交通事故の示談金の算出方法には、3つの異なる基準が存在する事をご存知でしょうか?
交通事故の被害に遭う子とは、通常は一生に何回もあるものではないので、よく知らない被害者の方も多いことでしょう。
しかし、どの基準に基づいて計算するかによって、交通事故慰謝料の金額は大きく変わります。交通事故示談金の仕組みを知らないと、安い基準を適用されてしまい、損をする可能性もあります。
この記事では、被害者が知っておきたい交通事故示談金の仕組みについてご説明します。
民法709条は、故意過失により他人の生命、身体、財産に損害を与えたものは、その損害を賠償する責任を負うと定めています。
交通事故の加害者は、過失のある運転で被害者に怪我を負わせてしまったので、この賠償責任を負うことになります。これが、交通事故の示談金であり慰謝料です。
示談金は法律によりいくら、と金額が決まっているものではありません。
そのため、当事者が合意すれば、その金額が示談金の額となります。
しかし、通常は示談金を支払う側はなるべく支払いを抑えたいですし、受け取る側はなるべく多くもらいたいものです。
そこで、当事者間で自然に合意が形成できないときに利用される3つの基準があります。3つの基準とは自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準です。
詳しく知りたい方は、「「慰謝料」とどう違う?交通事故の「示談金」について教えます。」を参照してください。
自賠責基準とは、自賠責法という法律が全ての運転者に加入を義務づけている自賠責保険という保険に基づき示談金を計算する基準です。
自賠責法は、すべての交通事故の被害者を浅く広く救済するための法律であるため、個別の慰謝料の金額は、3つの金額の中でも最も安くなります。
任意保険基準とは、個別の保険会社がそれぞれ決めた支払基準です。
自賠責基準よりは少し高い金額になりますが、次に説明する弁護士基準ほど高い金額ではありません。
また、保険会社によって基準は異なりますが、昔は統一された基準を各社が横並びで使っており、その過去の基準をまだ利用している保険会社も多くあります。
弁護士基準は、示談交渉が整わず最終的に訴訟で解決されるときに、裁判所が使っている基準となります。弁護士基準は、3つの基準の中で最も高い示談金の算出基準になりますので、被害者としては弁護士基準によって示談金を支払ってもらいたいところです。
弁護士基準は、過去の判例の蓄積により作成されています。東京地裁の交通事故を扱う部門の裁判官が、過去の判例をもとに、通称赤本という本にこの基準をまとめています。
また、名古屋地裁や大阪地裁でも、緑本や青本という類似の書籍をまとめています。よほど特殊な例でなければ、裁判所はこの弁護士基準にしたがって、慰謝料を認定しますので、非常に権威のある基準であるとも言えます。
詳しく知りたい方は、「交通事故の慰謝料相場について。弁護士基準って何?」を参照してください。
通常多くの人は任意保険に加入していますので、示談交渉は加害者本人ではなく、その任意保険会社が行うことがほとんどです。
保険会社から示談金の提案を受けた場合、安易に受けず、金額の妥当性を確認しましょう。
上述のように、保険会社は任意保険基準を使って示談金を計算しているので、交渉によって弁護士基準に近づけることができれば、より多くの示談金を受け取ることができる可能性があります。
任意保険会社も営利企業ですので、支払う示談金は低いに越したことはありませんので、保険会社から弁護士基準に基づいた金額が提示される可能性は低いです。そのため、弁護士基準の存在を知らない被害者は、損をしてしまう可能性があります。
詳しく知りたい方は、「弁護士基準の計算方法だと、慰謝料が大幅増額する可能性があるのは知ってますか?」を参照してください。
いかがでしたでしょうか。交通事故の示談金の計算に用いられる3つの基準について、ご参考になれば幸いです。