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破産費用の相場は?破産手続きでかかる4つの費用と払えない場合の対処法

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 破産費用がわかる
  • 4つの破産費用や相場を理解できる
  • 破産費用がないときの対処法がわかる

会社の破産手続きを進めるうえで、ネックになるもののひとつが「破産費用」です。

会社が破産の手続きを進めるときは、すでに資金繰りに困っている状況だからこそ、破産費用が悩みの種になります。

破産の手続きに着手してから破産費用で困らないように、破産費用について知っておきましょう。

破産するお金や費用がない場合の対処法についても、併せて解説します。

破産手続きに関する費用は4つ

破産手続きのために必要な費用は以下の4つがあります。

  • 裁判所への申立手数料
  • 予納金
  • 弁護士費用
  • 実費

裁判所の申立手数料と予納金とは、破産手続きを進める際に裁判所へ支払う必要のある費用になります。

弁護士費用は破産手続きを代理してもらう弁護士の報酬で、実費とは破産のために必要なお金です。

会社設備の処分代などが代表的な実費になります。

主な破産手続きの費用について、個別に詳しくみていきましょう。

裁判所への申し立て手数料

会社破産の手続きは裁判所で行うため、裁判所へ申し立てをしなければいけません。

裁判所に会社破産を申し立てる際は裁判所に対して「申し立て手数料」を支払う必要があります。

会社破産の申し立て手数料の内訳は「収入印紙代」、「郵便切手代」、「官報広告費」の3つです。

裁判所への申し立て手数料のおおよその目安額としては、上記のの3つを合わせて2万円ほどです。

会社破産手続きの申し立て手数料は裁判所によって異なります。

正確な費用額を知りたい場合は管轄の裁判所に問い合わせるか、担当の弁護士に確認するとよいでしょう。

予納金とは

「予納金」とは裁判所にあらかじめ納める管財人の報酬や必要経費のことです。

会社破産の手続きがはじまると、裁判所は破産管財人を選任します。

破産管財人は破産する会社の債務者資産の状況を確認したり、債権の回収や財産の処分をしたりします。

破産管財人は裁判所が選任する「破産会社の後片付け人」のような位置づけです。

この破産管財人には弁護士が就任します。

破産の手続きには、時間と労力がかかるのが基本です。

弁護士が破産管財人に就任して会社破産に尽力したのに、破産手続きが終わったら「報酬はありません」では、破産管財人を務めた弁護士があまりに気の毒です。

破産管財人を務める弁護士も慈善事業で仕事をするわけではありません。

破産管財の手続きを進めるうえで事務などに必要経費が発生することもあるため、必要経費も合わせて予納金として納めることになるのです。

破産管財人の報酬にするため、破産手続きをはじめる際にあらかじめ予納金というかたちで裁判所にお金を納めることになります。

予納金は負債金額によって、下記のように異なります。

負債額引継予納金の額
5,000万円未満700,000円
5.000万円以上1億円未満800,000円
1億円以上5億円未満1,500,000円
5億円以上10億円未満2,500,000円
10億円以上50億円未満4,000,000円
50億円以上100億円未満5,000,000円
100億円以上7,000,000円

債務額によっては数百万円必要になるケースもあります。

なお、よく勘違いされますが、破産管財人を務める弁護士と会社経営者から破産の相談を受けて手続きを進める弁護士は別になります。

報酬についても、会社経営者から破産の相談を受けて破産手続きを進める弁護士の分が別途必要になるため注意が必要です。

実費について

会社破産の手続きが終了すると、破産した会社自体が消えてしまいます。

そのため、会社名義で契約している契約もなくなってしまうのです。

契約自体がなくなるため、その契約にまつわる後片付けなどを行わなければいけません。

たとえば、会社が賃貸契約を結んでいたとします。

賃貸契約の対象になっている不動産には会社の業務に使う機器などがありました。

破産手続きをすると賃貸契約の解約となり、不動産を明け渡さなければいけません。

不動産内に残った機器の後片付けなどを行う必要があります。

不動産内にある機器を撤去する際に業者を呼ばなければならなかった場合、費用が発生します。

また、機器を廃棄するために手数料などが必要な場合は、その費用も発生することになるはずです。

破産手続きさえすれば会社の後片付けを自動でしてもらえるわけではありません。

明け渡す不動産の後片付けや不用品の処分などは、破産手続きと並行して行う必要があるのです。

このように、破産会社の後片付け費用などが実費として必要になります。

実費については業種や会社の規模によってかなり違ってきます。

業者に依頼する際は見積もりなどを取得し、費用の目安にするとよいでしょう。

実費も把握したうえで破産手続きを進めることが重要です。

法人の破産費用と相場

基本的な法人の破産費用は、申し立て手数料+予納金+実費+弁護士になります。

会社破産の費用相場は破産する会社によって異なります。

債務額などによって金額が変わってくるため、ある会社は100万円で手続きが終了したが、別の会社は数百万円単位の費用が必要だったなど、ケースによって違うのです。

実費も業種によってかなり変わってくるため、一概に断定はできません。

破産の手続きを弁護士に依頼する際の弁護士費用も、地域によって変わります。

関東の場合は50万円くらいが相場です。

相談先の弁護士に自社の破産費用相場を教えてもらうのがわかりやすく、具体的な費用相場を掴みやすい方法になります。

法人破産の費用を抑える方法

「法人破産を検討しているけど、なるべく費用を抑えたい」と思うかもしれません。

法人破産の費用は、裁判所に支払う予納金・弁護士費用の2つが主になります。

そこで下記では、予納金・弁護士費用を抑える方法を紹介します。

少額管財で予納金を節約する

予納金は、会社の負債金額によって大きく異なります。

負債額が5,000万円未満だった場合は、一番予納金が安くなりますが、それでも70万円は必要です。

法人破産は「管財事件」として扱われることが多く、破産手続きの中で会社の資産を換金して配当者に配当する作業が発生します。

例えば個人破産で全然資産を持ってない場合には、換金・配当の作業が発生せずに、予納金を払わなくてもいいこともあります。

法人の場合は資産が残っていることが多いため、管財事件として扱われて、予納金も払うことになります。

ただし弁護士に依頼して、法人破産を「少額管財」として扱えれば、予納金は20万円しかかかりません。

少額管財になるだけで、予納金が最低でも50万円節約できるため、破産費用を大きく抑えられます。

少額管財を適用するためには、弁護士から申立が必須になるため、事前に弁護士相談するのがおすすめです。

弁護士費用を抑える

弁護士費用は、事務所によって異なります。

だいたいの相場は決まっていますが、複数の事務所に相談して、一番安い弁護士に依頼すると費用を抑えられます。

しかし弁護士との相性や実績なども重要になるため、依頼費用を抑えることを最優先するのは危険です。

あくまで実績・スキルのある弁護士を選んで、その中で費用を比較検討するのがいいでしょう。

法人破産するお金や費用がない場合

会社などの法人破産の手続きには費用が必要です。

しかしながら、資金繰りに苦慮しているからこそ経営者は破産という選択肢を選ぶのではないでしょうか。

破産するときとは要するに「お金に困っているとき」ですから、破産費用を工面できない可能性も考えられます。

会社などの法人破産で破産費用がない場合、どうしたらよいのでしょうか。

会社の破産費用がない場合の対策は、以下の4つが考えられます。

  • ・弁護士に相談し債権回収や現金化を行う
  • ・相談料無料やセット割引を利用する
  • ・代表者の破産は法テラスを利用する
  • ・予納金や着手金を分割払いする

まずは、破産を相談した弁護士に、破産費用がないことを素直に告げましょう。

弁護士の方で会社の状況を確認し、換金できるものを換金したり、有している債権を回収したりして破産費用を捻出してくれる可能性があります。

弁護士への相談時は、相談料無料の弁護士事務所に相談したり、代表者の破産と会社の破産をセットで割引してくれたりする弁護士事務所に相談することもひとつの方法です。

また、会社の破産は直に弁護士に依頼し、会社の経営者の破産は法テラス経由で行い、費用負担を軽減するという方法もあります。

法テラスには民事法律扶助制度があります。

この制度を利用すれば、低額で手続きができ、負担のない額(5,000円程度など)で分割払いができるのです。

経営者個人の破産については法テラスを利用することもできます。

会社の破産では、弁護士費用や予納金が高額になりがちです。

着手金の分割に応じてくれる弁護士事務所もありますので、「分割できるか」という点でも弁護士を探してみてはいかがでしょう。

裁判所によっては予納金の分割払いを認めてくれます。

裁判所に事情を話して分割払いを利用するのもひとつの手段です。

ちなみに、東京地裁などは分割払いできる裁判所になります。

法人破産で悩んだら1日でも早い相談がおすすめ

「法人破産した方がいいのか?」と悩んでいるなら、1日でも早く弁護士への相談をしましょう。

なぜなら会社の経営状態が悪いなかで悩んでいると、その分ドンドン資金や余力が亡くなっていきます。

「長い時間をかけて破産を決めたけど、すでに依頼する費用がない」という最悪の事態を避けるためにも、早めの依頼がおすすめです。

初回の相談は無料で受け付けている事務所も多いので、まずは気軽に相談してみましょう。

まとめ

会社破産の破産費用は大きく分けると「裁判所への申立手数料」、「予納金」、「弁護士費用」、「実費」の4つになります。

破産費用の相場については、裁判所や会社の負債額などによって変わってくるのです。

実費についても、業種などによって相場が変わってくる可能性が大きいため、注意が必要です。

会社破産したいが、会社破産手続きの費用がないというようなときは、早めに弁護士へと相談することをおすすめします。

早めに相談することによって債権回収や換金などで会社破産手続きの費用を工面できる可能性があるのです。

破産手続きに着手してから相談するのではなく、あらかじめ費用面や見積もりについて相談しておくことも重要になります。

破産手続き費用についてを知って、スムーズに手続きを進めましょう。

破産のお悩みは深刻で不安なものです。
弊社では、相談者様の目線に立って、
丁寧に問題解決に向けた対応をさせていただきます。
楽な気持ちで何でも相談してください。

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