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最終更新日:2026/3/9

女性起業の始め方完全ガイド!起業の準備から手続きまで解説します

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

女性起業の始め方完全ガイド!起業の準備から手続きまで解説します

この記事でわかること
  • 女性が起業するにあたっての不安の整理
  • 起業前に整理すべき考え方と準備
  • 女性起業で利用できる融資や補助金

起業に興味はあるものの、実際に行動に移せず悩んでいる女性は少なくありません。

働き方の多様化で個人でも起業しやすくなりましたが、それでもリスクはあります。会社員や主婦の人にとって、起業という選択は生活や将来に大きく影響するため、不安を感じるのは当然です。

女性による起業(以後、女性起業)は、特別な才能や大きな資金がなければできないものではありません。起業するために必要な資格などもありません(業種に特有のものを除く)。重要なのは、勢いや理想だけで判断せず、順序立てて準備を進めることです。

この記事では、起業を考え始めた女性に向けて、起業の考え方や具体的な手続きについて段階的に解説します。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

女性起業が不安な人のための完全ガイド

女性が起業する際に不安を感じるのは、決して特別なことではありません。

多くの人が「本当に自分にできるのか」「失敗したらどうなるのか」といった漠然とした不安を抱えています。この不安の正体は、能力不足ではなく、情報や判断基準が整理されていないことが原因です。

まずは不安を言語化・整理しましょう。

「起業したいのに踏み出せない」ときはどうしたらいい?

起業に興味がありながら行動に移せないときは「やりたい気持ち」と「不安」が同時に存在しているケースがほとんどです。この状態のままでは、なかなか前に進めません。必要なのは、不安を否定することではなく「何が不安なのか」を明確にすることです。

まずは「何がわからないのかわからない」状態から抜け出しましょう。

何から始めればいいかわからない

女性起業で最も多い悩みが「まず最初に何をすればいいのかがわからない」です。起業という言葉を聞くと、事業計画書や資金調達といった難しい作業を想像してしまいます。

しかし、起業の最初の段階で必要なのは、事業計画書ではありません。自分が「人に対してどのような価値(サービス)を提供できるか」「誰のどのような悩みを解決したいのか」を整理することが重要です。

たとえば、これまでの仕事や生活の中で行なってきたことを書き出すと方向性が見えてくるかもしれません。

お金と失敗が怖い

これは女性起業家に限ったことではありませんが、お金に対する不安を抱える人は少なくありません。収入が不安定になることや貯蓄が減ることを考えて「やめておこう」となってしまうケースはあります。

こうした不安を和らげるためには、最初から大きな成功を目指さないことがポイントです。まずは、初期費用を抑えること、最初は小さく始めることで、失敗したときの影響を最小限にできます。

失敗をゼロにする方法はありません。しかし、失敗しても立て直せる状態を作ることは現実的な対策になります。

プライベートとの両立

仕事と私生活(家庭、子育てなど)のバランスは大きな課題になります。時間を自由に使えるというイメージだけで起業すると、実際の負担とのギャップに悩むことがあります。

そのため、起業前に「自分が仕事に使える時間」を正確に把握することが重要です。現実的に確保できる時間を基準に計画を立てることで、無理のない起業につながります。完璧な両立を目指さず、継続できる形を優先しましょう。

女性起業家の収入

日本政策金融公庫が2022年に行った調査によると、女性起業家の月商は62.7%が100万円未満となっています(調査対象は開業後4年以内の事業者)。女性の月商の平均でも166万円となり、男性より低い傾向があるようです。

もちろん、月商がそのまま収入ということではないため、起業直後から安定した収入を得られる人は決して多くありません。

参考:女性による新規開業の特徴~「2022年度新規開業実態調査(特別調査)」結果から~|日本政策金融公庫

女性起業の悩みを解決するためのポイント

女性起業に対する悩みを解決するためには、漠然と悩み続けるのではなく、具体的に行動することです。ここでは、起業前に意識したいポイントを整理します。

向いている仕事やスキルを探す

女性に限らず、起業を考えるときに「向いている仕事がわからない」と感じる人は少なくありません。この悩みの背景には「起業には特別なスキルや資格が必要」という考え方があります。

しかし、起業で重要なのは、他人と比べて優秀であることや突出した才能があることではありません。大切なのは、無理なく続けられるかです。

自分がしてきた仕事、家庭やコミュニティーでの役割、日常的に行なってきたことを振り返ると、提供できるサービスが自然と見えてくるかもしれません。

具体的な経費や資金を試算する

起業への不安を大きくしている要因の1つに、資金面があげられます。

「どれくらいお金が必要なのかわからない」「失敗したらすべて失ってしまうのではないか」という不安があると、自信を持って行動できません。

そのため、起業前に必要な経費を試算することが重要です。事業に必要な備品、通信費、システム利用料、広告費などを書き出して、必要な金額を把握しましょう。

金額を明確にすることで、起業に対する不安を減らし、リスクを直視できるようになります。

手続きの流れを調べる

「起業の手続きが複雑そうで心配」という人は、手続き全体の流れを把握することで不安は軽減されます。

起業の流れは、大きく「事前準備」「届出・申請」「事業開始後の管理」に分類できます。

複雑な手続きが必要になるケースもありますが、すべてを一度に理解しようとせず、段階ごとに整理することが重要です。必要に応じて専門家に依頼するという選択肢もあります。

あらかじめ流れを把握しておくことで、起業時の混乱は防げます。

経験者の話を聞く

起業に関する情報はインターネットや書籍から得ることもできます。ただ、コンテンツによっては成功例に特化していることもあります。

起業のリアルを知るには、生活との両立や収入が安定するまでの苦悩など、表に出にくい話を直接聞くことも大切です。

起業セミナーなどを利用すれば、失敗談や苦労した点を直接聞くこともでき、自分の判断材料が増えます。話を聞く際は、結果だけでなく過程に注目することが重要です。

女性に向いている起業ジャンル

続いて、女性が起業しやすいジャンル(業種や業態)についてです。在宅でできるものや、自分のスキルを活かした起業も検討できます。

在宅で始めたい

在宅でできる仕事は、女性の起業で選ばれやすいジャンルです。

店舗や事務所を用意する手間やコストを抑えられ、通勤が不要なためプライベートとの両立にも向いています。

パソコンと通信環境があれば始められる仕事も多く、起業に不安を感じている人でも挑戦しやすいです。

ライターやイラストレーター、デザイナーなどは在宅で始めやすいジャンルといえます。

一方、仕事とプライベートの区切りがあいまいになりやすいというデメリットもあります。

スキル・経験を活かしたい

これまでの職務経験や資格を活かした起業は、信頼を得やすい点が強みです。また、ゼロから学ぶ負担が少ないため、準備期間を短縮しやすいというメリットもあります。

ポイントは、これまで積み上げてきた知識や技術を、どのように提供できるかを整理することです。

すでに士業の資格を持っている方などはそれを活かした起業を考えてもよいでしょう。

女性起業で利用できる融資や補助金

起業を考える際には資金調達が必要なケースもあります。そのため、利用できる融資や補助金の制度を正しく理解することが重要です。

女性起業では、国や自治体が用意している制度を活用することで、資金面の負担を抑えながら事業を始められます。ただし、制度にはそれぞれ条件があるため、内容を把握したうえで検討する必要があります。

新規開業・スタートアップ支援資金

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、創業者向けの代表的な融資制度です。女性、または35歳未満/55歳以上の人が新規事業を始める際に利用できます。

補助金ではなく融資なので返済が必要ですが、自己資金が足りない場合に利用できる制度です。

対象 女性または35歳未満か55歳以上の方が新規創業する(または事業開始後おおむね7年以内)の場合
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
利率 女性の場合、基準利率より低い特別利率(条件により変動。最新の利率は公庫の金利情報で確認)の適用あり
主な申請要件 女性もしくは対象年齢の創業
事業開始後おおむね7年以内
創業計画書等の提出・審査
など
問い合わせ先 日本政策金融公庫

参考:新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)|日本政策金融公庫

補助金や助成金

起業の際には、融資だけでなく補助金や助成金も選択肢になります。補助金や助成金は、返済が不要な資金である点が大きな特徴です(※要件違反や不正があった場合は交付決定の取消や返還を求められることがあります)。

女性が利用できる制度もあれば、性別に関係なく条件を満たせば申し込める制度もあります。

  • デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 東京都:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
  • 茨城県:女性・若者・障害者創業支援融資

制度ごとに条件が異なるため個別にチェックしましょう。

補助金や助成金は基本「後払い」になるため注意

補助金や助成金の支給は、多くの場合、お金を使った後になります。

補助金や助成金は、申請の採択後に支出し、その後で対象の金額が支払われるしくみが一般的です。後払い形式であれば、事業開始時点では自己資金が必要になります。

補助金や助成金は、あくまで事業を後押しする制度として位置付けましょう。

起業の手続きについて

起業するには必要な手続きを理解し、順序立てて作業を進める必要があります。手続きを後回しにせず、制度を理解して適切な対応をしましょう。

個人事業主と法人どちらを選ぶ?

起業を考える際には、事業形態の選択をしなければなりません。

個人事業主と法人という選択肢がありますが、両者は手続きや税務上の扱いが異なります。事業の規模や目的に合わせて選ぶことが重要です。

個人事業主

個人事業主は法人設立より手続きが軽く、税務署への開業届の提出や、必要に応じて青色申告承認申請などの届出を行います。業種によっては他の機関への手続きも発生します。

事業規模が小さい段階では、会計や税務の管理も比較的シンプルです。そのため、副業や小規模な事業から始めたい人に向いています。

会社設立

会社を設立すると、法人を運営することになり社会的信用を得やすくなります。取引先や金融機関との関係において、法人であることが有利に働く場面もあります。

ただし、会社設立をする場合は登記費用などの初期費用がかかります。また、設立後も、決算や各種届出などの事務作業が発生します。そのため、ある程度の事業規模や将来的な展開を見据えたうえでの検討が必要です。

最初は個人事業主としてスタートして、事業が軌道に乗った段階で法人化するケースもあります。

起業のロードマップ

手続きの流れを理解すると、起業に取り組みやすくなります。「準備」「手続き」「事業開始後の管理」と、段階に分けて考えてみましょう。

起業のロードマップ

  • 準備事業内容を整理する
    → 提供するサービスや商品を決める
    → 必要な経費や資金を試算する
    → 個人事業主か法人かを決める
  • 手続き開業届の提出(または設立登記)などを行う
    → 税務署や関係機関への届出を行う
    → 事業用の銀行口座や環境を整備する
  • 事業開始
    後の管理
    事業を開始する
    → 売上や経費の記録を行う
    → 税務や契約内容を定期的に確認する

段階に分けて整理することで、起業全体の流れが把握しやすくなります。

気をつけたい法律・契約トラブル

起業では、事業を始めることに目が向きがちですが、始めた後に起こりやすいトラブルへの備えも重要です。

金銭や契約が関わる場面が多いため、認識の違いがそのままトラブルに発展するケースもあります。

法律や契約の知識が不足していると、悪意がなくても不利な立場に立たされる可能性もあります。そのため、事前に基本的なポイントを押さえておくことが重要です。

価格設定・キャンセル規定・利用規約の注意点

価格設定は、女性が起業したときに悩みやすいポイントの1つです。理想を追求しすぎたり、相手に配慮しすぎたりして、安く設定しすぎてしまう人も少なくありません。

価格は感覚や良心、理想で決めるのではなく、必要な経費や作業時間をもとに考えることが重要です。自分の労力を正当に評価することは、事業を続けるために欠かせません。

また、キャンセル規定や利用規約を明確にしておくことも重要です。口約束だけで進めてしまうと「言った」「聞いていない」といったトラブルが起こりやすくなります。事前に文章でルールを示しましょう。

特に女性が起業した場合は、人間関係に配慮するあまり、規定をあいまいにしてしまうケースがあります。

しかし、ルールの設定は、相手を縛るためではなく、自分を守るための行動です。最初に線引きしておくことで、結果的に円滑な関係を築きやすくなります。

専門家に相談する

法律や契約に不安を感じた場合は、専門家に相談しましょう。

起業初期は「できるだけ自分で解決して費用を抑えたい」と考えがちですが、トラブルが起きてから対処するのでは負担は増える一方です。

税理士や行政書士、司法書士、弁護士などは、起業時の手続きや契約内容を確認する際の相談先になります。早い段階で活用しましょう。

女性起業でよくある質問

Q:起業に年齢制限はありますか?

A:起業そのものに一律の年齢制限はありません。未成年の場合は、契約などに法定代理人の同意が必要になる場面が多いため、実務上は保護者等と相談しながら進めることになります。
Q:起業に特別な資格や経験は必要ですか?

A:起業するために必須の資格はありません。
Q:家族の理解が得られない場合はどうすればいいですか?

A:家族が不安を感じるのは、起業の内容やリスクが見えないからかもしれません。事業内容や資金計画を具体的に説明することで、理解を得やすくなります。
Q:起業してすぐに収入は得られますか?

A:起業直後から安定した収入を得られるケースは多くありません。最初の数カ月は収入が少ない、あるいはない状態も想定しておく必要があります。
Q:会社員や主婦でも起業できますか?

A:会社員や主婦でも起業は可能です。ただし、勤務先の就業規則や家庭の状況を確認したうえで進めることが重要です。

女性起業の悩みも税理士などの専門家へ

女性起業は、正しい知識と準備があれば、無理なく進められます。

しかし、資金調達や手続き、契約などは判断が難しいケースも多く、自己流で場当たり的に進めると、あとで負担が大きくなったりトラブルが発生したりする可能性があります。

特に、会社設立や融資、契約書の作成などは、専門的な知識が求められる場面です。内容を十分に理解しないまま進めてしまうと、不利な条件を受け入れてしまったり、想定外の責任を負うことにつながります。

自分ですべて解決しようとせず、専門家に相談することも重要です。

大切なのは、勢いや理想だけで進めるのではなく、「リスクを管理すること」「起業の流れを把握したうえで行動すること」です。無理せず準備を進め、必要な場面では専門家の力を借りながら、自分に合った女性起業の形を築いていきましょう。

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