東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
すれ違い事故の過失割合は基本的には5:5の過失割合になります。
基本は5:5なのですが、事故の状況によって過失割合が考慮されて過失割合が加算、あるいは減算される場合があります。
具体的なケースを見ていきましょう。
一方の車両が停止していた場合の過失割合はどうなるのでしょうか?
停止していた車両の過失はないと判定され10:0のケースもあります。
この時、「直前停止」ということが問題になります。
「直前停止」とは事故の直前には停止していたが、その停止が3秒以内であった場合には停止とみなされないことをいいます。
単に一瞬止まっただけでは、過失がなかったとは認められません。
すれ違った車にハンドル操作などのミスがあった場合はどうなるのでしょうか?
ハンドル操作等の運転ミスが通常の範囲を超える場合は、「著しい過失」として10%程度の過失割合が加算されます。
しかし、狭い道路でぎりぎりの車間で微妙にハンドル操作を誤ったとしても、「著しい過失」とは認定されないことも考えられ、これもケースバイケースになるといえるでしょう。
似たような事故にミラー同士の接触事故があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
すれ違い事故は、損害が軽微な場合が多く、示談で済む場合が多いのですが、過失割合で揉めてしまうケースもまた多くあります。
「こっちは止まっていた」と言っても、相手方が動いていたと主張してくれば水掛け論になります。
事故状況の主張に食い違いがあった場合には、ドライブレコーダーのデータなどの客観的証拠を提示して主張する必要があります。
中には過失割合に示談では折り合いがつかず、裁判に発展することもあります。
判決東京地裁 平成27年6月9日判決
事故があった道路は車道幅2.7mで中央線のない道路です。
Y車は道路を通行していましたが、停止車両があったため反対車線に入りました。
そこに反対車線から走行してきたX車を避けるため、Y車は減速しながらハンドルを左に切りました。
しかし、Y車が十分に左に寄ってない状況でX車がY車とすれ違おうとしたため、事故が発生しました。
裁判所は、Y車が左に寄りきるまですれ違いを待たなかったのはX車の過失と判断しました。
一方、Y車についても対向車の確認を十分にしないで、停止車両の追い越しを開始したとして過失を認めました。
結果、Y車に70%、X車に30%の過失割合の判決となりました。
判決大阪支部 平成27年5月19日裁定
赤信号で停止している加害車両の左側を被害者の自転車がすり抜けようとしたところ、加害車両の助手席のドアが開き自転車と衝突しました。
裁判所は、加害車両には後方から接近してくる自転車に注意する必要があったと過失を認め、被害者の自転車側にも前方を注意する必要があったと過失を認めました。
結果、被害者側自転車5%、加害者側車両95%の過失割合の裁定になりました。
すれ違いによる事故は、軽微な事故が多いのが特徴です。
事故が軽微であるために、警察官を呼ばずに修理はお互いに自分でするなどの口約束で現場を離れてしまう場合も見受けられます。
しかし、軽微な事故であっても警察への報告は必要です。
軽微な事故であっても、警察官に連絡して実況見分調書などを作ってもらい、あわせて事故現場や車両の破損部分の写真を撮っておくことは大切です。
後になって示談交渉で過失割合を決めていくのですが、事故状況の事実について疑問がある場合には、証拠を提示して主張します。
また、事故状況についてはお互いに合意されても、過失割合についての負担について争う場合があります。
示談交渉で少しでも不安がある方は、交通事故に詳しい弁護士にサポートを依頼することをおすすめします。
弁護士費用が心配な場合は、任意保険の弁護士特約を利用すると自己負担なくサポートが受けられます。
事故の直後は動揺していて証拠を集めることなどを失念しがちですが、弁護士に依頼すれば問題なく証拠を集めて示談交渉を進められます。
いつ起こるか分からない交通事故に備えて、一度ご自分の保険内容について確認しておきましょう。