最終更新日:2026/3/27
取締役の任期に関する疑問にお答えします!役員の任期について徹底解説!

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

- 取締役の任期の基本的なルール
- 任期満了時の手続きや登記
- 任期の長短によるメリット・デメリット
取締役などの役員には任期が定められており、その任期が満了すれば重任や再任、あるいは退任といった対応が必要です。取締役の任期は2年以内が原則ですが、非公開会社では任期を最長10年まで延長できる特例があります。
この記事では、会社法に基づく任期の基本ルールから、任期満了時の手続き、変更登記の義務、適切な任期の決め方、さらに辞任や解任の対応まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。任期管理に不安がある方や会社経営者の方は、ぜひご確認ください。


目次
取締役の任期とは?
取締役や監査役、会計参与といった役員には必ず任期が定められています。取締役をはじめとする役員の任期について解説します。
役員の任期に関する会社法のルール
取締役などの役員の任期に関する会社法のルールを見ていきましょう。
取締役の任期
取締役の任期は通常2年とされていますが、2年以内であればよく、1年に設定しても問題はありません。
また、非公開会社の場合は、定款で定めることで取締役の任期を最大10年まで延長することができます。全株式に譲渡制限がある会社(非公開会社)のみに適用される特例です。ただし、10年を超える任期の設定はできません。
代表取締役の任期
代表取締役は会社の顔ともいえる存在です。一般的には、代表取締役=社長というイメージがあるのではないでしょうか。
代表取締役は、取締役会で選ばれる取締役の代表であり、代表権があります。任期のルールに関しても取締役と同様です。
監査役の任期
監査役は、取締役の業務執行が法律に従って正しく行われているかを監督するための役員です。監査役の任期は4年とされていますが、非公開会社の場合は10年まで延長できます。
取締役より任期が長いのは、社内の業務を監督する監査役の独立性を確保するためです。
会計参与の任期
会計参与の任期は原則として2年で、取締役と同様です
会計参与は、取締役と協力して会社のお金に関する関係書類を作成します。税理士もしくは公認会計士が就任します。
設立時取締役の任期
設立時取締役とは、会社を設立する前に発起人によって選任される取締役です。会社設立後は取締役となるのが一般的です。
設立時取締役の任期は、取締役と同様で原則2年ですが、非公開会社の場合は10年まで延長可能です。
社外取締役の任期
社外取締役とは、会社の外から取締役として迎えられた有資格者や実績のある人のことです。社外取締役の任期は原則4期(4年)が目安で、最長でも8年と考えられています。
合同会社の場合
合同会社には、取締役や監査役といった役職はありません。
合同会社の場合、すべての出資者が経営権を持っていて「社員」と呼ばれます。この社員とは、従業員のことではなく株式会社でいうところの役員のようなものです。
出資者が経営権も持っている合同会社では、経営者と出資者が一体なのです。
合同会社の社員には、株式会社の役員のような任期はありません。
有限会社の場合
有限会社は、旧会社法に規定されていた会社の形態です。
有限会社には取締役や監査役といった役職があります。これらの役職には、定款で特に定めていない限り任期がありません。そのため、辞任や解任がない限り、取締役は継続してその職にとどまることができます。
取締役の任期の数え方
取締役の任期は、事業年度との関係で、実際には2年より短くなるケースがあります。取締役の任期の数え方を解説します。
選任された時からスタートする
取締役の任期は選任された日が起点となります。スタート地点は選任された日ですが、そこからきっちり2年(最長10年)というわけではないため注意しましょう。
起算日を含めて2年以内の事業年度
取締役の任期は、起算日を含めて2年以内の事業年度の終了時までです。そのため選任されるタイミングによっては、実質的に取締役の役職に就く期間が短くなることがあります。
取締役の任期を確認する方法
取締役の任期は非公開会社では最長で10年と長いため、うっかり忘れてしまうケースもあります。10年間ずっと任期満了を意識して業務を行うというのは現実的ではありません。ですが、重要事項であるため定期的に確認しておくべきです。
取締役の任期満了を確認できる書類
会社設立時には取締役の任期の設定によく悩むものですが、一度決めてしまうと意外と忘れがちです。
特に、非公開会社で取締役の任期を10年に設定している場合は、長い時間が経過するため任期満了がいつなのかを失念することもあります。
取締役の任期は、社内に保管されている定款で確認できます。途中で定款変更をしている場合は、一緒に保管されている株主総会議事録にも目を通しましょう。
取締役の任期と重任・再任
取締役の任期が満了したときには、重任や再任の手続きで引き続き役職にとどまることができます。そのためには、株主総会で決議を行い、登記することが必要です。
取締役の任期の決め方
取締役の任期は会社の形態に応じて以下の方法で決定します。
- 株主総会の特別決議
- 取締役会
- 定款
取締役の任期は株主総会の特別決議で決定します。任期を延ばす場合も同様で株主総会の特別決議があれば変更できます。
また、会社設立時に作成する定款で取締役の任期を決めることもできます。この場合も、定款を変更する必要があるため株主総会の決議が必要です。
取締役の重任と再任とは?
重任とは、任期満了日にまた選任されて連続して取締役の職に就くことです。一方、再任は、任期満了後に一度退任し、ブランクを経て再び取締役に選任されることを意味します。
- 重任: 任期満了日にまた引き続き選任される
- 再任: 任期満了で一度退任し、日を空けて再び選任される
任期満了からのブランクが1日でも10年でも、日が空いていれば再任です。再任と重任は似ているように思えますが、ブランクの有無という違いがあります。
代表取締役の任期について
代表取締役の任期は、取締役と同じルールが適用されます。ただし、代表取締役の場合は株主総会の決議を行なったあとで取締役会の承認を受ける必要があります。
任期満了しても、重任の議決と取締役会の承認を得ることで、同一の人物が10年20年と代表取締役の役職に就くことはできます。
取締役が任期満了したときには登記が必要
取締役などの役員が任期満了した場合は、法務局で変更登記を行う必要があります。
2週間以内に登記する
取締役の任期が満了したら、重任や再任、退任する場合でも必ず登記をしなければなりません。
たとえ同じ人物が同じ役職に就く場合でも、いったん任期が満了したあとで再度選任されたのなら変更登記が必要です。
この登記は、役員変更があった日から2週間以内と決まっています。法律上の義務であるため、必ず登記しましょう。仮に同じ人が重任して役職につく場合でも必ず変更登記をしなければなりません。
選任懈怠と登記懈怠について
選任懈怠(けたい)と登記懈怠という言葉があります。あまり聞き慣れないワードですが、、選任懈怠とは、取締役などの役員が任期満了しているにもかかわらず重任も再任も、新しい役員の選任もせずに「放置している」状態のことです。
そして登記懈怠は、登記すべき事項が発生しているにもかかわらず期限内に登記をしていない状態です。
登記せずにいると罰則がある
変更登記の必要がある定款変更が発生しているにもかかわらず変更登記をせずにいると、会社代表者に過料が科されるケースがあります。
過料は最大で100万円とされていますが、実際には3万〜5万円程度が多いようです。いずれにせよ、罰則を受けると信用の失墜にもつながるため注意しましょう。
取締役の任期が切れた場合の対応については、以下の記事を参考にしてください。
取締役の任期のみ変更した場合は登記不要
定款変更をしたら必ず変更登記が必要というわけではありません。
たとえば、取締役の任期のみを変更する場合は、変更登記を行う必要はありません。他にも役員の定数や事業年度の変更、増資なども定款変更のみで変更登記は不要です。
取締役の任期は何年くらいがいいのか
取締役の任期には「最大10年」という上限が定められており、その範囲内で設定できます。複数年の任期を設けるのが一般的ですが、取締役の任期は何年くらいが適切なのでしょうか。
短くするメリット・デメリット
取締役の任期は原則2年ですが、あえて取締役の任期を短く設定するケースがあります。たとえば、短期間での赤字の解消や新規事業の立ち上げ、社内改革などの明確な経営課題があり、短期で達成したい場合です。
取締役の任期を短くすることで、成果を短期間で出すための判断がしやすくなります。
その一方で、取締役の任期を短くすると重任の手続きの頻度が増えるデメリットがあります。
長くするメリット・デメリット
取締役の任期を長く設定することで、長期的な視点で経営判断ができるというメリットがあります。その一方で、会社を運営していくなかで人間関係がこじれてしまう可能性もあります。
取締役は任期の途中で辞任や解任できる
取締役には任期がありますが、だからといって必ず任期満了しなければならないわけではありません。任期の途中で辞任することもできますし、株主総会の決議で解任されてしまうこともあります。
辞任は自らの意思でいつでもできる
取締役には任期があり、会社法上の義務や責任があります。ですが、必ず任期満了まで取締役を務めなければならないわけではありません。
任期の途中でも、自らの意思表示で取締役を辞任することができます。
株主総会の決議があれば任期の途中で解任できる
取締役には任期が設定されていますが、株主総会の決議があれば任期の途中でも解任される可能性があります。取締役は、株主から会社の経営判断や運営を任されているという立場だからです。
ただし、取締役を任期の途中で解任する場合は、解任の理由によっては残りの任期分の報酬を支払わなければならないケースがあります。
参考:会社法339条2項の「正当な理由」に関する主張の整理|裁判所(PDF)
取締役の任期は会社の種類で異なる!非公開会社であれば最大10年!
会社法における取締役の任期の規定は、会社の種類により異なります。原則は2年ですが、非公開会社では定款で定めれば最大で10年まで延長できます。
取締役を含めた役員には必ず任期があります。任期が満了したときには、重任や再任、もしくは退任の手続きをしなければならず、変更登記も必要です。登記をせずに放置していると登記懈怠となり、みなし解散のリスクや過料が科される可能性があります。
特に非公開会社で10年の任期を設定している場合、期間が長いため任期満了の時期を忘れてしまいやすいため注意が必要です。任期の設定や管理に不安がある場合は、専門家に相談することでリスクを最小限に抑えることができます。
登記の漏れや過料のリスクを回避するためにも、取締役の任期は計画的に管理することが大切です。

















