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弁済期とは?支払期日との違いや支払不能の要件をわかりやすく解説

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 弁済期とは何を指すかがわかる。
  • 弁済期と支払期日の違いがわかる。
  • 支払不能とは何かを確認できる。

裁判所に法人破産を認めてもらうには破産手続き開始原因の存在が必要です。

法人の破産手続開始原因の一つが「支払不能」です。

ただし、単純に支払いをしていないだけでは支払不能とは認められません。

破産を検討する上では、支払不能とはどういう状況を指すのか正しく認識する必要があります。

そのためには「弁済期」の理解も必要です。

そこで今回は弁済期とは何か、弁済期と支払期日の違い、支払不能とは何かについて詳しく解説します。

支払不能を原因とした破産手続を検討している方はぜひご覧ください。

弁済期とは

弁済期とは、債務者が債権者に対して弁済をしなければならない期限のことを指します。

金銭を支払う債務の弁済期は,支払期日又は支払期限と呼ばれる場合もあります。支払期日と支払期限は実質的には同じですが,前者は,支払日が特定の日として指定される場合などに用いられることがあります。

弁済とは債務者が債務を履行し、債権を消滅させることです。

たとえば契約の内容が金銭の支払いである場合、金銭を支払うことが弁済に当たります。

債務者以外の第三者が弁済を行うことも、原則として有効です。

債権者はお金などを貸しているなど債権を有している立場だからといって、いつでも債務の履行を請求できる訳ではありません。

弁済期が到来していることが、請求をする上で必要となります。

例として、1ヶ月後に返す約束で100万円を借りたとします。

この場合、債務者は1ヶ月後までは100万円を手元に置くことができ、債権者は返還を請求することはできません。

ただし、弁済期が満了する1ヶ月後に100万円を返さない場合には、債務不履行になります。

弁済期は期限が到来するまでは債務の履行をしなくてもよいという、債務者にとって有利な地位を与えます。

債務者がその利益を放棄して、期限より前に弁済をすることも可能です。

弁済期と支払期日の違い

弁済期は、債務者が債務の弁済をするべき時期のことです。

債務は、金銭の給付を目的とするものとそれ以外とに分けられます。

弁済期うち、金銭債務の支払いに関するものについては、支払期日又は支払期限と呼ぶことがあります。

弁済期と支払期日・支払期限は類語の関係ですが、前者は,原則として、金銭を支払う債務の弁済期に限って用いられるという違いがあります

支払不能とは

法人が破産するためには、破産手続をする必要があります。

破産手続には破産手続を開始するに値するだけの原因が求められ、その原因の一つが「支払不能」です。

破産法には、支払不能の定義が記載されています。

第2条第11項

この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。

引用:e-GOV法令検索

従って、次を満たす場合に支払不能にあたるといえます。

  • 支払能力を欠いていること
  • 弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済することができない状態にあること

以下、それぞれについて解説します。

支払能力を欠いていること

支払能力とは、債権者に対して金銭などの給付をすることができる経済的能力のことを指します。

支払能力は債務者の財産だけでなく、債務者の信用性や労務上の状況も加味して判断されます。

資産があまりない場合でも、信用に足る実績や労力があり、資金の調達が可能であれば、必ずしも、支払能力を欠いているとは言えないと判断される可能性があります。

反対に、資産が潤沢であっても、直ちに換金できないなどの理由から、支払いに回すことが困難な性質のものばかりである場合は、支払能力を欠くと見なされることがあります。

弁済期にある債務

支払不能か否かは,「弁済期にある債務」を弁済できない状態にあるかで判断されます

弁済期が到来していない債務を返済できなくなりそうだからと言って、必ずしも、支払不能とはいえません。

一般的かつ継続的に弁済できないこと

支払不能と認められるためには、「一般的かつ継続的に弁済できない状態にあること」が必要です。

「一般的に弁済できない」と「継続的に弁済できない」の両方が満たされることが必要です。

一般的に弁済できないこと

ここでいう「一般的」に弁済できないとは、物の引き渡し義務のような特定の債務の履行ができないのではなく、債権者全体に対して履行ができない状態を意味します。

金銭債務の場合、一部の債権者には、弁済ができるが、他の、特に、大口債権者に弁済できないような場合は、「一般的に」弁済できない場合に当たることが多いと考えられます。

継続的に弁済できないこと

継続的とは、突発的な出来事による資力の喪失ではないことを意味します。

たとえば、天変地異によって一時的に資金の不足が生じても、継続的に弁済できないとはされない場合が多いと考えられます。

支払い不能の推定

支払不能は客観的に判断されます。

当事者が主観的に弁済できないと考えても,客観的には支払不能に当てはまらないということもあります。

また、逆の場合もありえます。

とはいえ、支払不能かどうかを客観的に判断するのは難しいこともあります。

そこで、支払不能を推定する方法として、「支払停止」という考え方が導入されています

「支払停止」とは、債務者が支払不能であることを明示的あるいは黙示的に外部に示すことです。

たとえば、弁済を継続できない旨の債権者への通知などが考えられます。

支払停止によって支払不能が推定されるので、反証がない限りは支払不能であるものと認められることになります。

まとめ

債務者は弁済期までに債務を弁済しなければなりません。

弁済期が到来しても債務が弁済できない場合は債務不履行となり、債権者が弁済を請求できます。

弁済期にある債務を、一般的継続的に弁済できない状態となれば,支払い不能と認められる可能性があります。

債務の弁済のために、事業を継続することが難しいと考える場合には、支払不能を開始原因とした破産手続きに進むことができないか検討しましょう。

支払不能に該当するかの判断は弁護士などの専門家を頼ると安心です。

破産のお悩みは深刻で不安なものです。
弊社では、相談者様の目線に立って、
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