東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
目次
診療報酬明細書は、医療機関などが健康保険組合に医療費を請求するために発行する明細書のことです。
診療報酬明細書には、患者の氏名や病名、患者に行った処置の内容、処方した薬剤、診療報酬点数などが記載されています。
加害者側の保険会社は、治療費を支払う際に医療機関に診療報酬明細書を発行してもらうように手続きをします。
また、後遺障害等級の認定に必要な申請を、被害者請求によって行う場合は、被害者が自分で診療報酬明細書の発行手続きをする必要があります。
診療報酬明細書と同じような名称の診療明細書という書類があります。
こちらには、診療内容や検査の内容、処方した薬剤などが記載されています。
通院した際に領収書と一緒に患者に交付されるもので、診療報酬明細書とは異なります。
診療報酬明細書は、診療報酬明細書の開示請求が受理され、手数料の納付が確認できてからおおむね1ヶ月程度でもらえます。
ただし、必ずしも開示請求が通るとは限らないため、診療報酬明細書をもらえないこともあります。
診療報酬明細書を開示する際には、健康保険組合から医療機関に問い合わせをし、医療機関が診療報酬明細書を開示することで診療上の支障が生じると判断した場合は、不開示決定となることがあります。
また、亡くなられた方の遺族から診療報酬明細書の開示請求があった場合は、亡くなられた方の名誉や生前の意思などの関係で問題が生じるおそれがあると判断された場合は、不開示決定となります。
診療報酬明細書は、示談交渉の際に任意保険会社に示す重要な書類になりますので、捨てずに保存しておきましょう。
任意保険会社はこの書類をもとに治療総額や治療日数を特定して傷害慰謝料の算定に使ったり、休業損害額の算定のために、通院日数を知るために使ったりします。
ここからは、診療報酬明細書の開示請求をする場合の、診療報酬明細書の請求の対象者や必要書類、手数料について解説します。
診療報酬明細書の開示請求はいずれかに該当する方のみ申請することができます。
開示請求の対象者
開示請求の手数料は、被保険者が加入している保険により手数料が異なります。
手数料の目安は次の通りです。
診療報酬明細書の開示請求
被保険者の加入保険 | 手数料 |
---|---|
国民健康保険 | 無料~1通あたり数十円 |
各種健康保険組合 | 1通当たり100円~300円 |
詳しくは開示請求をする本人の保険組合またはお住まいの市町村区役所にお尋ねください。
開示請求に必要な書類は、請求者ごとに異なります。
【開示請求手続き必要書類一覧表】
請求者 開示請求書 加入者の本人確認書類 法定代理人の本人確認書類 任意代理人の本人確認書類 法定代理関係確認書類 委任状 委任者印の印鑑登録証明書 請求者の住民票 加入者 ○ ○ - - - - - ○ 郵送での開示実施を希望する場合 法定代理人 ○ ○ ○ - ○ - - ○ 郵送での開示実施を希望する場合 任意代理人 ○ (○)※ - ○ - ○ ○ ○ 郵送での開示実施を希望する場合 ※印鑑登録証明書で兼ねるものとします。
被保険者本人が請求する場合に必要な書類は、以下の通りです。
被保険者本人が請求する場合に必要な書類
法定代理人が請求する場合に必要な書類は、以下の通りです。
法定代理人が請求する場合に必要な書類
任意代理人が請求する場合に必要な書類は、以下の通りです。
任意代理人が請求する場合に必要な書類
ただし、任意代理人が請求する場合の加入者の本人確認書類は、委任者印の印鑑登録証明書で兼ねるとされています。
また、開示請求書は加入している保険組合により違うのでPDFの添付は不要です。
開示請求書はそれぞれの組合で異なり、請求書の取得方法については各保険組合または市町村区役所に問い合わせが必要になります。
診療報酬明細書とは何か、いつもらえるかについて解説をしました。
診療報酬明細書の役割と、示談交渉に重要な書類となるので捨ててはいけないことをご理解いただけると幸いです。