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法人・会社破産をするときの従業員の取り扱いとは

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

法人・会社が破産すると、その会社は解散し、法人格が消滅します。

そうするとその法人・会社に勤めていた従業員はどうなるのでしょうか?この場合、従業員は解雇となります。

今回は、破産に際して従業員はどうなるのかを見ていきましょう。

従業員を解雇する場合

従業員を解雇する場合は、労働基準法で30日前に解雇の予告をするか、30日分の解雇予告手当を支払うことが義務づけられています。

従業員は労務を提供して賃金という対価を得ており、使用者との力関係では弱者となります。

そのため、各種労働法においては労働者の保護に務め、実質的な平等を確保しようとしています。

解雇は労働者の身分を失う重大な事項ですから、特に保護の度合いが強められています。

つまり、即時の解雇は法律上厳しく制限されているのです。

解雇の手続きについて

従業員を解雇するなら、解雇日・解雇理由を記載した解雇通知書を従業員に渡しましょう。

内容について承諾をもらったら、受領書を受け取ってください。

さらに解雇した従業員の生活補償・再就職の支援できるような書類を準備する必要があります。

雇用保険

従業員を解雇した場合は、会社都合での退職となります。

雇用保険に加入していると、従業員は失業保険の受給ができるため、必要書類を渡しましょう。

具体的には、雇用保険の資格喪失届か離職証明書になります。

社会保険

年金・健康保険といった社会保険に関しても、会社側での手続きが必要になります。

従業員の被保険者証カード・被扶養者用カードを回収し、日本年金機構へ提出してください。

また健康保険は社会保険を任意継続するか、国民健康保険に切り替えるかを従業員に選んでもらい、会社側で手続きます。

その他

会社名義で渡しているパソコン・携帯電話・ETCカード・クレジットカード・鍵などがあれば、忘れずに回収しておきましょう。

また解雇した従業員が雇用保険の受給・再就職できるような書類を交付してください。

例えば雇用保険の受給には、離職票が必要になるため、解雇を行ったらなるべく早く渡しましょう。

雇用保険は会社都合の退職だと、すぐに受給できるため、解雇後の従業員の生活を助けることに繋がります。

会社破産の場合

とはいっても、会社が破産するような場合は、かなりせっぱ詰まった段階といえます。

実際、会社の倒産の最たる破産というアクシデントを30日前に予告するというのはありえない話でしょう。

現実的には、会社が破産する旨を伝えたその日に解雇するのが大半です。

この場合、従業員は解雇した時点で債権者という立場になります。

先ほども記載しましたが、労働者は労務を提供してその代わりに賃金を得ます。

その賃金が「財団債権」と呼ばれる債権になります。

これには、通常の給料の他に退職金などもその債権に含まれます。

法律上、債権の優先順位は「財団債権→優先的破産債権→一般破産債権」となっており、労働者の賃金等は抵当権等の担保のついた債権よりも優先して配当を受けることになっています。

財団債権は、破産手続き開始決定から3ヶ月の期間に限られています。

破産申立てが遅れるほど、従業員がもらえる財団債権も減っていくため、早期の破産手続きを心がけましょう。

従業員の賃金・退職金は財団債権として扱いますが、役員報酬は財団債権ではなく「一般的破産債権」として扱うため、一番優先順位は低くなります。

即時解雇すると解雇予告手当を払わなければいけない

従業員を30日以上前の予告なしで解雇すると、「解雇予告手当」を払わなければいけません。

解雇予告手当は従業員の平均賃金×(30日ー予告した日数)で計算されます。

例えば即日解雇してしまうと、平均賃金×(30日ー0日=30日)となり、30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払いします。

もし10日前に解雇予告をすれば、平均賃金×20日分という計算。

解雇日の30日以上前に予告しておけば、解雇手当を払わなくても大丈夫です。

未払い賃金の立替払制度

労働者の賃金等は会社が破産しても配当面で優先されることは理解しました。

しかし、支払うお金がないから破産したのであり、その会社から賃金の支払を受けるのは現実的には難しいです。

そこで、このような場合の救済措置として未払い賃金の立替払制度というものがあります。

これは、未払いの給料等がある場合、その8割を独立行政法人・労働者健康福祉機構が代わりに支払ってくれる制度です。

これには一定の要件があります。

以下に概略を列挙します。

要件

① 事業主について

  • (1)労災保険の適用事業の事業主で、1年以上事業を実施
  • (2)倒産したこと

② 労働者について

  • (1)破産手続開始の申立等の6ヵ月前の日から2年の間に退職
  • (2)未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人の証明等を受けること
  • (3)破産手続開始決定等の日から2年以内に立替払請求を行うこと

③ 対象賃金は、退職日の6ヵ月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している未払賃金

詳しくは、厚生労働省ホームページ「未払賃金立替払制度の概要と要件について教えてください。」にも記載がございますので参考にしてください。

破産と解雇のタイミングについて

破産手続きが始まったら、どこタイミングで解雇するかは気になると思います。

基本的には法人・会社の破産を開始する前に、従業員全員を解雇しておくことが多いです。

事業を停止して、自己破産申立ての準備に入る日に全従業員を即時解雇するケースです。

しかし下記のような場合は、解雇しないままで破産手続きをします。

・情報漏えい
・破産の手続きに支障が出る
・破産管財業務の遂行に従業員の協力が必要となる場合

破産手続きの中で従業員に手伝ってもらう必要がある場合は、一度解雇して、再度アルバイトとして雇って、時給・日給で報酬を払うケースもあります。

解雇のタイミングは会社によっても違うため、不安な方は弁護士への相談がおすすめ!

経営者がやるべき3つの対応

会社破産で従業員を解雇する場合に、経営者はなるべく従業員への負担を軽減すべきです。

具体的には、このような3つの対応をすべきでしょう。

  • ・なるべく早い段階で納得できる説明をする
  • ・転職先を紹介する
  • ・失業保険の受給・未払賃金立替払制度について説明する

下記では、経営者がやるべき対応について詳しく紹介します。

なるべく早い段階で納得できる説明をする

破産が決定したら、なるべく早い段階で従業員に説明してください。

情報漏えいの心配・残っている仕事の処理など、どうしても説明が遅れる場合を除いて、早めの説明を心がけまでしょう。

なぜなら説明が遅れるほど、次の転職先を探したり、当面の生活費を確保したりする時間の余裕がなくなるからです。

解雇まで時間の余裕があるほど、従業員側も解雇後の生活に向けて準備ができます。

従業員へ解雇通知を行うと、当然反発されると思います。

経営者は破産の手続きや債権者への説明などで忙しいですが、なるべく弁護士に任せて、自分は会社のことに専念しましょう。

従業員が納得できるような説明をして、後腐れのない状態で解雇できるように気を配ってください。

転職先を紹介する

副業などをしてない限り、従業員は解雇されてしまうと、収入がまったくない状態になります。

「生活費を稼がなければいけない」という状態になるため、できれば転職先を紹介してあげましょう。

もちろん全員の転職先を紹介するのは難しいですが、自分が持っている人脈・他者との繋がりを使って、転職先を探してください。

従業員側も転職先が決まれば、心置きなく解雇に対応してくれると思います。

失業保険の受給・未払賃金立替払制度について共有する

解雇された従業員は、失業保険の受給・未払賃金立替払制度が利用できます。

失業保険は雇用保険に加入していた従業員が、会社を辞めたときに利用できる給付金制度です。

働いた年数・辞めたときに年収によって受給金額が決まりますが、3ヶ月〜1年程度の生活費分は受給できます。

解雇した場合は会社都合での退職になるため、自己都合退職のように待機期間もありません。

手続きをすれば、比較的すぐに失業保険を受給できるため、解雇後の従業員の生活を保護できます。

さらに未払賃金立替払制度を利用すれば、未払いの賃金8割を独立行政法人・労働者健康福祉機構が代わりに支払ってくれます。

解雇される従業員は「今後の生活費をどうしよう・・・」と不安になっているので、利用できる制度・給付金の説明をして、不安を解消してあげましょう。

法人・会社破産で悩んだら弁護士に相談しよう

破産で悩んでいるなら、弁護士への相談がおすすめです。

多くの弁護士事務所では、初回の相談を無料で行っているため、費用がなくても気軽に相談できます。

従業員へのダメージ少ない方法を選択できる

突然の解雇で従業員は金銭的・精神的なダメージを受けます。

今まで、自分と一緒に働いてきた従業員へのダメージはなるべく抑えたいですよね。

弁護士に相談することで、できるだけ従業員への賃金未払いをなくす方法を選べるかもしれません。

なにも知識がない状態で即時解雇するより、弁護士と相談して計画を立てることで、従業員が手にするお金が増える可能性もあります。

自分だけで判断せずに、専門家である弁護士へ相談してみた方がいいでしょう。

弁護士に相談して精神的に楽になる

従業員に解雇通知を送ると、関係が悪化するかもしれません。

会社で自分以外が敵となって、辛い状況で破産手続きを進めるケースもあるでしょう。

そんな中でも「弁護士に相談できる」という状況があれば、それだけで精神的にも楽になります。

もし自分が経営者で破産を考えているなら、自分のメンタルケアも考えて、弁護士相談がおすすめです。

終わりに

ここまで、会社が破産した場合の従業員の取り扱いについて見てきました。

解雇は従業員の最たる不利益処分になります。

こうならないよう回避する義務が経営者には課せられていますが、万一このような事態に陥った場合は、上記のような制度を利用することで従業員の生活を保障できるようにしたいところです。

破産のお悩みは深刻で不安なものです。
弊社では、相談者様の目線に立って、
丁寧に問題解決に向けた対応をさせていただきます。
楽な気持ちで何でも相談してください。

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