東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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Contents
法人・会社が破産すると多くの関係者に影響を与えます。
破産すると取引先は連鎖倒産を恐れて、事業所に駆け込んでくるかもしれません。
また破産手続が進み、債権者集会が開かれると、破産した事業者はその場で説明することが求められます。
個人とは違い、多くの関係者が出てくるのが法人の破産の特徴です。
この記事では、取引先への対応と債権者集会について説明します。
破産手続開始決定が出され、管財人が選任されると、管財人は破産者の財産や債務の状況等を調査していきます。
そして、その結果を報告する場が設けられます。
これが債権者集会です。
破産者の債権者が参加して、その状況の報告を受け、不明な点は質問を求める、その場が債権者集会の役割となります。
債権者集会が開催されるのは、破産の決定から3ヶ月後が多いです。
債権者集会に出席する人は、下記の通りです。
弁護士に代理人を依頼したら、弁護士が破産者と一緒に出席してくれて、質問を受けたときに代わりに応答してくれます。
すべての破産手続きで、債権者集会が開かれるわけではありません。
債権者集会が開かれるのは、破産管財人が選任された場合のみです。
破産管財人とは、破産した法人・個人の資産を換金して、債権者に配当する業務を行います。
破産管財人が選任されるのは「法人・個人の資産があり、債権者に配当できる」場合です。
もし明らかに資産がなく、債権者に対しての配当もできない場合は、破産管財人が選任されません。
債権者に対する配当がそもそも期待できない財務状況だと、債権者集会を開くこともないです。
自分が法人・個人破産を検討していて「債権者集会を開催しなければいけないのか?」と悩んでいるなら、そもそも債権者に対しての配当が出せるのかどうかチェックしましょう。
では、実際の債権者集会はどのようなものなのでしょうか?多くの債権者が会場に現れて、罵詈雑言が飛び交い、説明を求められた経営者は震えて泣きながら説明を行う、そういうイメージを思い浮かべることと思います。
ですが、実際は債権者集会に金融機関等の債権者が現れることはほとんどありません。
場所は大抵裁判所の法廷を利用することが多いのですが、管財人と破産者、そして裁判官と書記官の数名で淡々と議題を進めていくのが実情です。
所用時間も10分~15分位です。
金融機関としては多くの債権を抱えていて忙しいというのが本音なのでしょう。
それでは、どのような人が債権者として来ることが多いのでしょうか?友達や親戚、または破産手続の実情を知らない一般債権者の人が出席することが多いようです。
ただし中小企業の破産だと、債権者はほぼ出席しません。
なぜなら中小企業の破産は、債権が返済される可能性が低く、返ってくるお金がほぼないからです。
債権者としては「行ってもお金は返ってこない、無駄だ」と判断します。
債権者集会の流れは下記の通りです。
最初は破産管財人が債権者に対して、財産状況の説明をします。
破産者の資産をどこまで換価が進んでいるかを共有します。
債権者集会が終わる前に、債権者からの質疑応答があります。
このタイミングでは債権者が破産管財人・破産者に対しての、質問を投げかけます。
もし破産管財人が資産の換価を終了していたら、最終金額と各債権者への配当を報告します。
債権者集会が終わると、破産手続はどのように進行していくのでしょうか?この後、破産者の財産が換価されて破産債権者の持つ債権の割合に従って按分配当されていきます。
抵当権など一般債権より有利な立場にある者から配当を受け、その後に一般債権者への配当が行われます。
これらの手続が終わると破産手続が終結します。
破産手続きが終われば、そのまま免責の判断が行われます。
管財人がついている場合は、管財人の意見を元にして、裁判所が判断します。
裁判所は基本的に管財人の意見をそのまま聞いてくれるので、管財人が「免責相当」と意見してれば、ほぼ免責されます。
免責が許可されれば、すべての借金・負債が帳消しになります。
ここからは債権者集会で気になること・注意点を紹介します。
「債権者集会って何回ぐらいあるの?」と気になる方もいるでしょう。
債権者集会は、一般的に3~4回あります。
なぜなら破産管財人が破産者の資産をすべて換価するまで、時間がかかるからです。
換価が終わってなくても債権者集会を開いて、進捗を共有するため、結果的に3~4回の債権者集会が開かれます。
破産者は債権者集会に出席しましょう。
代理人として弁護士に同席してもらうことは可能ですが、必ず自分も出席してください。
なぜなら債権者集会で破産手続きが終わったら、そのまま免責の許可に移るからです。
免責の許可を受けるときに、破産者が不在だと、許可をもらえない可能性もあります。
免責の許可を受けないと、借金がなくならないので、債権者集会には必ず出席しましょう。
破産者が債権者集会に出席するときに「服装や持ち物の指定はあるのか?」が気になるかもしれません。
債権者集会で服装や持ち物の決まりはないです。
ただあまりにカジュアルすぎる服装だと、債権者から反感を買う可能性もあるので、なるべくキチっとした服装を選びましょう。
自分が破産者だった場合「債権者集会でなにを話せばいいのか?」と不安になるかもしれません。
実際は破産者が債権者集会で発言する機会は少なく、ほとんどが代理人である弁護士による対応になります。
破産者が発言するのは、債権者に対する謝罪程度です。
ただし債権者集会が終わって、免責審尋も行う場合は、自分での発言が必要になります。
裁判官に対して、借入の経緯・反省点・今度の生活をどうやっていくのか?を自分の言葉で説明しなければいけません。
裁判所に提出した書類を見直したり、自分の反省点をまとめておくことで、問題のない説明ができます。
まとめると債権者集会では発言する必要がそこまでないですが、免責審尋だと発言の機会が多いため準備しておきましょう。
個人が破産するよりも法人が破産した方が関係者は多く、とくに中小企業では連鎖して倒産することが少なくありません。
そのため、その不安から会社に乗り込んでくることも事実としてよく起こりえます。
ですが、破産すると決めて弁護士に債務の整理を依頼すれば、窓口が弁護士になっているので、破産申立を依頼した弁護士に対応してもらえます。
一般的に債権者集会を開く場合は、弁護士に代理人を依頼することが多いです。
破産の手続きは専門的に知識が必要だったり、破産管財人への対応もあります。
もし「破産を検討しているけど、専門的な知識がない・・・」と思うなら、必ず弁護士に相談しましょう。
破産手続きに慣れている弁護士なら、資産や負債の状況を見て、適切なアドバイスをもらえます。
また弁護士に依頼すれば、債権者からの問い合わせはすべて弁護士が対応します。
債権者からの「お金を返せ!」というプレッシャーから解放されて、精神的にも楽になるでしょう。
会社が倒産すると債権者が押し寄せて、債権者集会も一つの修羅場のようなイメージがつきまといます。
ですが、実際は淡々と時間だけが過ぎていくことがほとんどです。
弁護士に相談しながら、この局面を乗り越えていただけたらと思います。