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消滅時効の援用とは?やり方・デメリットや時効援用通知書の書き方について

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 消滅時効の援用をするメリットとデメリットがわかる
  • 消滅時効の援用をする流れや必要書類を確認できる
  • 消滅時効を援用する際に注意することがわかる

借金や債務を抱えている方にとって、消滅時効を確認しておくことはとても重要です。

消滅時効とは、権利者が権利を行使しないまま一定の期間が経過することによって、その権利が消滅する制度です。

債務者にとっては、借金や債務の問題を解決する手段となります。

しかし、消滅時効を迎えただけで借金が自動的に帳消しになるわけではありません。

抱えている借金や債務を消滅させるには、消滅時効を援用する必要があります。

消滅時効を迎えていても具体的な援用方法を知らなければ、せっかくの機会を無駄にしてしまうことにも繋がります。

ここでは、主に消滅時効の援用方法について詳しく説明します。

消滅時効はどんな債務でもとにかく援用すればよいというものではなく、メリットとデメリットが存在します。

まずは自分の状況と照らし合わせて、消滅時効を援用するかどうか決めましょう。

そして、消滅時効を援用することを決めた方が知っておくべき内容についても解説します。

消滅時効の援用の流れ、必要書類、書類の書き方、費用などをチェックしましょう。

消滅時効の援用をするかどうか迷っている方、消滅時効を援用したいがやり方が分からない方はぜひ最後までご覧ください。

消滅時効の援用とは

消滅時効の援用とは、一定の期間が経過したことにより消滅時効が完成した借金や債務について、その借金や債務を抱えている個人や事業者が消滅時効の利益を受けることを債権者に伝えることを言います。

消滅時効は一定の期間が経過することにより、借金や債務を消滅させる制度のことです。

しかし、消滅時効が完成したからと言って自動的に借金や債務が消滅するわけではありません。

消滅時効の利益を受けるには「援用」が必要です。

消滅時効の援用は基本的に「相手に伝える」ことで行います。

形式は問わないため、口頭でも書面でも構いません。

つまり、債権者に対して「時効を援用します」と一言伝えるだけでもよいということになります。

ただし、債権者が消滅時効を素直に受け入れてくれるとは限らず、裁判に発展することも考えられます。

その際にも消滅時効を援用したことを主張できるようにするため、消滅時効の援用は時効援用通知書を用いて行うことをお勧めします。

具体的な方法については後述します。

消滅時効の援用を行うメリット・デメリット

では、消滅時効の援用を行うメリットとデメリットについて見ていきましょう。

消滅時効の援用を行うメリット

消滅時効を援用する最大のメリットは対象の債務が帳消しになることです。

比較的簡易な手続きをすることによって、借金などの債務から解放されます。

信用情報機関の事故情報が削除される場合もあります。

裁判所を介さない手続のため、家族や職場にバレる可能性が低いことも大きなメリットでしょう。

債務者が消滅時効を援用することにより、連帯保証人の返済義務も消滅します。

ただし、連帯保証人が消滅時効を援用した場合は、債務者の債務はなくなりませんので注意しましょう。

消滅時効の援用を行うデメリット

時効の援用は必ず成功するわけではありません。

時効の起算点を誤認し、時効完成前に時効援用通知書を送付してしまうと、時効の援用に失敗してしまうことになります。

時効を援用して借金をゼロにするつもりが、債権者からの取り立ての再開を招いてしまうことも考えられます。

また、時効の完成猶予や更新事由にも注意が必要です。

債権者が催促をしたり、裁判を起こしたりすると、時効完成が延期されます。

こうした事由は判断が難しいことがありますので、専門家に依頼すると安心です。

時効援用通知書とは

時効の援用は口頭でも可能ですが、確実に消滅時効を援用するためには、「時効援用通知書」を作成しましょう。

時効援用通知書とは債務の状態を記した上で、「時効を援用する」旨を明確に示すための書面のことです。

債務者は時効援用通知書を送付することにより、債権者に対し、時効の援用を主張することができます。

消滅時効の援用をする流れと必要書類

援用の概要とメリットデメリットがわかったところで、実際の流れと必要書類についてみていきましょう。

債務が時効を迎えているかを確認

消滅時効を援用する前に、まず債務が時効を迎えているかを確認する必要があります。

借金など一般的な債務については、以下の消滅時効が適用されます。

「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または、権利を行使することができる時から10年間行使しないときのいずれか早い方。」

これは令和2年4月1日から施行された改正民法による規定です。

施行日以降に契約した債務に関して適用されることに注意しましょう。

令和2年3月31日までの債務の消滅時効は10年です。

ただし、商行為として金貸しを行っている業者などから借金をした場合は、5年の消滅時効が適用されます。

また、時効の完成猶予や更新に該当する事由がないかにも注意が必要です。

たとえば、借金の返済期日から10年が経過していたとしても、その途中で債務者が債務を承認していれば、時効の起算点はその承認の時からとなるため、10年が経過していても時効が完成していない場合があります。

債務の確認方法

債務が時効を迎えているかを確認するには、以下の方法があります。

  • 契約書などの書類を確認する方法
  • 信用情報機関に照会する方法
  • 弁護士などに依頼する方法

まず、契約書や督促状など債務に関する書類を集め、返済期日からどのくらいの期間が経っているかを確認しましょう。

これにより、「消滅時効が適用できそうな債務」を洗い出すことができます。

次に、信用情報機関(CIC・JICC)に照会をかけましょう

場合によっては、契約書などの情報が見つからない、もしくは作っていないことも考えられます。

このような場合にも、信用情報機関への照会が消滅時効援用の手がかりになります。

信用情報機関では借金の詳細情報を確認することができます。

しかし、債務の中には、個人間のお金の貸し借りなど信用情報機関での情報がないことも考えられます。

情報がない場合には自分の記憶に頼るか、債権者からの督促を待って消滅時効の手続きをするしかありません。

弁護士などの専門家に依頼すれば、こうした情報収集を代理で行ってくれます。

自分の判断に自信がない場合、複数の債務について時効援用を行いたい場合などに利用すると安心です。

時効援用通知書の作成・必要書類

自分の借金や債務が消滅時効を迎えていることを確認できたら、時効援用通知書を作成します。

時効援用通知書には債権者・債務者・債務の情報を記載し、「時効を援用する」旨を明確に示します。

具体的な記載内容については後述します。

時効援用通知書を作成する上では、債務に関わる書類を揃えることでスムーズに進めることができます。

関連書類の例は以下の通りです。

  • 借金や債務の契約書
  • 支払履歴
  • 過去の督促状、通知書
  • 裁判記録
  • 相手とのやりとり(書面、メッセージなど)

時効援用通知書には、債務の情報を正確に記すことが求められます。

債務に関連する書類を隅々まで確認して、記載されている通りの内容で時効援用通知書を作成しましょう。

過去の督促状や支払履歴、相手とのやりとりを確認し、時効の中断・更新がされていないかも改めてチェックするとよいでしょう。

こうした書類は裁判に発展した際にも必要になりますので、確認漏れがないように注意してください。

時効援用通知書の送付

時効援用通知書の送付には「内容証明郵便」を使用しましょう。

内容証明郵便とはいつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に送付したかを郵便局が証明してくれる郵送方法です。

一般的な郵便を使用してしまうと、相手から「受け取っていない」「知らない」と主張される場合があります。

しかし、内容証明郵便であれば、どのような何用を相手に送ったかの証明になります。

もし反論を受けても証明できるように、内容証明郵便を活用すると安心です。

時効援用通知書の書き方

通知書の書式と盛り込む項目についてみていきましょう。

時効援用通知書の書式

時効援用通知書は手書き、または、ワードなどの文書作成ツールで作成します。

誤字・脱字を防ぐためには文書作成ツールを使い、目視のほか、校正ツールをかけるなどして二重チェックすると安心です。

内容証明郵便は以下のように書式が決まっています。

  • 縦書きの場合 1行20字以内かつ1枚26行以内
  • 横書きの場合 1行20字以内かつ1枚26行以内、1行13字以内かつ1枚40行以内、1行26字以内かつ1枚20行以内のいずれか

このとき、句読点やかっこ、記号も1文字としてカウントされます。

時効援用通知書が2枚以上に渡る場合には、書類にまたがって契印を押す必要があります。

内容証明郵便はどんな紙を使用しても構いませんが、専用用紙も市販されています。

差出人の名前の横には押印をすることをおすすめします。

書式として決まっている訳ではありませんが、押印には意思表示を補強する意味があります。

送付にあたっては同じ内容の書類を3部用意します。

1部は相手方に送付し、1部は自分で保管、1部は郵便局が保管します。

手書きで作成する場合は1部を手書きし、それをコピーするようにしましょう。

押印は3部それぞれに直接行います。

日付

時効援用通知書には作成日または送付日を記載します。

これが時効を援用する日付になります。

消滅時効の援用は、債務の返済日から一定期間が経過して時効が完成した後にできます。

日付の記載がないと、時効の完成後に作成されたかどうかの判断がつきません。

最悪の場合、債権者から「時効完成前に作成された書類である」との反論を受け、時効援用に失敗してしまうことも考えられます。

時効援用を確実に主張できるよう、時効が完成した後の日付を記載しましょう。

差出人の情報

時効援用通知書には差出人の情報を記載します。

差出人がわからないと、債権者は時効援用通知書に関する問い合わせをすることができないためです。

記載する内容としては、差出人の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどです。

問い合わせがあることを考え、日常的に使用している連絡方法を示しておくとよいでしょう。

債務・債権の情報

時効援用通知書には、消滅時効を援用する債務の情報を記載します。

どの債務について消滅時効を援用するのか、当事者間で明確にするためです。

具体的には、債権者・債務者・債務の内容について記載します。

債権者氏名(法人の場合は名称)、住所(本社所在地)
債務者氏名、住所、生年月日、契約番号(会員番号など)
債務(債務)の内容債権(債務)の性質、契約日、金額、返済期日、最終返済日

消費者金融などからの借金であれば、内容を明確に覚えていなくても、契約番号や会員番号が分かれば、債務を特定することができます。

時効が完成している旨

時効援用通知書には時効が完成している旨を記載します。

民法による時効の完成期間が経過したこと、消滅時効が完成したことを明らかにしましょう。

たとえば、消費者金融からお金を借り、返済期日から一度も返済しないまま、債権者からの督促などもなく、5年が経過したものとします。

この場合、「貴社が私に対して主張する下記記載の貸金債権については、返済期日の⚪︎年⚪︎月⚪︎日から5年が経過し、消滅時効が完成しております」のように記載します。

消滅時効を援用する旨

時効援用通知書で最も重要なのは、消滅時効を援用する旨を記載することです。

この記載がないと、消滅時効を援用したことを主張できず、債務も消滅しません。

消滅時効を援用することが分かればいいので、文章はシンプルで構いません。

時効が完成した旨を示した文章に続けて、「よって上記債権について消滅時効を援用します」などと書きましょう。

繰り返しになりますが、時効援用通知書では時効を援用する旨の記載がないと、時効援用の効力を持ちません。

相手方に送付する前に記載漏れがないか確認しましょう。

信用情報機関の登録情報の抹消請求

消滅時効を援用する際は、あわせて信用情報機関に登録された事故情報の抹消を依頼することをおすすめします。

債務の返済期日から長い期間が経過している場合には、信用情報機関に事故情報が登録されていることが考えられます。

いわゆる「ブラックリスト」入りしてしまうと、今後クレジットカードを作る際などに不利益を被る可能性もあります。

良心的な債権者であれば何も言わなくても対応してくれますが、失念してしまう可能性もあるでしょう。

忘れずに事故情報の抹消申請をしてもらえるよう、念押ししておくことが重要です。

具体的には「信用情報機関に登録された事故情報を抹消されますよう、お願い申し上げます」と依頼文を記載します。

債務を承認していない旨

時効援用通知書には債務を承認していない旨を書いておくと確実です。

具体的には「本書面は債務の存在を承認するものではありません」などと記載しましょう。

債務を承認してしまうと時効の更新事由に該当し、消滅時効がまた一から数え直しとなります。

あくまで時効を援用するための書面であって、債務を承認する意思はないことを明確にしておくことで、債権者の反論を防ぐことができます。

消滅時効の援用にかかる費用

消滅時効の援用にかかる費用は、自分で手続きを行うか弁護士などの専門家に依頼するかで変わってきます。

自分で消滅時効を援用する場合

自分で消滅時効を援用する場合にかかる費用は実費のみです。

具体的には書類のコピー料金、郵便基本料金、内容証明料金、一般書留料金、配達証明料金がかかります。

  • コピー料金 20円(コンビニで2部コピーする場合)
  • 郵便基本料金 84円
  • 内容証明料金 440円(1枚の場合)
  • 一般書留料金 435円
  • 配達証明料金 320円

消滅時効の援用はこのように安価に済ませることができます。

複数の債権者に対して、消滅時効の援用をする場合には、その債権者の分だけ料金がかかります。

弁護士などの専門家に依頼する場合

消滅時効の援用は弁護士や司法書士などの専門家に依頼できます。

専門家に依頼する際には実費に加えて報酬が必要です。

一般的に弁護士よりも司法書士の方が報酬は安い傾向にあります。

  • 弁護士の報酬 4〜10万円
  • 司法書士の報酬 2〜8万円

司法書士が消滅時効援用の代理人になれるのは140万円以下の借金に限られます。

それより多額の借金について消滅時効を援用したい場合には弁護士に依頼しましょう。

消滅時効の援用をするときの注意点

時効の完成猶予・更新事由に該当していないかを確認する

消滅時効が完成しているかどうかは、慎重にチェックする必要があります。

消滅時効には完成猶予と更新という制度があり、消滅時効完成までの期間が延びていることも考えられます。

完成猶予とは一定期間中は消滅時効が進まないこと、更新とは消滅時効が最初から数え直しになることです。

一度でも支払いをしていた、あるいは債権者が裁判を起こしていると、消滅時効が更新されます。

完成猶予や更新事由に当たるかどうかは自分での判断が難しいこともあります。

しかし、自信がないからといって、債権者に直接確認するのは避けましょう。

「債務の承認」と見なされ、消滅時効の更新事由になってしまう可能性があります。

判断ができないときは、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

また、住民票を移さずに転居している場合など、裁判所からの通知を見逃してしまい、知らないうちに裁判が進行している可能性もあります。

この場合は早急に弁護士に相談することをおすすめします。

債務の承認に当たらないようにする

債務者が債務を承認すると、新たに時効が進行してしまい、消滅時効の援用ができなくなります

債務の承認に当たらないようにするため、以下の点に注意しましょう。

  • 債権者と直接の交渉を行わない
  • 消滅時効援用通知書に債務の承認でない旨を記載する

債権者と直接交渉を行うと、不用意に債務を承認する言動を取ってしまうことも考えられます。

直接の連絡は避け、どうしても必要な場合には、弁護士などの専門家に依頼しましょう。

また、消滅時効援用通知書には「債務を承認するものではありません」と一言追加しておくと安心です。

まとめ

確実に時効を援用するためには、時効援用通知書を作成し、内容証明郵便で送付することをおすすめします。

時効援用通知書には債権者・債務者・債務の情報を記載し、時効を援用する旨を明らかにする必要があります。

相手方からの反論を避けるため、日付や債務の承認でない旨の記載をするとより安心です。

時効の援用は自分で行うこともでき、費用は2000円程度です。

ただし、複数の債権者に対して同時に消滅時効の援用をする場合や、時効の完成猶予・更新事由に当たるかどうか判断が難しい場合には、弁護士などの専門家に依頼するとスムーズです。

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