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最終更新日:2026/8/17

【割印は必要?】遺産分割協議書に押す「印鑑の種類」と「押印の方法」を図解で紹介

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

VSG司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profiletakana/

記事の要約

  • 遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、その右横に「実印」を押す
  • 協議書を複数通作るときは「割印」を、複数ページになるときは「契印」を押す
  • 「訂正印」と「捨印」は使わず、書き間違いが見つかったら協議書を作り直すのが確実

遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、その右横に実印を押すことになります。

また、複数通作るときには「割印」、複数ページになるときには「契印」を押すのが一般的です。

割印と契印を押す位置

一方で、書き間違いがあったときには、「訂正印」や「捨印」は使わず、作り直すことをおすすめします。

この記事では、遺産分割協議書に押す印鑑の「種類」や「押し方」を、はじめての相続の方にもわかりやすくお伝えします。

なお、私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしているので、何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。

【基本】遺産分割協議書に押印をする場面

この記事の全体像1

遺産分割協議がまとまったら、「遺産分割協議書」に相続人の全員が署名し、その右横に「実印」を押します。

署名の右横に実印を押したイメージ

そして、遺産分割協議書を相続手続きで提出する際には、実印を押したことの証明として、「印鑑証明書」を添付することになります。

実印と印鑑登録証明書の印影の照合

また、遺産分割協議書を作成する際は、下記のような場面でも「実印」を使うことがあります。

印鑑 概要
① 割印 ■ 協議書を複数通作るとき、すべての協議書が同じ内容であることを示すために押す
② 契印 ■ 協議書が複数ページになるとき、同一の書類であることを示すために押す
③ 訂正印 ■ 書き間違いがあったとき、内容を訂正するために押す
■ ただし、訂正する箇所によっては、相続人の全員が押印しなければならない
■ このため、書き間違いが見つかったら、協議書を作り直したほうが早いことが多い
④ 捨印 ■ 書き間違いに備えて、あらかじめ押しておく
■ ただし、ほかの相続人が捨印を悪用して、自分の都合の良いように訂正してしまう可能性がある

遺産分割協議書を複数通作るときは「①割印」を、複数ページになるときは「②契印」を、それぞれ押すようにしましょう。

割印と契印を押す位置

一方、「③訂正印」と「④捨印」は、使わないことをおすすめします。

なお、これらの押印には「実印」を使います。「認印」などの実印以外の印鑑では、提出先で受け付けてもらえないのでご注意ください。

割印・契印がなくても無効にはならない

実は、遺産分割協議書への「割印」と「契印」の押印は、法律で義務づけられているものではありません。

このため、割印・契印がなくても、遺産分割協議書が無効になることはなく、相続手続きに使えます。

とはいえ、下記の2つの理由から、遺産分割協議書には「割印」と「契印」を押しておくのが無難です

理由

  1. 手続きの窓口で余計な指摘を避けられる
  2. 別の相続人から内容を疑われたときに反証しやすくなる

1つ目の理由は、「手続きの窓口で余計な指摘を避けられる」からです。

相続手続きをする窓口の担当者によっては、割印や契印がないことを指摘されるかもしれません。

そこで、あらかじめ割印・契印を押して提出すれば、担当者から余計な指摘を受けることなく、よりスムーズに手続きを進められます。

2つ目の理由は、「別の相続人から内容を疑われたときに反証しやすくなる」からです。

相続人の誰かが「自分が受け取った協議書とは内容が違う」と言い出したとしても、割印・契印があれば、すべての協議書が同じ内容であることを示せます。

割印・契印を押す手間は、実印を数回押すだけなので、そこまで大きくはありません。

その手間に対して得られる安心のほうが、はるかに大きいため、最初から押しておくようにしましょう。

それでは、続いて「遺産分割協議書への押印の仕方」を見ていきます。

遺産分割協議書への「割印・契印・訂正印・捨印」の押し方

この記事の全体像2

ここからは、次の4種類の印鑑について、それぞれ「具体的な押し方」をお伝えします。

印鑑の種類

  1. 割印
  2. 契印
  3. 訂正印
  4. 捨印

種類1:割印

「割印」は、すべての遺産分割協議書がまったく同じ内容であることを示すための印鑑です。

具体的には、下記のように協議書を少しずらして重ね、書類にまたがるように実印を押します。

協議書をずらして重ねて押す割印

押印する位置に厳密な決まりはありませんが、書類の上部の余白に押すことが一般的です。

なお、作成する協議書の部数が多いときには、下記のように押印しても構いません。

部数が多いときの割印の押し方

種類2:契印

「契印」は、遺産分割協議書のすべてのページが一体の書類であることを示すための印鑑です。

契印は、協議書を製本テープでまとめてから押すのがおすすめです。これにより、押印の回数を大幅に減らせます。

具体的には、ホチキスで留めた協議書を「製本テープ」でまとめた後、表紙側と裏表紙側の2カ所に実印を押します。

製本テープに押す契印の位置

一方、協議書を製本テープで綴じない場合は、見開きになったページのつなぎ目すべてに、契印を押さなければなりません

見開きのつなぎ目に押す契印

この方法では、ページ数が増えるほど手間がかかるため、製本テープで綴じてから押印することをおすすめします。

種類3:訂正印

協議書に書き間違いが見つかったときは、「訂正印」を押して直すことも可能です

訂正印のイメージ

ただし、下記のように「訂正する箇所」によって必要な印鑑の数が異なります。

訂正する箇所 必要な印鑑
特定の相続人だけに関わる部分(署名欄の住所・氏名の誤記など) 該当する相続人の印のみ
協議の内容に関わる部分(遺産の内容、分割方法、被相続人の情報など) 相続人全員の印

特に「相続人全員の印」が必要なときには、訂正印を集めるだけで時間がかかってしまいます。

また、訂正の跡が多い協議書は、手続きをする窓口で受理してもらえないおそれもあります。

以上のことから、書き間違いが見つかったときは、訂正印を押すよりも、作り直したほうが確実です。

なお、「印影がかすれてしまった」「位置が少しずれてしまった」など、押し方そのものを失敗した場合の対応は、「押印に失敗したときの対処法は?」の章でお伝えします。

種類4:捨印

「捨印」とは、軽微な書き間違いに備えて、あらかじめ余白に押しておく印鑑のことです。

捨印のイメージ

捨印があれば、遺産分割協議書を作った後で間違いが見つかったとき、相続人全員の訂正印を集めなくても、訂正できるようになります。

一見すると便利に思えるかもしれませんが、遺産分割協議書に捨印を押すことは、おすすめできません

これは、捨印があることで、協議書をとりまとめている人が、ほかの相続人に伝えずに内容を書き換えることが可能になるからです。

特定の人に有利なように書き換えられると、それがきっかけで相続トラブルに発展しかねません。

以上のことから、書き間違いが見つかったときは、捨印や訂正印は使わず、協議書を作り直すことをおすすめします。

【実践】遺産分割協議書への押印の手順

この記事の全体像3

ここからは、実際に遺産分割協議書を作成したときの押印の手順を、下記の流れで見ていきます。

なお、遺産分割協議書の文面の作り方は、下記の記事で詳しくお伝えしているので、ぜひ併せてご覧ください。

ステップ1:ほかの相続人に内容を確認してもらう

ステップ1

遺産分割協議書の文面が完成したら、印刷する前にメールなどで相続人全員に共有し、協議で合意した内容と相違がないか確認してもらいましょう

押印まで済ませてから間違いに気づくと、最初から作り直すことになってしまいます。

このため、多少時間がかかっても、相続人全員のチェックが済んでから、次のステップに進むことをおすすめします。

ステップ2:人数分を印刷して製本する

ステップ2

遺産分割協議書のチェックが完了したら、必要な部数を印刷します

用意しておくべき協議書の部数については、下記の記事で詳しくお伝えしていますが、基本的には「相続人の人数分」だけあれば構いません。

協議書を印刷できたら、ホチキス留めをした上から製本テープで綴じます。

ホチキス留めして製本した協議書

なお、遺産分割協議書に「表紙」は必須ではありませんが、専門家が作成する場合には付けることが一般的です。

必要な方は、下記からダウンロードしてご利用ください。

遺産分割協議書の表紙の例

>>「遺産分割協議書の表紙」をダウンロード(Word形式)

ステップ3:署名して実印を押す

ステップ3

遺産分割協議書の製本ができたら、ご自身の分の「署名」と「押印」をします

ここでは、住所・氏名を自筆で書き、その右横に実印を押しましょう。

住所・氏名を書き実印を押した例

署名と押印は、製本したすべての協議書に行います。

ステップ4:契印と割印を押す

ステップ4

遺産分割協議書への署名・押印が終わったら、続いて「契印」と「割印」を押します

まず「契印」は、協議書の表側・裏側の両方の「製本テープと用紙の境目」に押してください。

表紙と裏表紙に押す契印の位置

この契印も、製本したすべての協議書に押します。

続いて「割印」は、全通を少しずつずらして重ね、すべてにまたがるように押しましょう。

全通をずらして重ねて押す割印

これで、ご自身の分の押印はすべて完了です。

押印が完了した協議書3通

ステップ5:ほかの相続人に回す

ステップ5

ご自身の分の押印が終わったら、次の相続人に遺産分割協議書を回します

このときは、作成したすべての協議書に押印できるように、全通をまとめて送り、相続人が1人ずつ押印していきます。

協議書を相続人に順番に回すイメージ

こうして、すべての協議書に全員が押印したら、正しく押されていることを確認したうえで、1部ずつ各相続人に渡しましょう。

押印後に1部ずつ各相続人に渡すイメージ

以上からわかるように、相続人の数が多いときや、遠方に住んでいる方がいるときは、協議書に押印してもらうだけでも一苦労です。

このような場合には、遺産分割協議書の代わりに「遺産分割協議証明書」を作成するのも一手です。

遺産分割協議証明書であれば、各相続人が自分の分だけ押印すれば完成し、協議書と同じように相続手続きで使えます。

遺産分割協議証明書と協議書の違い

遺産分割証明書の作り方の詳細は、下記の記事でお伝えしているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

遺産分割協議書への押印に関するよくある質問

まとめ|遺産分割協議書には正しく押印しましょう

今回は、遺産分割協議書に押す印鑑についてお伝えしました。

まとめ

  • 遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、その右横に「実印」を押す
  • 協議書を複数通作るときは「割印」を、複数ページになるときは「契印」を押す
  • 「訂正印」と「捨印」は使わず、書き間違いが見つかったら協議書を作り直すのが確実

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