があるなど、財産調査や換価・配当が必要な場合に行われる手続きです。
破産法31条1項、74条1項等に基づき破産管財人が選任され、財産・債務の状況や不当な財産処分の有無を調査します[注1]。
同法135条等に基づく債権者集会では、管財人が調査結果や手続きの進捗状況を裁判所と債権者に報告します。
同時廃止と異なり手続きには数カ月以上かかり、管財人との面接や集会への出席が必要です。
管財人の調査には嘘をつかず、誠実に協力する姿勢が免責許可を得るための前提です。
代理人弁護士は、窓口となって交渉や調整を行います。

開始決定後は、破産法34条[注1]などが定める効果により、債権者からの取り立てが止まる一方、財産の管理や収入、生活面には一定の制限が生じます。
以下で、自己破産を検討している人が不安に感じやすい財産・収入・生活への影響を具体的に解説します。
開始決定後は、個別の取り立てや強制執行が制限されます。
特定の債権者だけが優先的に債権を回収し、債権者間の公平が損なわれるのを防ぐためです。
破産法42条1項、2項は、開始決定により新たな強制執行ができなくなり、すでに行われていた強制執行等は失効すると定めています[注1]。
給与差し押さえがすでに始まっている場合も、この規定に基づき裁判所や破産管財人と調整のうえ止められます。
特定の債権者への優先的な返済(偏頗弁済)は免責不許可事由にもなり得るため、債務者自身を守る役割も果たすでしょう。
なお、弁護士の受任通知により、実務上は多くの取り立てが先に止まっています。
管財事件では、開始決定と同時に破産者の財産は破産財団に組み込まれ、破産法34条1項、78条1項に基づき管理処分権限は破産者から破産管財人に移ります[注1]。
開始決定後、破産者自身の判断で車の売却や、預金を移動させる行為は法律上無効です。
財産隠しとみなされて詐欺破産罪などの刑事罰や、免責不許可の対象になる恐れもあります。
自分名義の財産であっても、開始決定後は自由に処分できなくなる点を理解しておきましょう。
どこまでが破産財団に含まれ、どこからが自由財産として手元に残せるかは、弁護士が事前に精査します。
自己破産をしても、開始決定後に得た収入は原則として手元に残せます。
破産法34条1項[注1]は、破産財団に属する財産を「開始決定時に破産者が有する財産」と定めています。
開始決定後に新たに得た財産(新得財産)は破産財団に含まれません。
処分の対象となるのは、あくまで開始決定の時点で持っていた財産に限られます。
決定の翌日以降に得た給与などは、生活を立て直すための原資として手元に残せます。
ただし、開始決定の直前と直後に支給された給与の扱いなど境界線が微妙なケースもあるため、不安がある場合は弁護士への確認が必要です。
開始決定後は、生活面にも一定の制限がかかるケースがあります。
破産法37条1項により、引っ越しや長期旅行に裁判所の許可が必要であり、同法40条の説明義務に基づき財産状況の説明を求められる場合もあります[注1]。
管財事件では、同法81条・82条により郵便物は管財人に転送され内容を確認されます。
士業や警備員などの一部職業は、破産法ではなく各業法の規定により、資格が制限されるでしょう。
いずれも復権によって解消される一時的な制限であり、管財事件では管財人への丁寧な説明と協力が重要です。
開始決定を円滑に受けるには、申立て前の準備が重要です。
最終目的は開始決定ではなく免責許可の取得にあり、書類の不備や財産・債権者情報の漏れは手続きの遅れや免責不許可事由につながる可能性があります。
破産法20条1項や破産規則は、申立てに必要な書類の提出を求めています[注1]。
必要書類は給与明細、通帳の写し、債権者一覧、財産に関する資料などです。
不備や漏れがあると、裁判所や管財人による確認作業が増え、開始決定まで時間がかかる可能性があります。
特に通帳上の使途不明な出金など、数字の辻褄が合わない部分があると、財産隠しを疑われ手続きが長期化する要因となるでしょう。
逆に、必要な資料を早めに整理し、収支や財産の状況を漏れなく揃えておくほど、審査はスムーズに進みます。
弁護士に依頼し、書類に矛盾がないか申立て前に精査してもらいましょう。
自己破産では、財産や債権者に関する情報を正確に申告する姿勢が欠かせません。
財産を隠すなどの行為は、破産法252条1項各号が定める免責不許可事由に該当する可能性があります[注1]。
虚偽の債権者名簿を提出した場合も同様です。
親族や友人からの借入を「迷惑をかけたくない」との理由で、債権者一覧から外してはいけません。
また、過去のギャンブルや浪費については、事実自体より隠す姿勢の方が、管財人には強い不信感を与えます。
円滑な免責許可のためには、不利な事情も含めて誠実に説明を尽くす姿勢が大切です。
破産手続開始決定が出ても、必ず免責許可が得られるわけではありません。
破産法252条[注1]は、浪費やギャンブルによる借金、財産隠し、一部の債権者にだけ優先的に返済する行為などを免責不許可事由として定めています。
ただし、実務上は弁護士が的確な方針を立てれば、免責不許可事由があっても裁判所の裁量で免責が認められる裁量免責に至るケースが大半です。
都合の悪い事実を自己判断で隠しても、管財人には見抜かれやすく、後からの修正は困難です。
免責に不安がある場合は、事情を整理したうえで早めに弁護士への相談をおすすめします。
[注1]破産法/e-Gov
破産法
破産手続開始決定は、破産手続きが正式に始まる決定であり、借金の責任が免除される免責許可決定とは別の判断です。
開始決定後は同時廃止か管財事件かに分かれて手続きが進み、財産の処分権や郵便物の扱い、居住・移動などの生活面にも一定の影響が及びます。
最終的な免責許可の目標に向けては、書類の準備や財産・債権者情報の正確な整理が欠かせません。
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