交通事故に遭った場合、体の骨が骨折してしまうことがあります。体の下半身の部分には体重を支えるための脛骨と、歩行の際に衝撃を吸収する役割を持つ腓骨が存在します。
自転車やバイクに乗っていて交通事故に遭うと、転倒した際に脛骨と腓骨を骨折してしまうケースが少なくありません。
今回は、脛骨と腓骨の概要や役割、脛骨や腓骨を骨折した場合の症状などをご紹介します。
脛骨と腓骨は対となって人の下腿の部分を構成し、支えている骨です。脛骨と腓骨それぞれの概要を見ていきます。
?骨とは、膝から足首の間の下腿部に存在する太い骨です。非常に長いのが特徴で、人の身長の約5分の1程度の長さがあります。人体の中の骨としては、大腿骨の次に長い骨になっています。
?骨は太い管のような形状で、上端部分が肥大しており、その上部は大腿骨の下部分と接する関節面になっています。
?骨は脚のすね部分を形成しており、膝から上の全体重を支えるという重要な役割があります。すねをぶつけると非常に痛く、弁慶の泣き所とも呼ばれますが、これは?骨をぶつけた際の衝撃によるものです。
膝の皿の下の部分を外側にむかって触れていくと、一部飛び出しているような骨の部分があります。この出っ張った部分と足首のくるぶしを結合するための骨が腓骨です。
腓骨は脛骨の外側に平行に並ぶような形で存在していますが、脛骨よりもはるかに細いのが特徴です。
脛骨は大腿骨の下部と関節を形成していますが、腓骨は上端部分で脛骨と関節を形成し、下端部分で距骨と関節を形成しています。
いわゆるO脚と呼ばれる脚の形状は、腓骨に体重をかけすぎることが原因の一つです。本来は太い骨である?骨に体重をかけるべきところ、腓骨に体重をかける癖がついてしまうことで、身体のバランスが安定しなくなります。
かかとの部分に体重をかけると身体のバランスは安定しやすくなりますが、腓骨に体重を乗せるとかかとではなく小指付近に体重がかかってしまい、バランスが崩れてO脚の形状の原因になります。
腓骨は大きく分けて2つの役割があります。
腓骨の役割の1つ目は、歩行の際に脚に伝わる衝撃を吸収することです。人が歩行する際には、地面から生じる反発力によって衝撃を受けることになります。腓骨が歩くごとに伝わる衝撃を吸収することで、スムーズな歩行や走行が可能になります。
役割の2つ目は、腓骨によって足関節を色々な方向に動かすことが可能になることです。腓骨が支えとなって足首を自由に動かせることで、サッカーなどの脚を激しく動かすスポーツで複雑な動作が可能になります。
交通事故が原因で脛骨や腓骨を骨折することがあります。
交通事故などで脛骨の幹部を骨折すると、すねの痛みや腫れなどの症状が生じます。治療によって骨が完全に癒合するまでは、松葉杖や車椅子を使用して生活することもあります。
脛骨の周辺には筋肉が少ないため、骨折の際に皮膚から骨が飛び出して開放骨折になる場合があります。開放骨折は症状が重く治療が難しいため、完治まで1年以上かかることもあります。
腓骨は脛骨に比べると細い骨なので、骨折しても日常生活に与える影響は少ないと思われがちですが、膝や足首の痛み、脚の疲労感などに影響があります。
また、脛骨は膝の関節と連結しているため、交通事故で骨折した場合、関節の内部にある靭帯などを損傷して重症になるおそれもあります。
バイクなどに搭乗中に交通事故に遭って転倒した場合、体の下半身にある脛骨や腓骨を骨折してしまうことがあります。
?骨は人体の骨としては2番目に長い骨で、膝から上の体重を支える役割があります。腓骨は歩行する際の衝撃を吸収し、脚を使った複雑な動作を可能にします。
脛骨の幹部を骨折すると痛みや腫れなどの症状が生じ、開放骨折になる場合もあります。腓骨の骨折は足首の痛みや脚の疲労感などに影響します。
<参考記事>
「交通事故」が原因の後遺障害 その障害の内容とは
平成5年 大阪大学医学部附属病院整形外科 勤務
現在 大阪市住吉区長居の北脇クリニックにて院長を務める
日本整形外科学会・専門医/脊椎脊髄病院/麻酔科標榜医
日本ペインクリニック学会所属
骨折・むちうち・捻挫・脱臼などの症状から背中や首の痛み・手足のしびれ・肩こり・腰痛・関節痛などの慢性的な症状まで、整形外科に関するあらゆる症状に精通する。
地域のかかりつけ医として常に患者の立場に立った診察には定評があり、治療内容や医薬の分かりやすい説明をモットーとしている。