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最終更新日:2026/4/15

代表取締役の選定方法を解説!取締役との違いは?

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること
  • 代表取締役の選定方法
  • 株主総会の決議
  • 代表取締役の登記のルール

代表取締役は、会社を代表する権限を持ち、契約締結や対外的な意思表示を行う非常に重要な役職です。

代表取締役の選定については、会社法で明確なルールが定められています。また、会社の形態によってルールが異なるため、しっかり整理しておきたいポイントです。

この記事では、代表取締役の選定方法を中心に、取締役との違い、株主総会の決議、登記、解職、代表取締役が死亡した場合にするべき対応などをわかりやすく解説します。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

代表取締役の選定方法

代表取締役の選定方法は、すべての会社で共通しているわけではありません。誰がどのような手続きで代表取締役を選ぶのかは、会社の形態によって異なります。

特に「取締役会設置会社」と「取締役会非設置会社」の違いは、実務上の重要ポイントです。

取締役会設置会社は、文字通り、取締役会を設置している会社です。取締役会非設置会社は、取締役会を置かず、1人または少人数の取締役が運営している会社です。中小企業の多くは取締役会非設置会社にあたります。

下表は、両者の代表取締役の選定ルールを整理したものです。

会社の区分 選定方法 決定機関 定款の定め 手続きの特徴 向いている会社
取締役会設置会社 取締役会の決議 取締役会 不要 法律上の原則的な方法。株主総会で取締役を選び、その後に取締役会で代表取締役を決定 中規模以上の会社、ガバナンス重視の会社
株主総会の決議 株主総会 必要 定款で定めた場合のみ、株主総会で代表取締役を選定できる 株主の意思を強く反映させたい会社
取締役会非設置会社 定款で定める 必要 定款に氏名を直接記載するため、代表取締役を交代する度に株主総会の開催・定款変更が必要 家族経営、小規模法人
株主総会の決議 株主総会 必要 普通決議で選定。株主の意思を反映しやすいが、手続き負担がある 出資者と経営者が分かれている会社
取締役の互選 取締役 必要 株主総会を開かずに決定でき、スピーディー 取締役が少人数の会社

取締役会設置会社

取締役会設置会社では、代表取締役は原則として取締役会で選定されます。ただし、定款で定めれば株主総会で選定することも可能です。

取締役会の決議

取締役会設置会社では、取締役会の決議によって代表取締役を選定します。これは会社法で定められている取締役会の権限の1つです。

この場合、株主総会で取締役を選任し、その後、取締役会の決議によって取締役の中から代表取締役が決定される流れになります。

参考:会社法 第三百六十二条 第3項|e-Gov 法令検索

株主総会の決議

取締役会設置会社であっても、定款で代表取締役の選定方法を定めることができ、株主総会で選定する方法を取ることも可能です。このルールも会社法で定められています。

会社法 第二百九十五条 第2項

2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

引用:e-Gov 法令検索

取締役会非設置会社

取締役会非設置会社では、代表取締役の選定方法にいくつかの選択肢があります。会社の規模や運営実態に応じて選定方法を選ぶことができます。

家族経営の会社や小規模な法人の場合では、取締役会を置かない形態がよく採用されており、代表取締役の選定方法も比較的シンプルです。

定款で定める

取締役会非設置会社では、定款に代表取締役の氏名を直接記載して定める方法があります。

また、定款には「株主総会の決議によって代表取締役を定める」「取締役の互選によって代表取締役を定める」といった形で、選定方法そのものを定款で定めることも可能です。この場合、代表取締役の選定は定款の定めに従って行う必要があります。

定款は会社の基本ルールとなる重要書類であり、代表取締役の選定方法は慎重に決めなければなりません。安易に決めると、選定や変更の際に手続きが煩雑になることもあります。

株主総会の決議

取締役会非設置会社では、定款で定めることで、株主総会の決議によって代表取締役を選定することができます。株主が直接代表取締役を選ぶ形となるため、会社の経営について株主の意思を反映しやすいといえます。

株主総会で代表取締役を選定する場合は、原則として普通決議で決定します。普通決議では、議決権を持つ株主の過半数が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成があれば決議が成立します。

この方法は、出資者と経営者が一致しない会社や、複数の株主がいる会社でよく用いられます。デメリットとしては、株主総会を開催し、議事録を作成するため、手続きの負担が大きくなる点があげられます。

取締役の互選

取締役が2人以上いる場合は、取締役同士の話し合いである「互選」によって代表取締役を決めることも可能です。この方法は、株主総会を介さずに代表取締役を決定できる点が特徴で、手続きを早く進めたい場合に選ばれることが多いです。

互選による選定を行う場合は、定款で定めておく必要があります。

互選は、少人数で会社を運営しているケースに適しており、株主総会の開催が不要で、意思決定のスピードが速いというメリットがあります。一方で、株主の意思が直接反映されにくい側面もあるため、株主構成や経営体制を踏まえて選択することが重要です。

取締役会非設置会社の場合は代表取締役を置かなくてもよい

取締役会非設置会社では、必ずしも代表取締役を置く必要はありません

取締役1人のみの会社であれば、その取締役が自動的に会社を代表することになります。また、複数の取締役がいる会社で代表取締役を置かない場合は、すべての取締役が代表取締役となります。

参考:会社法 第三百四十九条|e-Gov 法令検索

代表取締役の選定で注意したいポイント

代表取締役の選定は、単に「代表にふさわしい人を決める」というだけではなく、会社の対外的信用や経営において極めて重要な手続きです。そのため、会社法のルールに沿った正確な手続きを行うことが重要です。

定款を確認する

代表取締役の選定で注意したいポイントの1つが、定款の内容と選定手続きが一致しているかです。たとえば、定款で「取締役会により代表取締役を定める」と定めているにもかかわらず株主総会だけで代表取締役を決めてしまうと、手続きの不備となります。

また、代表取締役が変更になった場合は、変更登記をしなければなりません。変更登記をせずに放置すると「登記懈怠(けたい)」として過料の対象になるため注意が必要です。

参考:会社法 第九百七十六条 第一号|e-Gov 法令検索

任期途中での解職

一般に、取締役は任期の途中でも解任されることがあります。解任については、会社法に従って手続きを行えば違法ではありませんが、任期途中での解任にはリスクもあります。

代表取締役は会社の代表者であるため、任期途中での解職は、会社の対外的イメージにも大きな影響を与えます。

解職による対外的イメージの例

  • 経営が不安定なのではないか
  • 内部でトラブルが起きているのではないか
  • 資金繰りや売上に問題が生じているのではないか

代表取締役が解職されると、取引先に上記のような懸念を持たれやすくなります。任期途中での解職は会社の信用を大きく損なう可能性があるため、慎重な判断が必要です。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

代表取締役であっても任期の途中で解職は可能です。しかし、その理由が正当でない場合、当人は残存期間の役員報酬を請求することができます。たとえば、経営方針の違いや人間関係の悪化などが理由の場合、会社に役員報酬の支払い義務が発生する可能性があります。

代表取締役の任期

代表取締役の任期は、会社法で定められている「取締役の任期」と同じ扱いになります。原則として、取締役の任期は2年以内です。ただし、非公開会社の場合は、定款で定めることにより最長で10年まで延長することが可能です。

代表取締役の存在は取締役の地位が前提となるため、任期のルールは同じです。

参考:会社法 第三百三十二条|e-Gov 法令検索

代表取締役とは?

代表取締役は、会社を代表する特別な権限を持つ取締役です。会社の最終的な意思決定を行い、契約を締結し、経営に対しての責任を負う立場にあります。その責任は、取締役より重いです。

会社の代表権がある

代表取締役は、会社の「代表権」を持っています。代表権とは、会社を代表して契約を結ぶことができる権限のことです。

たとえば、取引先との契約、金融機関との融資契約、不動産の賃貸借契約などは代表取締役が行います。代表権の有無は、取締役と代表取締役の大きな違いの1つです。

代表取締役が持つ代表権は非常に強力な権限であるため、社内の役職や肩書きでは代替できないものです。社長という肩書きがあっても代表取締役ではない場合、原則として代表権はありません。

取締役の選任との違い

取締役は必ず株主総会の決議によって選任されます。一方、代表取締役は、その取締役の中からさらに選ばれる存在です。

つまり、代表取締役の選定は、株主総会で取締役に選ばれたうえで、さらに代表取締役として選定されるという2段階構造が基本になっています。

取締役は会社の経営方針を決定する経営陣です。代表取締役はその経営陣の代表になります。

代表取締役を選定する株主総会について

代表取締役を株主総会で選定する場合は、株主総会の普通決議が必要です。また、登記手続きの際には議事録が必要になります。

ここでは、代表取締役を選定する株主総会のルールを解説します。

株主総会の普通決議

代表取締役の選定を株主総会で行う場合、株主総会の普通決議で決定します。普通決議には以下の条件があります。

普通決議の条件

  • 議決権を行使できる株主の過半数が出席
  • 出席した株主の議決権の過半数が賛成

この条件を満たした決議が行われることで、代表取締役が選定されます。

代表取締役の選定は会社の極めて重要な事項ですが、会社法では、株主総会の特別決議までは求められていません。ただし、定款で特別な定めをしている場合は、取締役会や取締役の互選で代表取締役を選定することもあります。

株主総会の議事録の書き方

株主総会で代表取締役を選定した場合、必ず議事録を作成する必要があります。議事録には次の内容を正確に記載します。

株主総会議事録の記載内容

  • 開催日時
  • 開催場所
  • 出席した株主
  • 決議事項
  • 代表取締役に選定された人の氏名

作成した株主総会の議事録は、その後の代表取締役の登記申請での必要書類となります。書類に不備があると登記が受理されないことがあるため、記載内容は慎重に確認してください。

代表取締役と登記について

代表取締役は会社法上の役員であるため、選定や解職があった場合には必ず「登記」をしなければなりません。

ここでは、代表取締役の登記についてまとめて解説します。

代表取締役は登記される

代表取締役を選定した場合、選定された日から2週間以内に法務局で登記申請を行う必要があります。これは会社法で定められた義務であり、正当な理由なく登記を怠ると、過料の対象になります。

登記する内容は、次のとおりです。

代表取締役について登記する内容

  • 代表取締役の氏名
  • 代表取締役の住所
  • 就任した日

登記情報は誰でも確認できるようになるため、代表取締役は会社の公式の代表者として社会的に認識されることになります。

金融機関との取引や不動産契約など、あらゆる場面で登記情報は閲覧されます。

代表取締役が死亡した場合の手続き

代表取締役が死亡した場合、会社も対応を求められます。代表取締役は会社を代表する立場であるため、その死亡は経営体制に直接影響します。

代表取締役の不在が続くと、契約行為や金融機関との取引が停止する恐れもあるため、できるだけ迅速かつ正確に手続きを進めることが必要です。

また、死亡の場合は社内での引き継ぎが不十分になりやすく、実務が混乱するケースも多いです。法的な手続きと実務対応の両方を適切にこなす体制が求められます。

代表取締役が死亡したときにするべきこと

代表取締役が死亡した場合、その時点で代表権は自動的に消滅します。死亡をもって代表取締役としての地位が終了するからです。そのため、会社は速やかに以下の対応を行う必要があります。

代表取締役の死亡時の対応

  • 新たな代表取締役の選定
  • 代表取締役変更の登記

まず、代表取締役が死亡した場合は死亡の事実を確認し、取締役会または株主総会を招集します。

会社が取締役会設置会社であれば、取締役会の決議で新たな代表取締役を選定することになります。取締役会非設置会社の場合は、定款の定めに従い、株主総会の決議または取締役の互選によって次の代表取締役を決定します。

また、定款に直接氏名を記載して代表取締役を定めている場合は、定款変更の手続きが必要です。定款変更では株主総会の特別決議が必要になります。

後任の代表取締役が選定されたら、2週間以内に代表取締役変更の登記申請を行う必要があります。

代表取締役が不在の期間が長くなると、銀行口座の手続き、融資契約、重要な取引契約などに影響があるため、速やかな対応が求められます。代表取締役が死亡した場合はできるだけ早く後任を決め、期限内に登記まで完了させることが重要です。

代表取締役の選定は会社の形態や定款で異なる

代表取締役の選定方法は、取締役会の設置・非設置という会社の形態や、定款の定めによって異なります。取締役会設置会社では取締役会の決議が原則となり、取締役会非設置会社では株主総会の決議や取締役の互選など、複数の方法が認められています。

また、代表取締役が死亡した場合は後任の代表取締役を選定しなければなりません。

代表取締役の選定に関する手続きには法的な義務も絡んでくるため、慎重に進める必要があります。会社の実態に合った正しい手続きを行うためにも、わからないことは専門家に相談しながら進めましょう。

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