東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。
コロナの影響で、収入が減少したり仕事を失ってしまったりした方が多くいらっしゃることでしょう。
そのような方も、コロナ前に組んだ住宅ローンの返済は続けなければなりません。
しかし、コロナの影響で収入が減少したために、生活が苦しいという方が増えています。
そのような方が住宅ローンを抱えている場合、どのような対処法が考えられるのでしょうか。
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住宅ローンを利用している人は、毎月決められた金額を返済しなければなりません。
その返済は最長で35年に及びますが、もし途中で返済が難しくなった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
住宅ローンの支払いが1回遅れたからといって、すぐに何かが起こるわけではありません。
ただし、支払いができないまま3か月ほど経過すると、金融機関から督促状が自宅に届きます。
督促状を受け取っても、このタイミングで急いで返済を行えばそれより先に進むことはありません。
ただ、督促状を受け取っても返済ができなければ、次の手続きに進むこととなります。
住宅ローンとして借入れを行っている金額は、数千万円以上の金額となっているのが普通です。
これだけの借入れをしているにもかかわらず、返済が毎月少しずつでいいのは、あらかじめそのような契約をしているためです。
しかし、毎月の支払いを滞納し、その返済が約束どおりに行われないのであれば、当初の約束は破棄されたこととなります。
そこで金融機関は、その時点で残された住宅ローンの残金をすべて返済するよう、一括して請求してきます。
金融機関としても、この時点で請求した金額のすべてが返済される見込みがないことはわかっています。
しかし、その次の手続きに進むためには、いったん全額を住宅ローン利用者に請求する必要があるのです。
なお、督促状が届いてから返済がないからといって、すぐに一括請求されるわけではありません。
一括請求は、まったく返済の見込みがないことがはっきりした段階で行われる手続きだからです。
一般的には、督促状が届いてから延滞が6か月ほど続くと、残金が一括請求されることとなります。
金融機関から一括請求を受けても、普通はその残高のすべてを一度に返済することはできません。
そこで、住宅ローンの契約を締結した時に利用した保証会社から、金融機関に対して一括返済が行われます。
これによって、金融機関に対する債務は全額が消滅したこととなるのです。
保証会社は、住宅ローン利用者に代わって金融機関に対する返済を行ってくれます。
ただ、保証会社が代わりに支払った金額は、保証会社から住宅ローン利用者に対して請求されます。
住宅ローン利用者には手持ちのお金がないことから、住宅ローン利用者が保有している不動産の競売手続きが行われます。
あるいはその不動産を任意売却して、その売却代金から金融機関に対して支払った金額を回収するのです。
それでも足りない金額がある場合は、保証会社から住宅ローン利用者に対して直接請求されることとなります。
なお、住宅ローン以外にも滞納してしまうと問題になるものがあります。
マンションの管理費や修繕積立金を滞納してしまうと、マンションの管理組合から差押さえを受ける可能性があります。
また、固定資産税を滞納してしまうことで競売が行われることもあるため、注意が必要です。
コロナの影響で住宅ローンの返済が難しい場合、どのような対処法があるのでしょうか。
住宅ローンの返済状況によっていくつかの対処法があることから、何ができるのか確認しておきましょう。
延滞になる前の段階でも、月々の返済が難しくなってくることがあります。
このような場合には、早めに金融機関に相談することで、返済方法の見直しに応じてもらえることがあります。
返済方法の見直しには、返済期間を延長するものや、元本の支払いの一時的な免除などがあります。
いずれの場合も、トータルの負担額は増えてしまいますが、コロナの影響で苦しい状況にある中での月々の支払いを減額できます。
また、この他にも状況に応じた対応を行っている金融機関があるため、早めに相談してみましょう。
返済条件の見直しを行って、その後の住宅ローンの返済ができるのであれば、自宅にそのまま住み続けることができます。
ただ延滞してしまうと、条件見直しの交渉が難しくなってしまうことがあるため、注意が必要です。
住宅ローンの返済が難しい場合、それ以外の債務を抱えている人は、その債務の返済も滞ってしまうと考えられます。
住宅ローン以外の債務も含めて返済が難しい場合は、債務整理を行って、債務の額を圧縮する方法があります。
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。
その債務の金額や今後の返済計画に応じて、どの方法を実行するかが変わってきます。
ただ、債務が住宅ローンだけの場合は、実効性のないケースもあるため、専門家に相談してから行うようにしましょう。
リースバックとは、それまで保有していた自宅を売却し、新たな所有者となった人と賃貸借契約を締結することです。
保有していた自宅を売却すれば、それ以後は住宅ローンの返済を行う必要はなくなります。
ただ、自宅の所有者が変更となったことから、新しい所有者に対して家賃を支払う必要が出てきます。
リースバックの場合、これまで住んでいた自宅に、そのまま住み続けることができます。
売却する相手も見つけやすいため、自宅に住み続けたい人にとっては最初に検討すべき方法といえます。
一方で、家賃を支払う必要があるため、実際の金銭的な負担は大きく変わらない場合があります。
住宅ローンの返済をしなくてもよくなる代わりに家賃の支払いがあるため、支払いが可能かどうか、判断しなければなりません。
自宅を第三者に売却するのではなく、親族に売却することで、ローンを完済する方法です。
親族に売却することで、売却後の家賃の支払いを最低限の金額にしたり、場合によってはゼロにしてもらったりすることもできます。
もちろん、そのまま自宅に住み続けることができるため、住所が変わってしまうとか引越しをする必要もありません。
ただ、購入する親族は住宅ローンを利用することができないことも考えられ、この場合は現金で一括購入する必要があります。
そのような人が、親族の中に必ずいるとは限りません。
そのため、親族に売却するという方法を利用できるかどうかは、運しだいとなります。
任意売却とは、住宅ローンが完済できない状態にある自宅を売却することです。
リースバックや親族への売却は、いずれも住宅ローンの残債を返済することができる金額で売却することが前提となります。
しかし、住宅ローンの残債が大きな場合は、それだけの高値で売却することができません。
そのため、住宅ローンを完済できないことを理由として、売却が認められないのです。
ただ、任意売却をすることにメリットがあると判断すれば、金融機関は任意売却を認めてくれます。
金融機関との交渉で、任意売却が認められれば、初めて実行可能となる方法です。
任意売却を行うことには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
任意売却を行う最大のメリットは、自宅の売却価格が市場価格に近い金額になることです。
金融機関の差押さえを受けて競売にかけられると、その売却価格は市場価格の半値程度になってしまいます。
そのため、住宅ローンの残債を返済できず、借金が残ってしまうこともあります。
しかし、より高い金額で売却することができれば、売却代金で住宅ローンの全額を返済することも可能となるのです。
また、任意売却は、競売の手続きが開始されるまでの期間であれば、いつでも行うことができます。
そのため、売却時期や引き渡しの時期などを、ある程度の希望を伝えることが可能です。
さらに、競売が行われると、その物件の情報は公開されます。
落札希望者が住所を頼りに外観を確認しに来ることもあり、その様子は近所の人に知られることとなってしまいます。
そのため、競売にかけられているという事実が、いつの間にか近所中に知られるということもあるのです。
任意売却であれば、ローンの返済が滞っていると知られることはほとんどありません。
任意売却を行うことのデメリットは、金融機関の信用情報に掲載されることです。
信用情報に載ってしまうと、その後に住宅ローンを組んだりクレジットカードを発行したりすることができなくなります。
ただ、任意売却を行う以前に、住宅ローンを滞納した時点ですでに信用情報に載っていると考えられます。
そのため、任意売却を行ったことによるデメリットは、直接的にはほぼないといえます。
住宅ローンの返済が苦しいために任意売却を行う場合、どのような流れで行われるのでしょうか。
その際に必要な書類なども一緒に確認しておきましょう。
自宅を売却した時の価格の査定を依頼します。
査定価格より住宅ローンの残高の方が大きな場合は、売却しても債務が残ってしまうため、任意売却となります。
これに対して、査定価格の方が住宅ローンの残高より大きな場合は、通常の方法で売却することができます。
この時、住宅ローンの残高を証明する書類を金融機関から取得しておきます。
また、任意売却は通常の売買と変わりがないため、不動産の売却に必要となる以下の書類も準備しておきましょう。
任意売却を行う場合は、金融機関に事前に相談の上、その同意をもらう必要があります。
任意売却を行うこと、そしてその価格で売却することについて、金融機関に事前に説明し、同意を得なければなりません。
売却相手を探すのは、任意売却の場合でも、通常の売買と変わりはありません。
ただ、任意売却は滞納から3か月~12か月と売却時期が限られているため、その期間内に売却相手を探す必要があります。
内覧希望者がいる場合は、できるだけ相手の希望に沿って対応しなければなりません。
買主が見つかり、条件面で合意できたら、金融機関に購入申込書と売買代金配分票を提出します。
任意売却を行う場合も、通常の売買と同じような形で売買契約を行います。
ただ、金融機関と事前に条件を定めている場合は、その条件を満たす必要があるので注意が必要です。
任意売却を行って引き渡しを終えても、住宅ローンの一部は残債となり、引き続き返済することとなります。
残債についても、きちんと支払いを行うことで、さらに信用情報を傷つけないようにする必要があります。
月々の分割払いとなるため、条件面をきちんと交渉しなければなりません。
コロナの影響で、住宅ローンの返済が苦しくなった場合、任意売却を行うことでその問題を解決できる場合があります。
また、任意売却ではなくリースバックや親族への売却などで、その問題が解決する場合もあります。
コロナの影響を受けて苦しい場合は、住宅ローンの残高や毎月の返済がどれくらいなのかを確認しましょう。
そして、どのような対処方法が自分にとってベストなのかを検討し、早めに金融機関に相談するようにしましょう。