東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
車を運転していると、パッと何か光った感じがすることがありますよね。
ふと速度メーターに目をやると、法定速度をオーバーしていたなんていうことも。
「さっき光ったのはオービスだったのか?それとも他の何か?」
「あとで違反通知が届いて、罰金や免許停止になってしまうのか?」
などと気になって調べてみると、オービスやNシステムといった装置の名前が見つかります。
この記事では、Nシステムは光るのか、Nシステムは何を撮影するのか、Nシステムとオービスの違いなどを順に解説していきます。
光った場合の手続きや不服申し立てについても解説していますので、参考にしてみてください。
Nシステムとは、車のナンバーを自動で撮影するシステムです。
オービス(速度違反取締装置)とは別もので、今のところNシステムはスピード違反を取り締まるものではありません。
Nシステムは車両捜査支援システムとも呼ばれており、犯罪捜査や盗難車両の追跡などに利用されています。
移動式(可搬式)のものもあり、逃走車の捜索や車検切れの車の摘発にも使われます。
Nシステムは、撮影に赤外線カメラを用いており、肉眼で見えるようには光りません。
装置が光ったら、Nシステムではなくオービスと考えていいでしょう。
Nシステムは光らないのに対し、オービスははっきり分かるよう強い光を発します。
光の色は、赤、白、または黄色の場合もあります。
装置によって光の強さはやや違うものの、特に夜間に光った場合は分かりやすいでしょう。
光る方向はオービスの設置場所によって様々で、上部に装置がある場合や斜め上部から光る場合、路肩方向から光る場合もあります。
光った気がする程度であれば、ライトの反射等の可能性の方が高いでしょう。
Nシステムは光らない、速度取締りが行われないからといって、速度超過していいというわけではありません。
Nシステムの前後に警察車両が待機しており、速度取締りをおこなっていることもあります。
普段から速度超過せずに済むよう、時間に余裕をもって行動することが大切です。
NシステムのNはナンバーのNであり、撮影の対象はすべての車のナンバープレートです。
その他、顔や車検のシールを撮影することも可能です。
Nシステムは、盗難車や逃走車等の追跡などの犯罪捜査に利用されます。
現状はスピード違反を取り締まるものではなく、Nシステムがスピード違反の検挙に使われることはないと言われています。
ただし、たとえば異なる2つのNシステムに同じナンバーが撮影された場合、その距離と撮影時間から移動速度を割り出すことは技術的に可能です。
これを証拠として出された場合、運転手が反証を出すのは簡単ではないでしょう。
また、Nシステムは車検切れの車の割り出しにも使われることがあります。
撮影された映像はデータとして30年保管されます。
蓄積されたデータを後から検索することも可能で、これにより犯罪の取り締まりが強化されています。
Nシステムは、正面からだけでなく、後方から撮影可能なタイプのものもあります。
正面のナンバープレートを曲げるあるいは隠しても、撮影を妨げることはできないと考えておいた方がいいでしょう。
Nシステムとオービスの違いを表にまとめると、以下のとおりです。
Nシステム | オービス | |
---|---|---|
目的 | 犯罪捜査 | スピード違反の取り締まり |
撮影対象 | すべての車のナンバープレート 車検シールなど | 速度違反車のナンバープレート 車体、運転手など |
事前警告 | なし | あり |
撮影時の発光 | なし | 赤、白、または黄色 |
基本的に、オービスが光るのは一発免停となる速度超過があった場合と言われています。
そのため、オービスが光ると罰金の支払いや違反者講習等の手続きがあると考えてよいでしょう。
以下ではオービスが光ってからの手続きを簡単に解説していきます。
オービスが光って速度違反が確認されると、警察で車の持ち主が特定され、後日所有者の自宅に違反通知が届きます。
社用車であれば、所有者として名義を登録している会社宛に届きます。
通知には、違反の事情聴取についての記載があり、出頭の日時、場所、持参するものが記載されています。
基本的には最寄りの警察署で事情聴取され、証拠写真を確認しつつ事件の調書が作成されます。
ここでは嘘の証言は行わずに、正直に対応しましょう。
嘘をつくあるいは暴れるなどすれば、偽証罪や業務妨害罪になる可能性もあります。
ただし、なんでも警察の言うとおりに自白するようにすすめるわけではありません。
不服がある場合には、証拠を提示して違反がなかった旨を伝えます。
また、身に危険があり逃げていた場合など、特殊な事情があればスピード違反の違法性が否定されることもあります。
警察の方で「違反がなかった」「違反があったとは言えない」と認めれば、罰金を払う必要はなくなります。
警察へ出頭が終わると、数日後には裁判所から出廷通知書が届きます。
指定日に裁判所へ出廷すると、略式裁判という形で警察の調書内容を確認し、間違いが無ければ署名押印を行います。
その後は罰金を支払うと刑事処分は完了になります。
オービスが光っても、以下のような場合には違反通知が届かないことがあります。
ただし旧式のオービスは数が少なく、フィルム切れによって違反通知を回避できることはほとんどありません。
いずれにせよ、普段からスピードを出さないことを心がけることが大切です。
違反に身に覚えがない場合や、処分の重さに納得がいかない場合、法律で定められた方法によって不服申し立てを行うことが可能です。
違反がないことが証拠によって認められれば、罰金や免許停止処分を回避できる可能性があります。
ただし、手続きを行うには法的な根拠を組み立てる必要があり、専門家でなければ難しい場合があるでしょう。
お困りの際には、まずは弁護士へご相談ください。
Nシステムは、ナンバーを撮影して犯罪捜査に使うシステムで、撮影時には光りません。
強く光ったと思った場合、オービスによる速度違反の取り締まりの可能性が高いでしょう。
スピード違反があると、罰金や免許停止の可能性があります。
その場合は違反通知に記載されるとおり、適正に対処しましょう。
処分に不服がある場合には、証拠を提出して不服申立てを行うことも可能であり、手続きが進むほど後から覆すのは難しくなります。
不服申立ての方法や、どのようなものが証拠になるのかなど、気になることがあれば早めに弁護士に相談するのがいいしょう。