

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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会社をたたむ方法は大きく分けて2つあります。
資金に余力があるうちに会社法471条・475条[注1]に基づき解散・清算を行う通常清算と、債務超過に陥ってから行う破産等の倒産処理(会社法511条等[注1])です。
基本的には、株主総会での解散決議から清算人選任、官報公告、債権者への弁済、従業員への30日前の解雇予告の手続きを経て、清算結了登記に至ります。
なお、連帯保証人には民法446条[注2]により会社の債務が直接及びます。
資金繰りに関する対応を誤ると、経営者個人が返済に追われかねません。
自己判断で進めず、早い段階で弁護士に相談しましょう。
本記事では会社をたたむ方法を詳しく解説します。
Contents

廃業は事業をやめる経営判断全般を指し、解散は会社法471条各号[注1]の事由に基づく法人格の消滅手続きをいいます。
倒産は債務超過に陥った状態を指し、事業を残す再建型(民事再生法21条の再生手続開始原因等[注3])と、会社を消滅させる清算型(破産法15条の破産手続開始原因[注4])にわかれます。
自社が債務超過か否かにより、手続きの選択肢は異なります。
倒産は法律上の用語ではなく、資金繰りの悪化などで経営が行き詰まった状態を指す実務上の総称です。
倒産に陥った会社は、清算型・再建型・私的整理のいずれかを選択し、対応します。
財務状況や取引先数に応じて、弁護士が適切な選択を支援します。
| タイプ | 方法 |
|---|---|
| 清算型 | 財産を清算し会社を消滅させる(破産法15条1項の支払不能[注4]、会社法511条の特別清算[注1]) |
| 再建型 | 事業を継続しながら再建を図る(民事再生法21条等[注3]) |
| 私的整理 | 裁判所を通さず債権者と直接交渉する(事業再生ADR等) |
廃業とは、債務超過ではないクリーンな財務状態のまま、経営者の判断で自主的に会社を終わらせる行為です。
近年は経営者の高齢化や後継者不足により、黒字であっても事業を続けられず廃業を選ぶケースが増えています。
廃業は倒産と異なり債権者に金銭的な迷惑はかかりませんが、単に休業するだけでは会社は消滅しません。
株主総会の決議による解散(会社法471条3号[注1])を経て、財産の清算・分配を行う普通清算手続き(会社法475条以下[注1])を完了させて初めて、法人格は正式に消滅します。
解散とは、会社の事業活動を永久に停止させる法的手続きです。
解散した瞬間に会社が消滅するわけではなく、清算の目的の範囲内で清算結了まで存続します(会社法476条[注1])。
解散後は全資産が清算人の管理下に移り、残債務を弁済する清算手続き(会社法475条以下[注1])へと移行し、完了させて初めて法人格が消滅します。

会社をたたむ手続きは、法務局や税務署、官報販売所、年金事務所やハローワークなど複数の窓口に書類を出す作業です。
提出先も時期も異なるため、進め方を誤ると手続きが遅れ、遅れた分だけ無駄な維持費用がかさみます。
以下で、解散から清算結了までの流れを解説します。
会社の解散には、株主総会の特別決議が必要です(会社法471条3号[注1])。
特別決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を要します(会社法309条2項11号[注1])。
あわせて、清算人を選任する決議も同じ総会で行います。
決議を証明する株主総会議事録と株主リストは、解散登記に必須の添付書類です。
解散および清算人選任の登記は、決議から2週間以内に行う義務があります(会社法915条1項、928条1項[注1])。
期限を過ぎると、清算人個人に100万円以下の過料が科されます(会社法976条1号[注1])。
解散登記が完了しても、年金事務所やハローワークへ届け出なければ、会社の消滅は役所に伝わらず、不要な社会保険料の請求が続きます。
健康保険法・厚生年金保険法に基づく年金事務所への届出期限は、事業所が廃止された日(解散日など)から5日以内です。
届出書類は適用事業所全喪届で、従業員がいる場合は被保険者資格喪失届もあわせて提出します。
雇用保険法に基づくハローワークへの届出期限は原則10日以内で、資格喪失届と離職証明書を提出します。
全従業員の退職手続きが完了したら、適用事業所廃止届も提出します。
| 提出場所 | 届出期限 | 提出書類 |
|---|---|---|
| 年金事務所 | 事業所が廃止された日(解散日など)から5日以内 | 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届 従業員がいる場合は、上記に加えて被保険者資格喪失届 |
| ハローワーク | 10日以内 | ・雇用保険被保険者資格喪失届 ・雇用保険被保険者離職証明書 |
| ハローワーク | すべての従業員の退職手続きが完了後 | 雇用保険適用事業所廃止届 |
清算手続きを進めるには、官報への公告が法律上の必須要件です(会社法499条1項[注1])。
公告期間は2カ月を超える期間が必要で、これを満たさないまま清算結了登記を申請すると却下されます。
判明している債権者には、官報公告に加えて個別の催告も必要です。
催告を怠ると、清算人が個人責任を追及される恐れがあります。
会社が解散すると、その事業年度は解散の日でいったん強制的に区切られます。
区切られた期間について、
解散確定申告(第1回申告)で決算書を作成し確定申告と納税を行う必要があります。
解散確定申告(第1回申告)の期限は解散から2カ月以内です(法人税法74条等[注5])。
期限を過ぎて申告が漏れると、無申告加算税などの重いペナルティが課される恐れがあります。
清算人は、会社の資産をすべて売却して現金化し(換価)、その代金で債務を弁済します。
弁済後に残ったお金を残余財産といい、株主に分配します(会社法504条[注1])。
しかし、資産を処分しても債務を全額弁済できない債務超過の場合は、通常の普通清算は続けられません。
直ちに特別清算または自己破産手続きへの移行が義務づけられています(会社法511条1項・2項[注1])。
自己破産に移行すると、裁判所が選任する破産管財人が財産の処分権を持ちます(破産法78条1項[注4])。
切り替え義務を無視して不当に清算を続けると、清算人個人が重い損害賠償責任を負う恐れがあります。
清算人は決算報告書を作成し、株主総会の承認を受けます(会社法507条1項・3項[注1])。
承認が下りた瞬間、清算人の責任は免除され、会社の法人格が消滅します。
承認決議の日が、続く清算結了登記の申請期限の起算点となります。
決算報告の承認から2週間以内に、清算結了登記を申請します(会社法929条、915条1項[注1])。
期限を過ぎると、代表者個人に過料が科される恐れがあるため注意が必要です(会社法976条1号[注1])。
登記が完了して初めて登記簿は閉鎖され、会社は完全に消滅します。
なお、清算中に所得が生じた場合は、1カ月以内に清算結了の確定申告も必要です。
会社をたたむ手続きに必要な書類は、株主総会議事録、定款、清算人の就任承諾書、印鑑届出書、株主名簿、決算報告書など多岐にわたります。
書類の形式的な不備や押印のミスだけで、登記や申告が却下される場合があり、注意が必要です
特に近年の登記で必須となった株主名簿の作成は、株主情報の管理がずさんな古い会社ほど準備が難しくなります。
現在の株主を特定できず、連絡がつかないケースも少なくありません。
手続きを滞らせないために、弁護士に調査や手続きを依頼して必要書類を漏れなく揃えましょう。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 株主総会議事録 | 株主総会での議決の内容を記載した書類 |
| 定款 | 会社の根本的な規則を定めた書類 |
| 清算人の就任承諾書 | 清算人に選任された人が、実際に清算人に就任する意思があるか確認する書類 |
| 印鑑届出書 | 清算人に就任した人の印鑑届出書 |
| 株主名簿 | 株主の氏名または名称、住所、株式数、議決権数、議決権数割合を記載した名簿 |
| 決算報告書 | 清算結了後の株主総会で承認された書類 |
会社をたたむには、自分で行う場合でも公的な実費がかかります。
登録免許税は、解散登記に3万円、清算人選任登記に9,000円、清算結了登記に2,000円がかかります(登録免許税法[注6])。
官報公告費は1行3,589円で、10行程度掲載すると約3万6,000円が目安です。
専門家に依頼すれば、これに加えて報酬が発生します。
解散登記と清算人選任登記は、法的に異なる事由の登記です。
そのため、同時に申請しても登録免許税はそれぞれ別に発生します(登録免許税法別表第一[注6])。
税額は解散登記が3万円、清算人選任登記が9,000円で、合計3万9,000円の収入印紙を申請書に貼付して納付します。
官報の掲載料は1行3,589円で、商号や本店、清算人の氏名などを盛り込むと10行程度、約3万6,000円が標準です。
行数を削りすぎて必要事項が漏れると、公告自体が効力を失う恐れがあります。
清算結了登記の登録免許税は2,000円で、解散時の3万9,000円と比べて安価です(登録免許税法別表第一[注6])。
登記により、会社の登記簿は完全に閉鎖されます。
金額が安いため忘れられがちですが、2週間の期限(会社法915条1項[注1])を過ぎると過料の対象になります。
専門家に依頼する場合、司法書士への登記報酬は解散・清算人選任登記あわせて約5万円が目安です。
税理士への解散確定申告の報酬は、1回あたり約15万〜20万円程度です。
確定申告は解散時と清算結了時の2回発生するため、あわせて30万〜40万円程度を事前に見込んでおく必要があります。
VSG弁護士法人では弁護士が窓口となり、司法書士・税理士それぞれの役割分担を整理して、まとめて合理的に依頼できる体制を整えます。
資金調達の限界、経営者の高齢化、後継者不在、赤字の継続など、会社をたたむ判断をするタイミングはいくつかあります。
判断が遅れて破産費用すら残らなくなると、会社を清算できない状態になります。
会社をたたむ決断は、運転資金が底をつく前に行いましょう。
金融機関から新規融資を断られ、経営者個人の貯金を会社に貸し付ける状態が続く場合は、資金繰りが限界に近づいているサインです。
実質的に支払不能(破産法15条1項[注4])に近い財務状態を意味します。
融資が途絶えたまま放置すると、個人資産まで会社と一緒に共倒れになりかねません。
個人の資産を守るには、融資が止まった時点で清算や自己破産の手続きに進む決断が必要です。
経営者の判断能力が失われると、株主総会での解散決議自体が難しくなります。
意思能力を欠く状態での決議は無効となる恐れがあり、認知症発症後などでは特に問題になります。
意思能力を欠く状態の場合、成年後見人の選任手続きが必要になり、解散までの道のりは著しく複雑化・長期化します。
生涯現役の想いは大切ですが、自分の意志で会社をたためる健康な時期に、廃業や事業承継の見通しを立てておくのが重要です。
判断能力があるうちに準備を進めておけば、後継者や家族、従業員への影響も最小限に抑えられます。
経営者自身の老後の暮らしを守るためにも、健康なうちに決断しましょう。
後継者が決まらないまま経営を続けると、将来への不安から優秀な従業員が次々と退職し、事業が立ち行かなくなります。
人材が抜け切る前に、手元に資金が残っている段階で決断すれば、退職金も十分に支払えます。
結果として、円満な形で会社をたためるでしょう。
業績が好転する見込みのないまま赤字経営を続けると、会社の資金は日々減り続けます。
資金が完全に枯渇してから解散しようとしても、普通清算に必要な登録免許税や官報公告代すら払えなくなります。
資金が完全に枯渇した状態では債務超過にあたり(会社法511条[注1])、普通清算ではなく破産手続きへの移行が必須です。
資金が残っているうちの自発的な決断が、会社を綺麗に終わらせる最後の防衛線になります。
解散は後戻りできない決断です。
取引を失うデメリットの正しい理解に加え、従業員への解雇予告(労働基準法20条1項、原則30日前)のタイミング調整も欠かせません。
解雇予告を伝えるのが早すぎれば従業員が離職して清算業務が回らなくなり、遅すぎれば解雇予告手当で資金がショートします。
会社を解散すると、法人格そのものが消滅します。
単に事業を休むのとは違い、完全な終了を意味します。
デメリットとしてまず、建設業や宅建業、労働者派遣業などの許認可は、会社の消滅とともに失効します。
誰かに引き継いだり、あとで復活もできません。
長年かけて築いてきた取引先からの信用や、銀行口座の取引実績も失われます。
さらに、将来もう一度事業を始めるには、会社設立の費用や手間、信用構築を一からやり直す必要があります。
不利益を把握しないまま解散を進めると、後から取り返しのつかない損失に気づく結果になりかねません。
許認可などに価値が残っている会社であれば、解散ではなく事業譲渡(M&A)によって会社ごと引き継いでもらう道も検討できるでしょう。
解散を伝えるタイミングは、清算を円滑に終えられるかを左右する重要な判断です。
従業員への解雇予告は、労働基準法20条1項により、原則30日前に行う必要があります。
予告が早すぎると、従業員が動揺してすぐに離職し、受注残の処理や棚卸し、引き継ぎなどの清算実務が回らなくなります。
逆に予告が遅すぎると、解雇予告手当(30日分以上の給与相当額)の支払い義務が生じ、資金がショートしかねません。
そこで実務上は、資金が尽きる日から30日を逆算し、予告を行う計画を立てます。
取引先への通知も同様で、早すぎれば取引が停止して売掛金の回収が滞り、遅すぎれば現場に混乱を招きます。
従業員と取引先、それぞれに伝える順序とタイミングを慎重に調整する必要があります。
会社を完全に消滅させる以外にも、選択肢はあります。
しばらく事業を止めて様子を見る休眠(会社法472条等[注1])、他社への売却で対価を得るM&A、後継者に引き継ぐ事業承継です。
いずれも状況次第でメリットと限界があるため、専門家への相談が欠かせません。
休眠は、解散登記をせず税務署等への届出だけで事業を一時的に止める方法で、低コストで実行できます。
ただし会社は存続するため、法人住民税の管理などは続きます。
12年間まったく登記をしないと、みなし解散されます(会社法472条1項[注1])。
借金が残っている場合、休眠にしても債権者からの督促や差し押さえの停止はできません。
会社をたたむには数十万円の費用がかかります。
一方、事業譲渡(会社法467条以下[注1])や株式譲渡が成立すれば、逆に数千万円規模の対価を得られる可能性があります。
従業員の雇用や許認可を守れる点も大きな利点です。
ただし、財務の健全性や、買い手にとって魅力的な技術がある点が前提になります。
自分だけで判断すると、廃業以外の道が見えなくなりがちです。
専門家に財務状況を見せれば、気づけなかった顧客リストやノウハウの価値を見出してもらえる可能性があります。
M&Aの買い手探しや、第二会社方式による事業再生を選択できるケースもあるでしょう。
清算に入る前に、専門家の診断が不可欠です。
多くの経営者が気になる点をQ&A形式で解説します。
有限責任の原則(会社法104条[注1])や連帯保証(民法446条等[注2])との関係を整理し、資本金が残余財産として分配されるしくみ(会社法504条[注1])についても回答します。
会社が消滅すれば、株主は有限責任にとどまるため(会社法104条[注1])、会社自体の借金は消えます。
しかし、中小企業の融資では代表者が連帯保証人になっているケースが非常に多いです(民法446条等[注2])。
会社の借金は消えても、保証人である代表者個人には残債の返済義務が残ります。
廃業や法人破産をきっかけに、金融機関から代表者個人へ一括請求がなされるケースもあります。
このため実務上は、法人破産と代表者個人の自己破産を同時に申し立て、免責を得て(破産法252条等[注4])個人保証も含めて整理する方法が一般的です。
会社をたためば、出資した資本金がそのまま戻ってくると考える経営者は少なくありません。
しかし、資本金はすでに人件費や家賃、設備投資などの経費として消えているか、不動産や預金など会社の資産となっています。
解散・清算の際は、すべての資産を現金化して借金を全額返済し、現金が残った場合に限り、残余財産(会社法504条[注1])として株主に分配されます。
借金を完済できない債務超過の状態では、資本金は一円も戻りません。
[注1]会社法/e-Gov
会社法
[注2]民法/e-Gov
民法
[注3]民事再生法/e-Gov
民事再生法
[注4]破産法/e-Gov
破産法
[注5]法人税法/e-Gov
法人税法
[注6]登録免許税法/e-Gov
登録免許税法
会社をたたむには、株主総会の特別決議から始まり、解散登記と清算結了登記の二段階の登記が必要です。
2週間の期限と過料のリスク、2カ月の官報公告、債務超過が判明した場合の特別清算や破産への移行まで、厳格なルールが続きます。
途中で放置すれば、無駄な税負担や清算人個人の責任リスクが残ります。
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