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最終更新日:2022/6/6

自宅で開業するメリット・デメリットや開業に必要な手続きについて

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 自宅で開業できることや、メリット・デメリットがわかる
  • 開業届とは何かや、開業届を出すメリットが理解できる
  • 開業届の様式や書き方、提出方法、提出期限がわかる
  • 自宅で開業するために必要な手続きと流れがわかる

自宅での開業は、新型コロナウイルスの影響もあって、メディアでも取り上げられるなど、会社で働く方も含め社会の注目を集めています。

自宅で開業できれば、通勤もなく、仕事の選び方次第で、家族との時間を優先しながら自分の都合に合わせた働き方を選ぶこともできます。

この記事では、自宅で開業できるかや、自宅で開業するメリット・デメリット、自宅での開業に必要な手続きと流れを紹介します。

また、自宅での開業に必要な開業届とは何かや、届出るメリット、開業届の書き方や提出方法、提出期限についても詳しく紹介します。

目次

自宅で開業することはできる?

自宅での開業は、個人事業主としてなら、誰でも簡単に実現することができます。

コロナ禍で在宅ワークが一躍脚光を浴びているなか、働き方や受発注のあり方も大きく変化し、社会全体が自宅での仕事にシフトし始めています。

自宅での開業は、費用が安上がり手続きも簡単、時間に無駄がないなどのメリットがあり、新たな働き方へのチャンスとも言えます。

自宅で仕事ができる環境が進化

新型コロナの影響で在宅ワークが脚光を浴びるようになりましたが、実際にも働き方や仕事の内容は分散化や多様化が進んでいます。

インターネットが利用できる環境があれば、自宅に居ながら様々な仕事を受発注できる仕組みも整い、誰でも自宅で開業できる環境が整いつつあります。

手続きが簡単で低リスクで開業が可能

開業してビジネスを始める場合は、個人事業主として開業する、あるいは会社を設立する方法がありますが、どちらも開業の手続きが必要です。

個人で開業する場合は、簡単な手続きで済み、税務署に「開業届」を提出するだけで、誰でも個人事業主になることができます。

さらに、自宅開業なら、固定費など事業を始めるためのイニシャルコストが安上がりで、収入が安定しない時期でも経費負担が少なくて済みます。

自宅開業に向いている仕事とは?

自宅開業には費用がかからないといったメリットが多いですが、どのような仕事が向いているのでしょうか?

下記では、自宅開業に向いてる仕事を紹介します。

インターネット系

インターネット系の仕事は、設備も必要なく、場所の影響も受けにくいため自宅開業に向いています。

パソコンとインターネット回線さえあれば、それだけで仕事が始められます。

特別な資格も必要ないため、数あるビジネスの中でも簡単にチャレンジできます。

ただしインターネットで商品の売買をする場合は、商品を保管するスペースも必要になります。

インターネット系の仕事をする予定なら、最初から事務所を構えずに、まずは自宅開業から始めてみるのが安全でしょう。

美容系

ネイルサロン・エステサロン・ヘアサロンといった美容系の仕事も、自宅開業に向いています。

美容系の仕事は経験があれば、設備を導入するだけで始められます。

美容系の仕事で、組織に所属していた人が独立するのはよくあるケースです。

ただし特殊な設備が必要な場合は、導入費用が高くなるため、初期コストには注意しておきましょう。

趣味・特技の教室

料理・音楽・カメラといった趣味・特技系の教室も自宅開業に向いています。

趣味の教室だと、必要なものは道具ぐらいになります。

例えばカメラ教室を開くなら、必要なものはカメラ・人の集まるスペースの2つです。

カメラ教室を開くほどカメラが好きなら、自宅に機材がたくさんあると思うので、機材を活用できるように自宅で教室を開くと便利です。

また料理教室の場合でも、自分が普段から使っているキッチンの方がいいため、自宅開業が向いています。

ただし参加人数が多くなると自宅には収まらない場合もあるため、自宅の収容人数と目標の集客数のバランスを見ておきましょう。

士業

下記のような専門資格業も実は自宅開業に向いています。

  • ・中小企業診断士
  • ・税理士
  • ・行政書士
  • ・社会保険料労務士
  • ・不動産鑑定士

専門資格業は、資格さえ持っていれば、自宅開業も可能です。

なぜなら仕事をするのに特別な設備が必要ないからです。

「資格専門業=立派な事務所で仕事をする」というイメージがあるかもしれませんが、最初から立派な事務所を構えるのはリスクが高いです。

事務所がなくても、お客さんと会う時にはレンタルスペースを予約したり、カフェで会ったりすれば問題ありません。

仕事が軌道に乗って、売上も伸びてきた段階で事務所を借りた方が失敗も少なくなるでしょう。

自宅で開業するメリット・デメリット

自宅で開業すれば費用面などでのメリットがある反面、賃貸などで仕事専用のスペースを確保する場合とは違ったデメリットもあります。

自宅で開業するメリット

自宅での開業は、費用や時間にロスが少なく、感染症などのリスクが少ないため健康管理ができるとともに、臨機応変な対応も可能などのメリットがあります。

費用が安上がり

最も大きなメリットは、開業時や開業後の固定費が少なくて済むことです。

家賃がかからず、電気やガス、水道などの基本料金を別に支払う必要がないなど、事務所や店舗を開設する際の固定費が安く済みます。

時間に無駄がない

自宅を仕事場にすれば出勤の必要がありませんから、通勤のために費用や時間を費やす必要もなく、その分を仕事や家事に向けることができます。

感染症の心配がない

出勤や通勤に伴う感染症の心配がなく、通勤などの時間を健康管理に充てることもできます。

自宅にいれば、仕事の合間に家事や家族への対応もできるため、時間を有効に使うえ、家族の健康管理にも注意を払うことができます。

臨機応変な対応が可能で依頼主の信頼を得やすい

個人事業主になれば、自分自身の裁量で仕事を進められるため、急な依頼や突発的な仕事への対応が可能になるという、仕事の依頼者側からみたメリットもあります。

特に、自宅兼事務所であれば、時間や曜日にとらわれない臨機応変な対応ができるため、依頼主の信頼を得やすくなります。

自宅ならではの経験が新たなチャンスにもなり得る

自宅で育児や介護をしながら開業するようなケースでは、この経験を活かした仕事のチャンスも広がります。

育児や介護は、ビジネスを展開するうえで重要なマーケットですが、自身で経験してみないと気づかないこともたくさんあります。

育児や介護と仕事の両立という一見デメリットに感じることも、自宅でり開業ならビジネスチャンスにつながりやすいでしょう。

自宅で開業するデメリット

自宅を事務所や店舗として利用する場合は、生活と仕事が同居することによるデメリットが発生します。

集客しにくい

集客が必要な業種では、自宅を事務所や店舗にすると、集客の工夫や駐車場の確保、自宅までの案内や看板などが必要になります。

主要な道路に面しているなどわかりやすい立地なら不都合も少ないかも知れませんが、住宅街や規模の大きい集合住宅などの場合は工夫が必要です。

仕事だけではすまないことも

自宅は生活の場でもあり、家族や近隣との関係を無視することはできません。

このため、家族の理解や近隣との調和を保ちながら仕事を行う必要があり、仕事だけに集中できないデメリットがあります。

私事の来客や訪問、電話の応対などもあるため、プライベートと仕事の区別がしにくいと言えます。

また、仕事上の来客や駐車などが頻繁にある場合は、近隣への配慮も必要になります。

インフラやセキュリティが不十分

自宅開業では、オフィスビルとは異なり、インターネットや電力などに対するインフラの脆弱さは避けて通ることができません。

インターネットの品質や電力の容量など、インフラの整備において個人住宅では対応しきれない部分がありリスクが発生する可能性があります。

また、仕事上の書類や機密、顧客情報、パソコンのデータなどが自宅内にあることによるセキュリティの低さもデメリットです。

パソコンを家族と共用しない、カギの付いたロッカーで書類管理を行うなどの対策を怠ることは禁物です。

社会的信用が得にくい

店舗や事務所を借りて開業する場合と異なり、自宅で開業する場合は人目につきにくい業種も多く、対外的な信用を得にくいと言えます。

また、自宅開業だということが理由の全てではありませんが、金融機関からの融資やカードの新規契約の際に、信用が得にくい実態もあります。

世間に疎くなりがち

生活も仕事もすべて自宅だけで完結するような状態では、時間や曜日感覚、季節感を感じにくく、世の中の変化にも鈍感になりがちです。

通勤途上や職場などで見聞きするちょっとした情報からも、世の中の変化に気づくことや、出かけることで気分転換になることもあります。

自宅開業すると通勤がなく移動が少なくなるので、街の様子や屋外広告などからビジネスのヒントを得る機会が少なくなることが考えられます。

家族との距離が近すぎる閉塞感も

家族と暮らす自宅で開業する場合は、家族を大切にしながら仕事ができることがメリットである反面、家族との距離が近すぎることがデメリットにもなります。

家族とはいえ、同じ空間で一日中暮らす生活を続けるうちに、互いにストレスに感じることが多くなる傾向があります。

これは、新型コロナ感染症対策としての自宅待機や在宅ワークによって顕在化したデメリットであり、社会的な問題ともなっています。

自宅開業で5年働いて気づいたこと

私は自宅開業をして、5年間ほど個人事業主として働いています。

ここからは実際に自宅開業をした私が、自宅開業について気になること・気づいたことを紹介します。

自宅開業が仕事のマイナスになることはほぼない

自宅開業で一番気になるのが「仕事面でマイナスがあるかどうか?」だと思います。

結論からいうと、自宅開業をして仕事に支障が出ることはほぼありません。

自分の事業内容にもよりますが、私はWeb系の仕事をしており、在宅ワークで困ったことはないです。

基本的にはチャットツール・メールで連絡を取り、重要な打ち合わせはクライアントの会社まで出向いて行います。

そのほかに打ち合わせがある場合は、カフェやレンタルルームを借りたりして、その都度対応してきました。

5年間自宅で仕事をしていますが、特に困ったこと・仕事面のマイナスはなかったです。

「自宅開業すると、仕事面でマイナスが出るかもしれない・・・」と悩んでいる人は、自分の事業内容を考えて、自宅開業のデメリットがあるか判断してみましょう。

開業届の住所は後から変更できる

自宅開業で気になるのが、あとから住所変更できるかどうか?ではないでしょうか。

開業届に記載した住所は、変更書類を提出すれば、簡単に変更できます。

私も自宅開業してから、3回ほど住所変更しておりますが、書類を提出するだけで簡単に終わります。

「自宅開業するか、事務所を契約するか悩んでいる」という人は、まず自宅開業して事業が軌道に乗れった段階で事務所に移行すれば、リスクも少ないでしょう。

家のグレード・環境は妥協しない方がいい

コストダウンのために、自宅開業を検討している人もいるでしょう。

私は自宅開業して5年ほど働いていますが、家のグレードや環境には妥協しない方がいいと思っています。

家賃が安いからといって、ワンルームを家で開業したり、日当たりが悪いといったマイナス面があったりすれば、仕事に支障が出るかもしれません。

私は以前ワンルームに住んでおり、寝室と仕事スペースが同じ部屋でしたが、気持ちの切り替えができず不眠症になりました。

今は引っ越して部屋数が増えたため、寝室と仕事部屋を完全に分けて、不眠症がなくなりました。

自宅開業して、在宅で仕事を行う人は、家にいる時間が思ったよりも長いため、家の環境にはこだわった方がいいです。

家賃・光熱費の経費計上に注意

自宅開業すると、自宅の家賃・光熱費が経費として計上できます。

個人事業主や法人の場合は、自分で確定申告を行います。

確定申告では年間の売上・事業で使った経費を算出して、年間の利益を確定させます。

自宅開業しており、家賃・光熱費を経費計上する場合は、全額を計上してはいけません。

なぜなら自宅にいるすべての時間を仕事に費やしているわけではなく、プライベートの時間も過ごしているからです。

家賃や光熱費の全額に対して「自分はこれぐらいの割合で仕事をしている」とカウントして、その割合に応じて経費計上ができます。

家賃・光熱費の全額を経費計上しないように注意しましょう。

開業届を出すメリット

開業届を出せば、対外的に個人事業主であることが証明でき、融資対象の事業者になるとともに、節税できるなどのメリットがあります。

開業届とはなにか

個人で事業を始める際に必要な手続きが「開業届」で、法人で言えば会社設立登記などに相当する手続きです。

この開業届を出せば、金融機関などでも個人事業主として扱われ、所得控除など節税のメリットを受けることができる立場になります。

開業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」が正式名称で、最寄りの税務署で入手できるほか、国税庁のホームページからダウンロードもできます。

メリット

開業届を提出すると、対外的な開業日の証明になるほか、会社設立と同様に屋号による銀行口座の開設ができます。

また、個人事業主として補助金や助成金の申請ができるほか、金融機関からの融資を受けることもできるようになります。

開業届の提出の際に、開業届の控えに受付印をもらっておけば、このようなシーンで証明書として利用できます。

また、開業届の最大のメリットは、青色申告が利用できるようになることで、事業で得た収入に大きな節税効果が期待できるようになります。

ただし、青色申告を利用するためには、この開業届に併せ、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

青色申告では、複雑さに応じて10万円または65万円の特別控除のほか、赤字を3年間繰り越して節税することができる優遇措置があります。

また、配偶者や家族などに支払う給与も必要経費になるほか、赤字になった場合は純損失の繰越しが認められるなど、大きな節税効果が期待できます。

開業届は絶対に必要?

開業届を提出しなくてもペナルティはありませんが、青色申告を利用するためには必ず提出しなければなりません。

特に、提出時期が遅れると、青色申告を利用できる時期がそれだけ遅くなってしまうことに注意が必要です。

また、開業届の提出が遅くなれば、その間は事業用銀行口座が開設できず、補助金や助成金、融資の申し込みもできません。

ただし、開業届を出してもメリットがないと判断できる場合は、メリットがあると判断できた段階で開業届を提出する判断もあり得るでしょう。

たとえば、開業後しばらくは収入が少なく、青色申告を利用するメリットがなければ、その効果が見込まれる時期になって届け出る方法を選ぶこともできます。

自宅で開業する場合の開業届が必要なのか

自宅で開業する場合も、店舗や事務所を借りて開業する場合も、同じように開業届を提出する必要があります。

なぜなら、先に紹介したとおり、開業届の提出によって得られるメリットを受けたいのであれば、どこで開業するかは直接関係がないからです。

開業届の書き方・提出方法・提出期限

実際の開業届の様式を確認しながら、書き方や提出方法、提出期限について確認しましょう。

以下の書式は、国税庁ホームページからダウンロードしたものですが、ご覧のとおりA4サイズ1ページで複雑な内容ではありません。

引用:個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁)

開業届の書き方

この届出書は、新規開業だけでなく、増設や移転、また、廃業した場合にも兼用で利用できる書式となっています。

開業届の書き方自体は難しくありませんが、注意すべき点を紹介しましょう。

屋号

屋号は、法人で言えば会社名に当たるもので、個人事業の事務所や店舗の名称です。

個人事業の場合は、必ずしも必要なわけではありませんが、屋号があれば覚えてもらいやすいというメリットがあります。

また、銀行口座を開設する際に、屋号と氏名を組み合わせた名義を使用することもできるため、家計と分離した通帳を作ることができます。

なお、屋号を決める際は、「短く、覚えやすく、事業内容が分かりやすい」ことを意識することが大切です。

開業日

開業日は、事業主の自己申告で決めることになり、特別な指定はありませんから、希望する日や記念になる日を開業日にできます。

青色申告の利用

「開業に伴う届出書の提出の有無」欄では、「青色申告承認申請書」の「有」に●を付けます。

これは、青色申告を利用することの意思表示であり、開業届に合わせて「青色申告承認申請書」を提出することを意味します。

提出方法

届出は管轄する税務署に持参または郵送で提出すればよく、費用はかかりませんし、添付しなければならない必要書類はありません。

なお、事前に様式を入手して提出用と控えを作成しておけば、「文書収受」のスタンプを押印してもらった控えが、対外的な開業の証明として利用できます。

提出期限

この届け出は、所得税法により、事業開始の事実があった日から1カ月以内に提出することとされていますが、期限を過ぎてもペナルティはありません。

ただし、提出しない限りは青色申告を利用できないため、所得税などの優遇措置を受けることができないことに注意が必要です。

必要な手続きと流れ

自宅で開業をする際は、必須の手続きと必要に応じて行う手続きがありますから、それぞれのケースで必要な手続きと流れを確認しましょう。

なお、節税できるお得な青色申告を前提にしていることにご注意ください。

必須の手続きと流れ

提出する書類提出先期限
個人事業の開業・廃業届出書税務署事業開始から1カ月以内
事業開始等申告書都道府県税務事務所事業開始からおおむね1カ月以内
事業開始等申告書市町村事業開始からおおむね1カ月以内
所得税の青色申告承認申請書税務署事業開始から2カ月以内、または青色申告をしようとする年の3月15日まで

開業届は税務署に提出しますが、住民税や事業税を扱っている都道府県税務事務所と市町村にも「事業開始等申告書」を提出する必要があります。

また、青色申告を利用するため、事業の開始から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

なお、この申請書は、開業届と同時に提出できますので、一緒に提出するのがおすすめです。

雇用や家族・親族を従業員にする場合の手続きと流れ

提出する書類提出先期限
労働保険関係書類労働基準監督署雇用した日から10日以内
雇用保険関係書類公共職業安定所雇用した日から10日以内
健康保険・厚生年金保険関係書類年金事務所従業員が5人以上になった日から5日以内
給与支払事務所等の開設届出書税務署雇用した日から1カ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書税務署特例を受ける月の初日の前日まで
青色事業専従者給与に関する届出書税務署事業開始から2カ月以内または青色申告をしようとする年の3月15日まで

従業員を雇用する場合や、家族や親族を従業員にする場合は、給与や源泉所得税の支払い、保険や年金に関する手続きが必要です。

保険や年金については、基本的に雇用から10日以内に手続きを行います。

また、税金に関する手続きについては、雇用した場合は1カ月以内、家族などを従業員にする場合は2カ月以内に税務署へ届け出る必要があります。

消費税の課税事業者になった場合の手続きと流れ

提出する書類提出先期限
消費税課税事業者選択届出書税務署開業1年目の12月31日まで
または適用を受けようとする年の前年12月31日まで
消費税簡易課税制度選択届出書税務署開業1年目の12月31日まで
または適用を受けようとする年の前年12月31日まで

消費税は、前前年の売上高または前年1月から6月までの売上高が1,000万円以上の事業者が対象で、開業2年目までは免税事業者であることが一般的です。

課税事業者となった場合は、すべてを正確に記帳して納税する「原則課税方式」が基本ですが、簡易に税額を計算する方法も認められます。

いずれの場合も、自宅で開業する個人事業主の場合は、売上高が1,000万円を超えた年の翌年12月31日までに提出します。

まとめ

自宅での開業は、職場の人間関係に煩わされることもなく、通勤や勤務時間に縛られる必要もないなど、自由度が高いことが魅力です。

また、会社に雇われるときのような上下関係の拘束がなく、仕事の意思決定においても自分自身の判断で進めることができます。

一方、事業主として、自ら仕事や顧客を開拓していなければならず、開業したばかりの時期は、必ずしも安定した収入を得ることができないリスクがあります。

また、開業の準備や営業、事務や経理処理など全てを自分で行う必要があるとともに、ある程度の売上や収入が生じるようになると、高い税金がかかります。

自宅で開業する手続きは簡単ですが、このようなメリットやデメリットを把握したうえで判断して、手続きを進めることをおすすめします。

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