最終更新日:2026/5/15
取締役の任期に関する疑問に答えます!役員の任期について徹底解説!

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
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- 取締役の任期のルール
- 任期の数え方
- 取締役が任期満了した場合の対応
株式会社を経営するうえで欠かせない存在が取締役です。取締役には法律で定められている任期に関するルールがあります。
取締役の任期は会社の形態によって異なるため「原則2年まで」というケースもあれば「最長10年まで設定できる」というケースもあります。会社法のルールが一律ではないため、明確に把握していない人も多いのではないでしょうか。
取締役の任期は、会社によって異なります。さらに、任期満了後には登記などの手続きも必要となり、放置すると登記懈怠となり罰則の対象になることもあります。
この記事では、取締役の任期の基本から、数え方、確認方法、満了後の手続き、登記との関係までを、実務目線でわかりやすく解説します。


目次
取締役の任期は何年?最長は?
取締役の任期は、会社法でルールが定められています。ただ、すべての会社が同じ年数になるわけではありません。会社の種類によって、設定できる任期の長さが変わります。
非公開会社の取締役の任期
非公開会社の場合は、定款で定めることで取締役の任期を最大10年まで延長できます。非公開会社とは、株式に譲渡制限が付いている会社のことです。
会社法では取締役の任期は原則2年ですが、非公開会社に限って「定款で定めること」を条件に、10年まで延長できます。
そのため、非公開会社では「2年」「5年」「10年」など、会社の方針に合わせた柔軟な設定が可能です。
ただし、10年を超える任期は設定できません。
公開会社の取締役の任期
公開会社の取締役の任期は最大で2年です。公開会社とは、譲渡制限が付いていない株式がある会社のことです。
公開会社は、非公開会社と異なり、株主の入れ替わりが頻繁に起こる可能性があるため、経営陣を株主が定期的にチェックできるしくみが必要と考えられています。そのため、取締役の任期は2年以内と定められています。
任期は「2年以内」であればよいため、1年に設定することも可能です。必要に応じて、任期を1年にして毎年株主総会で選任を受けるケースもあります。
監査役など他役員の任期
取締役以外の役員にも、それぞれ任期が定められています。役職によって任期の長さも異なります。
監査役の任期
監査役は、取締役の業務執行が法律や定款に従って正しく行われているかを監督する立場の役員です。監査役の任期は4年とされていますが、非公開会社の場合は10年まで延長できます。
取締役より任期が長いのは、社内の業務を監督する監査役の独立性を確保するためです。
会計参与の任期
会計参与の任期は原則2年です。
会計参与は、取締役と協力して計算書類などを作成する役員です。公認会計士や税理士などが就任し、専門性が高いのが特徴です。会社の財務面を支える重要な役割を担っています。
社外取締役の任期
社外取締役とは、会社の外部から迎えられた取締役です。経営のチェック機能や助言役としての役割が期待されます。
社外取締役の任期は取締役と同様に原則2年、非公開会社の場合は10年まで延長できます。
設立時取締役の任期
設立時取締役とは、会社設立前に発起人によって選任される取締役のことです。会社設立後は、そのまま通常の取締役になるのが一般的です。
設立時取締役の任期も、取締役と同じく原則2年とされています。この場合も非公開会社であれば10年まで延長できます。
任期の起算点は「選任時」
取締役の任期は、事業年度との関係で、実際には2年より短くなるケースがあります。取締役の任期は「選任された日」と「定時株主総会の終結時」との関係で決まるためです。
ここでは取締役の任期の起算点と数え方について解説します。
取締役の任期の数え方
取締役の任期は、選任された日が起点となります。たとえば、4月1日に株主総会で選任された場合、4月1日がスタート地点となります。
ただしこれは、そこから単純に2年後の4月1日までということではありません。会社法で取締役の任期は「選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」と定められています。
会社の決算期や選任のタイミングによって、実際の任期は変わります。
数え方の一例
たとえば、以下のような3月決算の会社を考えてみましょう。
- 決算期:3月
- 定時株主総会:6月
取締役が6月の定時株主総会で選任された場合と、12月の臨時株主総会で選任された場合を比較したのが下表です。
| 2026年6月に選任 | 2026年12月に選任 | |
|---|---|---|
| 2年以内に終了する最終事業年度の決算期 | 2028年3月 | |
| 上記に関する定時株主総会 | 2028年6月 | |
| 実質的な任期 | 約2年 | 約1年半 |
上記のように、選任されるタイミングによって就任の期間が変わる点には注意が必要です。
取締役の任期を確認する方法
非公開会社では取締役の任期を最長で10年と長く設定できます。そのため、経営に奔走し年月が経つうちに「いつまでが任期だったか」を忘れてしまうケースも少なくありません。
何もせずに放置してしまうと、登記懈怠(けたい)などの問題が生じることもあるため、放置するのは避けるべきです。
任期は定款で確認する
取締役の任期は定款に記載されることが多いため、まずは最新の定款を確認しましょう。
一般には、役員に関する規定の部分に「選任後◯年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」といった形で定められています。
登記事項証明書には記載がない
取締役の任期についての定めは、登記事項証明書には記載されません。
登記事項証明書では取締役の氏名が確認できますが、任期は確認できないため注意しましょう。
株主総会議事録・就任承諾書などで補完する
取締役の任期がいつまでなのかを確認するために、株主総会議事録や取締役の就任承諾書を確認する方法があります。
これらの書類には、取締役がいつ選任されたかも記載されているため、登記事項証明書、定款の規定と照らし合わせることで「いつ任期満了になるか」を把握できます。
取締役の任期満了後の重任・再任の手続き
取締役は、任期が満了すると退任または重任もしくは再任となります。引き続き同じ人が取締役を務める場合でも、改めて株主総会での選任と登記が必要です。
ここでは取締役が任期満了した場合の対応を解説します。
任期満了の場合は「退任」か「重任・再任」
取締役の任期が満了したときの扱いは、次の3パターンです。
- 退任:そのまま役職を離れる場合
- 重任:同じ日に続けて選任される場合
- 再任:一度退任して再び選任される場合
任期満了後、重任・再任の手続きをしない場合は「退任」となります。同じ人に取締役を続けてもらう場合は、必ず株主総会で選任する必要があります。
重任と再任の違い
重任も再任も、結果として「同じ人が再び取締役になる」という点では同じです。両者の違いは、任期満了と次の選任の間にブランクがあるかどうかです。
- 重任:任期満了日にまた引き続き選任される
- 再任:任期満了で一度退任し、日を空けて再び選任される
たとえブランクが1日だけでも、任期満了日と選任日が同日でなければ「再任」となります。
取締役の任期と登記について
取締役の任期が満了することに伴う変更があった場合は、登記手続きが必要になります。この手続きを怠ると、罰則の対象になることもあるため注意が必要です。
変更から2週間以内に登記する
取締役の任期が満了したら、重任や再任、退任する場合でも必ず登記をしなければなりません。
たとえ同じ人物が同じ役職に就く場合でも、任期が満了してから再度選任されたのであれば変更登記が必要です。
この登記は、役員変更があった日から2週間以内と決まっています。法律上の義務であるため、必ず登記しましょう。
選任懈怠と登記懈怠について
ここでは、選任懈怠(けたい)と登記懈怠について整理します。
- 選任懈怠:役員の任期が満了しているにもかかわらず、重任も再任も、新しい役員の選任もせずに放置している状態
- 登記懈怠:登記すべき事項が発生しているにもかかわらず期限内に登記をしていない状態
つまり、取締役の任期満了後に何も手続きをしない場合は「選任懈怠」と「登記懈怠」の両方に該当する恐れがあります。
登記をせずにいると罰則がある
変更登記が必要にもかかわらず登記をしないまま放置すると、登記申請人である会社の代表者個人に過料が科される可能性があります。
過料は最大で100万円とされていますが、実際には3万〜5万円程度が多いようです。ただし金額だけの問題ではなく「法令違反の会社」と見られることで信用を失う恐れもあるため、期限の厳守は非常に重要です。
取締役の任期のみ変更した場合は登記は不要
取締役の任期は定款に記載されていますが、定款変更をしたら必ず変更登記が必要というわけではありません。
定款の中の取締役の任期のみを変更する場合は、変更登記は必要ありません。たとえば、非公開会社で取締役の任期「2年」を「10年」に変更しても、役員の重任や再任、退任がなく、新しい役員の選任もなければ登記は不要です。
この場合は、法務局などに報告する必要はなく社内の手続きのみで完了します。
取締役の任期は定款に記載されるため、任期に関する変更があった場合は、株主総会にて定款変更決議を行う必要があります。
登記申請は不要ですが、任期の変更を決議した株主総会の議事録を現行定款とあわせて保管、もしくは現行定款の書換が必要です。
取締役の任期は何年がいい?
取締役の任期は、会社の規模や経営方針、将来の予定や取締役の役割に応じて、適切な年数を考える必要があります。
任期を短くするメリット・デメリット
公開会社の取締役の任期は原則2年ですが、あえて1年など短く設定するケースもあります。
任期を短くすると、短期間での成果を求め、意思決定が速くなり、経営に緊張感が生まれます。特に、赤字の立て直しや新規事業の立ち上げなど、短期集中で結果を出したい場合に向いています。
一方で、デメリットもあります。
任期が短いと、重任や再任が頻繁に必要になり、そのたびに手続きの手間がかかります。株主総会の開催や議事録の作成、登記手続きなどの事務負担が増える点は無視できません。
任期を長くするメリット・デメリット
任期を長くするメリットは、経営の安定です。
長期的な視点で経営判断ができるため、腰を据えて事業に取り組むことができます。また、頻繁に手続きをする必要がなく、事務負担も軽減されます。
一方で、任期が長すぎると、経営に緊張感がなくなる恐れもあります。成果が出なくても、任期が切れるまで見直されにくくなる点は注意が必要です。また、社内での人間関係が悪化した場合などは対応が難しくなります。
取締役は任期途中でも辞任・解任できる
取締役には任期がありますが、だからといって必ず任期満了しなければならないわけではありません。任期の途中で辞任することもでき、株主総会の決議で解任されてしまうこともあります。
辞任はいつでも可能
取締役には任期が設定されており、会社法上の義務や責任があります。しかし、必ず任期満了まで取締役を務めなければならないということではありません。
任期の途中であっても、自らの意思表示で取締役を辞任することができます。
解任は株主総会決議
取締役には任期がありますが、株主総会の決議があれば任期の途中でも解任される可能性があります。取締役は、株主から会社の経営判断や運営を任されている立場です。「不適切」と判断されれば、その役を解かれることになります。
ただし、任期の途中で取締役を解任する場合は、解任の理由によっては残りの任期分の報酬を支払わなければならないケースもあるため注意が必要です。
取締役の任期は原則2年
取締役の任期は原則2年ですが、非公開会社に限っては定款で定めることで最長10年まで延長できます。
原則どおりの運用でも、取締役の任期は選任のタイミングなどによって変わるため、必ずしも「2年ぴったり」とは限りません。任期満了後は、退任・重任・再任のいずれの場合でも、原則2週間以内に登記が必要となります。
登記が必要にもかかわらず放置すると、選任懈怠や登記懈怠となり、過料の対象になる恐れがあります。定款、株主総会議事録、就任承諾書などで定期的に任期を確認し、期限を把握しておくことが大切です。


















