東京弁護士会所属。新潟県出身。
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会社を解散すると決めただけでは、会社は消滅しません。
消滅させるためには、決められた手続きがあります。
会社の解散を決めて消滅させるまでには、2段階の登記が必要となり、この登記の申請には期限が定められています。
この記事では、その解散登記の期限について解説していきます。
期限を過ぎてしまった場合には罰則はあるのか?期限を過ぎてしまった場合はどうしたらいい?などの気になるポイントについても説明していますので、すでにお困りになっている方はもちろん、これから会社の解散を考えている方も、ぜひ参考にしてください。
Contents
会社が解散したときは、清算人は、会社解散が決まった日から2週間以内に会社の解散と清算人の選任の登記をしなければなりません。
また、決算報告が承認された日から2週間以内に清算結了の登記をしなければいけません。
いずれも、2週間以内という期限が定められていますので、注意してください。
清算結了の登記がされると、会社登記簿は閉鎖され、会社が消滅します。
まず、会社を解散する流れを確認しておきましょう。
会社を消滅させるためには、2段階の登記が必要です。
会社を解散する理由は会社法で定められており、多くは株主総会の決議によって解散が決まります。
株主総会では、解散の決議と同時に清算人を選任する決議を行います。
会社を解散することを決めた日から2週間以内に、会社の本店所在地を管轄している法務局に、解散の登記と清算人選任の登記を申請します。
まず、債権者保護手続きとして「官報公告」と、認識している債権者に対する「個別の催告」を行います。
そして債権届出をもとに、清算事務をすすめます。
清算事務が終わり、決算報告が株主総会で承認されると、清算事務が結了して会社が消滅します。
清算人は、清算結了が成立したときから2週間以内に、本店所在地を管轄している法務局に清算結了の登記を申請しなければなりません。
会社法第915条では、会社の登記内容に変更があるときは、変更があってから2週間以内に登記申請をしなければならない、と定められています。
会社を解散する場合に行う解散の登記、清算人選任の登記、清算結了の登記は、いずれもこの会社法第915条が示す、会社の登記内容に変更があった場合に当てはまるものです。
登記は会社の内容を外部に広く公示するためのものです。
会社の役員や内容が変わっても登記が以前のままになっていると、第三者からはわかりません。
ですから、変更があったときには、なるべく早く登記に反映させることが大切なのです。
会社を解散するというのは、大きな変更です。
代表者も清算人に変わります。
清算結了も、会社の消滅にかかわる大きな変更といえます。
登記が以前のままになっていたために、会社の解散や消滅を知らずに不利益を受ける人(取引先など)が出ないようにしなければならないのです。
2週間という解散登記の期限を経過してしまった場合でも、登記申請をすれば、受理してもらうことができます。
ただ、基本的には、会社法第915条に該当する登記で2週間の期限を過ぎたときには、会社法第976条において、100万円以下の過料に処するという内容の罰則が定められています。
解散登記の期限を過ぎた場合は会社法違反となり、会社法第976条の対象になります。
したがって解散登記は、速やかに登記申請をすることが大切です。
過料とは、イメージとしては罰金に近いものですが、軽い行政罰のことをいいます。
刑事罰ではないので、前科がつくわけではありません。
しかし、解散登記の期限を過ぎた場合は、会社の代表者に対して100万円以下の過料に処せられる可能性があることになります。
過料の基準や金額については、法務局と裁判所の裁量によるとされています。
法務局で登記の期限を過ぎたことがわかると、裁判所に通知されます。
そして法務局からの通知を受けて、裁判所から会社代表者宛てに、過料決定が送付されます。
過料決定が届いたら、そこに記載された金額を過料として支払うことになります。
2週間の期限を過ぎると過料の対象にはなるのが原則ですが、実際は必ず制裁を受けるというわけではありません。
金額についても100万円以下とされているものの、明確な基準が定められているものではありません。
登記申請を怠った期間や登記の内容によって決まるのではないかと思われますが、実際には過料決定に記載された金額を支払うことになります。
解散登記の期限を過ぎた場合でも登記申請はできます。
そもそも解散登記は、会社の内容に解散という大きな変更があったことを外部に広く公示することを目的として、行うものです。
期限を過ぎたからといって申請ができなくなれば、解散することを公示することができません。
それでは外部の関係者に迷惑がかかる可能性が高くなってしまいます。
ですから、期間を過ぎても申請できるのです。
こうした登記の目的を考えれば、たとえ期限を過ぎてしまったとしても、できるだけはやく登記申請をすることが望ましいといえます。
期限を過ぎてから登記申請をしても、申請は受理されます。
受理された時点で、法務局は、その登記申請が期限を過ぎていることを把握します。
法務局が期限を過ぎていることを把握したとしても、実際に過料に処せられるかどうかは法務局と裁判所の裁量とされているので、過料が決まったわけではありません。
ですから、期限を過ぎてから申請したとしても、過料に処せられるとは限りません。
大切なのは、できるだけはやく申請をすることといえるでしょう。
長期間にわたって登記が放置されていた場合の方が、過料に処される可能性は高くなるかもしれません。
登記申請は、申請書の記入や決められた添付書類をそろえる必要があります。
法務局がチェックして、もし間違いや不備があれば、さらに補正もしなければなりません。
手続きをミスなくスムーズに進めるためには、専門家にまかせる方が迅速で正確に行うことができます。
期限を過ぎてしまったら、できるだけはやく申請をするのが望ましいといえます。
費用はかかりますが、専門家へ依頼することもよい方法といえるでしょう。
登記についての専門家としては、司法書士が適しています。
会社を解散して消滅させるまでには、さまざまな煩雑な手続きがあります。
そのなかでも、解散登記や清算人選任の登記・清算結了の登記は、2週間という期限が定められた重要な手続きです。
期限を過ぎてしまうと過料に処せられる可能性もあります。
できれば、事前に必要な事柄や書類などを確認し、準備をしてから解散を決めた方が、確実に手続きをすすめられることでしょう。
解散を決める前に専門家に相談しておくのもよい方法かもしれません。