東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
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法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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会社を経営する方にとって、「不渡り」は注意しなければならないことの一つです。
不渡りを出してしまうと会社の信用が低下し、今後の経営に影響を及ぼします。
不渡りは、支払いを受けることを信頼していた取引先にとっても、大きな損害になります。
会社経営者は不渡事由をよく確認し、事前に防ぐことが必要です。
ここでは不渡りの意味や不渡事由の種類、不渡りになりそうなときの対処法について解説します。
不渡りについてよく知らないという事業者の方はぜひ最後までご覧ください。
不渡りとは小切手や手形を用いた取引において、受取人が金融機関に持ち込んでも決済ができない状態のことを指します。
一般的には、小切手や手形の支払いを行う当座預金口座の残高が不足していることで起こります。
不渡りを出すと、金融機関は「不渡届」を作成し、手形交換所に提出します。
全国銀行協会では全国の金融機関に不渡りの事実を伝えるため、不渡りを出した事業者は今後の経営が難しくなるリスクがあります。
さらに複数回の不渡りを出すと、金融機関の融資が2年間停止するため、事実上の倒産とも呼ばれています。
前述したように、取引先の受取人が小切手や手形を金融機関に持ち込んでも、何らかの理由により支払いができないことを不渡りといいます。
この時、支払いができない理由として一般的なのが残高不足ですが、他にもいくつか理由が考えられます。
不渡りはその理由によって0号から2号までの3種類に分けられます。
不渡りのうち、小切手や手形を振り出した会社(振出人)の信用に関係がないものを「0号不渡り」と呼びます。
これはいわゆる不渡りには該当しません。
金融機関が「不渡届」を作成しないため、ペナルティもありません。
0号不渡りの不渡事由としては以下が挙げられます。
形式不備や持ち込む時期のミスなど、会社の信用とは無関係であることがわかります。
とはいえ、金融機関での換金ができないため、受取人に損害を与えてしまうことも考えられます。
手形や小切手を振り出す際には形式の不備をよくチェックし、支払いができる期間は受取人と確認するようにしましょう。
1号不渡りとは、振出人の信用状況が問題で、受取人が支払いを受けることができない状態です。
一般的に不渡りと言うと、1号不渡りのことを指します。
1号不渡りの不渡事由としては以下が挙げられます。
残高不足は会社の管理不足や財政難で起こります。
財政難により残高が不足している場合、支払いを行うことは難しいため、小切手や手形の受取人にも大きな損害を与えます。
支払い時にすでに当座預金口座を解約している場合や、そもそもの取引が存在しない場合も1号不渡りとなります。
1号不渡りを出すと、金融機関は「不渡届」を提出します。
1号不渡りの不渡届に対しては、異議申立てを行うことができません。
不渡りの事実は全国の金融機関が知ることとなり、会社の信用が大きく低下します。
こうなると事業自体は順調でも、金融機関からの融資を受けることが難しくなり、経営難に陥ってしまうことも少なくありません。
さらに、6ヶ月以内に2回目の1号不渡りを出してしまうと、さらに大きなペナルティが待っています。
不渡りを出した会社は、金融機関での当座預金口座の取引と融資が2年間中止されるのです。
資金繰りが厳しくなるため、2回目の不渡りは事実上の倒産とも言われています。
2号不渡りは0号不渡りと1号不渡り以外の事由による不渡りを指します。
具体的には以下の通りです。
偽造や詐欺、盗難などの被害に遭った場合や、取引した商品が納品されていないなどの契約不履行がある場合に、小切手や手形を換金しないと2号不渡りとなります。
金融機関は「2号不渡届」を作成しますが、会社は異議申立てを行うことが可能です。
異議申立てするとともに、小切手や手形の金額と同額を手形交換所に支払うことで、処分を猶予することができます。
ただし、異議申立てを行わずに放っておくと、処分を受けてしまうので注意が必要です。
会社は2号不渡りを出した場合、必ず異議申立てをするようにしましょう。
不渡りを出してしまうと大きなペナルティを受けるだけでなく、取引先にも損害をもたらしてしまいます。
日頃から資金管理をしっかり行い、事前に不渡りを防ぐようにしましょう。
不渡りになりそうなときの対処法は、以下の3つが挙げられます。
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
当座預金口座の残高が不足してしまいそうなときは、事前に資金を調達することが望ましいです。
不渡りを出す前であれば信用状態に影響はありませんので、以下のいずれかの方法を選ぶことができます。
最も金利が低いのは、金融機関の融資です。
ただし、申し込みから2週間程度の時間を要するため、利用できるのは時間に余裕がある場合に限られます。
ビジネスローンは無担保で資金を貸してくれます。
最短、即日の資金調達が可能なため、「今にも不渡りを出してしまう」というような切羽詰まった状況でも利用できます。
取引先に売掛金がある場合には、売掛債権を現金化するファクタリングも利用可能です。
こちらも最短即日で調達できるため、急いで資金が必要な時にも最適です。
手形には支払期日が記載されているため、その延期をお願いするという手もあるのです。
「手形ジャンプ」とも呼ばれ、受取人と振出人の合意によって支払期日を調整できます。
ただし、受取人である取引先には経営難の状態が知られてしまうため、今後の取引に悪影響を及ぼす可能性があります。
当座預金口座の残高以上の小切手や手形を振り出すことができることがあります。
これを「過振り」といい、金融機関の立て替えにより振り出しが可能となります。
金融機関が損害を被るおそれがあるため、振出人の会社に特に信用がある場合、一定の担保を供した場合にのみ、利用できる方法です。
不渡りを出してしまうと、金融機関からの融資を受けることが難しくなるなど、事業継続に大きな影響を及ぼします。
取引先にも損害を強いてしまいますので、今後の取引の望みも薄くなるでしょう。
会社を経営する上では不渡りを出さないよう、あらかじめ対策を取ることが求められます。
普段から経営状態をよく把握しておくことも大切です。
不渡りを出してしまいそうなときは資金調達をするなどして、事前に対処しましょう。