

東京弁護士会所属。
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株式会社は、解散の決議や解散事由が生じた時点で、ただちに法人格が失われるわけではありません。解散後の会社は「清算会社」となり、会社に残った財産や債務を整理し、最終的に法人を終了させるための手続きを進めます。この清算の期間中も、会社は法律上の主体として存続し、一定の行為を行います。
清算会社の目的は、新たに利益を上げることではありません。未回収の債権を回収し、借入金や未払金などの債務を支払い、残った財産を株主に分配することにあります。そのため、解散前と同じ感覚で事業活動を続けることはできませんが、清算を完了させるために必要な行為については引き続き行えます。
この「解散=すべて終了」という誤解が、実務上のトラブルを招く場面も少なくありません。清算会社としての位置づけを正しく理解したうえで、どの行為が清算の目的に沿うのかを判断することが、円滑な手続きにつながります。
清算会社ができることは、以下のとおりです。
清算会社になると、解散前と同じように自由な事業活動は行えませんが、清算を完了させるために必要な行為については引き続き行えます。ここで重要になるのが、「清算の目的に沿っているかどうか」という視点です。
清算会社がまず行うべきなのが、売掛金や貸付金など、まだ回収できていない債権の回収です。取引先に対して支払いを求めたり、必要に応じて交渉や法的手続きを検討したりします。一方で、借入金や未払金、税金などの債務についても、順序を踏まえて支払いを進めます。債権回収と債務の支払いは、清算手続きの中核となる作業です。
会社が保有する不動産、車両、設備、在庫などの財産については、現金化するために売却を行います。これを「換価処分」といいます。換価によって得た資金は、債務の支払いなど清算に必要な用途に充てます。市場価格や取引条件を無視した処分は、後に問題となることもあるため、合理性を意識した判断が欠かせません。
清算を進める過程では、登記費用や専門家への報酬など、一定の資金が必要になります。そのため、清算に直接関係する範囲であれば、資金を確保する行為も行えます。ただし、新たな事業のための借り入れや投資といった行為は、清算の目的から外れるため注意が必要です。
清算会社であっても、商号や事業目的の変更手続きを行うことがあります。たとえば、清算に関係する業務内容を明確にするために目的を整理するケースです。もっとも、事業を拡大したり、新分野へ進出したりするための変更は、清算の趣旨に合いません。変更の必要性と目的を慎重に検討することが重要です。
清算を進めやすくする目的で、本店所在地を移転したり、支店を設けたりすることも考えられます。たとえば、管理を一本化するための移転などが典型例です。ただし、営業拠点の拡大を目的とするような設置は、清算会社として適切とはいえません。あくまで清算手続きの円滑化という観点が求められます。
清算会社は、無償で自己株式を取得することができます。これは、清算過程で株式関係を整理するための行為です。対価を支払わない点が重要で、有償での取得とは性質が異なります。株主間の関係調整を行う場面では、実務上検討されることがあります。
清算会社が「消滅会社」となる形であれば、合併などの組織再編を行うこともあります。これは、清算の一環として会社の権利義務を整理する手段の一つです。清算会社が中心となって事業を引き継ぐ形とは異なり、あくまで消滅する立場での関与に限られます。
解散前から継続している業務についても、清算を目的とする範囲であれば完結させます(現務の結了)。未完成の契約を終わらせたり、必要な後処理を行ったりすることが該当します。新しい仕事を受けることとは異なる点を意識する必要があります。
すべての債務を支払い終えたあとに財産が残った場合、その残余財産を株主に分配します。分配は、原則として持株比率に応じて行います。この手続きが完了すると、清算は最終段階に進み、会社の消滅へと向かいます。分配の前提として、債務処理が完了していることが重要です。
一方で、以下の行為については清算会社が行うことはできません。
清算会社は、清算を完了させるために必要な行為のみを行う立場にあります。そのため、解散前の株式会社であれば通常行える行為であっても、清算会社になると行えなくなるものがあります。
清算会社は、利益を上げることを目的とした営業活動を行えません。新規の取引先と契約を結んだり、商品やサービスを継続的に販売したりする行為は、清算の目的から外れます。解散前から続いている業務を終わらせることは可能ですが、新しい取引を始めることとは明確に区別する必要があります。
清算会社は、通常の株式会社のように剰余金の配当を行えません。配当は、会社が事業活動を通じて得た利益を株主に分配する行為ですが、清算会社は利益追求を目的としないためです。清算の最終段階で行う「残余財産の分配」とは性質が異なる点を理解しておく必要があります。
清算会社では、資本金を減少させるための減資手続きを行えません。減資は、財務体質の改善や経営戦略の一環として行う措置であり、清算の目的とは直接関係しないためです。清算中は、資本金の額を前提として債務処理や分配手続きを進めます。
もっとも、清算を進めるために必要がある場合には、新株を発行して資本金を増加させる、いわゆる増資を行う余地はあります。減資と増資では性質が異なる点を押さえておくことが重要です。
清算会社は、対価を支払って自己株式を取得することができません。有償取得は、株主構成の調整や株価対策など、事業運営に関係する行為と位置づけられます。清算会社で認められるのは、あくまで無償での自己株式取得に限られます。
清算会社が中心となり、存続会社として合併などの組織再編を行うことはできません。存続会社となる場合、事業の継続や発展を前提とするため、清算の趣旨に反します。清算会社が関与できるのは、あくまで消滅会社として権利義務を整理する立場に限られます。
株式会社の解散や清算は、単に会社を閉じる作業ではありません。清算会社として行える行為と控えるべき行為を見極めながら、債権者や株主との関係を整理し、法的に問題のない形で手続きを終える必要があります。
判断を誤ると、手続きが滞るだけでなく、後から責任を問われる事態にもつながりかねません。こうしたリスクを避けるため、早い段階から弁護士に依頼することには大きな意味があります。
清算会社の行為は、「清算の目的に沿っているかどうか」が常に問われます。しかし、どこまでが許される行為で、どこからが控えるべき行為なのかは、専門的知識がないと判断が難しい場面が少なくありません。弁護士に依頼すれば、個々の状況を踏まえながら、実務上どの行為が問題になりやすいかを整理できます。誤った判断によって手続きをやり直す事態を防げる点は、大きなメリットといえます。
清算手続きでは、債権者への対応が避けて通れません。未回収債権の扱いや債務の支払い順序を誤ると、特定の債権者から不満が生じ、紛争に発展するおそれもあります。弁護士が関与することで、法的な優先関係や実務上の注意点を踏まえた対応が可能になります。交渉や説明を一任できるため、経営者や清算人の精神的な負担も軽減されます。
清算の進め方によっては、清算人や役員個人の責任が問題になるケースもあります。とくに、清算の目的を外れた行為や、不公平な財産処分は後から指摘されやすい点です。弁護士に依頼すれば、責任が生じやすい場面を事前に把握し、リスクを避ける形で手続きを進められます。結果として、清算後に思わぬトラブルを抱え込む可能性を抑えられます。
清算中であっても、不動産の売却は可能です。不動産は会社財産の一部であり、換価して債務の支払いや清算費用に充てる行為は、清算の目的に沿っています。一方、不動産を新たに購入する行為は、事業の継続や拡大と評価されやすく、清算会社としては慎重な判断が必要です。
既存契約の整理として行う更新や解約は可能です。たとえば、清算に必要な期間だけ賃貸借契約を延長したり、不要になった契約を終了させたりする行為が該当します。ただし、取引を継続する目的で条件を大きく変更するなど、実質的に新しい契約関係を築く行為は、清算の趣旨から外れるおそれがあります。
清算会社は、原則として新たな営業活動を行いませんが、現務の整理の過程で売上が発生することはあります。たとえば、解散前に受注していた業務の完了に伴う対価の受領などです。このような売上は、清算を目的とする範囲内と整理されます。一方、意図的に新しい仕事を受けて売上を立てる行為は、営業活動と評価される可能性があります。
清算会社でも、銀行口座の維持は通常行います。債権回収や債務の支払い、清算費用の管理には口座が必要だからです。新たな口座の開設についても、清算手続きのためと説明できる場合には認められることがあります。
補助金や助成金については、その制度の目的や要件によって扱いが異なります。解散前に申請し、要件を満たした結果として支給されるものであれば、清算中に受け取ること自体は直ちに問題になりません。ただし、新たな事業活動を前提とする制度への申請は、清算会社の立場と合わないケースが多いため、内容を慎重に確認する必要があります。
株式会社は解散しても直ちに消滅するわけではなく、清算会社として一定期間存続します。この間は、清算の目的に沿う行為が認められる一方、通常の営業活動など控えるべき行為もあります。判断を誤ると、清算が長引いたり、債権者や株主とのトラブルにつながったりするおそれがあります。場合によっては、役員や清算人の責任が問題になることもあります。
法人破産を含め、清算手続きの進め方に不安がある場合には、早い段階で弁護士に相談し、状況に合った対応を検討することが重要です。相談先に迷ったら、法人破産に精通している「VSG弁護士法人」までぜひお気軽にご相談ください。